コラム
チャンスがあることを皆が知っている市場
(2006年7月20日メルマガより)
■我々、ランチェスター関西のメンバーで、毎月1回勉強会を開いています。
ランダムに選んだ企業事例をもとに、その場で、そのビジネスを斬っていこ
うという趣旨の会です。
毎回、大変ですが、私としては楽しみな会です。
■前回、シニアビジネスに関する事例がありました。
シニアビジネスが重要なことは皆が知っています。
ところが、あまりその市場に我々が精通しているわけではないことに思い至
りました。
■我々に、いずれは直接関係する重要な市場なのに、なんで知らないのでし
ょうか。
今回は、シニアビジネスに関するお話です。
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■そこにダイヤモンドの鉱脈があることを知っている。
しかし、それを掘り出す方法がわからない。。。
■事業チャンスを具体的なビジネスに結び付けられないもどかしさって、そ
んな感じではないでしょうか。
実際に、そういう時ってよくありますよね。
■シニアマーケットのことを見ていると、そんな気がしてきます。
世界で最先端の高齢化社会となった日本。
日本という社会には、巨大なシニアマーケットが存在しています。
日本でシニア対象のビジネスを成功させれば、それは世界トップになったと
いうことです。
つまり、日本で成功したビジネスを諸外国に展開できる可能性が高い。
途方もなく巨大なビジネスになる可能性を秘めています。
■誰もがそのことを疑っていません。
だから多くの名だたる企業がシニアマーケットを睨んだビジネスを展開しよ
うとしています。
それを考えない企業の方が少ないでしょうね。
私のようなちっぽけな事業者でも考えているぐらいですから。。。
■ところが、そのマーケットで大成功したという事例はあまり聞きません。
コムスンは、大成功したと言えるのでしょうか?
このあたり議論が分かれそうですから、あまりつっこまないでおきますが、
あまり大成功とは言えないのではないでしょうか。
一部の富裕層を相手にしたシニアビジネスは成功していると言われますが、
本当に必要なのは年収300万円程度の巨大な“ローワーミドル”層に対する
シニアビジネスです。
そちらはまだ成功例というものが見えていません。
■「日経ビジネス」の2006年5月1日号には、三重県のスーパーサンシが展開
する「宅配ビジネス」の事例が出ています。
スーパーサンシは、三重県中心に15店舗を持つ食品スーパーです。
こちらは、高齢者向けに宅配サービスを行う「安心クラブ」というものを運
営しています。
とにかく、高齢者の使いやすさに徹底して配慮したサービスがすごい。
■単なる宅配なら、大手量販店でも、コンビニでもやっています。
スーパーサンシは、ネットはもちろん、電話もあまりかけてこない高齢者の
ために、定期的に電話をかけて注文を受ける仕組みをとっています。
注文の電話は週に1,2回ですが、宅配はもちろん毎日。
もし、こちらから午前11時までに注文すれば、その日の午後5時までには届
けられます。
■高齢者に電話をするということは、注文をとるだけに終わりません。
世間話につきあうことは当然です。なにしろ、1回の電話が平均20分。高齢
者の中には、電話をすること自体が目的となっている方もおられるでしょう。
スーパーサンシの商品を注文されるだけではありません。屋根の修繕を頼ま
れたり、旅行のパンフレットを届けたり。なんでもあり。
宅配の際には、資源ゴミの回収までやってくれます。
もちろん、緊急時の対応にも一役買います。定期電話に出られない時は、親
族などに連絡する仕組みになっています。
■宅配してくれるから便利というだけではない。だから、このサービスは拡
大していると言えます。
「安心クラブ」の会費は毎月500円。商品の価格は店頭を同じで、配送料も
かからない。支払いは自動引落し。
これで流行らないわけはないでしょう。
■ただ、このビジネスが、採算ベースに乗っているかと言われれば、疑問を
感じざるを得ない。
ランチェスター関西の勉強会で、このビジネスが成立するかを検討したので
すが、この仕組みだけで、収益を出すのは難しいという結論です。
日経ビジネスの記事では「将来に向けた高齢者の囲い込み」というニュアン
スで書かれていましたから、多分今は儲かっていないのでしょう。
■チャンスはいっぱいあるが、儲け方が見つからないというのは、黎明期の
市場の特徴です。
顧客の囲い込みに向かうのは、市場がさらに成長した時に、優位な位置にい
ようというハラづもりです。この例については、儲かるか儲からないかは、
未だギャンブルの部分があります。
もしかしたら、永遠に儲からないかも知れない。むしろ、収益事業に馴染ま
ないマーケットなのかも知れない。
実際に現場の働き手に相当負担をかけないと回らないのが介護ビジネスの現
状だそうですから、NPOやボランティアなどを巻き込んだ仕組みを作らな
いとダメなのかも知れませんね。
■シニアビジネスを行う企業に対するコンサルティングを行っているのが、
シニアコミュニケーションという会社です。
こちらは儲かっているらしいです。
直接シニア層から回収するのではなく、企業から報酬を得ているというとこ
ろがミソですね。
この会社も、2001年の創業時はまるで理解されず、売上が立たない状況だっ
たそうですが、今はすごい勢いで成長しています。
この会社が成長しているというのは、そこへ進出しようとする企業が増加し
ていることを示しています。
■要するに、直接シニア層に価値を提供するビジネスの出現はこれからです。
お手本はありません。
もちろん、私に答えがあるわけではありません。
全く新しい発想で、ビジネスを作ったものが成功者になるルールです。
こういう市場って、中小企業や起業者にも大いにチャンスがあると思いませ
んか?
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■実は私は、大学で社会福祉を専攻しておりました。
だから、介護や福祉の分野は、フィールドのひとつです。
専門家になった同級生も多いですしね。
いつでも、そちらの仕事に対応できるように準備はしておりますが、なかな
か依頼が来ませんね。
営業コンサルの看板を上げているから、来るわけはないか^^;
そっちの業界の相談も喜んでお受けしますので!