一番、損になることをしよう

2006.02.02


(2006年2月2日メルマガより)

■最近、最も印象に残っているのが、松井証券の松井道夫社長によるこの言
葉です。

「一番、損になるようなことを考えなさい。それが生き残る秘訣だ」


■最近といっても、録り溜めていたCS放送(しかも再放送^^)の録画を
まとめて観ている時に聞いたので、本当は最近ではありませんね。。

それにしても、なんとも挑発的な発言ではないですか。

松井社長らしいと言えばらしいですね。


■発言の趣旨は以下の通りです。

●世の中がひっくり返ってしまったのに、今までの延長のようなことをして
いてはダメだ。

●デジタル革命によって、ビジネスの主体は消費者に移っている。顧客視点
に立つことが生き残りには必要だ。

●今まで、多くのビジネスは「企業が得すること」を中心に組み立てられて
きた。これからは、「消費者が得すること」を中心にビジネスを組み立てな
ければならない。

●企業にとって「一番損をすること」は、消費者にとって「一番得すること」
に近いという仮説が立てられる。だから、これから生き残りを賭ける企業は、
「自分にとって、一番損をすることは何か?」という視点から発想するとよい。


■松井道夫社長は、中堅証券会社であった松井証券の4代目社長です。2代目
社長が奥さんのお父さん。つまり、松井道夫氏は婿養子です。

社長を継ぐ時に義父が言った言葉が「おやんなさいよ。でも、つまんないよ」

規制に縛られた護送船団方式が常識だった業界状況を義父は自嘲気味に言っ
たようです。


■しかし、その後の松井証券の飛躍は衆目の知るところです。

「つまんない」ことを「つまんなくない」ようにしてやろうと執念を燃やし
た松井道夫社長の活躍が実を結んだわけですね。


■この松井社長、私の個人的な感想ですが、テレビで観る限り、あまりお近
づきにはなりたくない御仁です。

風貌は「ちびまる子ちゃん」の登場人物のような感じなのですが、発言にい
ちいち棘があり、アイロニーを連発するお人柄です。

役員のことを「私から見れば、新入社員と変わらん」とか言ったり。

多分、近くにいれば、5分でイヤになりますね^^


■ただ、その行動は理に適っています。

松井社長の行動は、驚くほど、原理原則に忠実です。

それは「商売の主体は顧客である」という原則です。


■例えば、営業本部長時代に行った支店と営業マンの全廃というドラスティ
ックな改革に、それが表れています。

「証券会社の営業マンは本当に顧客のためになっているのだろうか?」とい
う素朴な疑問を突き詰めることで、その組織改革は成し遂げられました。


「誠意を売る」ような営業マンをお客さんは本当に喜んでいるだろうか?
実は、売り込まれることをお客さんは迷惑に思っているのではないだろうか?

むしろ、これからは、情報をもとに自分で選択できて、自由に売り買いでき
るような取引を求めているのではないだろうか?

少なくとも、個人投資家は、あれこれ言われることを望んでいないはずだ。
それが自由化の流れというものだ。


そこで、営業マンを廃止して、電話による注文受付への切り替え、口座管理
料の廃止、取引手数料の低減という方向の改革につなげていったのです。

過去の歴史を捨て去るのは並大抵のことではないでしょうが、それをやり遂
げたのだから大したもんです。


■顧客志向、顧客視点とはどのビジネスの教科書にも書いていますが、教科
書通りのことを実行する人はごく稀です。

私も独立したての頃は「中小企業診断士なんて教科書通りのことしか知らな
いから役に立たないよ」とよく揶揄されましたが、今になってみると「教科
書通りのことを当たり前に実行できる」人が、実は大変な実力者であると断
言できます。

大抵は、原理原則に従うことができずに、現状(社内の抵抗勢力とか)に妥
協してしまうのです。

教科書に何が書いてあるのか知らないというコンサルもいますけどね^^


■松井道夫社長は、そのあくの強いキャラクターと強烈なカリスマ性で、社
内の抵抗勢力どころか、証券業界そのものを変えてしまいました。

これも「顧客中心主義」という原理原則があればこそです。


■「一点集中主義」も、顧客中心主義の思想から導き出されています。

「21世紀は消費者がすべてを決める。1つのサービスを極めないと、消費者
から捨てられる」という内容の発言をしています。

彼に言わせれば「いろいろ手を広げて経営の安定化を図る」というのは、
「企業中心の考え方」になるのでしょう。

そこまで身体をはるからこそ、あの胆力を身につけたのでしょうか。


■最近、その松井証券も、ネット証券におけるシェアを低下させています。

「後発組は、真似をするぐらいしかできない」と強気に言っていた松井社長
も、現状を深く考えたようです。

松井証券のホームページには、松井社長の年頭の辞が述べられています。

実に松井社長らしい人間味あふれた発言ですから、ご覧ください。

今年も何かやりそうですね。


編集後記

■CS放送を観ていると、大前研一氏が、ライブドア問題に絡めて
「フジテレビの稗田氏はなんでデカイ顔をしているんだ?」と発言していた
ので、爆笑してしまいました。

■以前、ライブドアに1400億円出資した際には「強盗に実弾入りの拳銃を渡
すようなもんだ」と対応を非難していたこともあって、頭にきていたんでし
ょうね。

■奥田経団連会長のライブドアを会員に入れたことは「ミスった」というの
も吹き出すような発言ですね。

奥田氏も、引退が近いせいか、不思議な発言が目立つ人です。

少し前に「日本型経営はやっぱり正しかった」みたいなことを言っていまし
たよね。

日経新聞は「日本型経営がすべて悪いわけじゃない」という意味にとり替え
ておりましたが、真意はどこにあったのか?

■いずれにしろ、一角の経営者っていうのは、発言が面白いですな。





(2006年2月2日メルマガより)

■最近、最も印象に残っているのが、松井証券の松井道夫社長によるこの言
葉です。

「一番、損になるようなことを考えなさい。それが生き残る秘訣だ」


■最近といっても、録り溜めていたCS放送(しかも再放送^^)の録画を
まとめて観ている時に聞いたので、本当は最近ではありませんね。。

それにしても、なんとも挑発的な発言ではないですか。

松井社長らしいと言えばらしいですね。


■発言の趣旨は以下の通りです。

●世の中がひっくり返ってしまったのに、今までの延長のようなことをして
いてはダメだ。

●デジタル革命によって、ビジネスの主体は消費者に移っている。顧客視点
に立つことが生き残りには必要だ。

●今まで、多くのビジネスは「企業が得すること」を中心に組み立てられて
きた。これからは、「消費者が得すること」を中心にビジネスを組み立てな
ければならない。

●企業にとって「一番損をすること」は、消費者にとって「一番得すること」
に近いという仮説が立てられる。だから、これから生き残りを賭ける企業は、
「自分にとって、一番損をすることは何か?」という視点から発想するとよい。


■松井道夫社長は、中堅証券会社であった松井証券の4代目社長です。2代目
社長が奥さんのお父さん。つまり、松井道夫氏は婿養子です。

社長を継ぐ時に義父が言った言葉が「おやんなさいよ。でも、つまんないよ」

規制に縛られた護送船団方式が常識だった業界状況を義父は自嘲気味に言っ
たようです。


■しかし、その後の松井証券の飛躍は衆目の知るところです。

「つまんない」ことを「つまんなくない」ようにしてやろうと執念を燃やし
た松井道夫社長の活躍が実を結んだわけですね。


■この松井社長、私の個人的な感想ですが、テレビで観る限り、あまりお近
づきにはなりたくない御仁です。

風貌は「ちびまる子ちゃん」の登場人物のような感じなのですが、発言にい
ちいち棘があり、アイロニーを連発するお人柄です。

役員のことを「私から見れば、新入社員と変わらん」とか言ったり。

多分、近くにいれば、5分でイヤになりますね^^


■ただ、その行動は理に適っています。

松井社長の行動は、驚くほど、原理原則に忠実です。

それは「商売の主体は顧客である」という原則です。


■例えば、営業本部長時代に行った支店と営業マンの全廃というドラスティ
ックな改革に、それが表れています。

「証券会社の営業マンは本当に顧客のためになっているのだろうか?」とい
う素朴な疑問を突き詰めることで、その組織改革は成し遂げられました。


「誠意を売る」ような営業マンをお客さんは本当に喜んでいるだろうか?
実は、売り込まれることをお客さんは迷惑に思っているのではないだろうか?

むしろ、これからは、情報をもとに自分で選択できて、自由に売り買いでき
るような取引を求めているのではないだろうか?

少なくとも、個人投資家は、あれこれ言われることを望んでいないはずだ。
それが自由化の流れというものだ。


そこで、営業マンを廃止して、電話による注文受付への切り替え、口座管理
料の廃止、取引手数料の低減という方向の改革につなげていったのです。

過去の歴史を捨て去るのは並大抵のことではないでしょうが、それをやり遂
げたのだから大したもんです。


■顧客志向、顧客視点とはどのビジネスの教科書にも書いていますが、教科
書通りのことを実行する人はごく稀です。

私も独立したての頃は「中小企業診断士なんて教科書通りのことしか知らな
いから役に立たないよ」とよく揶揄されましたが、今になってみると「教科
書通りのことを当たり前に実行できる」人が、実は大変な実力者であると断
言できます。

大抵は、原理原則に従うことができずに、現状(社内の抵抗勢力とか)に妥
協してしまうのです。

教科書に何が書いてあるのか知らないというコンサルもいますけどね^^


■松井道夫社長は、そのあくの強いキャラクターと強烈なカリスマ性で、社
内の抵抗勢力どころか、証券業界そのものを変えてしまいました。

これも「顧客中心主義」という原理原則があればこそです。


■「一点集中主義」も、顧客中心主義の思想から導き出されています。

「21世紀は消費者がすべてを決める。1つのサービスを極めないと、消費者
から捨てられる」という内容の発言をしています。

彼に言わせれば「いろいろ手を広げて経営の安定化を図る」というのは、
「企業中心の考え方」になるのでしょう。

そこまで身体をはるからこそ、あの胆力を身につけたのでしょうか。


■最近、その松井証券も、ネット証券におけるシェアを低下させています。

「後発組は、真似をするぐらいしかできない」と強気に言っていた松井社長
も、現状を深く考えたようです。

松井証券のホームページには、松井社長の年頭の辞が述べられています。

実に松井社長らしい人間味あふれた発言ですから、ご覧ください。

今年も何かやりそうですね。


編集後記

■CS放送を観ていると、大前研一氏が、ライブドア問題に絡めて
「フジテレビの稗田氏はなんでデカイ顔をしているんだ?」と発言していた
ので、爆笑してしまいました。

■以前、ライブドアに1400億円出資した際には「強盗に実弾入りの拳銃を渡
すようなもんだ」と対応を非難していたこともあって、頭にきていたんでし
ょうね。

■奥田経団連会長のライブドアを会員に入れたことは「ミスった」というの
も吹き出すような発言ですね。

奥田氏も、引退が近いせいか、不思議な発言が目立つ人です。

少し前に「日本型経営はやっぱり正しかった」みたいなことを言っていまし
たよね。

日経新聞は「日本型経営がすべて悪いわけじゃない」という意味にとり替え
ておりましたが、真意はどこにあったのか?

■いずれにしろ、一角の経営者っていうのは、発言が面白いですな。




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