狩猟民族の構想力に学ぼう

2010.02.11

(2010年2月11日メルマガより)

☆メルマガ登録はこちら

■"グーグル携帯"が売れていないそうですね。

グーグル携帯というのは、インターネット検索で有名なあのグーグルが開発
した携帯電話用のOS「アンドロイド」を搭載し、しかもグーグルが自社で
企画開発し、鳴り物入りで発売された携帯端末機のことです。
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=SSXKG0081%2006022010

記事によると1ヶ月でわずか8万台の売上です。

iPhoneは1ヶ月で60万台販売したということですから、その差は歴
然としています。

■もっとも、グーグルにとっては痛くも痒くもない事態であると私は思いま
す。

というのも、グーグルの目的は、自社の検索利用者を増やし、広告収入を増
やすことであり、自社端末を販売して利益を上げることではないと思うから
です。

パソコンを使う限り、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」の優位性は揺
るぎませんが、携帯電話においては、シェア争いは始まったばかりです。

グーグルとすれば無料OSである「アンドロイド」を採用する端末機メーカ
ーが増えて、自社の検索を利用してくれるならば、自社端末など必要ありま
せん。

とすれば、自社端末をわざとダサく企画して、売れなくすることで、他メー
カーの奮起を促しているんじゃないかと邪推したくもなります^^;

まあ、そんなことはないでしょうが、結果として、他メーカーがお洒落で使
いやすい端末機を開発してくれればそれでいいわけです。

■グーグルの最大の標的であるマイクロソフトは、この分野に関しては、動
きが鈍いですね。

昨年10月に携帯電話用のOSを発表し、搭載機種も販売されているはずで
すが、その後の売れ行きはどうだったのでしょうか?

あまり聞きませんね。

ゲーム機や家電製品などに事業展開していくのかとも言われていますので、
力は入っていないのかも知れませんね。

■その代わり、この分野で大きな存在感を示しているのが、アップルです。

iPhoneは、累計3000万台も売れたそうじゃないですか。
http://ascii.jp/elem/000/000/448/448992/

大したもんですね~

iPhoneが日本で発売された当初は、高機能携帯に慣れた日本の顧客に
は、あまり受け入れられないのではないかと言われていました。

実は、私自身もそう思っていました。

パソコン時代のアップルは、専門性が高い限られた顧客を囲い込むメーカー
だという印象が強かったものですから、そう思ってしまったのですね。

しかしiPodを発売してからのアップルは、一皮も二皮も剥けたメーカー
になっていました。

iPodやiPhoneといった機種は単なる端末機だと位置づけて、iT
unesやアップストアを含めたネットワークでビジネスを組立てるメーカ
ーになっていました。

今や、iPhoneが巨大なプラットフォームになり、世界中の技術者がそ
こで動くアプリケーションの開発を競っています。

腕に覚えのある開発者が手っ取り早く起業するにはiPhoneアプリを開
発しようという話もあります。

参考書籍:「iPhoneアプリで週末起業

まさに「Web2.0」を最もうまく活用し体現するメーカーがアップルで
す。

恐れ入りました。

■そのアップルが今度はiPadなるものを出すそうではありませんか。

これはiPhoneを一回り大きくしたような商品ですが、スマートフォン
というよりも、ノートパソコンのように使えそうです。

書籍や雑誌を等倍で読むのに丁度よい大きさですから、ついにペーパーレス
が実現するかも知れません。

iPhoneには食指が動かなかった私も、今度の製品は欲しいと思ってい
ます。

ついにアップルの軍門に下ってしまうのか^^;

■ちなみにiPadは、アマゾンのキンドルと競合する商品だとして、アマ
ゾンが危機感を募らせています。

デザインや使い勝手では、iPadの圧勝になりそうな気配ですから、アマ
ゾンは苦労するでしょうな。

アマゾンもWeb2.0企業の代表ですが、このままでは、プラットフォー
ムとしての価値を毀損してしまうかも知れません。

早晩、ソニーやサムソンに、魅力的な端末を作ってもらわなければなりませ
ん。

私なら、あらゆる家電企業に有利な条件を提示した上で連携を申し入れて、
アマゾン陣営、というよりは反アップル陣営を作ろうとするでしょうね。

■ところで、アップルのiPodやiPhoneは、日本の部品なくしては
成り立たなかったと言われています。

稀代のデザイナーであり、プロデューサーであるスティーブ・ジョブスが、
イメージする製品を実現するためには、日本の中小企業が持つ職人的な技術
が不可欠だったのです。

だから、iPhoneは日本のものだ!と言うわけではありません。

実際には、ビジネスから多くの利益を得ているのは、アップル自身ですから。

このあたりの事情を考えると、前回のメルマガに続き、狩猟民族であるアン
グロサクソンのビジネスと農耕民族である日本のビジネスの違いを考えてし
まいます。

端的に言うと、狩猟民族は「目標達成志向」です。獲物という成果を得るた
めに、どのように行動をとるのかを組立てます。

それに対して、農耕民族は「反復・積み上げ志向」です。毎年、毎回、同じ
ことを繰りかえしつつ改善し続けることで、結果として成果を得るという考
えです。

もちろんどちらが優れているというわけではありません。

「結果はあとからついてくる」というのは、農耕民族である日本人に馴染み
やすい考え方ではないでしょうか。

一度、欧米人に、この考え方が腑に落ちるか聞いてみたいですね。

■目標達成志向は、まずゴールをイメージするところから始めます。

ドラッカーも「成果を得る秘訣は、成果とは何かを知ることである」と言っ
ています。

言われてみれば、当たり前なんですが、以前の私には目から鱗が落ちた考え
方でした^^;私も農耕民族なんですなーー

だからスティーブ・ジョブスのように、どうやって実現するんだーーという
法螺話すれすれの成果イメージであっても、その後の実現への行動さえあれ
ば"あり"なんでしょうな。

というか、スティーブ・ジョブスの強みは、ビジョンを実現するための"ご
り押し"まがいの行動力に尽きるという話もありますが^^;

■欧米のビジネスのルールは、最初に構想を作ったものが最も利益を得るよ
うになっているみたいです。

例えばハリウッド映画がそのいい例です。

昨年のアカデミー作品賞は「スラムドック$ミリオネア」というインド映画
としか見えない作品でした。

この映画、本当に面白かったですよ。
http://plaza.rakuten.co.jp/createvalue/diary/201001150000/

インド人スタッフとキャストを使った純然たるインド映画に見えますが、実
際には、ハリウッドが企画し、欧米人が出資した映画です。

そのためインド映画にオマージュは捧げつつも、ハリウッド映画の文法に従
って作られており、世界中でヒットしました。

インドは世界で最も映画産業が盛んな国の一つです。その文化やインフラを
活用しつつも、ビジネスそのものはハリウッドの仕組みに乗った映画です。

要するに、インド人スタッフが手にしたのは、出演料や技術料などの"経費"
であり、ビジネスの"利益"は、欧米の出資者が得る仕組みです。

■もう一つ例を挙げます。

昨年、日本中を興奮の坩堝にしたワールド・ベースボール・クラシックも、
「日本の野球が、ベースボールに勝った」と言われた裏では、ビジネスとし
ての利益の35%は、メジャーリーグベースボール機構に還元される仕組み
になっているようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091214/211552/?P=2

要するに、そこに乗っかってコンテンツを提供するよりも、"土俵"を用意
した者が最も利益を得るのが、欧米型ビジネスのルールであるわけです。

■あえて欧米型ビジネスと言いましたが、現実には、日本でもこのルールは
普通に浸透しています。

いわゆる胴元が最も儲けるルールですな。

しばしば製造業者が、販売業者と利益配分を巡って揉めることがありますが、
大抵は、製造業者が「モノを作った方が儲けて当たり前だ」と誤解すること
が原因となっているのではないでしょうか。

実際には、ビジネスのスキームを作った者が儲けるのが当たり前だというの
がルールです。

だから製造業者、販売業者に関わらず、どちらがより現実的で魅力的なスキ
ームを作るかで主導権を取り合います。

グーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフトの戦いは、まさに誰が胴元
になるかという戦いであると言えます。

というわけで、iPhoneの中身は日本製の部品で成り立っていると自慢
しても、ビジネス競争とは全く関係のない薀蓄の域を出ないことであると申
し上げておきます^^;

■ところで「スマートグリッド」という構想が、また欧米から聞こえてきて
います。
http://allabout.co.jp/career/economyabc/closeup/CU20090629A/

スマートグリッド=賢い電力網。端的に言うと、コンピュータやインターネ
ットを活用して、電力を最適に調整しようという考え方です。

というのも、電力というのは案外、要るところに届かなくて、要らないとこ
ろに供給されていたりするのだそうです。

必要としているところにピタっと最適に届けられ、無駄に余る電力がなくな
れば、社会的な必要電力量は相当下がると思われます。

それをコンピュータで計算し、調整しようという考え方です。

■これに対して、日本にはスマートグリッドは必要ないという意見もありま
す。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20090601/171043/

その趣旨は、日本の場合、既に電力網が高度に発達し、最適な調整が可能と
なっているので、今更新たな仕組みは導入しなくてよいというものです。

確かに、オイルショックを経た日本は、省エネルギーにおいて、世界トップ
の技術を持っています。

欧米は、何を今更言ってやがるんだーーというわけですな。

■ただし、ここでも欧米の構想力は我々の想像を超えているようです。

スマートグリッドの最も重要な概念は、電力の双方向利用です。

今後、各家庭や地域で小規模発電する技術が発達すれば、その電力を融通し
合うことで、社会的な発電量を減らすことが可能となります。

例えば、家庭の太陽光発電で発電した電力を、家の電気自動車に溜めておき、
夜になってあまり使わないということになれば、それを電力会社に販売し、
必要なところに供給するというイメージです。

単に、電力会社の電力網を優れたものに改善しようというだけではありませ
ん。

■ここでも、改善に力を入れる農耕民族と、成果をダイレクトに得ようとす
る狩猟民族の特徴が出ていると言えませんか。

日本の省エネ技術は、必要に迫られた上での改善による積み上げ技術です。

これに対して、スマートグリッド構想は非連続的な新技術の発想です。

繰りかえしますが、どちらが偉いというわけではなく、どちらも時に応じて
必要だということです。

目標達成志向で戦略を組み立て、それを愚直に反復・改善することがビジネ
ス成功の秘訣です。両方必要であるには違いありません。

ちなみにスマートグリッド構想を実現するための技術はまだ殆どできていな
いと言われています。

欧米は、日本の技術に大いに期待しているそうですよ^^

虫がいいというかちゃっかりしているというか。

■民主党の「新成長戦略」でいうように、今後、日本が、環境・エネルギー
分野を強みとしていくためには、せっかく欧米が構想してくれたスマートグ
リッドを日本の技術で開発し、日本で実証実験し、パッケージ化して商品化
することが必要です。(もちろん、とるべき特許は取得して)

日本では不要だなどと言わずに、日本の商品にし、アジア展開を考えなけれ
ばなりません。

そもそも国土が狭い上に人口密度が高い日本では、こうした実証実験を行う
には非常に効率的です。

この強みを活かさない手はありません。

実際、日本の離島などで実証実験が始まっているということですから、手を
こまねいているわけではありません。

ただ気をつけなければいけないのは、他国に展開することを想定した上で、
ビジネスを組立てるという意識です。

日本で使えればいいやんというだけでは、ガラパゴス諸島の生態系を強固に
するだけですからね。

■以前、欧米は日本の模倣に散々苦しめられました。

製品を発明したのは欧米なのに、よりよい完成度で模倣されて、主導権を奪
われてしまったわけです。

製品単品で開発しても埒が明かないと悟った欧米は、ビジネスのスキームを
開発するようになりました。

グローバルな規模でプラットフォームを獲得してしまえば、いくら製品を模
倣されても、胴元として利益を得ることができます。

むしろ製品やコンテンツの開発は、日本に任せてしまおうという考えです。

何事も得意分野があり、役割分担があるので、コンテンツ開発に集中すると
いうのも一つのあり方です。

しかし、同時に、欧米の型に収まらない独自のビジネスを創造するための
"構想力"を学ぶ必要もあると考えます。

ビジネスを発想し、構想し、標準化し、パッケージ化する。

一連の流れをこれから学んでいきましょう。という提案です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■前回のメルマガに引き続き、狩猟民族と農耕民族の特徴をビジネスに適用
してみました。

異論も多いでしょうが、しつこく書きましたね。

■私は、日本人に最も足りないのは戦略性だとずっと考えてきました。

その戦略とは、端的にいうと、目標と現状とのギャップを埋めるための手順
や方法のことですから、まさに目標達成志向の狩猟民族が得意とするもので
す。

我々はもともと戦略を苦手としているのかも知れません。

■だからこそ、戦略を大切にしようと思います。

戦略がなければ生き残れない。

これをこれからも最大のテーマとしていきたいと思います。


(2010年2月11日メルマガより)

☆メルマガ登録はこちら

■"グーグル携帯"が売れていないそうですね。

グーグル携帯というのは、インターネット検索で有名なあのグーグルが開発
した携帯電話用のOS「アンドロイド」を搭載し、しかもグーグルが自社で
企画開発し、鳴り物入りで発売された携帯端末機のことです。
http://it.nikkei.co.jp/mobile/news/index.aspx?n=SSXKG0081%2006022010

記事によると1ヶ月でわずか8万台の売上です。

iPhoneは1ヶ月で60万台販売したということですから、その差は歴
然としています。

■もっとも、グーグルにとっては痛くも痒くもない事態であると私は思いま
す。

というのも、グーグルの目的は、自社の検索利用者を増やし、広告収入を増
やすことであり、自社端末を販売して利益を上げることではないと思うから
です。

パソコンを使う限り、マイクロソフトのOS「ウィンドウズ」の優位性は揺
るぎませんが、携帯電話においては、シェア争いは始まったばかりです。

グーグルとすれば無料OSである「アンドロイド」を採用する端末機メーカ
ーが増えて、自社の検索を利用してくれるならば、自社端末など必要ありま
せん。

とすれば、自社端末をわざとダサく企画して、売れなくすることで、他メー
カーの奮起を促しているんじゃないかと邪推したくもなります^^;

まあ、そんなことはないでしょうが、結果として、他メーカーがお洒落で使
いやすい端末機を開発してくれればそれでいいわけです。

■グーグルの最大の標的であるマイクロソフトは、この分野に関しては、動
きが鈍いですね。

昨年10月に携帯電話用のOSを発表し、搭載機種も販売されているはずで
すが、その後の売れ行きはどうだったのでしょうか?

あまり聞きませんね。

ゲーム機や家電製品などに事業展開していくのかとも言われていますので、
力は入っていないのかも知れませんね。

■その代わり、この分野で大きな存在感を示しているのが、アップルです。

iPhoneは、累計3000万台も売れたそうじゃないですか。
http://ascii.jp/elem/000/000/448/448992/

大したもんですね~

iPhoneが日本で発売された当初は、高機能携帯に慣れた日本の顧客に
は、あまり受け入れられないのではないかと言われていました。

実は、私自身もそう思っていました。

パソコン時代のアップルは、専門性が高い限られた顧客を囲い込むメーカー
だという印象が強かったものですから、そう思ってしまったのですね。

しかしiPodを発売してからのアップルは、一皮も二皮も剥けたメーカー
になっていました。

iPodやiPhoneといった機種は単なる端末機だと位置づけて、iT
unesやアップストアを含めたネットワークでビジネスを組立てるメーカ
ーになっていました。

今や、iPhoneが巨大なプラットフォームになり、世界中の技術者がそ
こで動くアプリケーションの開発を競っています。

腕に覚えのある開発者が手っ取り早く起業するにはiPhoneアプリを開
発しようという話もあります。

参考書籍:「iPhoneアプリで週末起業

まさに「Web2.0」を最もうまく活用し体現するメーカーがアップルで
す。

恐れ入りました。

■そのアップルが今度はiPadなるものを出すそうではありませんか。

これはiPhoneを一回り大きくしたような商品ですが、スマートフォン
というよりも、ノートパソコンのように使えそうです。

書籍や雑誌を等倍で読むのに丁度よい大きさですから、ついにペーパーレス
が実現するかも知れません。

iPhoneには食指が動かなかった私も、今度の製品は欲しいと思ってい
ます。

ついにアップルの軍門に下ってしまうのか^^;

■ちなみにiPadは、アマゾンのキンドルと競合する商品だとして、アマ
ゾンが危機感を募らせています。

デザインや使い勝手では、iPadの圧勝になりそうな気配ですから、アマ
ゾンは苦労するでしょうな。

アマゾンもWeb2.0企業の代表ですが、このままでは、プラットフォー
ムとしての価値を毀損してしまうかも知れません。

早晩、ソニーやサムソンに、魅力的な端末を作ってもらわなければなりませ
ん。

私なら、あらゆる家電企業に有利な条件を提示した上で連携を申し入れて、
アマゾン陣営、というよりは反アップル陣営を作ろうとするでしょうね。

■ところで、アップルのiPodやiPhoneは、日本の部品なくしては
成り立たなかったと言われています。

稀代のデザイナーであり、プロデューサーであるスティーブ・ジョブスが、
イメージする製品を実現するためには、日本の中小企業が持つ職人的な技術
が不可欠だったのです。

だから、iPhoneは日本のものだ!と言うわけではありません。

実際には、ビジネスから多くの利益を得ているのは、アップル自身ですから。

このあたりの事情を考えると、前回のメルマガに続き、狩猟民族であるアン
グロサクソンのビジネスと農耕民族である日本のビジネスの違いを考えてし
まいます。

端的に言うと、狩猟民族は「目標達成志向」です。獲物という成果を得るた
めに、どのように行動をとるのかを組立てます。

それに対して、農耕民族は「反復・積み上げ志向」です。毎年、毎回、同じ
ことを繰りかえしつつ改善し続けることで、結果として成果を得るという考
えです。

もちろんどちらが優れているというわけではありません。

「結果はあとからついてくる」というのは、農耕民族である日本人に馴染み
やすい考え方ではないでしょうか。

一度、欧米人に、この考え方が腑に落ちるか聞いてみたいですね。

■目標達成志向は、まずゴールをイメージするところから始めます。

ドラッカーも「成果を得る秘訣は、成果とは何かを知ることである」と言っ
ています。

言われてみれば、当たり前なんですが、以前の私には目から鱗が落ちた考え
方でした^^;私も農耕民族なんですなーー

だからスティーブ・ジョブスのように、どうやって実現するんだーーという
法螺話すれすれの成果イメージであっても、その後の実現への行動さえあれ
ば"あり"なんでしょうな。

というか、スティーブ・ジョブスの強みは、ビジョンを実現するための"ご
り押し"まがいの行動力に尽きるという話もありますが^^;

■欧米のビジネスのルールは、最初に構想を作ったものが最も利益を得るよ
うになっているみたいです。

例えばハリウッド映画がそのいい例です。

昨年のアカデミー作品賞は「スラムドック$ミリオネア」というインド映画
としか見えない作品でした。

この映画、本当に面白かったですよ。
http://plaza.rakuten.co.jp/createvalue/diary/201001150000/

インド人スタッフとキャストを使った純然たるインド映画に見えますが、実
際には、ハリウッドが企画し、欧米人が出資した映画です。

そのためインド映画にオマージュは捧げつつも、ハリウッド映画の文法に従
って作られており、世界中でヒットしました。

インドは世界で最も映画産業が盛んな国の一つです。その文化やインフラを
活用しつつも、ビジネスそのものはハリウッドの仕組みに乗った映画です。

要するに、インド人スタッフが手にしたのは、出演料や技術料などの"経費"
であり、ビジネスの"利益"は、欧米の出資者が得る仕組みです。

■もう一つ例を挙げます。

昨年、日本中を興奮の坩堝にしたワールド・ベースボール・クラシックも、
「日本の野球が、ベースボールに勝った」と言われた裏では、ビジネスとし
ての利益の35%は、メジャーリーグベースボール機構に還元される仕組み
になっているようです。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091214/211552/?P=2

要するに、そこに乗っかってコンテンツを提供するよりも、"土俵"を用意
した者が最も利益を得るのが、欧米型ビジネスのルールであるわけです。

■あえて欧米型ビジネスと言いましたが、現実には、日本でもこのルールは
普通に浸透しています。

いわゆる胴元が最も儲けるルールですな。

しばしば製造業者が、販売業者と利益配分を巡って揉めることがありますが、
大抵は、製造業者が「モノを作った方が儲けて当たり前だ」と誤解すること
が原因となっているのではないでしょうか。

実際には、ビジネスのスキームを作った者が儲けるのが当たり前だというの
がルールです。

だから製造業者、販売業者に関わらず、どちらがより現実的で魅力的なスキ
ームを作るかで主導権を取り合います。

グーグル、アップル、アマゾン、マイクロソフトの戦いは、まさに誰が胴元
になるかという戦いであると言えます。

というわけで、iPhoneの中身は日本製の部品で成り立っていると自慢
しても、ビジネス競争とは全く関係のない薀蓄の域を出ないことであると申
し上げておきます^^;

■ところで「スマートグリッド」という構想が、また欧米から聞こえてきて
います。
http://allabout.co.jp/career/economyabc/closeup/CU20090629A/

スマートグリッド=賢い電力網。端的に言うと、コンピュータやインターネ
ットを活用して、電力を最適に調整しようという考え方です。

というのも、電力というのは案外、要るところに届かなくて、要らないとこ
ろに供給されていたりするのだそうです。

必要としているところにピタっと最適に届けられ、無駄に余る電力がなくな
れば、社会的な必要電力量は相当下がると思われます。

それをコンピュータで計算し、調整しようという考え方です。

■これに対して、日本にはスマートグリッドは必要ないという意見もありま
す。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/TOPCOL/20090601/171043/

その趣旨は、日本の場合、既に電力網が高度に発達し、最適な調整が可能と
なっているので、今更新たな仕組みは導入しなくてよいというものです。

確かに、オイルショックを経た日本は、省エネルギーにおいて、世界トップ
の技術を持っています。

欧米は、何を今更言ってやがるんだーーというわけですな。

■ただし、ここでも欧米の構想力は我々の想像を超えているようです。

スマートグリッドの最も重要な概念は、電力の双方向利用です。

今後、各家庭や地域で小規模発電する技術が発達すれば、その電力を融通し
合うことで、社会的な発電量を減らすことが可能となります。

例えば、家庭の太陽光発電で発電した電力を、家の電気自動車に溜めておき、
夜になってあまり使わないということになれば、それを電力会社に販売し、
必要なところに供給するというイメージです。

単に、電力会社の電力網を優れたものに改善しようというだけではありませ
ん。

■ここでも、改善に力を入れる農耕民族と、成果をダイレクトに得ようとす
る狩猟民族の特徴が出ていると言えませんか。

日本の省エネ技術は、必要に迫られた上での改善による積み上げ技術です。

これに対して、スマートグリッド構想は非連続的な新技術の発想です。

繰りかえしますが、どちらが偉いというわけではなく、どちらも時に応じて
必要だということです。

目標達成志向で戦略を組み立て、それを愚直に反復・改善することがビジネ
ス成功の秘訣です。両方必要であるには違いありません。

ちなみにスマートグリッド構想を実現するための技術はまだ殆どできていな
いと言われています。

欧米は、日本の技術に大いに期待しているそうですよ^^

虫がいいというかちゃっかりしているというか。

■民主党の「新成長戦略」でいうように、今後、日本が、環境・エネルギー
分野を強みとしていくためには、せっかく欧米が構想してくれたスマートグ
リッドを日本の技術で開発し、日本で実証実験し、パッケージ化して商品化
することが必要です。(もちろん、とるべき特許は取得して)

日本では不要だなどと言わずに、日本の商品にし、アジア展開を考えなけれ
ばなりません。

そもそも国土が狭い上に人口密度が高い日本では、こうした実証実験を行う
には非常に効率的です。

この強みを活かさない手はありません。

実際、日本の離島などで実証実験が始まっているということですから、手を
こまねいているわけではありません。

ただ気をつけなければいけないのは、他国に展開することを想定した上で、
ビジネスを組立てるという意識です。

日本で使えればいいやんというだけでは、ガラパゴス諸島の生態系を強固に
するだけですからね。

■以前、欧米は日本の模倣に散々苦しめられました。

製品を発明したのは欧米なのに、よりよい完成度で模倣されて、主導権を奪
われてしまったわけです。

製品単品で開発しても埒が明かないと悟った欧米は、ビジネスのスキームを
開発するようになりました。

グローバルな規模でプラットフォームを獲得してしまえば、いくら製品を模
倣されても、胴元として利益を得ることができます。

むしろ製品やコンテンツの開発は、日本に任せてしまおうという考えです。

何事も得意分野があり、役割分担があるので、コンテンツ開発に集中すると
いうのも一つのあり方です。

しかし、同時に、欧米の型に収まらない独自のビジネスを創造するための
"構想力"を学ぶ必要もあると考えます。

ビジネスを発想し、構想し、標準化し、パッケージ化する。

一連の流れをこれから学んでいきましょう。という提案です。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■前回のメルマガに引き続き、狩猟民族と農耕民族の特徴をビジネスに適用
してみました。

異論も多いでしょうが、しつこく書きましたね。

■私は、日本人に最も足りないのは戦略性だとずっと考えてきました。

その戦略とは、端的にいうと、目標と現状とのギャップを埋めるための手順
や方法のことですから、まさに目標達成志向の狩猟民族が得意とするもので
す。

我々はもともと戦略を苦手としているのかも知れません。

■だからこそ、戦略を大切にしようと思います。

戦略がなければ生き残れない。

これをこれからも最大のテーマとしていきたいと思います。


コラム

blog

代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
世の中の事象を営業戦略コンサルタントの視点から斬っていきます。(無料)

記事一覧

blog

記事一覧

講演・セミナー実績

Customer Voice

記事一覧

このページのTOPへ