営業チームマネジメントの第一歩

2013.02.07

(2013年2月7日メルマガより)


■「サラリーマンの悩みのほとんどはすでに学問的な「答え」
が出ている」(西内啓著)
という本が出ています。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4839941939/lanchesterkan-22/ref=nosim

いい本です。おすすめいたします。

題名が示す通り、会社員や一般の人たちが、悩みに思うことに対する答えを、経済学や
経営学などの理論から紹介したものです。

たとえば

○なぜ、いくら頑張っても給料が上がらないのか?

○なぜ、お金が貯まらないのか?

○どうすれば楽して出世できるのか?

○どうすれば職場の人間関係はうまくいくのか?

○どうすれば仕事はうまく回るのか?

など。。。

飲み屋で愚痴るぐらいなら、理論を知る方がいいですよ。というコンセプトの本です。

■私はこういうスタンスの本は好きです。

上記のような悩みは誰もが持っていて、答えを求めようとしています。

私もそう。自分の専門以外のことでは、手っ取り早い答えに飛びつきます。

一時期流行った「情報商材」は、こうした人間の「楽して成果がほしい」という習性を
うまく煽って、中身の乏しいものを高額で販売するものが多かったと感じています

私も何回か騙されました^^;

他人の商行為を邪魔する意図はありませんが、ばかばかしい限りです。今もそういう
ビジネスは多い。というか、なくなりませんよね。

■ところが、アカデミックな世界では、そんな身近な問題にも、幾多のアプローチがなさ
れてきています。

実業をされている方は、学問など実践では役に立たないと考えている方が多いかも知れま
せんが、そんなことは全くありません。

むしろ、こうした身近な問題にも、繰り返しアプローチし、検証を繰り返し、理論化して
いるのが、学問の世界です。

単に一人二人の成功者の思い出や成功体験をさも絶対の法則のように書き並べたものでは
ありません。

実業する者が、その抽象化された理論を、具象化する能力を持っているならば、理論ほど
役に立つものはありません。

そういうスタンスで書かれた本ですから、好感が持てました。

■例えば「どうすれば仕事はうまく回るのか?」という章では、プロジェクトマネジメント
の考え方が紹介されています。

プロジェクトマネジメントは、アメリカのアポロ計画を行うために開発されたものだとい
われています。

ちなみにアポロ計画とは、1960年代に、宇宙飛行でソ連に遅れをとっていたアメリカ
がぶちあげた有人宇宙飛行計画です。

1961年にケネディ大統領が「10年以内に月に人を着陸させる」と宣言して話題になり、
1969年に実現しました。

■当然のことながら、月に行って帰ってくるためには、気の遠くなるような軌道計算が
必要になります。

ところが当時のコンピュータは貧弱なものです。

今、我々が手にしているノートパソコンの方が、よほど優秀だといわれています。

そんな状況で、しかも限られた予算の中で、計画を実行し、成功させるためには、どうす
ればいいのか?

どんな人たちを集め、どのように配置すればいいのか?どんな機械を作って、どう利用す
ればよいのか?

現場のこまごましたことではなく、全体をどのように組み立てるのかをテーマに考え出さ
れたのが、プロジェクトマネジメントでした。

■プロジェクトマネジメントとはどういうものか?ということは、は詳しく書きません。

ただ、これが、日本人の苦手な分野であることは、一般的に知られています。

日本人や日本企業が得意とするのは、日々の実践経験からより効率的なやり方を学んで改善
していくことです。

つまり、何をすべきかが既に決められており、毎日コツコツやることができる状況にある
場合、日本人は大きな力を発揮します。

ところが、「月に人間を着陸させる」などと全く新しい課題に取り組まなければならない
ことは苦手です。

一説によると、日本人は農耕民族だから、毎日コツコツ繰り返して積み上げることが気質
に合っている。西洋人は狩猟民族だから目標を決めて仕組みを作ることに長けている。

などと言われますが、プロジェクトマネジメントがアポロ計画を契機に出来上がったのだ
とすると、アメリカ人ももともとは、こうした考え方に馴染んできたわけではないのかも
知れません。

■プロジェクトマネジメントの考え方を物語形式で示して、ベストセラーになったのが、
エリヤフ・ゴールドラットの「ザ・ゴール」でした。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4478420408/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本の日本語版が出る時に、まことしやかに言われていたのが、作者のゴールドラット氏
が「現場の業務改善が世界一である日本人に、全体最適の手法を教えたら恐ろしいこと
になってしまう」といって、長い間、翻訳を拒否していたという逸話でした。

本当か嘘かはともかくとして、日本人の得意不得意が何であるかを端的に示す逸話です。

■実をいうと、ランチェスター戦略の創設者である田岡信夫先生も、1960年代に出版
した本の中で「科学的営業の手法」を導入すべきだと説いていますが、この手法こそが今
でいうプロジェクトマネジメントを営業に応用したものです。

少なくとも、私は、そう解釈し、自分のコンサルティングの中心概念として使っています。

■営業こそ、現場手法の塊のように思われている分野です。

未だに、経験論や、現場ノウハウしか認めない事業者は多いし、それに迎合するコンサル
タントも多い。

確かに、営業トークを鍛えることは重要ですし、ヒアリングの方法も工夫しなければなり
ません。プレゼンテーションにも技術がありますし、店舗の陳列を変えることも重要です。

ただ「ザ・ゴール」に書かれているように、それぞれの現場で一所懸命最適化を試みたと
ころで、全体の成果につながらなければ、意味がありません。

むしろ、部分最適と全体最適が矛盾することが多々あります。現場の人間の発言力が強い
会社は、しばしば、全体の利益を損なっても現場がやりやすいように動くという本末転
の状況に陥ります。

それでは、営業の生産性はいつまで経っても上がらないというのが私の問題意識です。

そんな極端な話はなかなかないだろうと思われるかも知れませんが、実際の営業の世界
は、部分最適ばかりです。

古いタイプの営業組織では、ベテラン営業たちが、それぞれ独自の手法を持っていて、
各自が成績を競っています。

他人にノウハウを教えると、相手を利することになるので、ノウハウは隠しておきます。

そんな組織の中では、自分なりの工夫や手法を作らないと、生き残れません。逆にいうと、
その中である程度の成績を残している人は、独自のノウハウを持っている人ばかりです。

お山の大将のような人々がそれぞれの成果を競い合っている。。。それが昔ながらの営業
組織ですね。

ただし、各人の成果は、独自のノウハウから得られたものばかりですから、他人には役に
立ちません。落合博満のやり方を真似ても三冠王にはなれないのと同じ。それは、その人
に最適のやり方だからです。

他人と共有しなければいつまで経っても、会社の無形資産となるべき普遍性を持ちえません。

落合博満を9人集めて戦うのではなく、凡庸な9人がチーム一丸となって戦った方が、
勝ち目があるというのが、チームマネジメントの考え方です。

■チームマネジメントの第一歩は、各人が持っている現場の経験や情報、ノウハウをチーム
で共有することです。

ところがこれが、一筋縄ではいきません。

ノウハウを隠しておきたいという心性もありますが、実際には、人に伝えることができな
い人が殆どです。しないのではなく、できないのです。

もし、そのベテラン営業が、自分のノウハウを他人に披露しようとすれば、抽象化しなけ
ればなりません。

自分の経験を人に伝えようとすれば、それを理解できるように噛み砕かないとだめです。
いくら同じ社内だとしても、他人と共有するためには、言葉を選ぶ必要があります。

その過程で、どんな独自の経験も、抽象化されていきます。

もし、それを聞いている人が、ピンとこない、理解できない、という場合には、さらにわ
かりやすいように言葉を工夫しますから、さらに抽象化されたり、具体例という形で具象化
されます。

逆にそれを聞く方も、他人の経験を自分の経験に置き換えて理解する過程で、抽象化と
具象化を自然と行っています。

要するに、自分の経験を人に伝える。他人の経験を自分が理解するということは、抽象化
と具象化の能力が必要であるということです。

■科学的営業を導入するためには、この抽象化と具象化の能力が必要です。

つまり、自分が普段行っている営業内容を、単純なプロセスに落とし込むことが、科学的
営業には求められます。

慣れない人は「営業の仕事は多彩なので、単純化できない」と難色を示しますが、それを
するのが抽象化です。

フレデリック・ウィリアム・ランチェスターも、飛行機同士の戦闘を、機数と損害量とい
う単純な数値に置き換えることにより、ランチェスターの法則を発見しました。

難しいことではありません。自分の手法の共有化を繰り返すことで、自然に鍛えられてい
く能力です。

■さらに、検証するために、その営業行動を単純な数字に落とし込めるようにします。

例えば、訪問件数、ヒアリング回数、プレゼン回数などです。

この数値設定こそが、科学的営業マネジメントの鍵となります。

なぜなら、行動を検証するためには、数値測定が最もやりやすいからです。

意味のない数値を測定してもだめですが、成果につながる数値を測定できれば、チーム全体
で成果の上がる行動を行うことにつなげることができます。

私のコンサルティングでも、その会社にとって有効な数値を設定することに時間をかけます。

それが出来れば、全体の成果は、100%成果が上がるからです。

100%などという言い方は、煽っているようでイヤですが^^;

■コンサルティングの難しさは、理論にあるのではなく、それを実行してもらうことにあ
ります。

戦略をこちらで作ったとしても、それを実行するのは、現場の人たちですから、納得して
本気で実行してもらわなければなりません。

押し付けられた戦略は、本気で実行してもらえないので、それでは成果には結びつけられ
ません。

悩ましいのは、全体の利益が上がる方法が、現場の実感と違う場合が多々あることです。

極端な話、訪問回数を増やせば実績が上がる!と結論が出ても、現場の人は嗤うでしょう。
単に訪問して名刺を置いてくれば実績が上がるわけではありません。訪問時の何らかの
工夫があるから実績が上がるわけです。

その現場におけるプラスアルファの部分を戦略・戦術に取り込むことができれば、さらに
有効な戦略・戦術展開ができるようになります。

現場の人の積極的な参加なしに、成果に結びつく戦略・戦術など作成することはできません。

すなわち、プロジェクトマネジメントは、だれか偉い人が作る有難い教典による管理では
ありません。

現場の人たちが参加して初めて有効に機能するものです。

■営業の科学的管理は、営業行動管理だけではありません。ほかにも、数値化して管理す
べきものがあります。

が、今回は、ここまでにしておきましょう。

後は、私のコンサルティングをお受けください^^

■冒頭に紹介した「サラリーマンの悩みのほとんどはすでに学問的な「答え」が出ている」
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4839941939/lanchesterkan-22/ref=nosim
という本は、必ずしも、それぞれの悩みに完璧に答えているわけではなく、理論を紹介す
るにとどめています。

入口を示しているわけで、後は、自分で勉強してくださいというわけですね。

無理に解答をこじつけていないところにも好感が持てます。

新書ですので気軽に読めます。ご一読を。

(2013年2月7日メルマガより)


■「サラリーマンの悩みのほとんどはすでに学問的な「答え」
が出ている」(西内啓著)
という本が出ています。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4839941939/lanchesterkan-22/ref=nosim

いい本です。おすすめいたします。

題名が示す通り、会社員や一般の人たちが、悩みに思うことに対する答えを、経済学や
経営学などの理論から紹介したものです。

たとえば

○なぜ、いくら頑張っても給料が上がらないのか?

○なぜ、お金が貯まらないのか?

○どうすれば楽して出世できるのか?

○どうすれば職場の人間関係はうまくいくのか?

○どうすれば仕事はうまく回るのか?

など。。。

飲み屋で愚痴るぐらいなら、理論を知る方がいいですよ。というコンセプトの本です。

■私はこういうスタンスの本は好きです。

上記のような悩みは誰もが持っていて、答えを求めようとしています。

私もそう。自分の専門以外のことでは、手っ取り早い答えに飛びつきます。

一時期流行った「情報商材」は、こうした人間の「楽して成果がほしい」という習性を
うまく煽って、中身の乏しいものを高額で販売するものが多かったと感じています

私も何回か騙されました^^;

他人の商行為を邪魔する意図はありませんが、ばかばかしい限りです。今もそういう
ビジネスは多い。というか、なくなりませんよね。

■ところが、アカデミックな世界では、そんな身近な問題にも、幾多のアプローチがなさ
れてきています。

実業をされている方は、学問など実践では役に立たないと考えている方が多いかも知れま
せんが、そんなことは全くありません。

むしろ、こうした身近な問題にも、繰り返しアプローチし、検証を繰り返し、理論化して
いるのが、学問の世界です。

単に一人二人の成功者の思い出や成功体験をさも絶対の法則のように書き並べたものでは
ありません。

実業する者が、その抽象化された理論を、具象化する能力を持っているならば、理論ほど
役に立つものはありません。

そういうスタンスで書かれた本ですから、好感が持てました。

■例えば「どうすれば仕事はうまく回るのか?」という章では、プロジェクトマネジメント
の考え方が紹介されています。

プロジェクトマネジメントは、アメリカのアポロ計画を行うために開発されたものだとい
われています。

ちなみにアポロ計画とは、1960年代に、宇宙飛行でソ連に遅れをとっていたアメリカ
がぶちあげた有人宇宙飛行計画です。

1961年にケネディ大統領が「10年以内に月に人を着陸させる」と宣言して話題になり、
1969年に実現しました。

■当然のことながら、月に行って帰ってくるためには、気の遠くなるような軌道計算が
必要になります。

ところが当時のコンピュータは貧弱なものです。

今、我々が手にしているノートパソコンの方が、よほど優秀だといわれています。

そんな状況で、しかも限られた予算の中で、計画を実行し、成功させるためには、どうす
ればいいのか?

どんな人たちを集め、どのように配置すればいいのか?どんな機械を作って、どう利用す
ればよいのか?

現場のこまごましたことではなく、全体をどのように組み立てるのかをテーマに考え出さ
れたのが、プロジェクトマネジメントでした。

■プロジェクトマネジメントとはどういうものか?ということは、は詳しく書きません。

ただ、これが、日本人の苦手な分野であることは、一般的に知られています。

日本人や日本企業が得意とするのは、日々の実践経験からより効率的なやり方を学んで改善
していくことです。

つまり、何をすべきかが既に決められており、毎日コツコツやることができる状況にある
場合、日本人は大きな力を発揮します。

ところが、「月に人間を着陸させる」などと全く新しい課題に取り組まなければならない
ことは苦手です。

一説によると、日本人は農耕民族だから、毎日コツコツ繰り返して積み上げることが気質
に合っている。西洋人は狩猟民族だから目標を決めて仕組みを作ることに長けている。

などと言われますが、プロジェクトマネジメントがアポロ計画を契機に出来上がったのだ
とすると、アメリカ人ももともとは、こうした考え方に馴染んできたわけではないのかも
知れません。

■プロジェクトマネジメントの考え方を物語形式で示して、ベストセラーになったのが、
エリヤフ・ゴールドラットの「ザ・ゴール」でした。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4478420408/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本の日本語版が出る時に、まことしやかに言われていたのが、作者のゴールドラット氏
が「現場の業務改善が世界一である日本人に、全体最適の手法を教えたら恐ろしいこと
になってしまう」といって、長い間、翻訳を拒否していたという逸話でした。

本当か嘘かはともかくとして、日本人の得意不得意が何であるかを端的に示す逸話です。

■実をいうと、ランチェスター戦略の創設者である田岡信夫先生も、1960年代に出版
した本の中で「科学的営業の手法」を導入すべきだと説いていますが、この手法こそが今
でいうプロジェクトマネジメントを営業に応用したものです。

少なくとも、私は、そう解釈し、自分のコンサルティングの中心概念として使っています。

■営業こそ、現場手法の塊のように思われている分野です。

未だに、経験論や、現場ノウハウしか認めない事業者は多いし、それに迎合するコンサル
タントも多い。

確かに、営業トークを鍛えることは重要ですし、ヒアリングの方法も工夫しなければなり
ません。プレゼンテーションにも技術がありますし、店舗の陳列を変えることも重要です。

ただ「ザ・ゴール」に書かれているように、それぞれの現場で一所懸命最適化を試みたと
ころで、全体の成果につながらなければ、意味がありません。

むしろ、部分最適と全体最適が矛盾することが多々あります。現場の人間の発言力が強い
会社は、しばしば、全体の利益を損なっても現場がやりやすいように動くという本末転
の状況に陥ります。

それでは、営業の生産性はいつまで経っても上がらないというのが私の問題意識です。

そんな極端な話はなかなかないだろうと思われるかも知れませんが、実際の営業の世界
は、部分最適ばかりです。

古いタイプの営業組織では、ベテラン営業たちが、それぞれ独自の手法を持っていて、
各自が成績を競っています。

他人にノウハウを教えると、相手を利することになるので、ノウハウは隠しておきます。

そんな組織の中では、自分なりの工夫や手法を作らないと、生き残れません。逆にいうと、
その中である程度の成績を残している人は、独自のノウハウを持っている人ばかりです。

お山の大将のような人々がそれぞれの成果を競い合っている。。。それが昔ながらの営業
組織ですね。

ただし、各人の成果は、独自のノウハウから得られたものばかりですから、他人には役に
立ちません。落合博満のやり方を真似ても三冠王にはなれないのと同じ。それは、その人
に最適のやり方だからです。

他人と共有しなければいつまで経っても、会社の無形資産となるべき普遍性を持ちえません。

落合博満を9人集めて戦うのではなく、凡庸な9人がチーム一丸となって戦った方が、
勝ち目があるというのが、チームマネジメントの考え方です。

■チームマネジメントの第一歩は、各人が持っている現場の経験や情報、ノウハウをチーム
で共有することです。

ところがこれが、一筋縄ではいきません。

ノウハウを隠しておきたいという心性もありますが、実際には、人に伝えることができな
い人が殆どです。しないのではなく、できないのです。

もし、そのベテラン営業が、自分のノウハウを他人に披露しようとすれば、抽象化しなけ
ればなりません。

自分の経験を人に伝えようとすれば、それを理解できるように噛み砕かないとだめです。
いくら同じ社内だとしても、他人と共有するためには、言葉を選ぶ必要があります。

その過程で、どんな独自の経験も、抽象化されていきます。

もし、それを聞いている人が、ピンとこない、理解できない、という場合には、さらにわ
かりやすいように言葉を工夫しますから、さらに抽象化されたり、具体例という形で具象化
されます。

逆にそれを聞く方も、他人の経験を自分の経験に置き換えて理解する過程で、抽象化と
具象化を自然と行っています。

要するに、自分の経験を人に伝える。他人の経験を自分が理解するということは、抽象化
と具象化の能力が必要であるということです。

■科学的営業を導入するためには、この抽象化と具象化の能力が必要です。

つまり、自分が普段行っている営業内容を、単純なプロセスに落とし込むことが、科学的
営業には求められます。

慣れない人は「営業の仕事は多彩なので、単純化できない」と難色を示しますが、それを
するのが抽象化です。

フレデリック・ウィリアム・ランチェスターも、飛行機同士の戦闘を、機数と損害量とい
う単純な数値に置き換えることにより、ランチェスターの法則を発見しました。

難しいことではありません。自分の手法の共有化を繰り返すことで、自然に鍛えられてい
く能力です。

■さらに、検証するために、その営業行動を単純な数字に落とし込めるようにします。

例えば、訪問件数、ヒアリング回数、プレゼン回数などです。

この数値設定こそが、科学的営業マネジメントの鍵となります。

なぜなら、行動を検証するためには、数値測定が最もやりやすいからです。

意味のない数値を測定してもだめですが、成果につながる数値を測定できれば、チーム全体
で成果の上がる行動を行うことにつなげることができます。

私のコンサルティングでも、その会社にとって有効な数値を設定することに時間をかけます。

それが出来れば、全体の成果は、100%成果が上がるからです。

100%などという言い方は、煽っているようでイヤですが^^;

■コンサルティングの難しさは、理論にあるのではなく、それを実行してもらうことにあ
ります。

戦略をこちらで作ったとしても、それを実行するのは、現場の人たちですから、納得して
本気で実行してもらわなければなりません。

押し付けられた戦略は、本気で実行してもらえないので、それでは成果には結びつけられ
ません。

悩ましいのは、全体の利益が上がる方法が、現場の実感と違う場合が多々あることです。

極端な話、訪問回数を増やせば実績が上がる!と結論が出ても、現場の人は嗤うでしょう。
単に訪問して名刺を置いてくれば実績が上がるわけではありません。訪問時の何らかの
工夫があるから実績が上がるわけです。

その現場におけるプラスアルファの部分を戦略・戦術に取り込むことができれば、さらに
有効な戦略・戦術展開ができるようになります。

現場の人の積極的な参加なしに、成果に結びつく戦略・戦術など作成することはできません。

すなわち、プロジェクトマネジメントは、だれか偉い人が作る有難い教典による管理では
ありません。

現場の人たちが参加して初めて有効に機能するものです。

■営業の科学的管理は、営業行動管理だけではありません。ほかにも、数値化して管理す
べきものがあります。

が、今回は、ここまでにしておきましょう。

後は、私のコンサルティングをお受けください^^

■冒頭に紹介した「サラリーマンの悩みのほとんどはすでに学問的な「答え」が出ている」
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4839941939/lanchesterkan-22/ref=nosim
という本は、必ずしも、それぞれの悩みに完璧に答えているわけではなく、理論を紹介す
るにとどめています。

入口を示しているわけで、後は、自分で勉強してくださいというわけですね。

無理に解答をこじつけていないところにも好感が持てます。

新書ですので気軽に読めます。ご一読を。

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