「存在意義」を深く考えない創業は頓挫する

2020.09.03

(2020年9月3日メルマガより)


さて、今回も創業にからめたお話です。

事業の成否は、運営側の能力・努力と市場環境の兼ね合いです。

運営側(経営者)に能力があって、たゆまぬ努力を続けるならば、成功確率は上がります。

これに加えて、市場環境がよければさらに成功確率が上がります。

市場環境が悪くても経営者に能力があれば成功するかも知れませんし、経営者が凡庸でも市場環境がよければ成功するかも知れません。

できれば、ダブルでよければなおいいですけどね。

だからこれから創業する人は、創業者要件と市場要件に注目しよう、というのが前回のメルマガの内容でした。


■ただそれだけでうまくいくとは限りません。成功確率が上がったからといって成功が約束されたわけではないですからね。

というか、必ず成功するなんて方法はありません。必ず成功する、なんてことをうたう方法があればそれは嘘っぱちです。

成功する方法だけずばり教えてほしい。なんて言ってくる人がたまにいますが、それって詐欺にひっかかりやすい考え方なので気を付けてくださいね。

われわれができるのは、あくまで成功確率が上がるだろう要件を見つけて、それを丹念に積み上げていくことです。

全部見つけてクリアしようとすれば大変ですが、できる部分は気をつけていた方がいいと思います。

そんなわけで、今回は、私が考える創業の成功確率を上げるもうひとつの要件です。

とても基本的な内容ですが、大切なことです。

どうか最後までお読みください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

創業者に限りませんが、短絡的に答えだけを求める人は、危ういなと思います。

「具体的にどうしたらいいのか教えてほしい」「理屈はいいから、どうすれば儲かるのかだけ言ってくれ」「成功する方法を一言で!」

などと自分で考えることを放棄する人がけっこう見受けられます。はっきり言って詐欺にひっかかりやすい思考のパターンですよ。

15年ほど前「〇〇すれば成功する!」と断言するコンサルや講師が大流行りした時期がありました。キャッチーなのは看板だけで内容は真っ当な人も多くいましたが、煽るだけで中身スカスカの人や、ひどいときにはそのまま胡散臭いビジネスに引き込む連中もいましたからね。要注意です。今はさすがに少なくなりましたが。

でも、コンサルや講演の現場では、そういう思考パターンの人を相変わらず見ます。


事業の「存在意義」


具体的な方法とか行動などは枝葉の部分です。根本にもっと重要なことがあります。

よく言われることとして、「HOW」(どのようにするのか)よりも先に、「WHO」(誰を対象にするのか)「WHAT」(何を提供するのか)の方を考えなければなりません。

「WHO」や「WHAT」が曖昧では、ビジネスの内容が霞んでしまい「HOW」どころではなくなってしまいます。

しかし、もっと根本的なことがあります。

「WHY」(なぜそれをするのか)です。

言い換えれば、その事業の「存在意義」です。

皆さん、こういうことを軽視して、ろくに考えない人が多いのですが、間違ってますよ。

昔の高度成長期時代ならば、とりあえず始めたビジネスにも「社会的意義」がありました。社会が成長しているのに供給側が不足しているので、たいていの事業は社会から必要とされていたからです。

今は違います。日本は停滞期にあり、供給側が余っています。あなたがそれを止めても、誰も困らない状況です。

つまり「存在意義」がはっきりしない事業は、退場した方がスムーズです。

存在意義がない事業を必死で延命しようとするのは無理筋ですし、社会的にも無駄なことだと知っておいてください。


その事業がなくなれば困る人がいるのか?


もっと言い換えると「その事業がなくなれば困る人がいるのか?」ということです。

当事者である自分は困るでしょうね。やりたくて始めた事業でしょうし、生活もかかっていることでしょう。

だけど自分ひとりが、なくなったら困ると騒いでも、周りの人は知らん顔です。

いや、従業員も困るはずだ。と思うでしょうか。

従業員も、この会社の当事者だし、生活を賭けているのだから、困らないはずがない。

それ本当ですか?

本当に、従業員の方々は、この会社の当事者だと思っているのでしょうか。

私の知る限り、従業員がしらけ切って、当事者意識ゼロの会社なんてゴロゴロあります。

経営者だけがカリカリして、うちの従業員はやる気がない、なんて愚痴を言っていることがよくありますが、それこそが存在意義のない事業の末路です。

従業員は、転職活動が面倒なので放置しているだけで、なくなればなくなった時だ、程度に考えているかも知れませんよ。


従業員が、なくなってもいいやなんて思う会社はクソですし、そもそも顧客からなくなったら困ると思われていなければ存続できません。

もうひとつ、ライバル会社がどう思うかも重要です。

つまり、存在意義を問う場合、この事業がなくなれば「顧客は困るのか?」「仲間は困るのか?」「ライバル会社はどう思うのか?」を考えれてみればいいと思います。


顧客に価値を提供しているか?


創業にはビギナーズラックとしかいいようがない事象があります。

勢いで創業しただけなのにいきなり顧客がついて売上があがる場合などです。

喜ばしいことですが、ラッキーに胡坐をかいてはいけません。なぜ顧客がついたのかを理解しなければ、本当に創業時だけの幸運に終わってしまいます。

いきなり売上があがる場合は、一部の顧客層のニーズを捉えたということです。

ちょうど欲しかった。探していた。たまたま目についたし安かった。知人に勧められた。他にない。これしかない。

様々な事情があるでしょうが、これを正確に把握することです。その理由が、あなたが顧客に提供している価値だからです。

たまたま探していたら目に入った。というのは動機として弱い気がするでしょうが、そんなことはありません。たまたま見ただけで購入するわけですから、相当の動機があったということです。

知人から勧められた。というのもそうです。勧められても不要なものは買いませんから、やはり動機があったということです。

これはチャンスですから、顧客とコミュニケーションをとって、その動機をもっと詳しく理解するようにしてください。

たまたま売れた。といって終わっていれば事業の発展は望めません。顧客のニーズを正確に理解して、提供する価値を設計することです。


顧客の強い購入動機は、強いニーズから生まれます。

強い不満、不便、不足、不安を感じていれば、それは強いニーズに直結します。

どうしても達成したい目標があれば、それを支援することは強いニーズです。

仲間が欲しいというのもニーズにつながります。

趣味にお金を使いたいという人も大勢います。

売れた理由が、どこに当てはまるのかをよく考えてみることが、事業の発展維持のヒントになります。


仲間にとってなくてはならない存在か?


仲間とは、事業を応援してくれるすべての人です。

従業員はもちろん、仕入先、得意先、資金提供してくれる人、アドバイスをくれる人、理解してくれる家族、近所の人たち、あるいは心の中で応援してくれる人たちなどです。

その人たちにとって、応援しがいのある事業でなければ、いつでも離反していくでしょう。

いま「半沢直樹」でモチーフとなっているJAL再生を実際に成し遂げたのは京セラ創業者の稲盛和夫氏でした。

稲盛さんは何か事を為す前には「動機善なりや。私心なかりしか」と繰り返し自問するそうです。

世の中にとって良いことでなければやる意味がない。私利私欲が少しでもあればやってはいけない。という問いかけです。

JAL再生においても、これを成し遂げて名声を高めたいという私心があれば、JALの人たちもこの人についていきたいとは思わなかったでしょう。

特に従業員はともに事業を運営する仲間なので、離反されたら事業存続できません。

従業員にいかに報いるか。は、非常に重要な要素です。

単に報酬をはずむというだけでは不足です。戦後の混乱期ではないのですから、給料分働けと偉そうに言われて熱心に働く人はいませんよ。

今の時代、従業員にとって誇れる会社である、自慢できる会社であることがなければ、意気に感じて働こうとは思いません。

社会にとって正しいことをする、良いことをする、誇れることをする。これを明確にすることが重要な所以です。


ライバル会社にとっての位置づけは?


どんなに顧客ニーズを捉えても、従業員から誇りに思われていても、競争に負ければ退場せざるを得ないのが、資本主義の世の中です。

だからビジネスをする上で、ライバル会社の存在はすこぶる重要です。

どんなに素晴らしいビジネスでも、強いライバル会社と同じことをしていれば、早晩つぶされてしまいます。

生き残るためには、ライバルを圧倒するほどの力を見せるか、あるいは競争を避けるような工夫をしなければなりません。

創業の場合、競争を避けるのが現実解です。

ビジネスで生き残る秘訣は「勝てる局面で戦う」ことです。忘れてはなりません。

顧客にとっても同じです。

似たような商品サービスがあれば、どちらが売れているのかな、とか、どちらが少しでも安いのかな、ぐらいしか判断する基準がありません。

明確に差別化されていれば、判断する材料があるというものです。

あるいは社会的にみても、他社と少し違うニーズを満たそう、他社が気づいていない社会の問題を解決しようという会社があるから、社会がよい方へ進んでいくわけです。

少々大げさにいうと、ライバル会社も含めて社会をよりよくするためのパートナーということですな。

要するに、健全な競争や、健全な生き残り策を各社が講ずることは、健全な社会の発展に寄与するものに他なりません。

ライバル会社を意識しないなんて事業は、怠慢以外の何物でもないので気を付けてくださいませ。


存在意義が曖昧では生き残れない


欧米の経営理論の世界では「ミッション」という概念があります。

ミッションとは使命とか任務とか訳されますが、もともとは宗教的な色合いが濃い言葉です。

意訳すれば「神からの指令」「神との約束」というもので、異論を認めぬ絶対的な使命とでもいいますか。このあたり日本人にはわかりにくいものですが、相当重い概念であると理解してください。

ミッションはあらゆる戦略の上位に位置付けられ、まず最初に決めておかねばならないものです。

欧米の戦略理論を導入しても、いまいちピンと来ず、ブレブレになってしまうことが多いのは、「ミッション」の捉え方にあるのではないかと私は思っています。

つまり、存在意義を深く考えない企業が多いということです。

存在意義が曖昧なので、枝葉の戦略や方策ごとに、ふらふらして一貫性がなくなってしまうのです。

その点、先に出た稲盛和夫氏など「フィロソフィー」という言葉で、ミッションに代わる絶対概念を持っており、ブレることがありません。

「京セラフィロソフィー」「JALフィロソフィー」などが有名ですが、これなどは、まさに企業の根幹=存在意義を定義したものです。

創業して生き残るためには、存在意義を深く理解し、明確にしておかなければなりません。

枝葉のノウハウ集めに躍起になるのは時間の無駄です。


(2020年9月3日メルマガより)


さて、今回も創業にからめたお話です。

事業の成否は、運営側の能力・努力と市場環境の兼ね合いです。

運営側(経営者)に能力があって、たゆまぬ努力を続けるならば、成功確率は上がります。

これに加えて、市場環境がよければさらに成功確率が上がります。

市場環境が悪くても経営者に能力があれば成功するかも知れませんし、経営者が凡庸でも市場環境がよければ成功するかも知れません。

できれば、ダブルでよければなおいいですけどね。

だからこれから創業する人は、創業者要件と市場要件に注目しよう、というのが前回のメルマガの内容でした。


■ただそれだけでうまくいくとは限りません。成功確率が上がったからといって成功が約束されたわけではないですからね。

というか、必ず成功するなんて方法はありません。必ず成功する、なんてことをうたう方法があればそれは嘘っぱちです。

成功する方法だけずばり教えてほしい。なんて言ってくる人がたまにいますが、それって詐欺にひっかかりやすい考え方なので気を付けてくださいね。

われわれができるのは、あくまで成功確率が上がるだろう要件を見つけて、それを丹念に積み上げていくことです。

全部見つけてクリアしようとすれば大変ですが、できる部分は気をつけていた方がいいと思います。

そんなわけで、今回は、私が考える創業の成功確率を上げるもうひとつの要件です。

とても基本的な内容ですが、大切なことです。

どうか最後までお読みください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

創業者に限りませんが、短絡的に答えだけを求める人は、危ういなと思います。

「具体的にどうしたらいいのか教えてほしい」「理屈はいいから、どうすれば儲かるのかだけ言ってくれ」「成功する方法を一言で!」

などと自分で考えることを放棄する人がけっこう見受けられます。はっきり言って詐欺にひっかかりやすい思考のパターンですよ。

15年ほど前「〇〇すれば成功する!」と断言するコンサルや講師が大流行りした時期がありました。キャッチーなのは看板だけで内容は真っ当な人も多くいましたが、煽るだけで中身スカスカの人や、ひどいときにはそのまま胡散臭いビジネスに引き込む連中もいましたからね。要注意です。今はさすがに少なくなりましたが。

でも、コンサルや講演の現場では、そういう思考パターンの人を相変わらず見ます。


事業の「存在意義」


具体的な方法とか行動などは枝葉の部分です。根本にもっと重要なことがあります。

よく言われることとして、「HOW」(どのようにするのか)よりも先に、「WHO」(誰を対象にするのか)「WHAT」(何を提供するのか)の方を考えなければなりません。

「WHO」や「WHAT」が曖昧では、ビジネスの内容が霞んでしまい「HOW」どころではなくなってしまいます。

しかし、もっと根本的なことがあります。

「WHY」(なぜそれをするのか)です。

言い換えれば、その事業の「存在意義」です。

皆さん、こういうことを軽視して、ろくに考えない人が多いのですが、間違ってますよ。

昔の高度成長期時代ならば、とりあえず始めたビジネスにも「社会的意義」がありました。社会が成長しているのに供給側が不足しているので、たいていの事業は社会から必要とされていたからです。

今は違います。日本は停滞期にあり、供給側が余っています。あなたがそれを止めても、誰も困らない状況です。

つまり「存在意義」がはっきりしない事業は、退場した方がスムーズです。

存在意義がない事業を必死で延命しようとするのは無理筋ですし、社会的にも無駄なことだと知っておいてください。


その事業がなくなれば困る人がいるのか?


もっと言い換えると「その事業がなくなれば困る人がいるのか?」ということです。

当事者である自分は困るでしょうね。やりたくて始めた事業でしょうし、生活もかかっていることでしょう。

だけど自分ひとりが、なくなったら困ると騒いでも、周りの人は知らん顔です。

いや、従業員も困るはずだ。と思うでしょうか。

従業員も、この会社の当事者だし、生活を賭けているのだから、困らないはずがない。

それ本当ですか?

本当に、従業員の方々は、この会社の当事者だと思っているのでしょうか。

私の知る限り、従業員がしらけ切って、当事者意識ゼロの会社なんてゴロゴロあります。

経営者だけがカリカリして、うちの従業員はやる気がない、なんて愚痴を言っていることがよくありますが、それこそが存在意義のない事業の末路です。

従業員は、転職活動が面倒なので放置しているだけで、なくなればなくなった時だ、程度に考えているかも知れませんよ。


従業員が、なくなってもいいやなんて思う会社はクソですし、そもそも顧客からなくなったら困ると思われていなければ存続できません。

もうひとつ、ライバル会社がどう思うかも重要です。

つまり、存在意義を問う場合、この事業がなくなれば「顧客は困るのか?」「仲間は困るのか?」「ライバル会社はどう思うのか?」を考えれてみればいいと思います。


顧客に価値を提供しているか?


創業にはビギナーズラックとしかいいようがない事象があります。

勢いで創業しただけなのにいきなり顧客がついて売上があがる場合などです。

喜ばしいことですが、ラッキーに胡坐をかいてはいけません。なぜ顧客がついたのかを理解しなければ、本当に創業時だけの幸運に終わってしまいます。

いきなり売上があがる場合は、一部の顧客層のニーズを捉えたということです。

ちょうど欲しかった。探していた。たまたま目についたし安かった。知人に勧められた。他にない。これしかない。

様々な事情があるでしょうが、これを正確に把握することです。その理由が、あなたが顧客に提供している価値だからです。

たまたま探していたら目に入った。というのは動機として弱い気がするでしょうが、そんなことはありません。たまたま見ただけで購入するわけですから、相当の動機があったということです。

知人から勧められた。というのもそうです。勧められても不要なものは買いませんから、やはり動機があったということです。

これはチャンスですから、顧客とコミュニケーションをとって、その動機をもっと詳しく理解するようにしてください。

たまたま売れた。といって終わっていれば事業の発展は望めません。顧客のニーズを正確に理解して、提供する価値を設計することです。


顧客の強い購入動機は、強いニーズから生まれます。

強い不満、不便、不足、不安を感じていれば、それは強いニーズに直結します。

どうしても達成したい目標があれば、それを支援することは強いニーズです。

仲間が欲しいというのもニーズにつながります。

趣味にお金を使いたいという人も大勢います。

売れた理由が、どこに当てはまるのかをよく考えてみることが、事業の発展維持のヒントになります。


仲間にとってなくてはならない存在か?


仲間とは、事業を応援してくれるすべての人です。

従業員はもちろん、仕入先、得意先、資金提供してくれる人、アドバイスをくれる人、理解してくれる家族、近所の人たち、あるいは心の中で応援してくれる人たちなどです。

その人たちにとって、応援しがいのある事業でなければ、いつでも離反していくでしょう。

いま「半沢直樹」でモチーフとなっているJAL再生を実際に成し遂げたのは京セラ創業者の稲盛和夫氏でした。

稲盛さんは何か事を為す前には「動機善なりや。私心なかりしか」と繰り返し自問するそうです。

世の中にとって良いことでなければやる意味がない。私利私欲が少しでもあればやってはいけない。という問いかけです。

JAL再生においても、これを成し遂げて名声を高めたいという私心があれば、JALの人たちもこの人についていきたいとは思わなかったでしょう。

特に従業員はともに事業を運営する仲間なので、離反されたら事業存続できません。

従業員にいかに報いるか。は、非常に重要な要素です。

単に報酬をはずむというだけでは不足です。戦後の混乱期ではないのですから、給料分働けと偉そうに言われて熱心に働く人はいませんよ。

今の時代、従業員にとって誇れる会社である、自慢できる会社であることがなければ、意気に感じて働こうとは思いません。

社会にとって正しいことをする、良いことをする、誇れることをする。これを明確にすることが重要な所以です。


ライバル会社にとっての位置づけは?


どんなに顧客ニーズを捉えても、従業員から誇りに思われていても、競争に負ければ退場せざるを得ないのが、資本主義の世の中です。

だからビジネスをする上で、ライバル会社の存在はすこぶる重要です。

どんなに素晴らしいビジネスでも、強いライバル会社と同じことをしていれば、早晩つぶされてしまいます。

生き残るためには、ライバルを圧倒するほどの力を見せるか、あるいは競争を避けるような工夫をしなければなりません。

創業の場合、競争を避けるのが現実解です。

ビジネスで生き残る秘訣は「勝てる局面で戦う」ことです。忘れてはなりません。

顧客にとっても同じです。

似たような商品サービスがあれば、どちらが売れているのかな、とか、どちらが少しでも安いのかな、ぐらいしか判断する基準がありません。

明確に差別化されていれば、判断する材料があるというものです。

あるいは社会的にみても、他社と少し違うニーズを満たそう、他社が気づいていない社会の問題を解決しようという会社があるから、社会がよい方へ進んでいくわけです。

少々大げさにいうと、ライバル会社も含めて社会をよりよくするためのパートナーということですな。

要するに、健全な競争や、健全な生き残り策を各社が講ずることは、健全な社会の発展に寄与するものに他なりません。

ライバル会社を意識しないなんて事業は、怠慢以外の何物でもないので気を付けてくださいませ。


存在意義が曖昧では生き残れない


欧米の経営理論の世界では「ミッション」という概念があります。

ミッションとは使命とか任務とか訳されますが、もともとは宗教的な色合いが濃い言葉です。

意訳すれば「神からの指令」「神との約束」というもので、異論を認めぬ絶対的な使命とでもいいますか。このあたり日本人にはわかりにくいものですが、相当重い概念であると理解してください。

ミッションはあらゆる戦略の上位に位置付けられ、まず最初に決めておかねばならないものです。

欧米の戦略理論を導入しても、いまいちピンと来ず、ブレブレになってしまうことが多いのは、「ミッション」の捉え方にあるのではないかと私は思っています。

つまり、存在意義を深く考えない企業が多いということです。

存在意義が曖昧なので、枝葉の戦略や方策ごとに、ふらふらして一貫性がなくなってしまうのです。

その点、先に出た稲盛和夫氏など「フィロソフィー」という言葉で、ミッションに代わる絶対概念を持っており、ブレることがありません。

「京セラフィロソフィー」「JALフィロソフィー」などが有名ですが、これなどは、まさに企業の根幹=存在意義を定義したものです。

創業して生き残るためには、存在意義を深く理解し、明確にしておかなければなりません。

枝葉のノウハウ集めに躍起になるのは時間の無駄です。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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