弱者を貫いて強者となった企業

2006.10.26


(2006年10月26日メルマガより)

■販売シェア1位を誇る商品が300品目。

しかも、20年連続増収増益を続ける怪物企業があるのをご存知ですか?

知らないでしょう。

特に関西の人にはあまり馴染みのない企業ですから。

日経ビジネス2006年9月4日号に特集記事が掲載されています。

■新潟に本部があるホームセンターのコメリがその企業です。

売上高2610億円。経常利益164億円。

経営の安定感は抜群と評されています。

ホームセンター業界では、カインズ、コーナンに続く売上規模を誇ります。

■コメリの特徴は、店舗数の多さです。カインズが137店、コーナンが2
16店に比べて、コメリの778店舗は群を抜いています。(05年下期計
画数値)

しかも殆どが300坪程度の小さな店ばかり。店舗大型化の流れの中で、そ
んな小さな店をたくさん作ってどうするんだと思われますが、実はそこにし
たたかな戦略が見えてきます。

コメリの店舗は、プロ仕様の金物、資材、植物、園芸品を売る店です。ター
ゲットは地元の農家や工務店。泥のついた長靴で入っていける店を標榜して
います。

300坪の店ですから、対象商圏人口は1万人程度。コンビニのように、農
村や郊外都市にいくらでも出店できます。

1店舗あたりの店員は4名。私ども(ランチェスター関西)の推定では、1
億6千万円の売上で黒字になると見ています。

まさに1店、1店、着実に儲けることができる仕組みです。

■普通、ホームセンターは、都市周辺の一般消費者を相手にしています。商
圏が大きいので、大量集客することが命題となり、したがって、品揃えはバ
ラエティ豊かになり、店舗は大型化する傾向にあります。

ところが新潟に本部のあったコメリは、あえて人口が少なく儲からない農家
をターゲットにしました。

儲からないので、金のかからない小型店舗を作ります。また人手のかからな
い効率経営を目指します。

すると、店舗投資のハードルが下がるので、出店できる候補場所が多数でて
きます。

出店しやすいので、地域でドミナントを形成し、それがさらに効率化を進め、
強みとなります。

1店舗だけでは大した儲けではありませんが、まとまれば、威力を発揮しま
す。しかも、それぞれが効率経営の黒字店舗ですから、他店との競争に強い
企業体です。

現在、全国を7つのエリア(北海道、東北、関東、甲信越、中部、近畿、中
国、四国)に分け、それぞれの地区本部で、地域戦略を展開しているようで
す。

7つのエリアは、物流センターを中心に据え、それを取り囲むように店舗展
開しています。

4人の店員で運営するためには、情報化や陳列の簡略化を徹底し、作業効率
を高めなければなりません。

これらの仕組みが機能するためには、相当の店舗数とノウハウの蓄積が必要
になることは間違いありません。

今さら、他が真似したくてもできない状況ができている所以です。

■農家に密着した店舗だから、営業も独特です。地域独特の風習に根ざした
品揃えはもちろんです。

なんと「収穫期払い」というサービスまでやっています。これは肥料などを
春に購入する農家(クレジットカード会員)に秋の収穫期の支払いを認めた
ものです。農家の実情に密着した驚くべきサービスですね。

またネット通販では、各地の農家から募った産直品を販売しています。もち
ろん、これで儲けるということではなく、サービスの一環なんでしょうね。

■顧客への密着が、仕入先であるメーカーとの関係強化にもつながります。

コメリのもう1つの特徴は、メーカーとの関係が深いこと。PB商品は1万
品目に上ります。

顧客に密着している強みから、顧客の要望をつかまえ、メーカーにフィード
バックする仕組みを作っているようです。売れないものを切り捨てるのでは
なく、改善提案をするという仕組みです。

また新潟の地場メーカーとはもともと関係が深く、三条の刃物を全国展開す
る一翼を担っています。

こうした製販の取り組みが、シェアトップ300品目という結果に表れてい
るのですから立派です。

■こうして見てみると、コメリという企業は、小さな市場を選んで顧客に密
着し、差別化し、集中してきたことが分かります。

すなわち、弱者の立場を貫き通して、結果として誰にも真似できないビジネ
スを築き上げてきたのです。

ここまで強くなると、死角が見えないようですが、どうでしょうか。

企業が肥大化してシステムが金属疲労してしまう、あるいは、市場が劇的に
変化してしまうということに注意しなければならないでしょうね。

それがなければ、開拓余地はまだ残されているようですし、このまま続きそ
うです。


(2006年10月26日メルマガより)

■販売シェア1位を誇る商品が300品目。

しかも、20年連続増収増益を続ける怪物企業があるのをご存知ですか?

知らないでしょう。

特に関西の人にはあまり馴染みのない企業ですから。

日経ビジネス2006年9月4日号に特集記事が掲載されています。

■新潟に本部があるホームセンターのコメリがその企業です。

売上高2610億円。経常利益164億円。

経営の安定感は抜群と評されています。

ホームセンター業界では、カインズ、コーナンに続く売上規模を誇ります。

■コメリの特徴は、店舗数の多さです。カインズが137店、コーナンが2
16店に比べて、コメリの778店舗は群を抜いています。(05年下期計
画数値)

しかも殆どが300坪程度の小さな店ばかり。店舗大型化の流れの中で、そ
んな小さな店をたくさん作ってどうするんだと思われますが、実はそこにし
たたかな戦略が見えてきます。

コメリの店舗は、プロ仕様の金物、資材、植物、園芸品を売る店です。ター
ゲットは地元の農家や工務店。泥のついた長靴で入っていける店を標榜して
います。

300坪の店ですから、対象商圏人口は1万人程度。コンビニのように、農
村や郊外都市にいくらでも出店できます。

1店舗あたりの店員は4名。私ども(ランチェスター関西)の推定では、1
億6千万円の売上で黒字になると見ています。

まさに1店、1店、着実に儲けることができる仕組みです。

■普通、ホームセンターは、都市周辺の一般消費者を相手にしています。商
圏が大きいので、大量集客することが命題となり、したがって、品揃えはバ
ラエティ豊かになり、店舗は大型化する傾向にあります。

ところが新潟に本部のあったコメリは、あえて人口が少なく儲からない農家
をターゲットにしました。

儲からないので、金のかからない小型店舗を作ります。また人手のかからな
い効率経営を目指します。

すると、店舗投資のハードルが下がるので、出店できる候補場所が多数でて
きます。

出店しやすいので、地域でドミナントを形成し、それがさらに効率化を進め、
強みとなります。

1店舗だけでは大した儲けではありませんが、まとまれば、威力を発揮しま
す。しかも、それぞれが効率経営の黒字店舗ですから、他店との競争に強い
企業体です。

現在、全国を7つのエリア(北海道、東北、関東、甲信越、中部、近畿、中
国、四国)に分け、それぞれの地区本部で、地域戦略を展開しているようで
す。

7つのエリアは、物流センターを中心に据え、それを取り囲むように店舗展
開しています。

4人の店員で運営するためには、情報化や陳列の簡略化を徹底し、作業効率
を高めなければなりません。

これらの仕組みが機能するためには、相当の店舗数とノウハウの蓄積が必要
になることは間違いありません。

今さら、他が真似したくてもできない状況ができている所以です。

■農家に密着した店舗だから、営業も独特です。地域独特の風習に根ざした
品揃えはもちろんです。

なんと「収穫期払い」というサービスまでやっています。これは肥料などを
春に購入する農家(クレジットカード会員)に秋の収穫期の支払いを認めた
ものです。農家の実情に密着した驚くべきサービスですね。

またネット通販では、各地の農家から募った産直品を販売しています。もち
ろん、これで儲けるということではなく、サービスの一環なんでしょうね。

■顧客への密着が、仕入先であるメーカーとの関係強化にもつながります。

コメリのもう1つの特徴は、メーカーとの関係が深いこと。PB商品は1万
品目に上ります。

顧客に密着している強みから、顧客の要望をつかまえ、メーカーにフィード
バックする仕組みを作っているようです。売れないものを切り捨てるのでは
なく、改善提案をするという仕組みです。

また新潟の地場メーカーとはもともと関係が深く、三条の刃物を全国展開す
る一翼を担っています。

こうした製販の取り組みが、シェアトップ300品目という結果に表れてい
るのですから立派です。

■こうして見てみると、コメリという企業は、小さな市場を選んで顧客に密
着し、差別化し、集中してきたことが分かります。

すなわち、弱者の立場を貫き通して、結果として誰にも真似できないビジネ
スを築き上げてきたのです。

ここまで強くなると、死角が見えないようですが、どうでしょうか。

企業が肥大化してシステムが金属疲労してしまう、あるいは、市場が劇的に
変化してしまうということに注意しなければならないでしょうね。

それがなければ、開拓余地はまだ残されているようですし、このまま続きそ
うです。

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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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