ZOZO身売りに見た前澤氏の限界と可能性

2019.09.19


(2019年9月19日メルマガより)


突然の発表で驚いた方も多かったのではないでしょうか。

アパレル通販サイト大手のZOZOがヤフー傘下に入り、創業者の前澤友作氏が経営から身を引くというニュースです。

近頃なにかとネガティブな話題が多かったZOZOですが、身売りするとは思い切った決断です。

前澤さん、耐え切れずに投げ出したのだなあというのが最初の感想ですが、それでもこういう判断は早いほうがいいものです。これは評価しなければなりません。

話題を振りまいてきた風雲児前澤社長が、経営の第一線から姿を消すというのは寂しいことではありますが。


元ミュージシャン 異色の経営者


ZOZOの前進であるスタートトゥデイが設立されたのは、1998年のこと。前澤氏23歳の時です。

その頃、前澤氏は音楽活動にのめりこんでおり、スタートトゥデイという社名も海外の曲からとったものだそうです。

またこの年、前澤氏はパンクバンドのドラマーとしてメジャーデビューを果たしています。二足の草鞋というべきか。この時までは、ミュージシャンでいくのか、実業家でいくのか決めかねていたようです。

が、立ち上げたアパレルの通販サイトが想定外に成功して、前澤氏はバンド活動を封印します。それからは経営一筋。

2004年に立ち上げたZOZOTOWNは、日本を代表するアパレル通販サイトに成長し、2007年には東証マザーズ上場、2014年には東証一部上場するに至りました。

まさにベンチャー企業から日本を代表する企業へ駆けあがり、その急成長ぶりから、創業社長である前澤氏は、時代の寵児ともてはやされたものでした。


ファッション感度の高い若者を惹きつけた


ZOZOは、良きにつけ悪しきにつけ、前澤社長のワンマン体制のもと、その特異な経営感性により作り出されたものだということができます。

もともと前澤氏は「競争が嫌い」「東京が嫌い」「働きたくない」と公言する変わり種の経営者です。

アパレル通販サイトを立ち上げたのも自分の好きなブランドの服を好きなように表現して販売してみたいという動機からのようですし、初期のZOZOTOWNには、いい意味での尖った感やこだわり感がありました。

この尖ったイメージが、感度の高い若者を惹きつけました。さらにそのことが、有力アパレルブランドをZOZOTOWNに集めることになりました。

前澤氏はサイトに「わくわく感や新しい発見」があることを重視し、ユーザーを飽きさせない施策を次々と実施、その連続が、ZOZOTOWNを、日本屈指のセレクトショップに押し上げていきました。

この辺りまでは前澤氏の感性がうまく機能したということでしょうね。


アマゾンへの対抗馬として期待される


ファッション感度の高い若者御用達のニッチなサイトとしてとどまるならば、何の問題もなかったのでしょうね。

しかし、アパレル通販サイトとして独り勝ちの状況が生まれて、アマゾンと対抗すべき日本企業としての役割を期待されるようになると、ZOZOも変節せざるを得なくなっていきました。

アマゾンに対抗するためには、販売量が求められます。これまでのZOZOTOWNにそぐわないようなアパレルブランドも扱っていかなければならなくなります。

いつしか安売りのブランドも取り込んで、何でもありの量販店みたいになったZOZOTOWNは、尖った感性の若者のためのサイトではなくなってしまいました。

でもそれは、大きくなるための必要なプロセスでした。ZOZOTOWNは、次のステージに向けて、進んでいこうとしていました。


急に目立つようになった失政


ところがこの頃から前澤氏の打つ施策に失敗が目立つようになります。

ZOZOが、水玉だらけの採寸スーツを配布し始めた時には、また変なことを始めたな!と思いつつ、その斬新さには久々にわくわくする感覚を持ったものです。

ところが、思ったほど採寸データが集まらなかったばかりか、スーツの技術性能にも疑問符がつくということがわかって、尻すぼみになってしまいました。そのためか、見込んでいたPB(プライベートブランド)も鳴かず飛ばずの結果に終わっています。

会員制で値引き販売を行う「ZOZOARIGATO」というサービスも、一部アパレルブランドの反発を招き、「ZOZO離れ」という言葉を流行させるきっかけとなりました。

SNSを使った販促施策は、ZOZO始まって以来の得意技だったはずですが、前澤社長自身のツイッターがしばしば炎上し「コンプライアンス上のリスク」とまで言われる始末です。

高額な美術品を買いあさったり、有名タレントと浮名を流したりするプライベートの情報も、世間の反感を煽ることになってしまいました。


カリスマ企業家になりきれなかった


成功した人には必ずやっかみが入りますからね。風向きが悪いと何をやっても叩かれるのは仕方ないことなのかも知れませんが、ここに至っても、前澤氏個人への批判や攻撃が聞こえてきます。

株式市場関係者から聞こえてくるのは「前澤社長が仕事をしていなかった」という批判です。もちろんそんなことはないのでしょうが、月旅行を目指したり、有名タレントと豪奢な休日を過ごしたり、目立つのはプライベートの話題が中心でした。

自分で稼いだ金を自分で使って何が悪い!休日をどう過ごそうと自分の勝手だ!という反論は正当です。前澤氏とすれば、普通の人ができない体験を通じて経営感性を磨いているんだという気持ちもあったのでしょう。

しかし、その感性に頼った経営手法も批判を浴びています。感性の経営というのは、うまくいく時は斬新で誰にも真似できない鋭さを持ちますが、外れる時はただの思いつきだと非難される種類のものです。なにより感性は検証できません。失敗したとしても、感性が外れたというしかありません。トップしか判断ができない会社はワンマン体制になっていきます。

いや。独りのカリスマが率いる経営が必ずしも悪いとはいいません。何より決断が速い。日本を代表する優良企業の中にも、カリスマ経営者が率いる会社はいっぱいあります。

富士フィルムの古森重隆会長。スズキの鈴木修会長。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長。日本電産の永守重信会長。ソフトバンクの孫正義会長。

創業者がカリスマ化しやすいのは当然ですが、いずれの会社も、困難な時代を強烈なリーダーシップで乗り切った経緯があります。彼らの決断には、しばしば独断的な感性が入り込みます。頭がいいだけの人たちにはできない判断をして生き残ってきたからこそカリスマとなったのです。

ZOZOの前澤氏も、わずかな期間に時価総額1兆円を超える企業を作った人ですから、まごうことなきカリスマです。

ZOZOじたい前澤氏でなければ作りえなかったものです。ここが多くの経営者や市場関係者に畏敬されてきたところです。

ただ前澤氏の能力は、ファッション感度の高い若者向けアパレル通販サイトを作り上げるには十全に機能しましたが、アマゾンに対抗するような広範な市場を対象にする通販サイトを運営するには至りませんでした。


企業家として一皮むける前にリタイア


前澤氏には、日本を代表するぐらいの大きな企業を経営する能力がなかったのか。

あっさり身を引いたのは、そういうことなのでしょうか。経営者には、スタートアップ企業を作る能力に長けてはいるが、それを通常運転しながら成長させるには向いていない人がいます。前澤氏も自分の資質をそう悟ったのかも知れません。

だとすれば潔い。私が早い決断だと評価するのは、そういう部分です。

しかし今回の辞任はあまりにも唐突すぎてわからない部分が多いというのが実際です。経営者としての資質が試される、試練を経て一皮むける前にリタイアしてしまった感があります。

前澤氏には、プライベートのための借入金が多くあり、ZOZO株を担保に差し出していたという情報もあります。最近の株価下落で、担保能力がそろそろヤバイことになってきたということもリタリアの判断に影響したのかも知れませんね。本人は否定していますが。

そういう事情も含めて、前澤氏の経営者としての限界があったのでしょう。

いや、それが悪いことではないですよ。何度も言いますが、私は評価しています。


ヤフー傘下に入ればうまくいくのか?


今回、ZOZOを買収したヤフーも順風満帆ではありません。

ポータルサイトとして国内最強の地位は揺るぎませんが、収益性がイマイチ高まりません。

かつて無双状態だったヤフーオークションも、メルカリなどのフリマアプリに押されて影が薄くなってしまいました。

抜群の集客力を活かすべくネット通販モールをてこ入れしようとしましたが、これがあまり盛り上がっていません。

最近では、アスクルを完全子会社にすべく強引に迫って反発されるなど焦りが感じられます。

それはそうですな。孫正義ソフトバンクグループ会長が「イマイチ盛り上がりません」「楽天に追いつけません」などという状態を許すはずがありません。

ヤフーの経営陣も必死ですよ。

今回のZOZO買収は、孫会長を通して持ち込まれた話だということですから、プラチナ案件です。これをうまく運営して業績を拡大して当たり前。もし業績が思ったほど上がらなければ、間違いなく経営陣は吹き飛ばされます。

厳しい世界です。

顧客規模を拡大したいZOZOにとって、ヤフーの持つ日本最大の集客力は確かに魅力的です。

日本でいちばんのアパレル通販サイトと日本最大のポータルサイトが組めば最強だーと今は単純な足し算で語られるきらいがありますが、もちろんそんな簡単なものではありません。

前澤色の強いニッチな雰囲気が魅力だったZOZOが、いかにヤフーの持つ全方位的な顧客層にマッチしていくのか。場合によっては、ZOZOの魅力が消えてしまって、しょぼいサイトに成り下がる可能性だってありますよ。

どちらかというと悪い方に触れる可能性の方が高い気がします。個人的には。

まあでも、今は、ZOZO出店ブランドも、ヤフーの集客力を魅力に感じているようですし、これからの方向性次第です。お手並み拝見というところですかね。


シリアルアントレプレナーとしての道


ところで前澤氏は今回のZOZO売却によって、約2400憶円の現金収入を得たというではないですか。

個人的な借金を差し引いても約800憶円が手元に残るといいます。

ベンチャー企業の出口としては破格の創業者利益を得たわけですな。

前澤氏は「月旅行に行く」ことを最大のミッションとしているようですが、イーロン・マスクの企画自体、実現性が危ういですから、どうなるかわかりませんよ。

それより、前澤氏には、創業者としての能力を再び発揮していただき、また独特の魅力を持つベンチャー企業を立ち上げることを期待します。

これからの前澤氏の強みは、自分の限界を知ったことです。立ち上げて、出口(売却)を早めれば、何の問題もありません。

なにしろ日本には、ベンチャーが足りないですからね。前澤氏のように能力のある人は、どんどん立ち上げるべきですよ。

起業を繰り返す人のことをシリアルアントレプレナーと言います。

立ち上げて、売却する、という繰り返しができる人は、自分の特異な能力の使い方を知っている人です。

前澤氏にはぜひとも、シリアルアントレプレナーとして、あと3つか4つは企業を作って世の中に出していただきたいものです。


《参考》






(2019年9月19日メルマガより)


突然の発表で驚いた方も多かったのではないでしょうか。

アパレル通販サイト大手のZOZOがヤフー傘下に入り、創業者の前澤友作氏が経営から身を引くというニュースです。

近頃なにかとネガティブな話題が多かったZOZOですが、身売りするとは思い切った決断です。

前澤さん、耐え切れずに投げ出したのだなあというのが最初の感想ですが、それでもこういう判断は早いほうがいいものです。これは評価しなければなりません。

話題を振りまいてきた風雲児前澤社長が、経営の第一線から姿を消すというのは寂しいことではありますが。


元ミュージシャン 異色の経営者


ZOZOの前進であるスタートトゥデイが設立されたのは、1998年のこと。前澤氏23歳の時です。

その頃、前澤氏は音楽活動にのめりこんでおり、スタートトゥデイという社名も海外の曲からとったものだそうです。

またこの年、前澤氏はパンクバンドのドラマーとしてメジャーデビューを果たしています。二足の草鞋というべきか。この時までは、ミュージシャンでいくのか、実業家でいくのか決めかねていたようです。

が、立ち上げたアパレルの通販サイトが想定外に成功して、前澤氏はバンド活動を封印します。それからは経営一筋。

2004年に立ち上げたZOZOTOWNは、日本を代表するアパレル通販サイトに成長し、2007年には東証マザーズ上場、2014年には東証一部上場するに至りました。

まさにベンチャー企業から日本を代表する企業へ駆けあがり、その急成長ぶりから、創業社長である前澤氏は、時代の寵児ともてはやされたものでした。


ファッション感度の高い若者を惹きつけた


ZOZOは、良きにつけ悪しきにつけ、前澤社長のワンマン体制のもと、その特異な経営感性により作り出されたものだということができます。

もともと前澤氏は「競争が嫌い」「東京が嫌い」「働きたくない」と公言する変わり種の経営者です。

アパレル通販サイトを立ち上げたのも自分の好きなブランドの服を好きなように表現して販売してみたいという動機からのようですし、初期のZOZOTOWNには、いい意味での尖った感やこだわり感がありました。

この尖ったイメージが、感度の高い若者を惹きつけました。さらにそのことが、有力アパレルブランドをZOZOTOWNに集めることになりました。

前澤氏はサイトに「わくわく感や新しい発見」があることを重視し、ユーザーを飽きさせない施策を次々と実施、その連続が、ZOZOTOWNを、日本屈指のセレクトショップに押し上げていきました。

この辺りまでは前澤氏の感性がうまく機能したということでしょうね。


アマゾンへの対抗馬として期待される


ファッション感度の高い若者御用達のニッチなサイトとしてとどまるならば、何の問題もなかったのでしょうね。

しかし、アパレル通販サイトとして独り勝ちの状況が生まれて、アマゾンと対抗すべき日本企業としての役割を期待されるようになると、ZOZOも変節せざるを得なくなっていきました。

アマゾンに対抗するためには、販売量が求められます。これまでのZOZOTOWNにそぐわないようなアパレルブランドも扱っていかなければならなくなります。

いつしか安売りのブランドも取り込んで、何でもありの量販店みたいになったZOZOTOWNは、尖った感性の若者のためのサイトではなくなってしまいました。

でもそれは、大きくなるための必要なプロセスでした。ZOZOTOWNは、次のステージに向けて、進んでいこうとしていました。


急に目立つようになった失政


ところがこの頃から前澤氏の打つ施策に失敗が目立つようになります。

ZOZOが、水玉だらけの採寸スーツを配布し始めた時には、また変なことを始めたな!と思いつつ、その斬新さには久々にわくわくする感覚を持ったものです。

ところが、思ったほど採寸データが集まらなかったばかりか、スーツの技術性能にも疑問符がつくということがわかって、尻すぼみになってしまいました。そのためか、見込んでいたPB(プライベートブランド)も鳴かず飛ばずの結果に終わっています。

会員制で値引き販売を行う「ZOZOARIGATO」というサービスも、一部アパレルブランドの反発を招き、「ZOZO離れ」という言葉を流行させるきっかけとなりました。

SNSを使った販促施策は、ZOZO始まって以来の得意技だったはずですが、前澤社長自身のツイッターがしばしば炎上し「コンプライアンス上のリスク」とまで言われる始末です。

高額な美術品を買いあさったり、有名タレントと浮名を流したりするプライベートの情報も、世間の反感を煽ることになってしまいました。


カリスマ企業家になりきれなかった


成功した人には必ずやっかみが入りますからね。風向きが悪いと何をやっても叩かれるのは仕方ないことなのかも知れませんが、ここに至っても、前澤氏個人への批判や攻撃が聞こえてきます。

株式市場関係者から聞こえてくるのは「前澤社長が仕事をしていなかった」という批判です。もちろんそんなことはないのでしょうが、月旅行を目指したり、有名タレントと豪奢な休日を過ごしたり、目立つのはプライベートの話題が中心でした。

自分で稼いだ金を自分で使って何が悪い!休日をどう過ごそうと自分の勝手だ!という反論は正当です。前澤氏とすれば、普通の人ができない体験を通じて経営感性を磨いているんだという気持ちもあったのでしょう。

しかし、その感性に頼った経営手法も批判を浴びています。感性の経営というのは、うまくいく時は斬新で誰にも真似できない鋭さを持ちますが、外れる時はただの思いつきだと非難される種類のものです。なにより感性は検証できません。失敗したとしても、感性が外れたというしかありません。トップしか判断ができない会社はワンマン体制になっていきます。

いや。独りのカリスマが率いる経営が必ずしも悪いとはいいません。何より決断が速い。日本を代表する優良企業の中にも、カリスマ経営者が率いる会社はいっぱいあります。

富士フィルムの古森重隆会長。スズキの鈴木修会長。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長。日本電産の永守重信会長。ソフトバンクの孫正義会長。

創業者がカリスマ化しやすいのは当然ですが、いずれの会社も、困難な時代を強烈なリーダーシップで乗り切った経緯があります。彼らの決断には、しばしば独断的な感性が入り込みます。頭がいいだけの人たちにはできない判断をして生き残ってきたからこそカリスマとなったのです。

ZOZOの前澤氏も、わずかな期間に時価総額1兆円を超える企業を作った人ですから、まごうことなきカリスマです。

ZOZOじたい前澤氏でなければ作りえなかったものです。ここが多くの経営者や市場関係者に畏敬されてきたところです。

ただ前澤氏の能力は、ファッション感度の高い若者向けアパレル通販サイトを作り上げるには十全に機能しましたが、アマゾンに対抗するような広範な市場を対象にする通販サイトを運営するには至りませんでした。


企業家として一皮むける前にリタイア


前澤氏には、日本を代表するぐらいの大きな企業を経営する能力がなかったのか。

あっさり身を引いたのは、そういうことなのでしょうか。経営者には、スタートアップ企業を作る能力に長けてはいるが、それを通常運転しながら成長させるには向いていない人がいます。前澤氏も自分の資質をそう悟ったのかも知れません。

だとすれば潔い。私が早い決断だと評価するのは、そういう部分です。

しかし今回の辞任はあまりにも唐突すぎてわからない部分が多いというのが実際です。経営者としての資質が試される、試練を経て一皮むける前にリタイアしてしまった感があります。

前澤氏には、プライベートのための借入金が多くあり、ZOZO株を担保に差し出していたという情報もあります。最近の株価下落で、担保能力がそろそろヤバイことになってきたということもリタリアの判断に影響したのかも知れませんね。本人は否定していますが。

そういう事情も含めて、前澤氏の経営者としての限界があったのでしょう。

いや、それが悪いことではないですよ。何度も言いますが、私は評価しています。


ヤフー傘下に入ればうまくいくのか?


今回、ZOZOを買収したヤフーも順風満帆ではありません。

ポータルサイトとして国内最強の地位は揺るぎませんが、収益性がイマイチ高まりません。

かつて無双状態だったヤフーオークションも、メルカリなどのフリマアプリに押されて影が薄くなってしまいました。

抜群の集客力を活かすべくネット通販モールをてこ入れしようとしましたが、これがあまり盛り上がっていません。

最近では、アスクルを完全子会社にすべく強引に迫って反発されるなど焦りが感じられます。

それはそうですな。孫正義ソフトバンクグループ会長が「イマイチ盛り上がりません」「楽天に追いつけません」などという状態を許すはずがありません。

ヤフーの経営陣も必死ですよ。

今回のZOZO買収は、孫会長を通して持ち込まれた話だということですから、プラチナ案件です。これをうまく運営して業績を拡大して当たり前。もし業績が思ったほど上がらなければ、間違いなく経営陣は吹き飛ばされます。

厳しい世界です。

顧客規模を拡大したいZOZOにとって、ヤフーの持つ日本最大の集客力は確かに魅力的です。

日本でいちばんのアパレル通販サイトと日本最大のポータルサイトが組めば最強だーと今は単純な足し算で語られるきらいがありますが、もちろんそんな簡単なものではありません。

前澤色の強いニッチな雰囲気が魅力だったZOZOが、いかにヤフーの持つ全方位的な顧客層にマッチしていくのか。場合によっては、ZOZOの魅力が消えてしまって、しょぼいサイトに成り下がる可能性だってありますよ。

どちらかというと悪い方に触れる可能性の方が高い気がします。個人的には。

まあでも、今は、ZOZO出店ブランドも、ヤフーの集客力を魅力に感じているようですし、これからの方向性次第です。お手並み拝見というところですかね。


シリアルアントレプレナーとしての道


ところで前澤氏は今回のZOZO売却によって、約2400憶円の現金収入を得たというではないですか。

個人的な借金を差し引いても約800憶円が手元に残るといいます。

ベンチャー企業の出口としては破格の創業者利益を得たわけですな。

前澤氏は「月旅行に行く」ことを最大のミッションとしているようですが、イーロン・マスクの企画自体、実現性が危ういですから、どうなるかわかりませんよ。

それより、前澤氏には、創業者としての能力を再び発揮していただき、また独特の魅力を持つベンチャー企業を立ち上げることを期待します。

これからの前澤氏の強みは、自分の限界を知ったことです。立ち上げて、出口(売却)を早めれば、何の問題もありません。

なにしろ日本には、ベンチャーが足りないですからね。前澤氏のように能力のある人は、どんどん立ち上げるべきですよ。

起業を繰り返す人のことをシリアルアントレプレナーと言います。

立ち上げて、売却する、という繰り返しができる人は、自分の特異な能力の使い方を知っている人です。

前澤氏にはぜひとも、シリアルアントレプレナーとして、あと3つか4つは企業を作って世の中に出していただきたいものです。


《参考》





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