手っ取り早く実績を上げるには

2012.11.15

(2012年11月15日メルマガより)



■先日、関西のある企業のコンサルティングが終了しました。


いきなり私事ですみません。。

私の場合、企業の営業組織を強くする(継続的に実績を上げられるようにする)ための
戦略づくりから取り組みます。

今回の企業の場合、それが完成するまで約1年間です。

最初は週1回のペースから始めて、泊まり込み合宿なども実施しながら、徐々に、営業組織
の意識と体制を整えてきました。

最後の方は、月1回程度のペースで、仕上げていきました。

■戦略づくりに1年もかけると言えば、驚かれるかも知れませんね。

実際には、戦略そのものは3カ月程度で作ることができます。

いや、1カ月でできます。

しかし、いくらいい戦略を作っても、それが実行されなければ、全く意味がありません。

だから、戦略が、確実に実行されるために、それなりの時間をかけなければならないのです。

■そんなことを言うと、怒られることがあります。

「今日の売上に苦労しているのに、1年かけるなどと悠長なことを言うな!」というわけ
です。

うーーん。。。

お気持ちは分かりますが、これを端折ることはできません。

ダイエットは、1カ月で急激に痩せると、1カ月でリバウンドするといいますが、営業組織
の場合も同じです。

現場作業の改善で、簡単に実績を上げることは可能ですが、着け刃的な方策は、すぐに
馴れ合いになって忘れられてしまいます。

コンサルタントとしては、近くにいて小手先の施策を繰り返す方が、継続的な仕事が受注
できるので都合がいいのですが、私はあくまで自律的に改革改善ができる営業組織になっ
ていただくという方針です。

だから1年はかかります。

■戦略とは、目標達成のために、やり方や組織体制や意識の全てをがらりと変えることです。

現体制がダメだと判断されれば、それを壊すことも厭いません。

そもそも組織とは人間の集まりですから、メンバーが最も居心地のいい状態を維持しよう
とします。

少しやり方を変えても、面倒なことは、すぐにやらなくなってしまうというのが、人間の
性質です。

だから、根本的に壊して変えなければ、意味がないのです。

■まあしかし。それでも「すぐに実績を上げる方法」に対するニーズは根強いものがあり
ますね。

私も自分が専門でない分野のことに関しては、楽をして儲けようと思ってしまいます。

3カ月で無理なく英語がペラペラにならんかなーーとかね^^

営業マン時代には、催眠術で売れるようにならんかなーーとか思ってましたし。

自分が居心地のいい状態のままで、成果を得たいと思うのは、人間の本性なんだから仕方
がありません。

■実をいうと、私も即効性のある方策に手を付けることがないわけではありません

組織メンバーの気持ちを高めるためには、すぐに目に見える結果を出そうとすることもあ
ります。

即効性の高い方策だけに頼っていたら、薬漬けのような不健康な状態になってしまって問題
もあるのですが、時には必要なこともあるとは思っています。

■ランチェスター戦略には「営業マン戦略」という分野があります。

これは、主に現場営業や彼らを指揮する営業マネージャーが持つべき戦略を示したものです。

そこでは、営業が現場でどう動くと、実績が上がるのかが詳細に述べられています。

■ランチェスター営業マン戦略では、

営業力=営業の質×営業の量だと考えます。

力=質×量だというのは、ごく普通の式ですが、これをどう解釈するかで、様々な方策を
生み出すことができます。

今回は単純に考えます。

例えば、営業の質を「営業テクニックやスキル」だとしましょう。

営業の量は「訪問件数や訪問時間」ということにします。

営業が実績を上げるためには、どちらも必要ですし、この両者はお互いが影響し合ってい
ますから、分断して考えることには無理があるかも知れません。

それでも敢えて分断してみると、即効性の高いのはどちらの要素であるのかが分かってい
ただけると思います。

■これは野球にいう「打率と打席数」と同じ考え方ですね。

ヒット数を増やすためには、打率を上げるか、打席数を増やすかしかありません。

打率を上げるのは、素振りをひたすらするのか、配球を読むのか、バットを選ぶのか、ど
ういう方法にしろ相当困難になります。

ところが、打席数を増やすのは(営業の場合は)自由意思です。自分なりの時間管理で量
を増やすことができます。

手っ取り早く、ヒット数を増やせと言われた時に、どちらに力を入れるべきかは一目瞭然
です。

■当たり前の話かも知れませんが、実績を上げている営業コンサルタントの多くが、ここ
に着目しているはずです。

ランチェスター戦略を創った田岡信夫先生も、日本の営業の生産性が欧米に比べて低いの
は、顧客との面談時間の差であると著書で述べています。

要するに、会議や書類作成や準備や移動に時間がかかりすぎているということです。

だから、無駄な会議を減らす、日報を廃止する、営業ツールを標準化して準備時間を減らす、
担当エリアを狭めて移動時間を減らすことにより、顧客と接触する時間を増やして実績を
上げることができます。

■私がこれまでコンサルティングをしていて実感するのは、総じて顧客訪問件数と実績の
相関関係が高いということです。

これは多くの業種業態で普遍的です。

原因を考えてみると、「顧客との信頼関係づくり」「タイミングのよい情報収集と提案」
「詳細な打ち合わせ」には、訪問件数を上げることが最も効果が高いと思われます。

ただしこれは仮定です。他の要因があるかも知れません。というのは、顧客訪問件数と実績
の相関は、統計的な結果だからです。

つまり、顧客訪問が多ければ多いほど、実績は上がるのです。

そう聞いて、訪問件数を上げようとしないマネージャーはいないでしょう。

■かといって、営業マンに「お前らもっと訪問しろ」とはっぱをかけても、なかなか効果
は表れません。

訪問件数が上がらないというのは、それなりの理由があるからです。

担当エリアを狭める、営業ツールを標準化する、日報を廃止するといったことは、営業マン
単独の判断でできることではありませんから、会社側がルールを変える必要があります。

その上で、訪問件数を上げるという目標を共有することではじめて効果が表れてきます。

■一言でいえば、営業の標準化を行うということです。

現行の営業活動を整備して、手順を標準化し、成果につながる行動に労力を集中させるこ
とで、必ず実績が上がります。

手っ取り早く実績を上げようとすれば、メンバーの大幅な意識改革が必要な戦略作りに
取り組むよりも、営業改善の方が相応しいと言えます。

これにランチェスター式ABC分析で、顧客の優先順位を決めれば、さらに効果が高まり
ます。

■ただし、手っ取り早く実績を上げる方法には、問題もあります。

1つは、実績が上がったために、メンバーの危機意識が薄れて、根本的にやり方を見直そ
うという機運がなくなってしまうことです。

もう1つは、現行のやり方を強化してしまったために、根本的な改革がやりにくくなるこ
とです。

勢いを出すためにしたつもりが、衰退を少し先延ばししただけに終わってしまう恐れがあ
るということです。

■だから私は、なるべくならこうした手っ取り早い方策には取り掛からないようにしてい
ますし、それを理解していただく企業とお付き合いするようにしています。

それも徐々に浸透してきたかも知れないですね。最近は、手っ取り早いという言葉を聞か
なくなりましたので^^

戦略とは、そもそも顧客が誰であるかを選び、そのニーズに応えるために提供する価値を
決め、そのために最も相応しい提供方法を設計することです。

戦略を作った上で、それに従って、上記の営業改善をするのが、最も適切です。

二度手間にならなくて済みますのでね。

■ところで最初にコンサルティングが終わったと書きましたが、実際には、半年に1回程度
のフォローアップが必要です。

そうじゃないと、不安ですからね。

私の理想は、1年通じて、過去コンサルティングした会社のフォローアップで過ごすこと
です。

そうやって、私が関わった会社の活躍を楽しみに毎日を過ごしていきたいですね^^

(2012年11月15日メルマガより)



■先日、関西のある企業のコンサルティングが終了しました。


いきなり私事ですみません。。

私の場合、企業の営業組織を強くする(継続的に実績を上げられるようにする)ための
戦略づくりから取り組みます。

今回の企業の場合、それが完成するまで約1年間です。

最初は週1回のペースから始めて、泊まり込み合宿なども実施しながら、徐々に、営業組織
の意識と体制を整えてきました。

最後の方は、月1回程度のペースで、仕上げていきました。

■戦略づくりに1年もかけると言えば、驚かれるかも知れませんね。

実際には、戦略そのものは3カ月程度で作ることができます。

いや、1カ月でできます。

しかし、いくらいい戦略を作っても、それが実行されなければ、全く意味がありません。

だから、戦略が、確実に実行されるために、それなりの時間をかけなければならないのです。

■そんなことを言うと、怒られることがあります。

「今日の売上に苦労しているのに、1年かけるなどと悠長なことを言うな!」というわけ
です。

うーーん。。。

お気持ちは分かりますが、これを端折ることはできません。

ダイエットは、1カ月で急激に痩せると、1カ月でリバウンドするといいますが、営業組織
の場合も同じです。

現場作業の改善で、簡単に実績を上げることは可能ですが、着け刃的な方策は、すぐに
馴れ合いになって忘れられてしまいます。

コンサルタントとしては、近くにいて小手先の施策を繰り返す方が、継続的な仕事が受注
できるので都合がいいのですが、私はあくまで自律的に改革改善ができる営業組織になっ
ていただくという方針です。

だから1年はかかります。

■戦略とは、目標達成のために、やり方や組織体制や意識の全てをがらりと変えることです。

現体制がダメだと判断されれば、それを壊すことも厭いません。

そもそも組織とは人間の集まりですから、メンバーが最も居心地のいい状態を維持しよう
とします。

少しやり方を変えても、面倒なことは、すぐにやらなくなってしまうというのが、人間の
性質です。

だから、根本的に壊して変えなければ、意味がないのです。

■まあしかし。それでも「すぐに実績を上げる方法」に対するニーズは根強いものがあり
ますね。

私も自分が専門でない分野のことに関しては、楽をして儲けようと思ってしまいます。

3カ月で無理なく英語がペラペラにならんかなーーとかね^^

営業マン時代には、催眠術で売れるようにならんかなーーとか思ってましたし。

自分が居心地のいい状態のままで、成果を得たいと思うのは、人間の本性なんだから仕方
がありません。

■実をいうと、私も即効性のある方策に手を付けることがないわけではありません

組織メンバーの気持ちを高めるためには、すぐに目に見える結果を出そうとすることもあ
ります。

即効性の高い方策だけに頼っていたら、薬漬けのような不健康な状態になってしまって問題
もあるのですが、時には必要なこともあるとは思っています。

■ランチェスター戦略には「営業マン戦略」という分野があります。

これは、主に現場営業や彼らを指揮する営業マネージャーが持つべき戦略を示したものです。

そこでは、営業が現場でどう動くと、実績が上がるのかが詳細に述べられています。

■ランチェスター営業マン戦略では、

営業力=営業の質×営業の量だと考えます。

力=質×量だというのは、ごく普通の式ですが、これをどう解釈するかで、様々な方策を
生み出すことができます。

今回は単純に考えます。

例えば、営業の質を「営業テクニックやスキル」だとしましょう。

営業の量は「訪問件数や訪問時間」ということにします。

営業が実績を上げるためには、どちらも必要ですし、この両者はお互いが影響し合ってい
ますから、分断して考えることには無理があるかも知れません。

それでも敢えて分断してみると、即効性の高いのはどちらの要素であるのかが分かってい
ただけると思います。

■これは野球にいう「打率と打席数」と同じ考え方ですね。

ヒット数を増やすためには、打率を上げるか、打席数を増やすかしかありません。

打率を上げるのは、素振りをひたすらするのか、配球を読むのか、バットを選ぶのか、ど
ういう方法にしろ相当困難になります。

ところが、打席数を増やすのは(営業の場合は)自由意思です。自分なりの時間管理で量
を増やすことができます。

手っ取り早く、ヒット数を増やせと言われた時に、どちらに力を入れるべきかは一目瞭然
です。

■当たり前の話かも知れませんが、実績を上げている営業コンサルタントの多くが、ここ
に着目しているはずです。

ランチェスター戦略を創った田岡信夫先生も、日本の営業の生産性が欧米に比べて低いの
は、顧客との面談時間の差であると著書で述べています。

要するに、会議や書類作成や準備や移動に時間がかかりすぎているということです。

だから、無駄な会議を減らす、日報を廃止する、営業ツールを標準化して準備時間を減らす、
担当エリアを狭めて移動時間を減らすことにより、顧客と接触する時間を増やして実績を
上げることができます。

■私がこれまでコンサルティングをしていて実感するのは、総じて顧客訪問件数と実績の
相関関係が高いということです。

これは多くの業種業態で普遍的です。

原因を考えてみると、「顧客との信頼関係づくり」「タイミングのよい情報収集と提案」
「詳細な打ち合わせ」には、訪問件数を上げることが最も効果が高いと思われます。

ただしこれは仮定です。他の要因があるかも知れません。というのは、顧客訪問件数と実績
の相関は、統計的な結果だからです。

つまり、顧客訪問が多ければ多いほど、実績は上がるのです。

そう聞いて、訪問件数を上げようとしないマネージャーはいないでしょう。

■かといって、営業マンに「お前らもっと訪問しろ」とはっぱをかけても、なかなか効果
は表れません。

訪問件数が上がらないというのは、それなりの理由があるからです。

担当エリアを狭める、営業ツールを標準化する、日報を廃止するといったことは、営業マン
単独の判断でできることではありませんから、会社側がルールを変える必要があります。

その上で、訪問件数を上げるという目標を共有することではじめて効果が表れてきます。

■一言でいえば、営業の標準化を行うということです。

現行の営業活動を整備して、手順を標準化し、成果につながる行動に労力を集中させるこ
とで、必ず実績が上がります。

手っ取り早く実績を上げようとすれば、メンバーの大幅な意識改革が必要な戦略作りに
取り組むよりも、営業改善の方が相応しいと言えます。

これにランチェスター式ABC分析で、顧客の優先順位を決めれば、さらに効果が高まり
ます。

■ただし、手っ取り早く実績を上げる方法には、問題もあります。

1つは、実績が上がったために、メンバーの危機意識が薄れて、根本的にやり方を見直そ
うという機運がなくなってしまうことです。

もう1つは、現行のやり方を強化してしまったために、根本的な改革がやりにくくなるこ
とです。

勢いを出すためにしたつもりが、衰退を少し先延ばししただけに終わってしまう恐れがあ
るということです。

■だから私は、なるべくならこうした手っ取り早い方策には取り掛からないようにしてい
ますし、それを理解していただく企業とお付き合いするようにしています。

それも徐々に浸透してきたかも知れないですね。最近は、手っ取り早いという言葉を聞か
なくなりましたので^^

戦略とは、そもそも顧客が誰であるかを選び、そのニーズに応えるために提供する価値を
決め、そのために最も相応しい提供方法を設計することです。

戦略を作った上で、それに従って、上記の営業改善をするのが、最も適切です。

二度手間にならなくて済みますのでね。

■ところで最初にコンサルティングが終わったと書きましたが、実際には、半年に1回程度
のフォローアップが必要です。

そうじゃないと、不安ですからね。

私の理想は、1年通じて、過去コンサルティングした会社のフォローアップで過ごすこと
です。

そうやって、私が関わった会社の活躍を楽しみに毎日を過ごしていきたいですね^^

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