一発逆転を狙ってはいけない

2007.05.24

(2007年5月24日メルマガより)

■いきなり余談ですが、私の友人で「勝負事」に滅法強い人物がいます。

ゲームや賭け事の類です。

どうしてそんなに勝てるのか、なかなか秘訣を教えてくれません^^;が、
注意深く観察してみると、驚くほど粘り強い対処をしていることが分かりま
す。

つまり「勝負」をしないのです。勝負事なのにこれいかに。

具体的に言うのは避けますが、確実に勝てるという機会を待つ。また負けた
としても取り返そうとしない。少しづつ積み重ねるというペースを呆れるほ
ど守っています。

一発勝負がゲームの醍醐味と思う私などとても勝てる相手ではないと思う次
第です。

■ゲームとビジネスを一緒にするなと言われそうですが、ビジネスにおいて
も、実は同じ心がけで対応しなければならないと、最近、つくづく思います。

私も、お陰様で、いろいろなところから依頼や相談を受けることが増えてき
ました。

ありがたいことですが、時折、対応に苦慮することがあります。

どういうことかというと「一発逆転」の方法を期待されることがあるのです。

「簡単に儲かるテクニックを教えてください」

「一発で儲かる秘訣を知っているんでしょう?!」

「理屈はいいんで、儲かるようにしてくれ!」

ランチェスター戦略=一発逆転の魔法のノウハウという図式がどこかにある
のでしょうか?

■ビジネスに一発逆転がないとは言いません。たぶん、あるのでしょう。

もっとも私は知りません。知ったとしても、興味はありません。

一発逆転のラッキーに頼るほど私は自分の強運に自信がありませんから。

■ランチェスター戦略は一発逆転のノウハウではありません。

それは、実践ノウハウでもありません。

ランチェスター戦略は、原理原則であり、考え方であり、セオリーです。

それを応用し、活用するのは、我々一人一人です。

どうか、それを理解していただきたいと思います。

ビジネスモデル戦略論」という本を読むと、ローカルな小規模企業が、
大きな収益を上げるようになった事例が多く記されています。

そもそも、優良企業に規模の大小は関係ありません。ローカル企業であって
も高収益を誇る優良企業はいっぱいあります。

そんな中の1つが、メキシコのローカルなセメント会社であったセメックス
の事例です。

セメントといえば、商品差別化ができないビジネスの代表です。だから、価
格競争が唯一の打ち手となります。この会社も価格競争で体力を消耗し、疲
弊していました。

将来性の見えない本業に見切りをつけたのか、セメックスは、別の業界に株
式投資をし、多角化の機会を探っていました。

ところが、1985年にCEOになったロレンス・サンブラーノ(創業者の
孫)は、セメント事業にはまだ改善の余地があると考え、本業以外の事業か
らすべて撤退しました。そして、セメント事業における価格以外の差別化の
可能性を探りました。

■当時、セメントは立方ヤード単位いくらで売っていました。「いくら」の
部分が唯一の差別化です。

ところが、顧客視点に立つと、価格も重要ですが、それ以上に「鮮度」を重
視していることが分かりました。

セメントはミキサー車に入れた時点から劣化がはじまるそうです。もし交通
渋滞などで到着が遅れると、使用する時点で劣化が相当進んでいることにな
ります。

メキシコのように交通渋滞が多いところでは、これは大きな問題です。

なかなかセメントが来ないので、職人を待機させておくというムダも生じま
す。

■そこで、セメックスは、必要な量を必要な時間、必要な場所に届けるとい
うサービスを始めました。

ピザ屋みたいですね^^

言うのは簡単ですが、これを行うには、配送システムを根本から変える必要
があります。

注文を受けていても、工事の状況により、納期が変更する場合が頻繁に起こ
るそうです。

相当、フレシキブルな対応を迫られるサービスです。

実際にセメックスは、フェデックス、宅配ピザ屋、救急隊などを研究し、独
自の配送システム開発に着手しました。

受注後数分から数時間で配達し、納期変更にも繰り返し応じることができる
システムです。

このシステムの一応の完成までに5年を費やしています。

■商品やサービスのコンセプトを差別化するのが「戦略」です。

それを運用するためには適切な「仕組み」を構築しなければなりません。

さらに、事業を成功に導くために「実行」のフェーズがあります。

「戦略」「仕組み」「実践行動」この3つがなければビジネスは展開できま
せん。

ちょっとした思い付きやノウハウで一発逆転することなど到底不可能です。

戦略→仕組み→実行のプロセスは、コツコツとした積み上げであると思って
ください。

■セメックスの練り上げられた仕組みに、ライバル会社は対応することがで
きませんでした。

メキシコを制したセメックスは、好業績、高株価を背景に積極果敢なM&A
を仕掛けていき(当初はスペイン語圏、徐々に世界各国に広げていきました)
今では、世界第2位のセメント会社となっています。

サンブラーノCEOは「セメントほど儲かる商売はない」と豪語しています^^

しかし、今になってセメックスの躍進を知る私たちですが、彼らが20年以
上の積み上げをしてきたことを忘れてはなりません。

*なお、セメックスの事例はエイドリアン・スライウォツキーの「デジタル・
ビジネスデザイン戦略
」にも詳しく掲載されています。興味のある方は、
参照ください。

■「小さな市場」を特定し、その中で「差別化」を行い、ひたすら「一点集
中」すること。

これがランチェスター戦略のセオリーです。

決して、一発逆転を狙うものではありません。



(2007年5月24日メルマガより)

■いきなり余談ですが、私の友人で「勝負事」に滅法強い人物がいます。

ゲームや賭け事の類です。

どうしてそんなに勝てるのか、なかなか秘訣を教えてくれません^^;が、
注意深く観察してみると、驚くほど粘り強い対処をしていることが分かりま
す。

つまり「勝負」をしないのです。勝負事なのにこれいかに。

具体的に言うのは避けますが、確実に勝てるという機会を待つ。また負けた
としても取り返そうとしない。少しづつ積み重ねるというペースを呆れるほ
ど守っています。

一発勝負がゲームの醍醐味と思う私などとても勝てる相手ではないと思う次
第です。

■ゲームとビジネスを一緒にするなと言われそうですが、ビジネスにおいて
も、実は同じ心がけで対応しなければならないと、最近、つくづく思います。

私も、お陰様で、いろいろなところから依頼や相談を受けることが増えてき
ました。

ありがたいことですが、時折、対応に苦慮することがあります。

どういうことかというと「一発逆転」の方法を期待されることがあるのです。

「簡単に儲かるテクニックを教えてください」

「一発で儲かる秘訣を知っているんでしょう?!」

「理屈はいいんで、儲かるようにしてくれ!」

ランチェスター戦略=一発逆転の魔法のノウハウという図式がどこかにある
のでしょうか?

■ビジネスに一発逆転がないとは言いません。たぶん、あるのでしょう。

もっとも私は知りません。知ったとしても、興味はありません。

一発逆転のラッキーに頼るほど私は自分の強運に自信がありませんから。

■ランチェスター戦略は一発逆転のノウハウではありません。

それは、実践ノウハウでもありません。

ランチェスター戦略は、原理原則であり、考え方であり、セオリーです。

それを応用し、活用するのは、我々一人一人です。

どうか、それを理解していただきたいと思います。

ビジネスモデル戦略論」という本を読むと、ローカルな小規模企業が、
大きな収益を上げるようになった事例が多く記されています。

そもそも、優良企業に規模の大小は関係ありません。ローカル企業であって
も高収益を誇る優良企業はいっぱいあります。

そんな中の1つが、メキシコのローカルなセメント会社であったセメックス
の事例です。

セメントといえば、商品差別化ができないビジネスの代表です。だから、価
格競争が唯一の打ち手となります。この会社も価格競争で体力を消耗し、疲
弊していました。

将来性の見えない本業に見切りをつけたのか、セメックスは、別の業界に株
式投資をし、多角化の機会を探っていました。

ところが、1985年にCEOになったロレンス・サンブラーノ(創業者の
孫)は、セメント事業にはまだ改善の余地があると考え、本業以外の事業か
らすべて撤退しました。そして、セメント事業における価格以外の差別化の
可能性を探りました。

■当時、セメントは立方ヤード単位いくらで売っていました。「いくら」の
部分が唯一の差別化です。

ところが、顧客視点に立つと、価格も重要ですが、それ以上に「鮮度」を重
視していることが分かりました。

セメントはミキサー車に入れた時点から劣化がはじまるそうです。もし交通
渋滞などで到着が遅れると、使用する時点で劣化が相当進んでいることにな
ります。

メキシコのように交通渋滞が多いところでは、これは大きな問題です。

なかなかセメントが来ないので、職人を待機させておくというムダも生じま
す。

■そこで、セメックスは、必要な量を必要な時間、必要な場所に届けるとい
うサービスを始めました。

ピザ屋みたいですね^^

言うのは簡単ですが、これを行うには、配送システムを根本から変える必要
があります。

注文を受けていても、工事の状況により、納期が変更する場合が頻繁に起こ
るそうです。

相当、フレシキブルな対応を迫られるサービスです。

実際にセメックスは、フェデックス、宅配ピザ屋、救急隊などを研究し、独
自の配送システム開発に着手しました。

受注後数分から数時間で配達し、納期変更にも繰り返し応じることができる
システムです。

このシステムの一応の完成までに5年を費やしています。

■商品やサービスのコンセプトを差別化するのが「戦略」です。

それを運用するためには適切な「仕組み」を構築しなければなりません。

さらに、事業を成功に導くために「実行」のフェーズがあります。

「戦略」「仕組み」「実践行動」この3つがなければビジネスは展開できま
せん。

ちょっとした思い付きやノウハウで一発逆転することなど到底不可能です。

戦略→仕組み→実行のプロセスは、コツコツとした積み上げであると思って
ください。

■セメックスの練り上げられた仕組みに、ライバル会社は対応することがで
きませんでした。

メキシコを制したセメックスは、好業績、高株価を背景に積極果敢なM&A
を仕掛けていき(当初はスペイン語圏、徐々に世界各国に広げていきました)
今では、世界第2位のセメント会社となっています。

サンブラーノCEOは「セメントほど儲かる商売はない」と豪語しています^^

しかし、今になってセメックスの躍進を知る私たちですが、彼らが20年以
上の積み上げをしてきたことを忘れてはなりません。

*なお、セメックスの事例はエイドリアン・スライウォツキーの「デジタル・
ビジネスデザイン戦略
」にも詳しく掲載されています。興味のある方は、
参照ください。

■「小さな市場」を特定し、その中で「差別化」を行い、ひたすら「一点集
中」すること。

これがランチェスター戦略のセオリーです。

決して、一発逆転を狙うものではありません。



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