グーグルVSアップル

2011.01.13

(2011年1月13日のメルマガより)


■年末から年始にかけて、日経新聞などで目立った記事といえば、「日本企
業の海外進出」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」「スマートフォ
ン」の話題でしょうか。

なんせ、成熟した日本において、成長市場は限られていますからね。

勢い、数少ない成長余地のある市場やビジネスの話題が多くなりますな。

■年末、大前研一氏の講演をCS放送で拝見しましたが、その中でも、日本
が今後も経済大国の地位を維持し続けるためには、企業の海外進出と、グロ
ーバルマネーの日本への取り込みが必要である、と発言されていました。

その意味では、「日本企業の海外進出」「TPP(環太平洋戦略的経済連携
協定)」が話題になるのは自然なことですね。

ちなみに、このメルマガの昨年最初の話題は、「2010年は日本企業のア
ジア進出元年になる」でした。

そのトレンドは2011年も変わらず続きそうですね。

■TPPをめぐる記事を読んでいると、「小さな利益団体の既得権益のため
に大きな成長機会を捨てようとしている日本」と海外メディアから揶揄され
るのが、しごく当然だと思えてきますね。

「なんとかならんか、民主党」とスリムクラブもM-1の決勝で言っていま
したが、せめてTPPだけでも通して、菅直人首相の名前を歴史に刻んでほ
しいものですな。

(しかし、小さなソース製造業を守るために、4000兆円ともいわれる海
外の巨大な投資機会を門前払いしてしまった国のことですから...)

■今日は、3つめのスマートフォンについて書きたいと思います。

パソコンでもない、携帯電話でもない端末機器が、突如、我々の生活の中に
登場してきました。

先鞭とつけたのは、アップルでした。iPhoneが、この市場を作ったといって
もいいでしょう。

当初は特殊な携帯電話という扱いだったものが、ここまでユーザーの支持を
得ることができたのは、アップルのビジネス展開の創造性がそれほど際立っ
ていたということです。

■私もiPhoneを持っていますが、これ1台でパソコンと携帯電話の殆どの機
能をカバーしてくれます。

だから、携帯電話会社が、端末機器をスマートフォンタイプにシフトしてい
くのは当然の動きです。

一方、パソコン会社は、スマートフォンとパソコンは棲み分けできると考え
ているようですが、甘い見通しだと思います。

少なくとも、15万円以下のノートパソコンは、すべてiPadなどのタブレッ
ト型に置き換わるでしょう。

私自身、タブレット型の端末が拡張性を持ち(1)ワード、エクセル、パワ
ーポイントなどのドキュメントが作成できる(2)プリンターにつなげられ
る(3)プロジェクターにつなげられる、ことがストレスなくできるように
なれば何の躊躇もなく買い換えます。

そうすると通信もWi-FiやLTEが中心になり、通信キャリアも様変わりするこ
とになるでしょうね。

■昨年、これほどスマートフォン市場が拡大の兆しを見せたのは、グーグル
がこの分野への進出を本格化させたからです。

"策士"といわれるグーグルのエリック・シュミットCEOは、あれほど競
合しないと言い続けていたマイクロソフトとの対立を表面化させたのに続き、
親密だったアップルにもついに牙をむきました。

まるで、武田信玄や上杉謙信に取り入るだけ取り入って、最後に牙をむいた
織田信長のようです^^

もっとも、グーグルのビジネスは、検索連動型広告ですから、徹底した閉鎖
的ビジネスを志向するアップルとは相容れるわけがありません。

今日の対立関係は、当然の帰結でした。

■アップルのビジネスは端末機器の販売です。

数多くのアプリは、それで利益を上げようというよりは、端末の利便性や魅
力を高めるためのものだと位置付けられています。

アップルのビジネスが閉鎖的であるのは、ビジネスモデルの特徴であるとい
うよりは、スティーブ・ジョブスCEOの美学によるもののようです。

要するに、ジョブズ氏は、自分で何もかもコントロールしなければ気が済ま
ないらしい。

アプリの審査基準も相変わらず不透明だし、既に浸透しているアドビ社の
「フラッシュ」も認めていません。

その妥協を許さぬ強烈な我の強さがあればこそ、独創的な商品やビジネスを
生み出すことができたのでしょうが。

■余談ですが、独自の規格を採用したために世界の潮流を外れてしまった日
本の携帯電話をガラパゴス携帯と呼ぶことがありますね。

でも、より閉鎖的なアップルの端末機器がガラパゴスとならないのはなぜで
しょうか?

そう考えると、結局は日本の携帯電話が世界での競争に敗れてしまったため
に、結果としてガラパゴスのようになってしまったというのが実情なんです
ね。

つまり、日本の携帯端末メーカーが頼りにしたNTTが、内弁慶で、海外で
はだらしなかったということですよ。

■アップルに対して、グーグルは携帯端末を売って利益を上げようとは考え
ていません。

携帯端末で検索する際に広告を入れようとしているだけです。

だから、広告を入れさせないアップルが勢力を伸ばすことはビジネスモデル
を危うくさせてしまいます。

極めて単純明快な対立軸です。

アップルに対抗して、グーグルは、自らOSを開発して端末会社に無償提供
しています。

そのため、メーカーは端末開発費用を抑えて、製作することができます。

アプリも厳しい審査なしに通すようなので、アプリ開発会社は公平な競争条
件で闘うことができます。

セキュリティについても、ウィルス対策ソフトを複数の会社が作るので、ア
ップルよりも安心だと言われています。

普通に考えると、グーグルが圧倒的に優勢な戦いです。

iPhoneが、ガラパゴス携帯となる日も近いのではないでしょうか^^;

■ここに至り、日本の端末メーカーはこぞってグーグル携帯の開発に取り組
んでいます。

NTTという鵜飼から離れて、自由な戦略を練ることができるようになった
のです。

ダメなら市場から退場させられるというリスクは増えたものの、これで健全
な競争環境に身をおくことになったわけですから、日本経済としては、いい
傾向ですよ。

勝ち残った端末メーカーは、世界的企業になっていくでしょう。もともと技
術的な裏付けがある日本企業ですから、十分に可能性があります。

■戦略的観点からいうと、この2社は、最初の市場の捉え方が違います。

アップルは通常の携帯端末に飽き足らない人たち。

グーグルは、パソコンや携帯端末で情報を検索しようとする人たち。(お金
を出すのは、彼らに広告を見てほしい人たちですが...)

グーグルの方がより大きな概念で市場を捉えていますが、アップルが囲い込
む顧客が増えてきたために、その部分に絞って攻撃をしてきているのが今回
の戦いです。

万事大雑把で、小さな市場の捉え方が甘いことがグーグルの弱点だと言われ
ていますが、今回は、アップルに一点集中した攻撃をしかけてきているので、
甘さは感じられません。

同じ市場で圧倒的な数的優位を作られると、アップルの勝ち目はありません。

パソコンのOSの時のように、先鋭化して、マニアックな存在として生きて
いくのが残された道です。

やはり、アップルには弱者のポジションが似合いますね。

■私がアップルの立場なら、フェイスブックと仲直りして、提携するでしょ
うね。

今のところ、グーグルはフェイスブックを敵視しています。

世界で5億人が利用しているといわれる会員制交流サイトのフェイスブック
は、閉じられた空間なので、グーグルの検索エンジンが届かない場所です。

世界中の情報を検索できるようにすると言っているグーグルにすれば、イン
ターネット上にアンタッチャブルな私信が増えるのを許していません。

しかし、5億人も利用者を抱えたフェイスブックとすれば、グーグル何する
ものぞという勢いです。

グーグルに煮え湯を飲まされているマイクロソフトは、フェイスブックと良
好な関係を築いています。

敵の敵は味方。というのが、兵法の常識です。アップルは、フェイスブック
と仲良くして、グーグル包囲網に名を連ねるべきだと思いますがね。

■アップルとフェイスブックの提携交渉はあまりうまくはいっていないよう
ですが、決定的に決裂したわけでもなさそうです。

フェイスブックが挑むのは、インターネットに付きまとう匿名性の払拭なん
だろうと私は思っています。

理念そのものが、アップルと大きく対立するわけではないと思うのですが、
どうでしょうか。

あるいは、ジョブス氏なきあとに遅まきながら提携交渉を再開するのでしょ
うか。

だとすれば、負けが決定してからの交渉になりますので、大いに不利な立場
に置かれそうです。

動きの速い業界なので、来年の今頃は、誰も話題にしなくなってるかも知れ
ませんよ。

(2011年1月13日のメルマガより)


■年末から年始にかけて、日経新聞などで目立った記事といえば、「日本企
業の海外進出」「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」「スマートフォ
ン」の話題でしょうか。

なんせ、成熟した日本において、成長市場は限られていますからね。

勢い、数少ない成長余地のある市場やビジネスの話題が多くなりますな。

■年末、大前研一氏の講演をCS放送で拝見しましたが、その中でも、日本
が今後も経済大国の地位を維持し続けるためには、企業の海外進出と、グロ
ーバルマネーの日本への取り込みが必要である、と発言されていました。

その意味では、「日本企業の海外進出」「TPP(環太平洋戦略的経済連携
協定)」が話題になるのは自然なことですね。

ちなみに、このメルマガの昨年最初の話題は、「2010年は日本企業のア
ジア進出元年になる」でした。

そのトレンドは2011年も変わらず続きそうですね。

■TPPをめぐる記事を読んでいると、「小さな利益団体の既得権益のため
に大きな成長機会を捨てようとしている日本」と海外メディアから揶揄され
るのが、しごく当然だと思えてきますね。

「なんとかならんか、民主党」とスリムクラブもM-1の決勝で言っていま
したが、せめてTPPだけでも通して、菅直人首相の名前を歴史に刻んでほ
しいものですな。

(しかし、小さなソース製造業を守るために、4000兆円ともいわれる海
外の巨大な投資機会を門前払いしてしまった国のことですから...)

■今日は、3つめのスマートフォンについて書きたいと思います。

パソコンでもない、携帯電話でもない端末機器が、突如、我々の生活の中に
登場してきました。

先鞭とつけたのは、アップルでした。iPhoneが、この市場を作ったといって
もいいでしょう。

当初は特殊な携帯電話という扱いだったものが、ここまでユーザーの支持を
得ることができたのは、アップルのビジネス展開の創造性がそれほど際立っ
ていたということです。

■私もiPhoneを持っていますが、これ1台でパソコンと携帯電話の殆どの機
能をカバーしてくれます。

だから、携帯電話会社が、端末機器をスマートフォンタイプにシフトしてい
くのは当然の動きです。

一方、パソコン会社は、スマートフォンとパソコンは棲み分けできると考え
ているようですが、甘い見通しだと思います。

少なくとも、15万円以下のノートパソコンは、すべてiPadなどのタブレッ
ト型に置き換わるでしょう。

私自身、タブレット型の端末が拡張性を持ち(1)ワード、エクセル、パワ
ーポイントなどのドキュメントが作成できる(2)プリンターにつなげられ
る(3)プロジェクターにつなげられる、ことがストレスなくできるように
なれば何の躊躇もなく買い換えます。

そうすると通信もWi-FiやLTEが中心になり、通信キャリアも様変わりするこ
とになるでしょうね。

■昨年、これほどスマートフォン市場が拡大の兆しを見せたのは、グーグル
がこの分野への進出を本格化させたからです。

"策士"といわれるグーグルのエリック・シュミットCEOは、あれほど競
合しないと言い続けていたマイクロソフトとの対立を表面化させたのに続き、
親密だったアップルにもついに牙をむきました。

まるで、武田信玄や上杉謙信に取り入るだけ取り入って、最後に牙をむいた
織田信長のようです^^

もっとも、グーグルのビジネスは、検索連動型広告ですから、徹底した閉鎖
的ビジネスを志向するアップルとは相容れるわけがありません。

今日の対立関係は、当然の帰結でした。

■アップルのビジネスは端末機器の販売です。

数多くのアプリは、それで利益を上げようというよりは、端末の利便性や魅
力を高めるためのものだと位置付けられています。

アップルのビジネスが閉鎖的であるのは、ビジネスモデルの特徴であるとい
うよりは、スティーブ・ジョブスCEOの美学によるもののようです。

要するに、ジョブズ氏は、自分で何もかもコントロールしなければ気が済ま
ないらしい。

アプリの審査基準も相変わらず不透明だし、既に浸透しているアドビ社の
「フラッシュ」も認めていません。

その妥協を許さぬ強烈な我の強さがあればこそ、独創的な商品やビジネスを
生み出すことができたのでしょうが。

■余談ですが、独自の規格を採用したために世界の潮流を外れてしまった日
本の携帯電話をガラパゴス携帯と呼ぶことがありますね。

でも、より閉鎖的なアップルの端末機器がガラパゴスとならないのはなぜで
しょうか?

そう考えると、結局は日本の携帯電話が世界での競争に敗れてしまったため
に、結果としてガラパゴスのようになってしまったというのが実情なんです
ね。

つまり、日本の携帯端末メーカーが頼りにしたNTTが、内弁慶で、海外で
はだらしなかったということですよ。

■アップルに対して、グーグルは携帯端末を売って利益を上げようとは考え
ていません。

携帯端末で検索する際に広告を入れようとしているだけです。

だから、広告を入れさせないアップルが勢力を伸ばすことはビジネスモデル
を危うくさせてしまいます。

極めて単純明快な対立軸です。

アップルに対抗して、グーグルは、自らOSを開発して端末会社に無償提供
しています。

そのため、メーカーは端末開発費用を抑えて、製作することができます。

アプリも厳しい審査なしに通すようなので、アプリ開発会社は公平な競争条
件で闘うことができます。

セキュリティについても、ウィルス対策ソフトを複数の会社が作るので、ア
ップルよりも安心だと言われています。

普通に考えると、グーグルが圧倒的に優勢な戦いです。

iPhoneが、ガラパゴス携帯となる日も近いのではないでしょうか^^;

■ここに至り、日本の端末メーカーはこぞってグーグル携帯の開発に取り組
んでいます。

NTTという鵜飼から離れて、自由な戦略を練ることができるようになった
のです。

ダメなら市場から退場させられるというリスクは増えたものの、これで健全
な競争環境に身をおくことになったわけですから、日本経済としては、いい
傾向ですよ。

勝ち残った端末メーカーは、世界的企業になっていくでしょう。もともと技
術的な裏付けがある日本企業ですから、十分に可能性があります。

■戦略的観点からいうと、この2社は、最初の市場の捉え方が違います。

アップルは通常の携帯端末に飽き足らない人たち。

グーグルは、パソコンや携帯端末で情報を検索しようとする人たち。(お金
を出すのは、彼らに広告を見てほしい人たちですが...)

グーグルの方がより大きな概念で市場を捉えていますが、アップルが囲い込
む顧客が増えてきたために、その部分に絞って攻撃をしてきているのが今回
の戦いです。

万事大雑把で、小さな市場の捉え方が甘いことがグーグルの弱点だと言われ
ていますが、今回は、アップルに一点集中した攻撃をしかけてきているので、
甘さは感じられません。

同じ市場で圧倒的な数的優位を作られると、アップルの勝ち目はありません。

パソコンのOSの時のように、先鋭化して、マニアックな存在として生きて
いくのが残された道です。

やはり、アップルには弱者のポジションが似合いますね。

■私がアップルの立場なら、フェイスブックと仲直りして、提携するでしょ
うね。

今のところ、グーグルはフェイスブックを敵視しています。

世界で5億人が利用しているといわれる会員制交流サイトのフェイスブック
は、閉じられた空間なので、グーグルの検索エンジンが届かない場所です。

世界中の情報を検索できるようにすると言っているグーグルにすれば、イン
ターネット上にアンタッチャブルな私信が増えるのを許していません。

しかし、5億人も利用者を抱えたフェイスブックとすれば、グーグル何する
ものぞという勢いです。

グーグルに煮え湯を飲まされているマイクロソフトは、フェイスブックと良
好な関係を築いています。

敵の敵は味方。というのが、兵法の常識です。アップルは、フェイスブック
と仲良くして、グーグル包囲網に名を連ねるべきだと思いますがね。

■アップルとフェイスブックの提携交渉はあまりうまくはいっていないよう
ですが、決定的に決裂したわけでもなさそうです。

フェイスブックが挑むのは、インターネットに付きまとう匿名性の払拭なん
だろうと私は思っています。

理念そのものが、アップルと大きく対立するわけではないと思うのですが、
どうでしょうか。

あるいは、ジョブス氏なきあとに遅まきながら提携交渉を再開するのでしょ
うか。

だとすれば、負けが決定してからの交渉になりますので、大いに不利な立場
に置かれそうです。

動きの速い業界なので、来年の今頃は、誰も話題にしなくなってるかも知れ
ませんよ。

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