浪速のグローバル企業

2007.11.22


(2007年11月22日メルマガより)

■唐突ですが、今年の紅白の白組司会は笑福亭鶴瓶に決まったそうですね。
えらい思い切った人選ですな。

ところで、その鶴瓶が昔「ヤング・タウン」というラジオ番組で歌っていた
「ノキオ」という歌を覚えている方はおられますか?

沢田研二の「トキオ」の替え歌です。

下記はインターネットで拾ったものですから正確ではないかも知れませんが...

「ノキオ」(トキオのメロディで♪)

田植えする 肥やしやる 秋に実って稲刈りだ 
田んぼ刈り 稲を刈リ 三田市シティが舞い上がる 
ノ キ オ ノキオがコンバインに乗ったまま 
ノ キ オ ノキオが空を飛ぶ 
田んぼに実った稲の山だとお前は言ってたね 
見つめていると田んぼに入れられそうだと 
咥えタバコで涙落した 
ノ キ オ 明るい農協三田シティ 
ノ キ オ ノキオが夜に飛ぶ

■ノキオとはもちろん農協のモジリです。

コンバインとは、穀物の収穫・脱穀・選別をする農機のことですが、ここに
出てくるコンバインは、当然、クボタの製品でしょうね。

鶴瓶の歌に登場する農機具は、浪速の農機具メーカー、クボタの製品じゃな
いとあきませんわ^^

■クボタ株式会社は、1890年の創業。鋳物の製造から出発し、創業32年目に
農機具を開発しました。現在では建設機械も広く扱っています。

今でも大阪浪速区に本社を置き、農機具の生産高は首位のメーカーです。

このクボタ、成熟した市場で高利益を享受する(←ブルドックソースのよう
な)農機具専業のローカルメーカーと思っていたら大違いです。

なんと営業利益の7割は、海外で稼ぎ出すという知られざるグローバル企業
だそうです@_@

■クボタが北米進出を始めたのは1970年代です。当初は日系人相手の商売を
目論んでいたようですが、泣かず飛ばず。

ところが芝刈り機能付きの小型トラクタというアイデア商品のヒットをきっ
かけに「自家用小型建機」という分野に強みを見出します。

広い家に庭を持ち、自分で庭整備や農作業をすることをステイタスとする
アメリカの富裕層の心を見事にとらえたのです。

■当時のアメリカはトラクタも大型車全盛でした。だから、それを自家製にする
ことは難しかったようですが、クボタの小型農機はぴたりと適応したわけです。

またクボタの建設機器もアメリカの需要を捉え始めます。

というのも、日本の狭い道路で鍛えられたクボタの技術とノウハウは、既存道路
の整備・改修という先進国の需要を捉えて、小型建機市場というジャンルを
創り出すこととなりました。

クボタについて驚くべきは、アジア諸国などの新興国で販売するのではなく、
欧米の先進国需要だけで成長を続けていることです。

これで、アジア進出を本格化すれば、どんな大きな需要を捉えるのでしょうか???

■以前このメルマガで、日本製航空機の実現が危ぶまれる理由の一つとして
「セールスという最もキツイ仕事を商社まかせにしている」ことを挙げまし
た。参考→「日本製航空機は羽ばたくか」

多くの優秀な技術を誇るメーカーが直面する壁がこれです。

自動車や家電など一部のクレイジーなメーカーが、現地法人を作って独自に
販路を切り開いてきたのですが、それはあくまで一部です。

多くの優秀なメーカーは、販売会社の下請けの立場でビジネスしています。
その方が、どう考えても効率的だからです。

しかし、このクボタはクレイジーな一部のメーカーでした。

なにしろ「自動車会社かクボタか」と言われる程現地に入り込んだ販売網を
構築しているようです。

■クボタの販路開拓の基本戦略は
「単価の低い小型分野に特化」
「ディーラーに十分な利益を渡す」
「アフターサービス網を自社で充実」
というものです。

要するに「自社が儲からないこと」を率先してやった結果、得意先や消費者
の満足につながって市場を獲得したというシナリオです。

アジア市場の開拓においては、銀行口座さえない消費者にローン販売すると
いうことまでやっています。

とことん現地に根ざした販売ノウハウを作り上げる姿勢が伺えます。

いかにもクレイジーな会社だと思いませんか?

■またクボタのもう一つの強さは、強みのある高級機種だけに集中するので
はなく、低価格の戦略機種も重視していることです。

このため、低価格を武器に市場参入を目論むアジア系メーカーの浸入を食い
止めています。

つまり建設機器という分野では小型機器に特化するという「弱者の戦略」を
とりつつも、小型機器という枠の中では、高級機も低価格機も押さえるとい
う「強者の戦略」をとっているわけです。

まさにランチェスター戦略の実践事例です。

こういうメーカーが大阪にあったんですね~

■建設機器という市場はまだまだ成長余力があります。アジア市場、東欧市
場はこれから立ち上がってくるという状況です。

ただし、成長市場には激しい競争がつき物です。

これまで成熟市場での差別化戦略でシェアを奪ってきたクボタですが、これ
からは超成長市場という未知の領域に入っていくことになります。

成長市場に待ち構えているのは、キャタピラーやコマツ、さらにはアジアの
新興メーカーなど。

いずれも手強いなりふり構わない競争戦略を仕掛けてくる相手です。

勝手の違う販売戦略を取らざるを得ないクボタ。

その未来に幸あることを祈ります。

参考:週刊ダイヤモンド2007/9/29


(2007年11月22日メルマガより)

■唐突ですが、今年の紅白の白組司会は笑福亭鶴瓶に決まったそうですね。
えらい思い切った人選ですな。

ところで、その鶴瓶が昔「ヤング・タウン」というラジオ番組で歌っていた
「ノキオ」という歌を覚えている方はおられますか?

沢田研二の「トキオ」の替え歌です。

下記はインターネットで拾ったものですから正確ではないかも知れませんが...

「ノキオ」(トキオのメロディで♪)

田植えする 肥やしやる 秋に実って稲刈りだ 
田んぼ刈り 稲を刈リ 三田市シティが舞い上がる 
ノ キ オ ノキオがコンバインに乗ったまま 
ノ キ オ ノキオが空を飛ぶ 
田んぼに実った稲の山だとお前は言ってたね 
見つめていると田んぼに入れられそうだと 
咥えタバコで涙落した 
ノ キ オ 明るい農協三田シティ 
ノ キ オ ノキオが夜に飛ぶ

■ノキオとはもちろん農協のモジリです。

コンバインとは、穀物の収穫・脱穀・選別をする農機のことですが、ここに
出てくるコンバインは、当然、クボタの製品でしょうね。

鶴瓶の歌に登場する農機具は、浪速の農機具メーカー、クボタの製品じゃな
いとあきませんわ^^

■クボタ株式会社は、1890年の創業。鋳物の製造から出発し、創業32年目に
農機具を開発しました。現在では建設機械も広く扱っています。

今でも大阪浪速区に本社を置き、農機具の生産高は首位のメーカーです。

このクボタ、成熟した市場で高利益を享受する(←ブルドックソースのよう
な)農機具専業のローカルメーカーと思っていたら大違いです。

なんと営業利益の7割は、海外で稼ぎ出すという知られざるグローバル企業
だそうです@_@

■クボタが北米進出を始めたのは1970年代です。当初は日系人相手の商売を
目論んでいたようですが、泣かず飛ばず。

ところが芝刈り機能付きの小型トラクタというアイデア商品のヒットをきっ
かけに「自家用小型建機」という分野に強みを見出します。

広い家に庭を持ち、自分で庭整備や農作業をすることをステイタスとする
アメリカの富裕層の心を見事にとらえたのです。

■当時のアメリカはトラクタも大型車全盛でした。だから、それを自家製にする
ことは難しかったようですが、クボタの小型農機はぴたりと適応したわけです。

またクボタの建設機器もアメリカの需要を捉え始めます。

というのも、日本の狭い道路で鍛えられたクボタの技術とノウハウは、既存道路
の整備・改修という先進国の需要を捉えて、小型建機市場というジャンルを
創り出すこととなりました。

クボタについて驚くべきは、アジア諸国などの新興国で販売するのではなく、
欧米の先進国需要だけで成長を続けていることです。

これで、アジア進出を本格化すれば、どんな大きな需要を捉えるのでしょうか???

■以前このメルマガで、日本製航空機の実現が危ぶまれる理由の一つとして
「セールスという最もキツイ仕事を商社まかせにしている」ことを挙げまし
た。参考→「日本製航空機は羽ばたくか」

多くの優秀な技術を誇るメーカーが直面する壁がこれです。

自動車や家電など一部のクレイジーなメーカーが、現地法人を作って独自に
販路を切り開いてきたのですが、それはあくまで一部です。

多くの優秀なメーカーは、販売会社の下請けの立場でビジネスしています。
その方が、どう考えても効率的だからです。

しかし、このクボタはクレイジーな一部のメーカーでした。

なにしろ「自動車会社かクボタか」と言われる程現地に入り込んだ販売網を
構築しているようです。

■クボタの販路開拓の基本戦略は
「単価の低い小型分野に特化」
「ディーラーに十分な利益を渡す」
「アフターサービス網を自社で充実」
というものです。

要するに「自社が儲からないこと」を率先してやった結果、得意先や消費者
の満足につながって市場を獲得したというシナリオです。

アジア市場の開拓においては、銀行口座さえない消費者にローン販売すると
いうことまでやっています。

とことん現地に根ざした販売ノウハウを作り上げる姿勢が伺えます。

いかにもクレイジーな会社だと思いませんか?

■またクボタのもう一つの強さは、強みのある高級機種だけに集中するので
はなく、低価格の戦略機種も重視していることです。

このため、低価格を武器に市場参入を目論むアジア系メーカーの浸入を食い
止めています。

つまり建設機器という分野では小型機器に特化するという「弱者の戦略」を
とりつつも、小型機器という枠の中では、高級機も低価格機も押さえるとい
う「強者の戦略」をとっているわけです。

まさにランチェスター戦略の実践事例です。

こういうメーカーが大阪にあったんですね~

■建設機器という市場はまだまだ成長余力があります。アジア市場、東欧市
場はこれから立ち上がってくるという状況です。

ただし、成長市場には激しい競争がつき物です。

これまで成熟市場での差別化戦略でシェアを奪ってきたクボタですが、これ
からは超成長市場という未知の領域に入っていくことになります。

成長市場に待ち構えているのは、キャタピラーやコマツ、さらにはアジアの
新興メーカーなど。

いずれも手強いなりふり構わない競争戦略を仕掛けてくる相手です。

勝手の違う販売戦略を取らざるを得ないクボタ。

その未来に幸あることを祈ります。

参考:週刊ダイヤモンド2007/9/29

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