キリン、サントリー、アサヒ、オリオン

2009.07.16

(2009年7月16日メルマガより)

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■私は今週の月曜日から沖縄に来ています。

それにしても今週は大きなニュースが相次ぎましたね。

特に月曜日。

トップニュースは、東京都議選の結果についてだなと思っていたら、それ以
上の衝撃の記事が。

なんと「キリンとサントリーが統合へ向けて話し合い」だと。

びっくりしましたねーー

■日本におけるビールと清涼飲料の強者メーカーの統合です。

実現すれば年間売上高3兆8200億円。

弱者が生き残りのために合併するのではなく、強者がさらに強くなるための
統合は久しくなかったはずです。

キリンはともかく、非上場企業のサントリーが統合に応じることなどありえ
ないだろうと思っておりました。

いや、ありえないということ自体が、根拠の無い思い込みですね。

これからは何でもありだと思わないといけない。

例えば、トヨタとホンダが統合するとか。。。

パナソニックとソニーが統合するとか。。。

■私は今週沖縄でセミナーをやっておりまして、その中で「アサヒスーパー
ドライの逆転戦略」という事例を紹介しておりました。

なんとも間抜けな事例紹介になってしまいました^^;

「今やインパクトのない事例になりましたなーー」と言って笑いをとるのが
精一杯でした。

■なぜ強者であるキリンとサントリーが統合するのか。

これは、彼らが、自身は弱者であると捉えているからに他なりません。

ランチェスター戦略では、市場シェア1位の企業を強者、それ以外を弱者と
呼びます。

ただし、市場という概念は一定ではありませんから、見る角度によって1位
かそうでないかは変わります。

例えば、ビール系飲料全体ではキリンは1位ですから強者です。

しかし、ビールだけでは、アサヒのスーパードライが依然として1位です。

自動販売機においては、キリンもサントリーも弱者です。この分野では、強
者はコカコーラです。

もちろん全国では、キリンが強者ですが、沖縄だけで見れば、圧倒的な強者
は我らがオリオンビールです^^

■つまり、市場シェア1位というのは、ある局面において1位ということで
す。

ランチェスター戦略では、ナンバーワン(2位以下に√3倍以上差をつけた
1位)になることを目標としますが、そのためにはまず「どの市場でナンバ
ーワンになるのか」ということを決めなければならないのです。

この「どの市場を戦いの場所に選ぶか」ということが、ランチェスター戦略
における最も重要な戦略決定であり、企業の最大の差別化要因となります。

市場選択が明確であることが戦略の第一歩であり、これが曖昧な企業は戦略
そのものが無いといってもいい。これでは生き残ることができません。

■今回のキリンとサントリーの場合、市場をアジアマーケット全体に設定し
ているはずです。

そもそも少子高齢化が進み、縮小し続けている日本市場に多くの大企業は見
切りをつけようとしています。

キリンの場合、主戦場である日本のビール市場から脱却する試みを長い時間
をかけてやってきており、アジアに流通網を着々と作り上げてきました。

これはサントリーも同じです。日本のウィスキー市場で圧倒的な強者であっ
た同社も、いち早くウィスキー市場の衰退という事態に直面し、戦場(市場)
を変え続けてきた歴史があります。

日本のビール市場ではうまくいかなかったので、上海に地盤を築きトップシ
ェアをとったというニュースは記憶に新しいのではないでしょうか。

ところが、日本の7倍の成長率を誇るアジア市場には世界の強豪が待ち構え
ています。

日本では強者である2社も、アジアでは横綱相撲をとることができないかも
知れない。微妙な局面です。

競合に先んじてインフラを整備するには(要するにM&Aを実施すること)
規模を大きくして資金調達力を向上しておかなければならないというのが、
2社の思惑だと思われます。(新聞各社はそう書いていますね)

■そう考えてみると実に分かりやすい戦略決断です。

経営コンサルタントの大前研一氏は「日本にこのまま残ろうとする経営者は
余程の鈍感だ」という意味のことを言っていました。

世界は北米、EU、アジアという三大マーケットに分かれてきており、特に
成長著しいアジアは、世界の有力企業がターゲットにしようとしています。

距離的に日本から近いアジアは、本来、日本が主戦場としなければなりませ
ん。

大前研一氏の言うように「日本の国土がアジア全体に広がった」ぐらいに捉
えないと、企業は成長戦略をとることができません。

恐らく、これからも多くの企業が、アジア市場をにらんでダイナミックな動
きを加速させることでしょう。

今回のキリンとサントリーには、アジア市場への先発隊として、頑張ってい
ただきたいと日本人の一人として思います。

■さて、残されたアサヒとサッポロはどうするのか。

2社が統合するという噂は前々からありますが、果たして実現するのでしょ
うか。

もっとも、今となっては、この2社が一緒になってもそれほどインパクトは
ありませんね。

キリンとサントリーの統合はそれほどシリアスです。

なぜなら、多くの商品市場において、この2社は1位あるいはナンバーワン
となってしまうからです。

ビール系飲料においては、既に1位のキリンなので、サントリーのモルツを
取り込んで、当然1位です。

清涼飲料水においても、コカコーラを抜いて1位になる見込みです。

ウィスキーはもちろんダントツのナンバーワンです。

ワインにおいてもナンバーワンになります。

■普通に考えれば、1位企業は最も有利にビジネスを展開できます。

縮小市場においては、1位は最後まで生き残り、成長市場においては、1位
は最初に売上を伸ばします。

過当競争下においては、体力のある1位は当然消耗戦に強い存在となります。

マクドナルドが価格競争下で自らも傷を負いながら、その後、復活した時に
は再びダントツの1位になったことを思えば、1位企業は相当荒っぽい戦略
も自在に操れるということが分かります。

だとすれば、残された他の企業は、どうすればいいのか。

■アサヒ、サッポロとも脱ビール市場に遅れをとり、さらに海外進出に遅れ
をとっていますから、キリン、サントリー連合に対抗するために、最も現実
的な方法は、海外の飲料大手企業と合併または提携することでしょう。

日本を含めたアジア市場攻略を狙う海外メーカーにとっては、日本企業の技
術力と生産力、販売網は、喉から手が出るほど欲しいはずです。

高く買ってくれる相手はたくさんいるはずです。

■独自路線でいくというならば、アサヒは強い日本のビール市場を強化しつ
つ、海外の隙間地域を狙ってコツコツとシェアを獲得するという方法をとら
なければなりません。

特に日本市場の死守は絶対条件です。

今回、キリン、サントリーとも経営者は「国内市場をまず固める」という趣
旨の発言をしており、並々ならぬ決意が伺えます。

しかし現実には、国内にそれほど手間はかけられないのではないか。

というのも、今回、株式市場は両者の統合を歓迎しており、その中には、海
外進出による利益率向上期待も含まれています。

国内の過当競争が利益率低下の原因となっているので、そこに力を注いでい
ては、株主の反発を買ってしまいます。

当初は、国内市場に力を入れる姿勢を見せるでしょうが、早晩、リベートや
販促費の削減を掲げて、海外市場にシフトするだろうと私は見ています。

だから国内に留まるメーカーにとっては実はチャンスだと考えることができ
ます。

公正取引委員会の手前もあり無茶はできない2社の隙を突いて、コツコツと
市場獲得の努力をするべきでしょう。

■さて我らがオリオンビールはどうするのか。

慌ててどこかと合併するなどはしてほしくないですね。

オリオンビールは全国シェア1%未満の企業ですが、沖縄においてはトップ
シェアです。

ナンバーワンカテゴリーも持っており、簡単にひっくり返される立場ではあ
りません。

ここは冷静になって、自分自身が強い市場を見極め、普段通りの営業をさら
に強化してもらいたいと思います。

■キリン、サントリーの立場からすれば、沖縄市場にそれほど力を入れるわ
けにはいきませんから、どこか重点地域や重点顧客に絞って、ピンポイント
攻撃をかけてくるはずです。

恐らく、チェーンストアや飲食店グループを選んで、営業を集中させるでし
ょう。

キリンとサントリー双方の営業力と販促費が一緒になって攻勢をかけてくる
ので、確かに脅威ですが、強者であるオリオンは丹念にミートすることが必
要です。

コツは、相手を入れても、独占させないこと。

確率戦の市場にしてしまえば、沖縄において認知度がナンバーワンのオリオ
ンビールが負けることはありません。

変に完全排除しようとすれば、こちらも莫大な販促費負担が生じるので、あ
くまで確率戦の市場を作るというところに目標を置くべきです。

(確率戦の市場とは、複数の競合が参入しているため、それぞれの差別化が
効きにくい市場のこと。強者に有利な市場です)

我らがオリオンビールを応援しておりますので^^


(2009年7月16日メルマガより)

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■私は今週の月曜日から沖縄に来ています。

それにしても今週は大きなニュースが相次ぎましたね。

特に月曜日。

トップニュースは、東京都議選の結果についてだなと思っていたら、それ以
上の衝撃の記事が。

なんと「キリンとサントリーが統合へ向けて話し合い」だと。

びっくりしましたねーー

■日本におけるビールと清涼飲料の強者メーカーの統合です。

実現すれば年間売上高3兆8200億円。

弱者が生き残りのために合併するのではなく、強者がさらに強くなるための
統合は久しくなかったはずです。

キリンはともかく、非上場企業のサントリーが統合に応じることなどありえ
ないだろうと思っておりました。

いや、ありえないということ自体が、根拠の無い思い込みですね。

これからは何でもありだと思わないといけない。

例えば、トヨタとホンダが統合するとか。。。

パナソニックとソニーが統合するとか。。。

■私は今週沖縄でセミナーをやっておりまして、その中で「アサヒスーパー
ドライの逆転戦略」という事例を紹介しておりました。

なんとも間抜けな事例紹介になってしまいました^^;

「今やインパクトのない事例になりましたなーー」と言って笑いをとるのが
精一杯でした。

■なぜ強者であるキリンとサントリーが統合するのか。

これは、彼らが、自身は弱者であると捉えているからに他なりません。

ランチェスター戦略では、市場シェア1位の企業を強者、それ以外を弱者と
呼びます。

ただし、市場という概念は一定ではありませんから、見る角度によって1位
かそうでないかは変わります。

例えば、ビール系飲料全体ではキリンは1位ですから強者です。

しかし、ビールだけでは、アサヒのスーパードライが依然として1位です。

自動販売機においては、キリンもサントリーも弱者です。この分野では、強
者はコカコーラです。

もちろん全国では、キリンが強者ですが、沖縄だけで見れば、圧倒的な強者
は我らがオリオンビールです^^

■つまり、市場シェア1位というのは、ある局面において1位ということで
す。

ランチェスター戦略では、ナンバーワン(2位以下に√3倍以上差をつけた
1位)になることを目標としますが、そのためにはまず「どの市場でナンバ
ーワンになるのか」ということを決めなければならないのです。

この「どの市場を戦いの場所に選ぶか」ということが、ランチェスター戦略
における最も重要な戦略決定であり、企業の最大の差別化要因となります。

市場選択が明確であることが戦略の第一歩であり、これが曖昧な企業は戦略
そのものが無いといってもいい。これでは生き残ることができません。

■今回のキリンとサントリーの場合、市場をアジアマーケット全体に設定し
ているはずです。

そもそも少子高齢化が進み、縮小し続けている日本市場に多くの大企業は見
切りをつけようとしています。

キリンの場合、主戦場である日本のビール市場から脱却する試みを長い時間
をかけてやってきており、アジアに流通網を着々と作り上げてきました。

これはサントリーも同じです。日本のウィスキー市場で圧倒的な強者であっ
た同社も、いち早くウィスキー市場の衰退という事態に直面し、戦場(市場)
を変え続けてきた歴史があります。

日本のビール市場ではうまくいかなかったので、上海に地盤を築きトップシ
ェアをとったというニュースは記憶に新しいのではないでしょうか。

ところが、日本の7倍の成長率を誇るアジア市場には世界の強豪が待ち構え
ています。

日本では強者である2社も、アジアでは横綱相撲をとることができないかも
知れない。微妙な局面です。

競合に先んじてインフラを整備するには(要するにM&Aを実施すること)
規模を大きくして資金調達力を向上しておかなければならないというのが、
2社の思惑だと思われます。(新聞各社はそう書いていますね)

■そう考えてみると実に分かりやすい戦略決断です。

経営コンサルタントの大前研一氏は「日本にこのまま残ろうとする経営者は
余程の鈍感だ」という意味のことを言っていました。

世界は北米、EU、アジアという三大マーケットに分かれてきており、特に
成長著しいアジアは、世界の有力企業がターゲットにしようとしています。

距離的に日本から近いアジアは、本来、日本が主戦場としなければなりませ
ん。

大前研一氏の言うように「日本の国土がアジア全体に広がった」ぐらいに捉
えないと、企業は成長戦略をとることができません。

恐らく、これからも多くの企業が、アジア市場をにらんでダイナミックな動
きを加速させることでしょう。

今回のキリンとサントリーには、アジア市場への先発隊として、頑張ってい
ただきたいと日本人の一人として思います。

■さて、残されたアサヒとサッポロはどうするのか。

2社が統合するという噂は前々からありますが、果たして実現するのでしょ
うか。

もっとも、今となっては、この2社が一緒になってもそれほどインパクトは
ありませんね。

キリンとサントリーの統合はそれほどシリアスです。

なぜなら、多くの商品市場において、この2社は1位あるいはナンバーワン
となってしまうからです。

ビール系飲料においては、既に1位のキリンなので、サントリーのモルツを
取り込んで、当然1位です。

清涼飲料水においても、コカコーラを抜いて1位になる見込みです。

ウィスキーはもちろんダントツのナンバーワンです。

ワインにおいてもナンバーワンになります。

■普通に考えれば、1位企業は最も有利にビジネスを展開できます。

縮小市場においては、1位は最後まで生き残り、成長市場においては、1位
は最初に売上を伸ばします。

過当競争下においては、体力のある1位は当然消耗戦に強い存在となります。

マクドナルドが価格競争下で自らも傷を負いながら、その後、復活した時に
は再びダントツの1位になったことを思えば、1位企業は相当荒っぽい戦略
も自在に操れるということが分かります。

だとすれば、残された他の企業は、どうすればいいのか。

■アサヒ、サッポロとも脱ビール市場に遅れをとり、さらに海外進出に遅れ
をとっていますから、キリン、サントリー連合に対抗するために、最も現実
的な方法は、海外の飲料大手企業と合併または提携することでしょう。

日本を含めたアジア市場攻略を狙う海外メーカーにとっては、日本企業の技
術力と生産力、販売網は、喉から手が出るほど欲しいはずです。

高く買ってくれる相手はたくさんいるはずです。

■独自路線でいくというならば、アサヒは強い日本のビール市場を強化しつ
つ、海外の隙間地域を狙ってコツコツとシェアを獲得するという方法をとら
なければなりません。

特に日本市場の死守は絶対条件です。

今回、キリン、サントリーとも経営者は「国内市場をまず固める」という趣
旨の発言をしており、並々ならぬ決意が伺えます。

しかし現実には、国内にそれほど手間はかけられないのではないか。

というのも、今回、株式市場は両者の統合を歓迎しており、その中には、海
外進出による利益率向上期待も含まれています。

国内の過当競争が利益率低下の原因となっているので、そこに力を注いでい
ては、株主の反発を買ってしまいます。

当初は、国内市場に力を入れる姿勢を見せるでしょうが、早晩、リベートや
販促費の削減を掲げて、海外市場にシフトするだろうと私は見ています。

だから国内に留まるメーカーにとっては実はチャンスだと考えることができ
ます。

公正取引委員会の手前もあり無茶はできない2社の隙を突いて、コツコツと
市場獲得の努力をするべきでしょう。

■さて我らがオリオンビールはどうするのか。

慌ててどこかと合併するなどはしてほしくないですね。

オリオンビールは全国シェア1%未満の企業ですが、沖縄においてはトップ
シェアです。

ナンバーワンカテゴリーも持っており、簡単にひっくり返される立場ではあ
りません。

ここは冷静になって、自分自身が強い市場を見極め、普段通りの営業をさら
に強化してもらいたいと思います。

■キリン、サントリーの立場からすれば、沖縄市場にそれほど力を入れるわ
けにはいきませんから、どこか重点地域や重点顧客に絞って、ピンポイント
攻撃をかけてくるはずです。

恐らく、チェーンストアや飲食店グループを選んで、営業を集中させるでし
ょう。

キリンとサントリー双方の営業力と販促費が一緒になって攻勢をかけてくる
ので、確かに脅威ですが、強者であるオリオンは丹念にミートすることが必
要です。

コツは、相手を入れても、独占させないこと。

確率戦の市場にしてしまえば、沖縄において認知度がナンバーワンのオリオ
ンビールが負けることはありません。

変に完全排除しようとすれば、こちらも莫大な販促費負担が生じるので、あ
くまで確率戦の市場を作るというところに目標を置くべきです。

(確率戦の市場とは、複数の競合が参入しているため、それぞれの差別化が
効きにくい市場のこと。強者に有利な市場です)

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