小さな会社のM&Aが日本を救う?

2017.06.15

(2017年6月15日メルマガより)


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■先日、このような記事を読みました。

参考:60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい 500万円で優良企業の社長になる方法【前編】(現代オンライン)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636

えらい時代になったもんですねー。

退職金で会社が買えるんですか??

■記事の内容は納得できます。

人生80年時代。会社を定年退職してもあと20年、どのように過ごせばいいのか。

大手企業にてそれなりの経験をした人は、中小企業の経営をすればいい。

いま後継者不足に悩む中小企業はごまんとあり、廃業するぐらいなら、誰かに任せようと思う会社も多くある。

そんな会社を買いとることで、「天下り」してしまえばいいのだ。。。

■でも、ほんまにそんな簡単に買えるものだろうか。会社が500万円?

と疑問に思って、大手M&A仲介会社の人に聞いてみると、あっさりと言われました。

「500万円どころか、0円もありますよ」

って、型遅れのガラケーか!

もっとも、0円には0円なりの理由があり、借金があるとか、市場縮小して売上が立たないとか、維持費がやたらかかるとか、続けるには困難があるようですが。

■まあ、それにしても、こういう記事がでるあたり、日本でもM&A(合併&買収)が一般化してきた証拠ではないでしょうか。

もともと日本企業はM&Aに消極的だったといわれています。

しかしこれだけ市場が成熟してくると、自前で企業を成長どころか維持させることも難しくなってきます。

なにしろ成熟期、衰退期は、業界内の勢力図はトップ数社に集約されていくもので、下位企業には生き残るチャンスさえ少ない。

現場でコツコツやっているだけでは、山崩れが起きていることに気づかずに、なすすべもなく終焉を迎えてしまうやも知れません。まさに「戦略がなければ生き残れない」です。

そんな中、戦略的になろうとすれば、成長や生き残りのためのM&Aを積極的にせざるを得ないわけです。

また、日本電産のようにM&Aをうまく活用して成功している企業が現実に出てきたことも我々のマインドを刺激しています。

ちなみに今年の初めには、こんな記事もありました。

参考:上場企業、純利益25%増 事業再編や合理化テコ(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12960760V10C17A2DTA000/

これは昨年10月~12月の状況について書いた記事ですが、その時期上場企業の純利益は25%増加したとのこと。

その要因として、事業再構築による利益率の向上とともに、M&Aをてこに業績を伸ばす企業が増えていることがあげられています

■ただ昨今の状況をみてみると、M&Aを活用しようという機運が、大手企業や外資系企業にとどまらず、中小企業にも広がっていることが感ぜられます。

そのひとつが、政府の動きです。

参考:廃業回避へM&A活用 中小企業庁、事業承継指針見直し 厳格ルールなお障壁(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15874910Y7A420C1TCJ000/

これからも日本の産業が勢いを持ち続けるためには、一部の大手企業だけではなく、裾野となる中小企業の力が必要です。

ところが多くの中小企業がいま危機に瀕しています。その大きな理由の一つが後継者不足です。

「子供が会社を継がない」「従業員も経営者にはなりたがらない」そんな理由で、廃業せざるを得ない会社が多くあるというのです。

廃業。という選択は、社長にとっては個人的な決断かもしれませんが、地域社会にとっては雇用の機会を喪失することです。

さらには廃業する会社が多くなってしまうと、産業全体の弱体化を招きます。日本企業の強みである元請け、下請けを含めた集団の技術・生産体制が弱くなることを意味するのです。

そうなっては困るので、日本政府も、M&Aを積極活用して、事業継承がなされることを推奨している次第です。

■というわけで最初の記事に戻ります。

500万円で会社が買える。いや、0円でも買える。

まるで夢のようですが、実際には様々な障壁があります。

そもそも安い価格で買える会社というのは、運営が難しいはずです。

借金があるし、売上も落ちている。訳あり物件じゃないと、安い価格で譲り渡そうと思わないのではないか。と勘繰りたくなります。

いや、それどころか、表に出てこない問題があるやもしれません。隠れ債務というやつで、関係会社や子会社がえらい問題を抱えているかも知れません。←東芝がいま大変な目にあっている原因の一つが、買収した米国のウェスティングハウス社の隠れ債務の存在でしたから。

買ったとして経営者になっても、古参の従業員が素直に言うことを聞かないかも知れません。経営者として、戦略や管理は担当できても実行するのは社員ですから、サボタージュされたらお手上げです。

なんやかんやで問題山積ですよ。

■が、私たちコンサルタントや中小企業診断士は、こういう案件にはなれっこです。

言っちゃなんですが、債務超過(資産よりも借金の方が多い状態)で切羽詰まった会社が普通です。

問題点を探って、生き残りの方向性を見出し、その計画を金融機関に説明して返済計画を練り直す。その上で、生き残りのための営業戦略を実行する。

実行する上では「部外者が何を言ってやがる」と反発する従業員の方に心をつくして説明し、動いてもらう。

私たちが通常業務としてやっていることなんですよね。

債務超過だからもうだめだーなんて諦めていたら、それこそ倒産企業ばかりになってしまって、日本の産業は壊滅状態になりますよ。

だから会社を買おうという人は、そういうギリギリの会社でも何とかしなければならないと覚悟して臨まなければなりません。

たいていの会社は、生き残る道を見つけられるものです。

■もちろんコンサルタントとして関わるのと、自分で経営するのとではリスクも覚悟も違うでしょう。

ですからあくまでも自己責任で決断してください。念のため。

少なくとも買う決断をする前には、対象となる会社のことを十二分に調べる必要があります。

間違えてはいけませんよ。M&A仲介会社が保証してくれるわけではありません。隠れ債務が後から見つかったからといって、誰も責任をとってくれませんよ。

だから、仲介会社の情報を鵜呑みにしてはダメです。自分で調べなければなりません。

ですから調査には、しっかりした専門家チーム(公認会計士、弁護士、中小企業診断士など)を雇って、納得いくまで調べてください。

■買ったとしても、それで終わりではありません。それからが勝負です。

すなわち売上をあげて、維持しなければなりません。

大手企業の管理職までされた方なら、売上をあげる戦略を作り、目標管理を行うことはできないことではないでしょう。

できなければ専門家を雇えばいいのです。それも含めて、実行する経験はあると想像します。

事前調査するにしろ、その後の成長戦略を立てるにしろ、そういう時のために私たち専門家がいるわけですから、どしどし利用をしてくださいね。

■思うに、経営者にも、得意、不得意があります。

事業の立ち上げが得意な人。

事業の維持が得意な人。

自ら先頭に立って陣頭指揮するのが得意な人。

自らは表に出ずに人を動かすのが得意な人。

もし大手企業を退職した人が、事業の維持が得意な管理者タイプなら、一から起業する苦労は大変なストレスになることでしょう。

そういう人が経営者になろうとする場合は、迷わずM&Aを検討すべきです。

■逆から見ると、売る側にも選択肢が広がったといえます。

引退の時期が近付いたと感じる経営者にとって、後継者がいなければ、誰かに売るというのも一つの方法に違いありません。

従業員に暇を出して廃業するよりも、誰かに譲って、いくばくかの売却金をもらう方が合理的です。

いや、なにも引退の時期でなくても構いません。

起業してそれなりの会社組織を育て上げたら、そこで売却して、自分は次の会社を立ち上げればいいのです。

上でも言ったように、事業の立ち上げが得意な人もいます。そういう人は、何度も立ち上げればいい。欧米では、こういう人のことをシリアル・アントレプレナーというそうですよ。

欧米ではM&Aマーケットがしっかり存在するので、起業して数年の会社を売却することも可能です。そこで儲けたお金を使って新たな会社を立ち上げることを繰り返す人のことをシリアル・アントレプレナーというわけです。

日本でも、小さな会社のM&A市場が一般化すれば、それも可能になるはず。今後、そうなっていくと期待します。

■私は、定期的に創業塾の講師を担当していますので、毎年、新たな起業家や起業予備軍と出会います。

そういう方の中には、根っからの起業家という方もおられます。

または、自分で起業するよりも、どこかの会社の経営者になった方がいいんじゃないかと思える人もおられます。

人によって起業の形も経営への関わり方も様々です。

そういう方たちにとっても、小さな会社のM&A市場があれば、救われることも多いはずです。

■ただそのためには、日本でも小さな会社のM&A市場がもっとしっかりと立ち上がらなければなりません。

残念ながら今のところ、日本のM&A市場はそれなりの規模の企業を対象にしています。仲介手数料も、数千万円単位が必要です。

500万円とか0円で売りに出される企業に、手数料が数千万円って、非現実的ですよ。

もしかしたら、小さなM&A案件に対応する仲介会社もあるのかも知れませんが、まだ一般的とはいえないでしょう。

一般人でも気軽に関われるような数百万円のM&A市場が本格的に立ち上がる時、日本の社会や産業全体は変わっていくはずです。

必ずそういう時代は来ると思いますし、来なければなりません。

それに、これって、けっこう大きなビジネスチャンスになるでしょうね。


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■先日、このような記事を読みました。

参考:60過ぎたら、退職金で会社を買いなさい 500万円で優良企業の社長になる方法【前編】(現代オンライン)
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51636

えらい時代になったもんですねー。

退職金で会社が買えるんですか??

■記事の内容は納得できます。

人生80年時代。会社を定年退職してもあと20年、どのように過ごせばいいのか。

大手企業にてそれなりの経験をした人は、中小企業の経営をすればいい。

いま後継者不足に悩む中小企業はごまんとあり、廃業するぐらいなら、誰かに任せようと思う会社も多くある。

そんな会社を買いとることで、「天下り」してしまえばいいのだ。。。

■でも、ほんまにそんな簡単に買えるものだろうか。会社が500万円?

と疑問に思って、大手M&A仲介会社の人に聞いてみると、あっさりと言われました。

「500万円どころか、0円もありますよ」

って、型遅れのガラケーか!

もっとも、0円には0円なりの理由があり、借金があるとか、市場縮小して売上が立たないとか、維持費がやたらかかるとか、続けるには困難があるようですが。

■まあ、それにしても、こういう記事がでるあたり、日本でもM&A(合併&買収)が一般化してきた証拠ではないでしょうか。

もともと日本企業はM&Aに消極的だったといわれています。

しかしこれだけ市場が成熟してくると、自前で企業を成長どころか維持させることも難しくなってきます。

なにしろ成熟期、衰退期は、業界内の勢力図はトップ数社に集約されていくもので、下位企業には生き残るチャンスさえ少ない。

現場でコツコツやっているだけでは、山崩れが起きていることに気づかずに、なすすべもなく終焉を迎えてしまうやも知れません。まさに「戦略がなければ生き残れない」です。

そんな中、戦略的になろうとすれば、成長や生き残りのためのM&Aを積極的にせざるを得ないわけです。

また、日本電産のようにM&Aをうまく活用して成功している企業が現実に出てきたことも我々のマインドを刺激しています。

ちなみに今年の初めには、こんな記事もありました。

参考:上場企業、純利益25%増 事業再編や合理化テコ(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO12960760V10C17A2DTA000/

これは昨年10月~12月の状況について書いた記事ですが、その時期上場企業の純利益は25%増加したとのこと。

その要因として、事業再構築による利益率の向上とともに、M&Aをてこに業績を伸ばす企業が増えていることがあげられています

■ただ昨今の状況をみてみると、M&Aを活用しようという機運が、大手企業や外資系企業にとどまらず、中小企業にも広がっていることが感ぜられます。

そのひとつが、政府の動きです。

参考:廃業回避へM&A活用 中小企業庁、事業承継指針見直し 厳格ルールなお障壁(日本経済新聞 有料記事)
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO15874910Y7A420C1TCJ000/

これからも日本の産業が勢いを持ち続けるためには、一部の大手企業だけではなく、裾野となる中小企業の力が必要です。

ところが多くの中小企業がいま危機に瀕しています。その大きな理由の一つが後継者不足です。

「子供が会社を継がない」「従業員も経営者にはなりたがらない」そんな理由で、廃業せざるを得ない会社が多くあるというのです。

廃業。という選択は、社長にとっては個人的な決断かもしれませんが、地域社会にとっては雇用の機会を喪失することです。

さらには廃業する会社が多くなってしまうと、産業全体の弱体化を招きます。日本企業の強みである元請け、下請けを含めた集団の技術・生産体制が弱くなることを意味するのです。

そうなっては困るので、日本政府も、M&Aを積極活用して、事業継承がなされることを推奨している次第です。

■というわけで最初の記事に戻ります。

500万円で会社が買える。いや、0円でも買える。

まるで夢のようですが、実際には様々な障壁があります。

そもそも安い価格で買える会社というのは、運営が難しいはずです。

借金があるし、売上も落ちている。訳あり物件じゃないと、安い価格で譲り渡そうと思わないのではないか。と勘繰りたくなります。

いや、それどころか、表に出てこない問題があるやもしれません。隠れ債務というやつで、関係会社や子会社がえらい問題を抱えているかも知れません。←東芝がいま大変な目にあっている原因の一つが、買収した米国のウェスティングハウス社の隠れ債務の存在でしたから。

買ったとして経営者になっても、古参の従業員が素直に言うことを聞かないかも知れません。経営者として、戦略や管理は担当できても実行するのは社員ですから、サボタージュされたらお手上げです。

なんやかんやで問題山積ですよ。

■が、私たちコンサルタントや中小企業診断士は、こういう案件にはなれっこです。

言っちゃなんですが、債務超過(資産よりも借金の方が多い状態)で切羽詰まった会社が普通です。

問題点を探って、生き残りの方向性を見出し、その計画を金融機関に説明して返済計画を練り直す。その上で、生き残りのための営業戦略を実行する。

実行する上では「部外者が何を言ってやがる」と反発する従業員の方に心をつくして説明し、動いてもらう。

私たちが通常業務としてやっていることなんですよね。

債務超過だからもうだめだーなんて諦めていたら、それこそ倒産企業ばかりになってしまって、日本の産業は壊滅状態になりますよ。

だから会社を買おうという人は、そういうギリギリの会社でも何とかしなければならないと覚悟して臨まなければなりません。

たいていの会社は、生き残る道を見つけられるものです。

■もちろんコンサルタントとして関わるのと、自分で経営するのとではリスクも覚悟も違うでしょう。

ですからあくまでも自己責任で決断してください。念のため。

少なくとも買う決断をする前には、対象となる会社のことを十二分に調べる必要があります。

間違えてはいけませんよ。M&A仲介会社が保証してくれるわけではありません。隠れ債務が後から見つかったからといって、誰も責任をとってくれませんよ。

だから、仲介会社の情報を鵜呑みにしてはダメです。自分で調べなければなりません。

ですから調査には、しっかりした専門家チーム(公認会計士、弁護士、中小企業診断士など)を雇って、納得いくまで調べてください。

■買ったとしても、それで終わりではありません。それからが勝負です。

すなわち売上をあげて、維持しなければなりません。

大手企業の管理職までされた方なら、売上をあげる戦略を作り、目標管理を行うことはできないことではないでしょう。

できなければ専門家を雇えばいいのです。それも含めて、実行する経験はあると想像します。

事前調査するにしろ、その後の成長戦略を立てるにしろ、そういう時のために私たち専門家がいるわけですから、どしどし利用をしてくださいね。

■思うに、経営者にも、得意、不得意があります。

事業の立ち上げが得意な人。

事業の維持が得意な人。

自ら先頭に立って陣頭指揮するのが得意な人。

自らは表に出ずに人を動かすのが得意な人。

もし大手企業を退職した人が、事業の維持が得意な管理者タイプなら、一から起業する苦労は大変なストレスになることでしょう。

そういう人が経営者になろうとする場合は、迷わずM&Aを検討すべきです。

■逆から見ると、売る側にも選択肢が広がったといえます。

引退の時期が近付いたと感じる経営者にとって、後継者がいなければ、誰かに売るというのも一つの方法に違いありません。

従業員に暇を出して廃業するよりも、誰かに譲って、いくばくかの売却金をもらう方が合理的です。

いや、なにも引退の時期でなくても構いません。

起業してそれなりの会社組織を育て上げたら、そこで売却して、自分は次の会社を立ち上げればいいのです。

上でも言ったように、事業の立ち上げが得意な人もいます。そういう人は、何度も立ち上げればいい。欧米では、こういう人のことをシリアル・アントレプレナーというそうですよ。

欧米ではM&Aマーケットがしっかり存在するので、起業して数年の会社を売却することも可能です。そこで儲けたお金を使って新たな会社を立ち上げることを繰り返す人のことをシリアル・アントレプレナーというわけです。

日本でも、小さな会社のM&A市場が一般化すれば、それも可能になるはず。今後、そうなっていくと期待します。

■私は、定期的に創業塾の講師を担当していますので、毎年、新たな起業家や起業予備軍と出会います。

そういう方の中には、根っからの起業家という方もおられます。

または、自分で起業するよりも、どこかの会社の経営者になった方がいいんじゃないかと思える人もおられます。

人によって起業の形も経営への関わり方も様々です。

そういう方たちにとっても、小さな会社のM&A市場があれば、救われることも多いはずです。

■ただそのためには、日本でも小さな会社のM&A市場がもっとしっかりと立ち上がらなければなりません。

残念ながら今のところ、日本のM&A市場はそれなりの規模の企業を対象にしています。仲介手数料も、数千万円単位が必要です。

500万円とか0円で売りに出される企業に、手数料が数千万円って、非現実的ですよ。

もしかしたら、小さなM&A案件に対応する仲介会社もあるのかも知れませんが、まだ一般的とはいえないでしょう。

一般人でも気軽に関われるような数百万円のM&A市場が本格的に立ち上がる時、日本の社会や産業全体は変わっていくはずです。

必ずそういう時代は来ると思いますし、来なければなりません。

それに、これって、けっこう大きなビジネスチャンスになるでしょうね。


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