相性のいい顧客を探す方法

2014.05.29

(2014年5月29日メルマガより)


■ビジネスモデル。などというと、
すごく大仰なものに聞こえるかも知れません。

ちなみにビジネスモデルとは「儲ける仕組み」のこと。

企業などが、どのようにして収益を上げるのかを仕組みとして示したものです。

■ビジネスモデルについて書いた本はわりと多いですね。

有名なのは、エイドリアン・スライウォツキーの「プロフィットゾーン経営戦略」です。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4478372667/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本には、実に22のビジネスモデルが掲載されています。

例えば、顧客開発/顧客ソリューション利益モデル。製品ピラミッド利益モデル。マルチコンポーネント利益モデル。スイッチボード利益モデル。時間利益モデル。ブロックバスター利益モデル。利益増殖モデル。起業家利益モデル。専門化利益モデル。インストールベース利益モデル。デファクトスタンダード利益モデル...

なんだかすごそうな名前ばかりです^^

しかも著者によれば、これはほんの一例であって、まだまだある。とのこと。

これはぜひとも中身を詳しく知りたい。それを駆使してみたいと思ってしまいますね。

■ただ、ビジネスモデルの解明に多大な期待を寄せるのは、魔法の杖願望につながっているので、やめた方がいいでしょう。

私の思うところ、究極のビジネスモデルとは「安く作って、高く売る」ことです。

これさえ覚えておけば間違いありません。

すべては、この「安く作って、高く売る」ことのバリエーションだと思って結構です。

■安く作って、高く売る。

卸や小売りでは、安く仕入れて、高く売る。

サービス業では、安い人件費で、高く売る。

これ以上の儲かる方法が果たしてあるでしょうか?

■そんなもん、誰でもわかってる!

と言われそうですが、その通りです。

誰でも分かっていることですし、誰でも実行しています。

そもそも、一定の社歴がある企業なら、どんな小さな会社であっても、儲かる仕組みを持っているはずです。

そうじゃないと、成り立ちません。

■例えば、ユニクロは、今や世界で5兆円超えを目標にする大企業になりましたが、もとは山口県の小さな服屋さんです。

中国で大量に製造し、コストを抑えて(安く作って)

品質以外は追求しないというコンセプトで廃棄ロスを考慮せずに売る(高く売る)

というモデルを確立し、それを拡大していきました。

大阪の写真屋がはじめたスタジオアリスは、

無限に撮り直しができるデジカメを使って(安く作って)

かけがえのない子供の記念日の記録を提供する(高く売る)

というサービスで成長しました。

どのビジネスモデルも、安く作って、高く売る。という単純な図式の中で、様々な工夫を凝らしているわけです。

※ユニクロは安売りやないか。と言わないように。あれは、原価に比べて十分に高く売るモデルですから。

■儲かる仕組みの中には、作る仕組み、仕入れる仕組み、人を育てる仕組み、経費を下げる仕組みなどが含まれるでしょうが、私の場合は「売れる仕組み」が専門です。

他の仕組みについては、今回はご容赦ください。

さて、その「売れる仕組み」です。

売れる仕組みの基本は「いかに高く売るか」です。

どこにでもあるありふれたものを工夫もなく売っていたら、高く売ることなど不可能です。

必ず価格競争に巻き込まれて、安く売るはめになってしまいます。

ですから、高く売るためには、様々は工夫がなければなりません。

その工夫こそが、ユニクロの「品質しか追わない」という思い切りですし、スタジオアリスの「子供専用の写真屋」という絞り込みです。

■おそらくどんな企業も、長い歴史の中で、自社独自の工夫を持っているに違いありません。

というか間違いなく持っています。

私はセミナーやコンサルティングの折には、企業のそうした工夫をなるべく多く収集しようとしています。

確かにどの地方の企業も、生き残るための知恵に満ちており、感心することばかりです。

が、そうしたせっかくの知恵に対しても、無自覚な企業が多い。

そうなんですね。長い歴史の中で、当たり前になってしまった工夫は、特別なことだとは思わなくなっています。

だから、業績が低迷した時に、その特長を磨こうとは思わなくなっているらしい。

そんな企業によく会います。

なんとももったいないことです。

■高く売るための工夫は企業によって様々だと言いましたが、いくつかのポイントに整理することができます。

今回は、その一つを紹介します。

高く売るためには、顧客の特徴をよく理解する必要があります。

特徴を知るには、バラバラの客層よりも、ターゲットを絞った方が、都合がいい。

スタジオアリスは、少子化の時代「子供の記念日は綺麗に着飾った写真を残してやりたい」と思う親をターゲットにしました。

ユニクロは「普段着はなるべく無個性で品質のいいものを着たい」という人たちをターゲットにしました。

ターゲットを絞れば絞るほど、顧客の特徴が明確になるので、サービスの品質も上がり、営業のコストパフォーマンスが上がります。

つまり、売る仕組みのポイントの一つは、顧客を絞り込むことです。

■しかも、できれば、自社と相性のいい顧客に絞り込みたいものです。

相性のいい顧客。というのも、抽象的な言葉ですが、要するに、自社の強みが活かせる顧客のことです。

(強みが活かせるということなので、相性=単にウマが合うことではありませんので)

簡単な方法があります。

既存顧客の売上と利益率で、顧客を分類してみてください。

一方の軸に、売上が大きい順に顧客を並べます。

もう一方の軸には、利益率が高い順に顧客を並べます。

売上 利益率.jpg

(必ず利益率です。できれは業種ごとに平均をとって相対的に並べてください)

すると、売上が大きく利益率も高い顧客。

売上は大きいが利益率は低い顧客。

売上は小さいが利益率は高い顧客。

売上は小さく利益率も低い顧客。の4つに分かれるはずです。

■普通に考えれば、売上が大きい顧客は、バイイングパワーがあるので、値引き圧力もあり、利益率が小さくなるはずです。

売上が小さい顧客は、逆に利益率が高くなるはずです。

どうしても、そういう傾向がある。

ところが、顧客を一人一人マッピングしてみると、必ず、売上も大きいし利益も高い。という顧客があります。

(逆に、売上は小さいのに、利益率も低い。という顧客もあります)

これがいわば異常値です。

この異常値にこそ、自社の強みが投影されているのです。

■この異常値を示した顧客との関係をよく知らべてみると、異常値を示すなりの理由が必ずあります。

くだらない理由もあります。数値を間違えていたとか。偶然だとか。

でも、たいていは、それなりの理由があり、そこにこそ自社の強みが発揮されている場合がほとんどなのです。

例えば、法人相手のビジネスだとします。

得意先の業種・業態をよく調べてみてください。

特定の業種や業態に対して利益率が高い。という異常値があるのは、その業種や業態から自社が重宝がられているということかも知れません。

あるいは地域でみてください。

ある地域の得意先の利益率が高い。というのは、その地域にはライバル会社が少ないのかも知れません。

あるいは企業の形態で考えてみてください。

同族企業に対して自社の強みが発揮されている場合があるかも知れません。

技術が高い企業に対して強みが発揮されているかも知れません。

営業力がない企業に対して強みが発揮されているかも知れません。

社歴が長い企業に対して強みが発揮されているかも知れません。

■どんな企業に対して強みが発揮できているのか。それはどんな企業と相性がいいのかを知ることです。

最初にいったように、できれば相性のいい企業と付き合いたい。

難しいことは考えずに、相性のいい企業に付き合いを絞って、営業力を集中すれば、無理せずに売上・利益を上げることができるはずです。

営業というのは、無理をして売ることではありません。

★夫れ兵の形は水に象る。水の行は高きを避けて下きに趨く。(孫子・虚実篇より)

(そもそも軍の態勢は、水のようなものである。水は高いところから、低いところに流れるのが自然である)

つまり、無理などせずに、売りやすい顧客、儲かりやすい顧客、理解し合える顧客と付き合うことが、本来の営業の形なのです。

だから、ターゲットを絞る。というと、何か特殊な困難な営業手法であるかのように思わないでくださいね

それは、自社と相性のいい顧客を見つけるということなのです。

売上高と利益率で調べるというのは、実に簡単にできる方法ですので、ぜひ試してみてください。

■最初に戻りますが、ビジネスの基本は「安く作って、高く売る」ことです。

売れる仕組み作りというのは、その基本に従って、営業の体制を整えることです。

特に営業が苦手だと思う会社ほど、売れる仕組みを作ってください。

決して難しいことではありませんので。


(2014年5月29日メルマガより)


■ビジネスモデル。などというと、
すごく大仰なものに聞こえるかも知れません。

ちなみにビジネスモデルとは「儲ける仕組み」のこと。

企業などが、どのようにして収益を上げるのかを仕組みとして示したものです。

■ビジネスモデルについて書いた本はわりと多いですね。

有名なのは、エイドリアン・スライウォツキーの「プロフィットゾーン経営戦略」です。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4478372667/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本には、実に22のビジネスモデルが掲載されています。

例えば、顧客開発/顧客ソリューション利益モデル。製品ピラミッド利益モデル。マルチコンポーネント利益モデル。スイッチボード利益モデル。時間利益モデル。ブロックバスター利益モデル。利益増殖モデル。起業家利益モデル。専門化利益モデル。インストールベース利益モデル。デファクトスタンダード利益モデル...

なんだかすごそうな名前ばかりです^^

しかも著者によれば、これはほんの一例であって、まだまだある。とのこと。

これはぜひとも中身を詳しく知りたい。それを駆使してみたいと思ってしまいますね。

■ただ、ビジネスモデルの解明に多大な期待を寄せるのは、魔法の杖願望につながっているので、やめた方がいいでしょう。

私の思うところ、究極のビジネスモデルとは「安く作って、高く売る」ことです。

これさえ覚えておけば間違いありません。

すべては、この「安く作って、高く売る」ことのバリエーションだと思って結構です。

■安く作って、高く売る。

卸や小売りでは、安く仕入れて、高く売る。

サービス業では、安い人件費で、高く売る。

これ以上の儲かる方法が果たしてあるでしょうか?

■そんなもん、誰でもわかってる!

と言われそうですが、その通りです。

誰でも分かっていることですし、誰でも実行しています。

そもそも、一定の社歴がある企業なら、どんな小さな会社であっても、儲かる仕組みを持っているはずです。

そうじゃないと、成り立ちません。

■例えば、ユニクロは、今や世界で5兆円超えを目標にする大企業になりましたが、もとは山口県の小さな服屋さんです。

中国で大量に製造し、コストを抑えて(安く作って)

品質以外は追求しないというコンセプトで廃棄ロスを考慮せずに売る(高く売る)

というモデルを確立し、それを拡大していきました。

大阪の写真屋がはじめたスタジオアリスは、

無限に撮り直しができるデジカメを使って(安く作って)

かけがえのない子供の記念日の記録を提供する(高く売る)

というサービスで成長しました。

どのビジネスモデルも、安く作って、高く売る。という単純な図式の中で、様々な工夫を凝らしているわけです。

※ユニクロは安売りやないか。と言わないように。あれは、原価に比べて十分に高く売るモデルですから。

■儲かる仕組みの中には、作る仕組み、仕入れる仕組み、人を育てる仕組み、経費を下げる仕組みなどが含まれるでしょうが、私の場合は「売れる仕組み」が専門です。

他の仕組みについては、今回はご容赦ください。

さて、その「売れる仕組み」です。

売れる仕組みの基本は「いかに高く売るか」です。

どこにでもあるありふれたものを工夫もなく売っていたら、高く売ることなど不可能です。

必ず価格競争に巻き込まれて、安く売るはめになってしまいます。

ですから、高く売るためには、様々は工夫がなければなりません。

その工夫こそが、ユニクロの「品質しか追わない」という思い切りですし、スタジオアリスの「子供専用の写真屋」という絞り込みです。

■おそらくどんな企業も、長い歴史の中で、自社独自の工夫を持っているに違いありません。

というか間違いなく持っています。

私はセミナーやコンサルティングの折には、企業のそうした工夫をなるべく多く収集しようとしています。

確かにどの地方の企業も、生き残るための知恵に満ちており、感心することばかりです。

が、そうしたせっかくの知恵に対しても、無自覚な企業が多い。

そうなんですね。長い歴史の中で、当たり前になってしまった工夫は、特別なことだとは思わなくなっています。

だから、業績が低迷した時に、その特長を磨こうとは思わなくなっているらしい。

そんな企業によく会います。

なんとももったいないことです。

■高く売るための工夫は企業によって様々だと言いましたが、いくつかのポイントに整理することができます。

今回は、その一つを紹介します。

高く売るためには、顧客の特徴をよく理解する必要があります。

特徴を知るには、バラバラの客層よりも、ターゲットを絞った方が、都合がいい。

スタジオアリスは、少子化の時代「子供の記念日は綺麗に着飾った写真を残してやりたい」と思う親をターゲットにしました。

ユニクロは「普段着はなるべく無個性で品質のいいものを着たい」という人たちをターゲットにしました。

ターゲットを絞れば絞るほど、顧客の特徴が明確になるので、サービスの品質も上がり、営業のコストパフォーマンスが上がります。

つまり、売る仕組みのポイントの一つは、顧客を絞り込むことです。

■しかも、できれば、自社と相性のいい顧客に絞り込みたいものです。

相性のいい顧客。というのも、抽象的な言葉ですが、要するに、自社の強みが活かせる顧客のことです。

(強みが活かせるということなので、相性=単にウマが合うことではありませんので)

簡単な方法があります。

既存顧客の売上と利益率で、顧客を分類してみてください。

一方の軸に、売上が大きい順に顧客を並べます。

もう一方の軸には、利益率が高い順に顧客を並べます。

売上 利益率.jpg

(必ず利益率です。できれは業種ごとに平均をとって相対的に並べてください)

すると、売上が大きく利益率も高い顧客。

売上は大きいが利益率は低い顧客。

売上は小さいが利益率は高い顧客。

売上は小さく利益率も低い顧客。の4つに分かれるはずです。

■普通に考えれば、売上が大きい顧客は、バイイングパワーがあるので、値引き圧力もあり、利益率が小さくなるはずです。

売上が小さい顧客は、逆に利益率が高くなるはずです。

どうしても、そういう傾向がある。

ところが、顧客を一人一人マッピングしてみると、必ず、売上も大きいし利益も高い。という顧客があります。

(逆に、売上は小さいのに、利益率も低い。という顧客もあります)

これがいわば異常値です。

この異常値にこそ、自社の強みが投影されているのです。

■この異常値を示した顧客との関係をよく知らべてみると、異常値を示すなりの理由が必ずあります。

くだらない理由もあります。数値を間違えていたとか。偶然だとか。

でも、たいていは、それなりの理由があり、そこにこそ自社の強みが発揮されている場合がほとんどなのです。

例えば、法人相手のビジネスだとします。

得意先の業種・業態をよく調べてみてください。

特定の業種や業態に対して利益率が高い。という異常値があるのは、その業種や業態から自社が重宝がられているということかも知れません。

あるいは地域でみてください。

ある地域の得意先の利益率が高い。というのは、その地域にはライバル会社が少ないのかも知れません。

あるいは企業の形態で考えてみてください。

同族企業に対して自社の強みが発揮されている場合があるかも知れません。

技術が高い企業に対して強みが発揮されているかも知れません。

営業力がない企業に対して強みが発揮されているかも知れません。

社歴が長い企業に対して強みが発揮されているかも知れません。

■どんな企業に対して強みが発揮できているのか。それはどんな企業と相性がいいのかを知ることです。

最初にいったように、できれば相性のいい企業と付き合いたい。

難しいことは考えずに、相性のいい企業に付き合いを絞って、営業力を集中すれば、無理せずに売上・利益を上げることができるはずです。

営業というのは、無理をして売ることではありません。

★夫れ兵の形は水に象る。水の行は高きを避けて下きに趨く。(孫子・虚実篇より)

(そもそも軍の態勢は、水のようなものである。水は高いところから、低いところに流れるのが自然である)

つまり、無理などせずに、売りやすい顧客、儲かりやすい顧客、理解し合える顧客と付き合うことが、本来の営業の形なのです。

だから、ターゲットを絞る。というと、何か特殊な困難な営業手法であるかのように思わないでくださいね

それは、自社と相性のいい顧客を見つけるということなのです。

売上高と利益率で調べるというのは、実に簡単にできる方法ですので、ぜひ試してみてください。

■最初に戻りますが、ビジネスの基本は「安く作って、高く売る」ことです。

売れる仕組み作りというのは、その基本に従って、営業の体制を整えることです。

特に営業が苦手だと思う会社ほど、売れる仕組みを作ってください。

決して難しいことではありませんので。


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