中小零細企業の大半が不要だと言われてしまう理由

2019.10.03


(2019年10月3日メルマガより)


デービッド・アトキンソン氏が新しい本を上梓されています。


今回の本では、ちょっと怒り気味ですよ。

あまりにも反応の鈍い日本社会に呆れているのでしょう。


人口減少に直面する日本が迎える危機


アトキンソン氏といえば、元ゴールドマンサックスの金融調査室長にして優秀な日本経済アナリストとして名をはせ、現在は日本の中小企業の経営者でもあるイギリス人です。

当代きっての日本通として、独自の立場から日本の経済や社会について様々な提言をされています。

前作の「日本人の勝算」がベストセラーになり、一般にも広く知られるようになりました。


日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義
デービッド アトキンソン
東洋経済新報社
2019-01-11


ちなみに、前作の「日本人の勝算」については、このメルマガでもとりあげさせていただきましたので、参照ください。


内容をかいつまんで言いますね。

世界的に類を見ないほどのスピードで少子高齢化が進む日本の社会が大きな危機にあることは誰もが認めることです。

何しろ日本の経済力はその人口に支えられています。人口が減少すれば、経済規模も小さくなっていきます。

日本人は優秀だ、技術力もあるし、おもてなしの心もあるし、少々人口が減っても大丈夫だ、とのんきなことを言ってはいけません。

実は日本の一人当たりのGDPは先進国の中では最低レベルです。ということは、日本の今の経済力は、技術力やおもてなしなどではなく、単純に人口規模によって支えられているということなのです。

このお年寄りの多い国で経済規模が小さくなってしまえば、誰が社会保障の負担をするのでしょう?今でさえ、借金でまかなっているのです。これ以上借金を増やせば、本当に破綻してしまいます。

では、若者人口を増やすために、出生率を上げるのか?→必要な施策ですが、時間がかかります。それよりも高齢化のスピードが速いのです。

では、海外から移民を受け入れ若者人口を増やすのか?→必要になるかも知れません。が、移民の大量受け入れは、社会不安を引き起こします。欧州各国で問題になっていることです。

では、どうするか?最も現実的なのが、一人当たりのGDP=一人当たりの稼ぎを上げること。つまり労働生産性を上げることです。


最低賃金を上げる


実は、日本の人材の質は、世界レベルでみても高いと評価されています。それなのに、一人当たりの稼ぎが少ないというのは、やり方=戦略が悪いとしか言いようがありません。

やり方次第で、日本の企業は生産性を上げることができるはずです。

アトキンソン氏はその具体策として「最低賃金を上げる」ことを提言しています。

なにせ日本の賃金は先進国レベルで相対的に低いという特徴があります。戦略的に無策であれば価格競争の消耗戦にならざるをえず、その分、安い賃金しか従業員に支払うことができません。

戦略的に無策→安売りせざるを得ず→従業員は安月給→安いものしか買えない。というデフレスパイラルです。

この悪循環を止めるには、無理やりにでも賃金を上げること!とアトキンソン氏は主張します。

最低賃金を法律で上げてしまえば、安売りばかりしていた企業も、高く売るための戦略を考えざるをえません。考えられなければ退場するのみです。

最もシンプルで効果的な施策が最低賃金を上げることだ!とアトキンソン氏は自信満々に言っていたものです。


中小零細企業なんてなくしてしまえ!


ところがせっかくの提言にも日本社会の反応があまりにも鈍い。とアトキンソン氏は感じたようです。

だから今回の本ではさらに踏み込んだ提言しています。

今回はなんと「中小零細企業なんてなくしてしまえ!」と主張しています。

言葉だけ聞くと炎上狙いの確信犯的な暴論に思えますが、アトキンソン氏はいたって真摯です。

何しろ「最低賃金を上げよう」というアトキンソン氏の自信の施策に頑強に反対するのが中小零細企業です。

「そんなもん赤字すれすれで経営しているのに、従業員の賃金をこれ以上上げたらやってられんわ!」というわけです。

アトキンソン氏からすると自分の無策を棚に上げた無責任な発言でしかないのですが、日本企業の99.7%が中小企業ですから政治的な発言力があります。

そこでアトキンソン氏は、そもそもそんな経営者が多い中小零細企業そのものがいらないのではないか?と主張するに至ったようです。


企業規模が小さいと生産性も低い


アトキンソン氏によると、企業規模と労働生産性には確かな因果関係があります。

大企業ほど一人当たりの従業員の稼ぎが多くなり、中小零細企業は少なくなります。

これは人材の素質に帰結するものではないでしょう。

生産性を上げるためのキモは、設備投資と教育投資です。

生産性が上がるような設備があり、かつ従業員が生産性を上げられるような教育が十分にできれば企業全体の生産性は上がります。

そのための投資ができる余裕が大企業にはあり、中小零細企業にはないという端的な理由だと考えます。

だから各国の状況をみてみると、中小零細企業が多い国は生産性が低くなる傾向にあります。

日本で20人以下の会社に勤める人の割合は20.5%。

先進国で、日本よりこの割合が大きいのは、ニュージーランド、スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャと、生産性の低い国ばかりです。

もちろん中小零細企業が多いからといって社会が不幸になるわけではありませんよ。誤解なく。

ただ日本の場合、高齢化社会を支えるための経済規模が必要不可欠であり、そのためには国全体の生産性を上げることが必須である、という話です。


日本の中小企業政策は人口増加を前提としていた


そもそも日本にはなぜこうも小さな会社が多いのでしょうか。

アトキンソン氏の研究によると、戦前戦後頃まではとくだん日本は中小零細企業の多い国ではなかったそうです。

潮目が変わったのは、1964年頃から。この年、中小企業基本法が施行され、政府が厚い中小企業保護施策をとるようになりました。

その頃、日本は爆発的に人口増加していたために、有り余る労働人口を抱える受け皿が必要とされ、とにかく企業数を増やす必要性があったからです。

中小企業は様々な支援策を受けることができます。低利融資や税制優遇も受けることができます。企業側とすれば、大企業に成長するよりも中小企業のままでいる方が、何かと得をすることが多いわけです。

そんな状況なのに、無理をして会社を成長させようという経営者がどれほどいるのか?4、5人の会社の社長がいちばん自由で余裕があるという話を聞いたことがありますが、それならその状態を維持するのが人生賢い選択ですよ。

1970年代、80年代頃までは政府の方針と中小企業者の思惑が一致していました。

ところが今は、人口減少時代です。これ以上企業数は必要ありません。いや、むしろ多すぎます。

大企業は設備のIT化にまい進しており、人員不足に対応しようとしています。では、中小零細企業はどうか。

人は集まらない上に、設備を高度化するような資金もありません。これ以上、国も手厚く保護する余裕もありません。

結局、マンパワーに頼らざるを得ず、中小零細企業の従業員は、安い賃金で忙しく働くことになってしまいます。


なくなった方がいい中小零細企業も多い


こうなると、従業員も経営者もともに不幸です。政府の保護政策のもと、何とか食いつないではいるものの、働けど働けどわが暮らし楽にならざり...なんて、いつの時代の話だーって言いたくなる状況です。

そんな惨めな状況ならやめてしまった方がましです。やめたら食っていけないということであれば、どこか元気な企業に吸収されてしまう方がいいというものです。

私は、アトキンソン氏の言わんとすることがよくわかります。

正直にいって、中小零細企業の中には、意欲も智恵もなく、ただ金融機関と政府の支援によって生き延びているゾンビのような会社が見受けられます。

私の知り合いの中小企業の社長など、近隣企業の様子をみて「2割しか残らない」と評しているぐらいです。

実際に8割の企業がつぶれてしまえば、社会的に恐ろしい混乱が巻き起こりますから、できればソフトランディングしてほしい。

アトキンソン氏のいうのは、成長意欲のある会社に小さな会社が統合される道です。

そういう意味では近年のM&Aブームは社会的な流れに合致したものだといえます。

これからは、より小さな会社のM&Aが普遍的になってくるはずです。



中小零細企業の社会的意義


ただし、中小零細企業のすべてが不必要だと言っているわけではありません。

小さな会社には、大企業にはない強みがあります。小回りが利き、小さな需要でもビジネス化できるという燃費の良さです。

「雑草」にたとえると気分を害される方がおられるかも知れませんが、およそ植物が育たないような環境で最初に根をはるのが雑草といわれる植物です。

水が足りない。土がない。空気が悪い。そんな劣悪な環境でも生きていけるしたたかさが雑草の強みです。

雑草が生い茂ると、水がたまり、土がつもり、空気が澄んで、徐々に植物が生育する環境ができて、草花や木が生えるようになります。つまり最初の雑草がなければ、何の植物も生えないままなのです。



中小零細企業という存在は、植物全体における雑草のようなものだと私は思います。

世の中に新たにめばえた需要を最初にとりこむのが中小零細企業です。

もし中小零細企業がすべてなくなれば、生まれたばかりの小さな需要は誰にも相手にされず、世の中には満たされない放置された小さなニーズでいっぱいになってしまいます。

中小零細企業がニッチなニーズを満たすからこそ社会はスムーズに回っていくのです。


必要な中小零細企業とは


だから中小零細企業を減らせばいいというものではありません。

大きな流れでいえば、日本が破綻しないためには、アトキンソン氏のいうように中小零細企業の数を大幅に減らさなければならないでしょう。

それはその通りです。

何の努力も工夫もなく、昔のやり方を漫然と続けていたり、他の儲かっている会社の真似だけしているような零細企業は、退場もやむをえません。

しかし、強みに根差した的確なビジネスを展開できる企業は、規模の大小にかかわらず社会に必要とされます。

むしろ、小さな需要を捉え、ビジネススキームを整え、適切な協業体制が作れる能力を持つ中小零細企業は存在してもらわなければ困ります。

私の仕事はまさにこうした小さな会社の支援をし、存在意義を高めることです。

中小零細企業の方々、創業者の方々、スモールビジネスに携わるすべての方々、ともに戦っていきましょうね。


我々は自分で生きる道を見つけなければならない


ただし、アトキンソン氏のいうように、日本が破綻せずに生き続けるためには、国全体の生産性を上げることはおそらく最大の解です。

そのためには、すべての企業が自らの生産性を高めなければなりません。

できない企業は、退場するのみです。

ということは、おそらく、半分以上の中小零細企業は、吸収されるか廃業するかしてなくなる運命にあるということでしょう。

冷たいようですが、仕方ありません。それが大きな流れというものです。逆に、選挙対策で変に中小零細企業を延命したりする方が、未来への冒涜となってしまいます。それはやめていただきたいものです。


これから政府は、中小企業政策を「すべての中小企業を守る」方式から、より「成長性の高い中小企業」への支援にシフトしていくことでしょう。

また有望な中小零細企業を、大企業が吸収合併しやすくなるような体制の整備を進めていくことだと思います。

小さな会社の運営者や創業者は、大企業に会社を買ってもらうというゴールが明確になりますので、やりやすいはずです。

小さな会社を立ち上げ、ある程度まで育てる能力のある人は、連続起業家になればいいのです。本人も幸せですし、社会の活力にもなります。


しかし、「すべての中小企業を守る」政策からのシフトは、退場せざるを得ない会社も多く出るということです。

私だって零細企業の運営者ですから、他人事では全然ありません。

今さらどこかに就職することもできませんので、自分のビジネスを維持していくしか生きる道はありません。

もちろんそれは覚悟の上です。



(2019年10月3日メルマガより)


デービッド・アトキンソン氏が新しい本を上梓されています。


今回の本では、ちょっと怒り気味ですよ。

あまりにも反応の鈍い日本社会に呆れているのでしょう。


人口減少に直面する日本が迎える危機


アトキンソン氏といえば、元ゴールドマンサックスの金融調査室長にして優秀な日本経済アナリストとして名をはせ、現在は日本の中小企業の経営者でもあるイギリス人です。

当代きっての日本通として、独自の立場から日本の経済や社会について様々な提言をされています。

前作の「日本人の勝算」がベストセラーになり、一般にも広く知られるようになりました。


日本人の勝算: 人口減少×高齢化×資本主義
デービッド アトキンソン
東洋経済新報社
2019-01-11


ちなみに、前作の「日本人の勝算」については、このメルマガでもとりあげさせていただきましたので、参照ください。


内容をかいつまんで言いますね。

世界的に類を見ないほどのスピードで少子高齢化が進む日本の社会が大きな危機にあることは誰もが認めることです。

何しろ日本の経済力はその人口に支えられています。人口が減少すれば、経済規模も小さくなっていきます。

日本人は優秀だ、技術力もあるし、おもてなしの心もあるし、少々人口が減っても大丈夫だ、とのんきなことを言ってはいけません。

実は日本の一人当たりのGDPは先進国の中では最低レベルです。ということは、日本の今の経済力は、技術力やおもてなしなどではなく、単純に人口規模によって支えられているということなのです。

このお年寄りの多い国で経済規模が小さくなってしまえば、誰が社会保障の負担をするのでしょう?今でさえ、借金でまかなっているのです。これ以上借金を増やせば、本当に破綻してしまいます。

では、若者人口を増やすために、出生率を上げるのか?→必要な施策ですが、時間がかかります。それよりも高齢化のスピードが速いのです。

では、海外から移民を受け入れ若者人口を増やすのか?→必要になるかも知れません。が、移民の大量受け入れは、社会不安を引き起こします。欧州各国で問題になっていることです。

では、どうするか?最も現実的なのが、一人当たりのGDP=一人当たりの稼ぎを上げること。つまり労働生産性を上げることです。


最低賃金を上げる


実は、日本の人材の質は、世界レベルでみても高いと評価されています。それなのに、一人当たりの稼ぎが少ないというのは、やり方=戦略が悪いとしか言いようがありません。

やり方次第で、日本の企業は生産性を上げることができるはずです。

アトキンソン氏はその具体策として「最低賃金を上げる」ことを提言しています。

なにせ日本の賃金は先進国レベルで相対的に低いという特徴があります。戦略的に無策であれば価格競争の消耗戦にならざるをえず、その分、安い賃金しか従業員に支払うことができません。

戦略的に無策→安売りせざるを得ず→従業員は安月給→安いものしか買えない。というデフレスパイラルです。

この悪循環を止めるには、無理やりにでも賃金を上げること!とアトキンソン氏は主張します。

最低賃金を法律で上げてしまえば、安売りばかりしていた企業も、高く売るための戦略を考えざるをえません。考えられなければ退場するのみです。

最もシンプルで効果的な施策が最低賃金を上げることだ!とアトキンソン氏は自信満々に言っていたものです。


中小零細企業なんてなくしてしまえ!


ところがせっかくの提言にも日本社会の反応があまりにも鈍い。とアトキンソン氏は感じたようです。

だから今回の本ではさらに踏み込んだ提言しています。

今回はなんと「中小零細企業なんてなくしてしまえ!」と主張しています。

言葉だけ聞くと炎上狙いの確信犯的な暴論に思えますが、アトキンソン氏はいたって真摯です。

何しろ「最低賃金を上げよう」というアトキンソン氏の自信の施策に頑強に反対するのが中小零細企業です。

「そんなもん赤字すれすれで経営しているのに、従業員の賃金をこれ以上上げたらやってられんわ!」というわけです。

アトキンソン氏からすると自分の無策を棚に上げた無責任な発言でしかないのですが、日本企業の99.7%が中小企業ですから政治的な発言力があります。

そこでアトキンソン氏は、そもそもそんな経営者が多い中小零細企業そのものがいらないのではないか?と主張するに至ったようです。


企業規模が小さいと生産性も低い


アトキンソン氏によると、企業規模と労働生産性には確かな因果関係があります。

大企業ほど一人当たりの従業員の稼ぎが多くなり、中小零細企業は少なくなります。

これは人材の素質に帰結するものではないでしょう。

生産性を上げるためのキモは、設備投資と教育投資です。

生産性が上がるような設備があり、かつ従業員が生産性を上げられるような教育が十分にできれば企業全体の生産性は上がります。

そのための投資ができる余裕が大企業にはあり、中小零細企業にはないという端的な理由だと考えます。

だから各国の状況をみてみると、中小零細企業が多い国は生産性が低くなる傾向にあります。

日本で20人以下の会社に勤める人の割合は20.5%。

先進国で、日本よりこの割合が大きいのは、ニュージーランド、スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャと、生産性の低い国ばかりです。

もちろん中小零細企業が多いからといって社会が不幸になるわけではありませんよ。誤解なく。

ただ日本の場合、高齢化社会を支えるための経済規模が必要不可欠であり、そのためには国全体の生産性を上げることが必須である、という話です。


日本の中小企業政策は人口増加を前提としていた


そもそも日本にはなぜこうも小さな会社が多いのでしょうか。

アトキンソン氏の研究によると、戦前戦後頃まではとくだん日本は中小零細企業の多い国ではなかったそうです。

潮目が変わったのは、1964年頃から。この年、中小企業基本法が施行され、政府が厚い中小企業保護施策をとるようになりました。

その頃、日本は爆発的に人口増加していたために、有り余る労働人口を抱える受け皿が必要とされ、とにかく企業数を増やす必要性があったからです。

中小企業は様々な支援策を受けることができます。低利融資や税制優遇も受けることができます。企業側とすれば、大企業に成長するよりも中小企業のままでいる方が、何かと得をすることが多いわけです。

そんな状況なのに、無理をして会社を成長させようという経営者がどれほどいるのか?4、5人の会社の社長がいちばん自由で余裕があるという話を聞いたことがありますが、それならその状態を維持するのが人生賢い選択ですよ。

1970年代、80年代頃までは政府の方針と中小企業者の思惑が一致していました。

ところが今は、人口減少時代です。これ以上企業数は必要ありません。いや、むしろ多すぎます。

大企業は設備のIT化にまい進しており、人員不足に対応しようとしています。では、中小零細企業はどうか。

人は集まらない上に、設備を高度化するような資金もありません。これ以上、国も手厚く保護する余裕もありません。

結局、マンパワーに頼らざるを得ず、中小零細企業の従業員は、安い賃金で忙しく働くことになってしまいます。


なくなった方がいい中小零細企業も多い


こうなると、従業員も経営者もともに不幸です。政府の保護政策のもと、何とか食いつないではいるものの、働けど働けどわが暮らし楽にならざり...なんて、いつの時代の話だーって言いたくなる状況です。

そんな惨めな状況ならやめてしまった方がましです。やめたら食っていけないということであれば、どこか元気な企業に吸収されてしまう方がいいというものです。

私は、アトキンソン氏の言わんとすることがよくわかります。

正直にいって、中小零細企業の中には、意欲も智恵もなく、ただ金融機関と政府の支援によって生き延びているゾンビのような会社が見受けられます。

私の知り合いの中小企業の社長など、近隣企業の様子をみて「2割しか残らない」と評しているぐらいです。

実際に8割の企業がつぶれてしまえば、社会的に恐ろしい混乱が巻き起こりますから、できればソフトランディングしてほしい。

アトキンソン氏のいうのは、成長意欲のある会社に小さな会社が統合される道です。

そういう意味では近年のM&Aブームは社会的な流れに合致したものだといえます。

これからは、より小さな会社のM&Aが普遍的になってくるはずです。



中小零細企業の社会的意義


ただし、中小零細企業のすべてが不必要だと言っているわけではありません。

小さな会社には、大企業にはない強みがあります。小回りが利き、小さな需要でもビジネス化できるという燃費の良さです。

「雑草」にたとえると気分を害される方がおられるかも知れませんが、およそ植物が育たないような環境で最初に根をはるのが雑草といわれる植物です。

水が足りない。土がない。空気が悪い。そんな劣悪な環境でも生きていけるしたたかさが雑草の強みです。

雑草が生い茂ると、水がたまり、土がつもり、空気が澄んで、徐々に植物が生育する環境ができて、草花や木が生えるようになります。つまり最初の雑草がなければ、何の植物も生えないままなのです。



中小零細企業という存在は、植物全体における雑草のようなものだと私は思います。

世の中に新たにめばえた需要を最初にとりこむのが中小零細企業です。

もし中小零細企業がすべてなくなれば、生まれたばかりの小さな需要は誰にも相手にされず、世の中には満たされない放置された小さなニーズでいっぱいになってしまいます。

中小零細企業がニッチなニーズを満たすからこそ社会はスムーズに回っていくのです。


必要な中小零細企業とは


だから中小零細企業を減らせばいいというものではありません。

大きな流れでいえば、日本が破綻しないためには、アトキンソン氏のいうように中小零細企業の数を大幅に減らさなければならないでしょう。

それはその通りです。

何の努力も工夫もなく、昔のやり方を漫然と続けていたり、他の儲かっている会社の真似だけしているような零細企業は、退場もやむをえません。

しかし、強みに根差した的確なビジネスを展開できる企業は、規模の大小にかかわらず社会に必要とされます。

むしろ、小さな需要を捉え、ビジネススキームを整え、適切な協業体制が作れる能力を持つ中小零細企業は存在してもらわなければ困ります。

私の仕事はまさにこうした小さな会社の支援をし、存在意義を高めることです。

中小零細企業の方々、創業者の方々、スモールビジネスに携わるすべての方々、ともに戦っていきましょうね。


我々は自分で生きる道を見つけなければならない


ただし、アトキンソン氏のいうように、日本が破綻せずに生き続けるためには、国全体の生産性を上げることはおそらく最大の解です。

そのためには、すべての企業が自らの生産性を高めなければなりません。

できない企業は、退場するのみです。

ということは、おそらく、半分以上の中小零細企業は、吸収されるか廃業するかしてなくなる運命にあるということでしょう。

冷たいようですが、仕方ありません。それが大きな流れというものです。逆に、選挙対策で変に中小零細企業を延命したりする方が、未来への冒涜となってしまいます。それはやめていただきたいものです。


これから政府は、中小企業政策を「すべての中小企業を守る」方式から、より「成長性の高い中小企業」への支援にシフトしていくことでしょう。

また有望な中小零細企業を、大企業が吸収合併しやすくなるような体制の整備を進めていくことだと思います。

小さな会社の運営者や創業者は、大企業に会社を買ってもらうというゴールが明確になりますので、やりやすいはずです。

小さな会社を立ち上げ、ある程度まで育てる能力のある人は、連続起業家になればいいのです。本人も幸せですし、社会の活力にもなります。


しかし、「すべての中小企業を守る」政策からのシフトは、退場せざるを得ない会社も多く出るということです。

私だって零細企業の運営者ですから、他人事では全然ありません。

今さらどこかに就職することもできませんので、自分のビジネスを維持していくしか生きる道はありません。

もちろんそれは覚悟の上です。


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