ワインブームのその後

2007.02.01


(2007年2月1日メルマガより)

■「あるある大辞典Ⅱ」が、データを捏造していたとかで社会問題になって
います。

なにしろ「あるある」を見ない流通業者はモグリだと言われるぐらい多大な
影響力を持っていた番組ですからね。

思えば、毎週のように提示される"魔法の食材"や"魔法の健康法"の数々
には、無理があると思えるものも少なくありませんでした。

今回の不祥事と、その後、次々に明るみに出てくる過去のいい加減な番組づ
くりの実態を聞いていると、その殆どが捏造だったのではないかと思えてき
ます。

ココア、黒酢、リンゴ、レタス、ガジュツ、杜仲茶。。。その他の番組も含
めて、メディアで作られたブームって何だったのでしょうか?

さらに言うと、それに振り回された流通関係者って?

■もしかすると、赤ワインが健康にいいというのも、怪しい情報だったので
しょうか?

赤ワインブームというのは、今の健康食材ブームのさきがけとなるものでし
た。

確か、動脈硬化にいいとか、高血圧にいいとか、そんなことを言われていた
んでしたっけ?

ワイン市場が突然の活況に沸いたのは、1998年です。96年には、1890万ケー
スだったのが、98年には、2.4倍の4528万ケースに拡大しました。

まさに空前のワインブームです。

■しかし、ブームというものは、必ずしも喜ばしいことばかりではありませ
ん。

突然の需要拡大に、流通業者は、ワイン確保に走ります。

もともと日本におけるワインは、(1)国産ワイン:海外から仕入れた原液
を醸造したもの、(2)国産プレミアムワイン:国産ぶどうから醸造したも
の、(3)輸入ワイン、に分類することができます。

(1)(2)を急激に増やすことはできませんから、需要拡大分は、輸入ワ
インで賄うことになります。

本来、日本に輸入されるワインは、高級ワインが主でした。安価なワインだ
と輸送費倒れになってしまうからです。

ところが、ブームの時にはそんなことを言ってられませんから、安価なワイ
ンも、日本では高い値段をつけて売られている...そんな噂がまことしやかに
流れていたものです。

確かに、猫も杓子も、ワインを有難がる風潮があったような気がしますが、
その裏で、ワインに対する不信感も静かに"醸造"されていたわけです。

■ブームというものは長くは続きません。

1999年には早くもワインの需要が30%も落ち込みました。ワインバブルの
崩壊です。メーカー、輸入業者、卸ともに大量の在庫を抱えるハメになって
しまい、その在庫が、投売りされました。

それ見たことか!ということで、ワイン全体の価格とブランドイメージが著
しく傷つけられてしまったのです。

それ以来、日本のワイン需要は、3000万ケースほどで推移しています。

一度失った信頼と価格を取り戻すことは難しく、殆どの業者が赤字という状
況が続いているようです。

■ちなみに、輸入ワインのシェアは、サントリー(16%)、メルシャン
(10%)、その後、ガロ・ジャパン、キリン、アサヒ、サッポロが5~6
%で続きます。

国産ワイン(プレミアムワイン含む)は、メルシャン(27%)、キッコー
マン(12%)、サッポロ(12%)、サントリー(8%)、アサヒ(7%)
です。

その殆どが収益が安定しないというのだからえらいことですな。

■こういう場合どうすればいいのか?

全体の市場シェアはアテになりませんから、収益性を高めるために、市場細
分化し、それぞれの小さな市場で確実に儲けることが必要です。さらに商品
政策としては、徹底した差別化が求められます。

上記企業の中で、唯一安定した収益性を保っていると言われるキリンビール
は、輸入ワインに特化し、差別化した商品を少ない品数で販売するという方
針です。

市場細分化、差別化、集中というのは、ランチェスター弱者の戦略の定石で
すから、キリンビールの方針は、まさに教科書通りだと言えます。

■最近になってようやく、各社とも、特徴のある商品戦略を志向するように
なってきました。

サントリー、メルシャン、アサヒとも高級輸入ワイン事業を強化し、ブーム
に流されない固定ファンを獲得することに注力しています。

そのために、M&Aを活用し、今までとは異なる販売方法を模索しているよ
うです。

■もう1つは、国産プレミアムワインの伸長です。

「世界に通用するワインを造りたい」というメーカーらしい宣言が、主要企
業から聞かれるようになってきています。

中には、自社農園でブドウ作りから始めるメーカーも出てきました。

すぐには儲からない事業運営ですが、本気でワイン事業を定着させるために
は避けては通れない道だと言えます。

今、世界で最も美味しいと言われるのが、カリフォルニア産のワインだそう
ですから、日本のワインにだって可能性はあるはずです。

もとより品質を上げることにかけてはお家芸ともいわれる日本のことですか
らきっと世界一美味しいワインを作り上げることができるでしょう。

■折りしも、中国ではワインの需要が急激に拡大しています。これは、ブー
ムというよりも、中国の消費者の家計消費支出の増大による流れだと思われ
ます。

パッとしない日本市場に見切りをつけた欧州のワイナリーは、中国市場開拓
を狙っているようですが、もとより旺盛な中国の需要を欧州だけで賄えると
は思えません。

そこで、日本のプレミアムワインにもチャンスが出てきています。

欧州に劣らぬ品質と特徴があり、しかも、生産地が近いという強みを活かす
ことができれば、中国市場で一定のブランドを構築することも夢ではありま
せん。

ぜひとも、純国産ワインを定着させて、日本独自のワイン文化を輸出するよ
うになってもらいたいものです。

■ともあれ、ブームに踊らされる流通業者は大変です。

ワインに続いた焼酎も泡盛も、今、ブーム後の低迷を経験しています。

結局、ブームが去っても生き残ることができるのは、商品力を含めた確かな
戦略を持つ者だけだというお話です。

(参照:週刊ダイヤモンド2006/11/18)


(2007年2月1日メルマガより)

■「あるある大辞典Ⅱ」が、データを捏造していたとかで社会問題になって
います。

なにしろ「あるある」を見ない流通業者はモグリだと言われるぐらい多大な
影響力を持っていた番組ですからね。

思えば、毎週のように提示される"魔法の食材"や"魔法の健康法"の数々
には、無理があると思えるものも少なくありませんでした。

今回の不祥事と、その後、次々に明るみに出てくる過去のいい加減な番組づ
くりの実態を聞いていると、その殆どが捏造だったのではないかと思えてき
ます。

ココア、黒酢、リンゴ、レタス、ガジュツ、杜仲茶。。。その他の番組も含
めて、メディアで作られたブームって何だったのでしょうか?

さらに言うと、それに振り回された流通関係者って?

■もしかすると、赤ワインが健康にいいというのも、怪しい情報だったので
しょうか?

赤ワインブームというのは、今の健康食材ブームのさきがけとなるものでし
た。

確か、動脈硬化にいいとか、高血圧にいいとか、そんなことを言われていた
んでしたっけ?

ワイン市場が突然の活況に沸いたのは、1998年です。96年には、1890万ケー
スだったのが、98年には、2.4倍の4528万ケースに拡大しました。

まさに空前のワインブームです。

■しかし、ブームというものは、必ずしも喜ばしいことばかりではありませ
ん。

突然の需要拡大に、流通業者は、ワイン確保に走ります。

もともと日本におけるワインは、(1)国産ワイン:海外から仕入れた原液
を醸造したもの、(2)国産プレミアムワイン:国産ぶどうから醸造したも
の、(3)輸入ワイン、に分類することができます。

(1)(2)を急激に増やすことはできませんから、需要拡大分は、輸入ワ
インで賄うことになります。

本来、日本に輸入されるワインは、高級ワインが主でした。安価なワインだ
と輸送費倒れになってしまうからです。

ところが、ブームの時にはそんなことを言ってられませんから、安価なワイ
ンも、日本では高い値段をつけて売られている...そんな噂がまことしやかに
流れていたものです。

確かに、猫も杓子も、ワインを有難がる風潮があったような気がしますが、
その裏で、ワインに対する不信感も静かに"醸造"されていたわけです。

■ブームというものは長くは続きません。

1999年には早くもワインの需要が30%も落ち込みました。ワインバブルの
崩壊です。メーカー、輸入業者、卸ともに大量の在庫を抱えるハメになって
しまい、その在庫が、投売りされました。

それ見たことか!ということで、ワイン全体の価格とブランドイメージが著
しく傷つけられてしまったのです。

それ以来、日本のワイン需要は、3000万ケースほどで推移しています。

一度失った信頼と価格を取り戻すことは難しく、殆どの業者が赤字という状
況が続いているようです。

■ちなみに、輸入ワインのシェアは、サントリー(16%)、メルシャン
(10%)、その後、ガロ・ジャパン、キリン、アサヒ、サッポロが5~6
%で続きます。

国産ワイン(プレミアムワイン含む)は、メルシャン(27%)、キッコー
マン(12%)、サッポロ(12%)、サントリー(8%)、アサヒ(7%)
です。

その殆どが収益が安定しないというのだからえらいことですな。

■こういう場合どうすればいいのか?

全体の市場シェアはアテになりませんから、収益性を高めるために、市場細
分化し、それぞれの小さな市場で確実に儲けることが必要です。さらに商品
政策としては、徹底した差別化が求められます。

上記企業の中で、唯一安定した収益性を保っていると言われるキリンビール
は、輸入ワインに特化し、差別化した商品を少ない品数で販売するという方
針です。

市場細分化、差別化、集中というのは、ランチェスター弱者の戦略の定石で
すから、キリンビールの方針は、まさに教科書通りだと言えます。

■最近になってようやく、各社とも、特徴のある商品戦略を志向するように
なってきました。

サントリー、メルシャン、アサヒとも高級輸入ワイン事業を強化し、ブーム
に流されない固定ファンを獲得することに注力しています。

そのために、M&Aを活用し、今までとは異なる販売方法を模索しているよ
うです。

■もう1つは、国産プレミアムワインの伸長です。

「世界に通用するワインを造りたい」というメーカーらしい宣言が、主要企
業から聞かれるようになってきています。

中には、自社農園でブドウ作りから始めるメーカーも出てきました。

すぐには儲からない事業運営ですが、本気でワイン事業を定着させるために
は避けては通れない道だと言えます。

今、世界で最も美味しいと言われるのが、カリフォルニア産のワインだそう
ですから、日本のワインにだって可能性はあるはずです。

もとより品質を上げることにかけてはお家芸ともいわれる日本のことですか
らきっと世界一美味しいワインを作り上げることができるでしょう。

■折りしも、中国ではワインの需要が急激に拡大しています。これは、ブー
ムというよりも、中国の消費者の家計消費支出の増大による流れだと思われ
ます。

パッとしない日本市場に見切りをつけた欧州のワイナリーは、中国市場開拓
を狙っているようですが、もとより旺盛な中国の需要を欧州だけで賄えると
は思えません。

そこで、日本のプレミアムワインにもチャンスが出てきています。

欧州に劣らぬ品質と特徴があり、しかも、生産地が近いという強みを活かす
ことができれば、中国市場で一定のブランドを構築することも夢ではありま
せん。

ぜひとも、純国産ワインを定着させて、日本独自のワイン文化を輸出するよ
うになってもらいたいものです。

■ともあれ、ブームに踊らされる流通業者は大変です。

ワインに続いた焼酎も泡盛も、今、ブーム後の低迷を経験しています。

結局、ブームが去っても生き残ることができるのは、商品力を含めた確かな
戦略を持つ者だけだというお話です。

(参照:週刊ダイヤモンド2006/11/18)

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