マネることは差別化の第一歩

2008.01.03

(2008年1月3日メルマガより)

■昨年はメルマガを26通発行しました。2週間に1回とはいえ、頑張った
もんです^^

昨年、最も反響の多かったメルマガは、7月19日に発行した「島田紳助の
研究」でした。もし、読んでいない方がおられましたら↓
http://www.createvalue.biz/column/200707_000114.html

これは、漫才コンビ「紳助竜介」の漫才の記録と、島田紳助による成功法則
の講義を収めたDVDをもとに書いたものです。


このDVDがとにかく凄い。ここに収められている紳助の"成功哲学"に関
する講義は、凡百の成功法則セミナーを吹き飛ばしてしまうでしょう。
私はこれに感激して、メルマガに書いたわけです。

■島田紳助のオリジナリティは疑うべくもありません。彼の存在は、他の何
にも置きかえられるものではありません。それは誰もが認めるところでしょ
う。

ただ、彼が漫才の世界に入るにあたってまず始めにしたことは、他人の漫才
をコピーすることでした。

出来上がった漫才も「紳助竜介」でしかありえないものです。ただ、コピー
の対象となったB&Bによれば「ほとんどがパクリじゃないか」というもの
です。ただし、表面をパクるのではなく、構造をパクっているのだから、問
題にすることはできません。

紳助は、そこに「B&Bの漫才が持っていないもの」を付加することにより、
オリジナルな漫才スタイルを確立させたのです。この付加の部分がランチェ
スター戦略に言う差別化です。

■芸事においては、先人の芸を真似することは正統的な努力として評価され
ます。落語などはその典型ですね。

昔、西川のりおが他人のギャグを勝手に使ったといって問題になっていまし
たが、その時、作家の新野新は「パクられて困るような芸は芸じゃない」と
一喝していました。「池野めだかや間寛平のギャグは他人がやっても面白く
ない。これが本当の芸だ」というわけでした。(実はこの騒動そのものが西
川のりおとギャグの発案者のヤラセだったそうですが)

■言うまでもありませんが、経営手法や戦略といったものはオリジナリティ
を競うものではありません。オリジナルであっても役に立たないならゴミに
もなりませんからね。

だから成功企業や成功者からその考え方や手法を学ぶことは、非常にまっと
うな努力の方向性であるといえます。

週間ダイヤモンド2007/12/19・2008/1/5合併号に、居酒屋チェーン「てっ
ぺん」の話が載っています。

このチェーンの社長の考え方は「とにかくいいものは盗もう」というもの。
雇われ店長だった時代、繁盛店102人の店長から聞きだした"経営の秘訣"
の集大成がこのチェーン運営の基礎となっています。

この大らかさが、この方の持ち味のようです。「日本一の店長になりたいの
で教えてください」という申し出に断る人はいなかったとのこと。

もともと店長として成績を残せずに悩んでいた時代があったので、オリジナ
リティとかプライドとか言っている場合じゃなかったんでしょうね。

その甲斐あって自らも繁盛店を作り上げた彼は、成功への最短距離を走った
んだというわけです。

■しかもこの社長のいいところは、自分の経営ノウハウを惜しげもなく公開
しているところです。

他人からもらったものだから、他人にあげても惜しくないのは当然なのか。
実際は、そうは思えない人が多いのではないでしょうか。

情報を公開する結果として、彼のもとには人が集まるようになって、さらに
繁盛する流れとなっています。

■ただし、気をつけなければならないのは、「経営ノウハウ」というものは、
極めて現場に則したものだということです。

つまり、他人のノウハウは、その他人が使って機能するように出来ています。
単にマネしても役に立たない。

紳助竜介が、B&Bのネタを自分流にアレンジしなければならなかったよう
に、どんな成功企業のノウハウも自分の会社に適合させる必要があります。

実際には「てっぺん」の社長が実践ノウハウを公開したとしても、それを応
用して繁盛店を作れる人はほんの一握りのはずです。

また「てっぺん」の社長も集めた経営ノウハウを自分なりにアレンジして、
使えるようにするための努力を積み重ねたはずです。

現場のノウハウを抽象化する能力があるかないかで、成功の成否が問われる
というわけですね。

■余談ですが、私はセミナーや研修でこのあたりをいつも悩みます。

抽象的すぎるとピンとこない。具体的すぎるとその場は出来る気になっても
後で活用できない。

講師はヒントを与えるのみ、活用は受講生の責任です。と突き放せればいい
んでしょうが、職業的な誠意がそれを許しません。

具体的な事例を自分で抽象化する力をどれだけ持ってもらえるか、そのお手
伝いを講師はしているわけですな。

以上余談。

■ランチェスター戦略における弱者の基本戦略は「差別化」です。しかし、
差別化をするためには、ベースとなるものが必要です。ベースがあるから、
それを活かすための差別化戦略が成り立つわけです。

ベースとなる部分は、迷わずに模倣してください。いいと思ったもの。好ま
しいと感じるもの。カッコいいと思うこと。どんどん自分に採り入れてくだ
さい。自分の好きなもの、やりたいもの、クールだと感じるもの、その集大
成がオリジナリティとなります。

模倣は差別化の母という所以です。

ベースが頑丈になればなるほど、取りうる差別化戦略のスケールも大きくな
っていきます。

ですから、我々はこれからも、優れた先人に多くのことを学んでいきましょ
う。このメルマガでも、多くの事例を紹介していこうと思います。

これを今年の正月の言葉とさせていただきます^^

■蛇足ですが、我々コンサル業界でも、模倣はごく一般的です。ランチェス
ター戦略の考え方も多くの知恵ある人に模倣され活用されています。またそ
のランチェスター戦略もそれ以前にあった戦略論の影響を受けています。

それが健全な姿です。どれだけマネされ模倣されたかで、そのコンテンツの
価値が決まると言ってもいいでしょう。

逆に、変にコンテンツを囲い込もうとし始めた時、その理論や手法、人は衰
退していきます。ビジネス上の差別化はそんなところにはありません。そこ
に気づいた人が発展していくんでしょうね。

"秘伝"なんてものは、うなぎのタレぐらいにしておいてほしいもんです。


(2008年1月3日メルマガより)

■昨年はメルマガを26通発行しました。2週間に1回とはいえ、頑張った
もんです^^

昨年、最も反響の多かったメルマガは、7月19日に発行した「島田紳助の
研究」でした。もし、読んでいない方がおられましたら↓
http://www.createvalue.biz/column/200707_000114.html

これは、漫才コンビ「紳助竜介」の漫才の記録と、島田紳助による成功法則
の講義を収めたDVDをもとに書いたものです。


このDVDがとにかく凄い。ここに収められている紳助の"成功哲学"に関
する講義は、凡百の成功法則セミナーを吹き飛ばしてしまうでしょう。
私はこれに感激して、メルマガに書いたわけです。

■島田紳助のオリジナリティは疑うべくもありません。彼の存在は、他の何
にも置きかえられるものではありません。それは誰もが認めるところでしょ
う。

ただ、彼が漫才の世界に入るにあたってまず始めにしたことは、他人の漫才
をコピーすることでした。

出来上がった漫才も「紳助竜介」でしかありえないものです。ただ、コピー
の対象となったB&Bによれば「ほとんどがパクリじゃないか」というもの
です。ただし、表面をパクるのではなく、構造をパクっているのだから、問
題にすることはできません。

紳助は、そこに「B&Bの漫才が持っていないもの」を付加することにより、
オリジナルな漫才スタイルを確立させたのです。この付加の部分がランチェ
スター戦略に言う差別化です。

■芸事においては、先人の芸を真似することは正統的な努力として評価され
ます。落語などはその典型ですね。

昔、西川のりおが他人のギャグを勝手に使ったといって問題になっていまし
たが、その時、作家の新野新は「パクられて困るような芸は芸じゃない」と
一喝していました。「池野めだかや間寛平のギャグは他人がやっても面白く
ない。これが本当の芸だ」というわけでした。(実はこの騒動そのものが西
川のりおとギャグの発案者のヤラセだったそうですが)

■言うまでもありませんが、経営手法や戦略といったものはオリジナリティ
を競うものではありません。オリジナルであっても役に立たないならゴミに
もなりませんからね。

だから成功企業や成功者からその考え方や手法を学ぶことは、非常にまっと
うな努力の方向性であるといえます。

週間ダイヤモンド2007/12/19・2008/1/5合併号に、居酒屋チェーン「てっ
ぺん」の話が載っています。

このチェーンの社長の考え方は「とにかくいいものは盗もう」というもの。
雇われ店長だった時代、繁盛店102人の店長から聞きだした"経営の秘訣"
の集大成がこのチェーン運営の基礎となっています。

この大らかさが、この方の持ち味のようです。「日本一の店長になりたいの
で教えてください」という申し出に断る人はいなかったとのこと。

もともと店長として成績を残せずに悩んでいた時代があったので、オリジナ
リティとかプライドとか言っている場合じゃなかったんでしょうね。

その甲斐あって自らも繁盛店を作り上げた彼は、成功への最短距離を走った
んだというわけです。

■しかもこの社長のいいところは、自分の経営ノウハウを惜しげもなく公開
しているところです。

他人からもらったものだから、他人にあげても惜しくないのは当然なのか。
実際は、そうは思えない人が多いのではないでしょうか。

情報を公開する結果として、彼のもとには人が集まるようになって、さらに
繁盛する流れとなっています。

■ただし、気をつけなければならないのは、「経営ノウハウ」というものは、
極めて現場に則したものだということです。

つまり、他人のノウハウは、その他人が使って機能するように出来ています。
単にマネしても役に立たない。

紳助竜介が、B&Bのネタを自分流にアレンジしなければならなかったよう
に、どんな成功企業のノウハウも自分の会社に適合させる必要があります。

実際には「てっぺん」の社長が実践ノウハウを公開したとしても、それを応
用して繁盛店を作れる人はほんの一握りのはずです。

また「てっぺん」の社長も集めた経営ノウハウを自分なりにアレンジして、
使えるようにするための努力を積み重ねたはずです。

現場のノウハウを抽象化する能力があるかないかで、成功の成否が問われる
というわけですね。

■余談ですが、私はセミナーや研修でこのあたりをいつも悩みます。

抽象的すぎるとピンとこない。具体的すぎるとその場は出来る気になっても
後で活用できない。

講師はヒントを与えるのみ、活用は受講生の責任です。と突き放せればいい
んでしょうが、職業的な誠意がそれを許しません。

具体的な事例を自分で抽象化する力をどれだけ持ってもらえるか、そのお手
伝いを講師はしているわけですな。

以上余談。

■ランチェスター戦略における弱者の基本戦略は「差別化」です。しかし、
差別化をするためには、ベースとなるものが必要です。ベースがあるから、
それを活かすための差別化戦略が成り立つわけです。

ベースとなる部分は、迷わずに模倣してください。いいと思ったもの。好ま
しいと感じるもの。カッコいいと思うこと。どんどん自分に採り入れてくだ
さい。自分の好きなもの、やりたいもの、クールだと感じるもの、その集大
成がオリジナリティとなります。

模倣は差別化の母という所以です。

ベースが頑丈になればなるほど、取りうる差別化戦略のスケールも大きくな
っていきます。

ですから、我々はこれからも、優れた先人に多くのことを学んでいきましょ
う。このメルマガでも、多くの事例を紹介していこうと思います。

これを今年の正月の言葉とさせていただきます^^

■蛇足ですが、我々コンサル業界でも、模倣はごく一般的です。ランチェス
ター戦略の考え方も多くの知恵ある人に模倣され活用されています。またそ
のランチェスター戦略もそれ以前にあった戦略論の影響を受けています。

それが健全な姿です。どれだけマネされ模倣されたかで、そのコンテンツの
価値が決まると言ってもいいでしょう。

逆に、変にコンテンツを囲い込もうとし始めた時、その理論や手法、人は衰
退していきます。ビジネス上の差別化はそんなところにはありません。そこ
に気づいた人が発展していくんでしょうね。

"秘伝"なんてものは、うなぎのタレぐらいにしておいてほしいもんです。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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