創業塾でのQ&A

2014.09.18

(2014年9月18日メルマガより)


■8月から9月にかけて、全4回にわたって「創業塾」
の講師を担当いたしました。

主催は守口門真商工会議所。

運営がスムーズでとてもやりやすかったです。

本当にお世話になりました。

■私は創業塾が大好きです。

今回にしても、低料金で、誰でも参加することができるわりには、真剣な人が多い。

セミナーというと、どうしても「会社に言われてイヤイヤ来た」人とか「オレの役に立つことを言うなら聞いてやる」という態度の人とかがいて、全体の雰囲気を乱したりするものなのですが、創業塾に関してはその懸念が少ないのです。

それはそうです。創業したい、創業について知りたい、という人は真剣です。

自分の人生を賭けて参加したという意気込みの方もおられます。

そんな人がおられるのに、私もいい加減な姿勢では、講師を務めることはできません。

セミナーというものは、常に受講者と講師の協同作業で作っていくものですから、そういう意味では、創業塾というのはいいセミナーになりやすいと思います。

今回の全4回も、とてもいい講座になったと感じています。

■最終日に、受講者の中から7名が、ご自身のビジネスプランを発表されました。

金融機関や自治体の方が見られている中で、練りに練ったプランを発表する体験は、その準備期間を通じて、とても得るものが多かったと思います。

しかも、発表された方はさすがに面白いプランが多い!

ここには書きませんが、すぐにできるプランや、私自身が関わりたいと思ったプランなど多種多様でした。

こういうキラリと光るビジネスプランに会うことができるのも、創業塾の醍醐味ですね。

今回の方々とは、また何らかの形でお付き合いしていきたいものです。

■ところで、創業塾の最終日、受講者のみなさんからいくつかの質問がありました。

今回は、その質問内容と、私の回答をここに載せたいと思います。

Q:創業はやってみないと分からないこと。今回は事業計画書の作り方を教えていただいたが、結局は机上の計画に過ぎないのではないか?

A:確かに、創業して計画通りいくことは稀でしょう。

私自身、綿密に計画して創業したつもりでしたが、計画はほぼ崩れてしまって、半年以上収入ゼロの状態が続きました。

それでも、計画を立てていてよかったなと思えるのは、その結果を検証して、何がダメだったのかを知ることができたことです。

一度、計画を立てたら、それを修正することは、ゼロから作るよりはるかに容易です。

つまずいた部分を検証して、修正すれば、計画の精度は増していきます。

計画がなければ、闇の中をさまようような気分になって、そこで諦めていたかも知れません。

毎月、毎日、計画を変更してもいいです。計画がないより、あった方が、ずっと成功確率は増すと思ってください。

■Q:売上の予測を立てるのが難しい。

A:確かに。ここが一番難しいでしょうね。

ただ、金融機関が最も重視するのも、この売上計画です。

これが適当では、計画全体の信頼性が損なわれてしまいます。

私は営業戦略の専門家ですから、売上計画については、特にうるさくチェックします。

売上計画のポイントは、顧客の可視化です。

例えば、リフォーム事業であれば、一定の地域で、対象となる家が何軒あるかが明確であれば、DMを送る、訪問する、という手段で何%の顧客にアプローチできるかに説得性が生じます。

法人相手のビジネスであれば、同じく対象となる法人数を明確にして、どの程度アプローチできるかを現実的に予測します。

繁華街の店舗であれば、近隣店舗の観察から、時間帯ごとの客数を予測して、客単価と回転数で売上を推測します。

いずれも、顧客や販売ルートを明確にすることで可視化が可能となります。

逆にいうと、顧客が誰かも分からない。販売ルートも決まっていないという計画では、売上予測は立ちません。

Q:言っていることが難しい。分からない。

A:売上は論理的に予測できる。ということだけを分かってください。

具体的には、専門家に相談されることをおすすめいたします。

■Q:今回の講座は、事業計画書の作り方が中心だった。もっと創業者の事例を聞きたかった。

A:これもよく言われることです。

私としては、計画の段階ごとに様々な企業の事例をあげていますが、もっと事例を聞きたいという話はよく言われます。

難しいのは、理論と事例のバランス配分です。

事例とかノウハウとかいうものは「そんなやり方があるんだ」「私にもできそうだ」というモチベーションを上げることには役立つものの、実際の現場ではほとんど役に立ちません。

なぜなら、その事例やノウハウは、他の人が置かれた状況のもとで機能したことで、自分の現場に置き換えるとあてはまりません。

事例をみてピンときて応用できる人は、経営理論を現場に応用できる人でしょう。

よく経営の教科書に載っていることを机上の理論として切り捨てる人がいますが、教科書に載るほどの理論は、何千という企業事例の検証を経てきたものだと考えて間違いありません。

机上の空論に思えてしまうのは、それが現場の臨場感を失うほど抽象化されているからですが、それは何にでも応用できるほど抽象化されているということでもあります。

成功者の話や事例、あるいは誰かのノウハウというものは、経営理論を理解するための材料として、あるいは自分のモチベーションを高めるためのツールとして割り切って考えた方がいいと思います。

決して、先人の成功事例に「答え」を求めないようにしてください。

■Q:創業した後、どうやってモチベーションを維持するのか?

A:計画通りいかないとくじけそうになりますね。心が折れる時というのはあるでしょう。

それでも耐えられるというのは、やはり好きなことで創業したのだという事実です。

だから安易に「儲かりそうだ」という理由でビジネスを始めるべきではありません。

「どうしてもこれを世の中に広めたい」という使命感か、「好きなことなんだから我慢できる」という気持ちになれるようなビジネスで創業してください。

それでも、やる気が出ない時期というのはあります。これは仕方ない。

その時のために、みなさん、自分でやる気を出すための方法を持っておいてください。

映画に行くのでもいい。音楽のライブに行くのでもいい。釣りでもいい。

私の場合は、「あのバカにやらせてみよう」というベンチャー起業家を扱ったルポルタージュを読むとやる気になります。
http://www.nin-r.com/uneisha/netbaka/

どうしてもやる気がでない時は、これを読むようにしています。

もっと卑近な話ですが、一人で仕事していると、やる気にならない時間帯があります。

そういう時の注意点は、他のことをしないこと。やる気にならない時は目を閉じて、やる気になるのを待ちます。

間違っても、ネットサーフィンしたり、動画をみたりしないこと。余計気が散って、その日一日、何もできなくなってしまいますので。

■Q:最初の日、創業するとリスクが多いと言われた。それならなぜ講師の方は創業したのか?

A:言いましたね。頭のいい人は創業なんてしないって^^

参考:創業して10年続く人が持っている3つの資質
http://www.createvalue.biz/column2/post-284.html

これは理屈ではないです。止むにやまれぬ気持ちというやつですか。

それはここにいる方、すべてがそうじゃないでしょうか。

ただ、私の場合、素直に思います。私には、会社員を続ける才能はなかったと。

変な言い方ですかね。

今になって思いますが、会社員というのは、上司がいて、部下がいて、同僚がいて、その複雑な思惑の中で、自分の居場所や存在意義を見出していかなければなりません。

会社にいながら、自分なりの充実感をもって仕事できる人は、素晴らしいと思います。

私にはその能力はありませんでした。

だから辞めるしかなかったのでしょう。

できないことに汲々するよりも、できることに集中した方が幸せですよ。

だから会社員を続ける能力がある人は、それを行使すればいいと思いますね。

■しかし、創業してしまった人はもう仕方ありません。

覚悟を決めていただかなければなりません。

「1万時間の法則」というのをご存じでしょうか。

もともとはマルコム・グラッドウェルという人が提唱した概念で、世の一流といわれる人々は例外なく、その分野で1万時間の下積みを経験しているというものです。

1万時間というと、1日3時間として、一日も休まなくて、約10年間。

1日8時間としても、4~5年です。

はっきりいって科学的な根拠はありません。精神論の類ですよ。

だけど、私は、その信奉者です。

たいした才能のない私が10年もやってこれたのは、始めたからには、1万時間を過ごそうという覚悟のみです。

決して鼻先の小銭に目を奪われることなく、本物になるための時間を過ごしていただきたいと思います。

参考:それぞれの「1万時間」を過ごそう
http://www.createvalue.biz/column2/post-63.html

またお会いしましょうね!

(2014年9月18日メルマガより)


■8月から9月にかけて、全4回にわたって「創業塾」
の講師を担当いたしました。

主催は守口門真商工会議所。

運営がスムーズでとてもやりやすかったです。

本当にお世話になりました。

■私は創業塾が大好きです。

今回にしても、低料金で、誰でも参加することができるわりには、真剣な人が多い。

セミナーというと、どうしても「会社に言われてイヤイヤ来た」人とか「オレの役に立つことを言うなら聞いてやる」という態度の人とかがいて、全体の雰囲気を乱したりするものなのですが、創業塾に関してはその懸念が少ないのです。

それはそうです。創業したい、創業について知りたい、という人は真剣です。

自分の人生を賭けて参加したという意気込みの方もおられます。

そんな人がおられるのに、私もいい加減な姿勢では、講師を務めることはできません。

セミナーというものは、常に受講者と講師の協同作業で作っていくものですから、そういう意味では、創業塾というのはいいセミナーになりやすいと思います。

今回の全4回も、とてもいい講座になったと感じています。

■最終日に、受講者の中から7名が、ご自身のビジネスプランを発表されました。

金融機関や自治体の方が見られている中で、練りに練ったプランを発表する体験は、その準備期間を通じて、とても得るものが多かったと思います。

しかも、発表された方はさすがに面白いプランが多い!

ここには書きませんが、すぐにできるプランや、私自身が関わりたいと思ったプランなど多種多様でした。

こういうキラリと光るビジネスプランに会うことができるのも、創業塾の醍醐味ですね。

今回の方々とは、また何らかの形でお付き合いしていきたいものです。

■ところで、創業塾の最終日、受講者のみなさんからいくつかの質問がありました。

今回は、その質問内容と、私の回答をここに載せたいと思います。

Q:創業はやってみないと分からないこと。今回は事業計画書の作り方を教えていただいたが、結局は机上の計画に過ぎないのではないか?

A:確かに、創業して計画通りいくことは稀でしょう。

私自身、綿密に計画して創業したつもりでしたが、計画はほぼ崩れてしまって、半年以上収入ゼロの状態が続きました。

それでも、計画を立てていてよかったなと思えるのは、その結果を検証して、何がダメだったのかを知ることができたことです。

一度、計画を立てたら、それを修正することは、ゼロから作るよりはるかに容易です。

つまずいた部分を検証して、修正すれば、計画の精度は増していきます。

計画がなければ、闇の中をさまようような気分になって、そこで諦めていたかも知れません。

毎月、毎日、計画を変更してもいいです。計画がないより、あった方が、ずっと成功確率は増すと思ってください。

■Q:売上の予測を立てるのが難しい。

A:確かに。ここが一番難しいでしょうね。

ただ、金融機関が最も重視するのも、この売上計画です。

これが適当では、計画全体の信頼性が損なわれてしまいます。

私は営業戦略の専門家ですから、売上計画については、特にうるさくチェックします。

売上計画のポイントは、顧客の可視化です。

例えば、リフォーム事業であれば、一定の地域で、対象となる家が何軒あるかが明確であれば、DMを送る、訪問する、という手段で何%の顧客にアプローチできるかに説得性が生じます。

法人相手のビジネスであれば、同じく対象となる法人数を明確にして、どの程度アプローチできるかを現実的に予測します。

繁華街の店舗であれば、近隣店舗の観察から、時間帯ごとの客数を予測して、客単価と回転数で売上を推測します。

いずれも、顧客や販売ルートを明確にすることで可視化が可能となります。

逆にいうと、顧客が誰かも分からない。販売ルートも決まっていないという計画では、売上予測は立ちません。

Q:言っていることが難しい。分からない。

A:売上は論理的に予測できる。ということだけを分かってください。

具体的には、専門家に相談されることをおすすめいたします。

■Q:今回の講座は、事業計画書の作り方が中心だった。もっと創業者の事例を聞きたかった。

A:これもよく言われることです。

私としては、計画の段階ごとに様々な企業の事例をあげていますが、もっと事例を聞きたいという話はよく言われます。

難しいのは、理論と事例のバランス配分です。

事例とかノウハウとかいうものは「そんなやり方があるんだ」「私にもできそうだ」というモチベーションを上げることには役立つものの、実際の現場ではほとんど役に立ちません。

なぜなら、その事例やノウハウは、他の人が置かれた状況のもとで機能したことで、自分の現場に置き換えるとあてはまりません。

事例をみてピンときて応用できる人は、経営理論を現場に応用できる人でしょう。

よく経営の教科書に載っていることを机上の理論として切り捨てる人がいますが、教科書に載るほどの理論は、何千という企業事例の検証を経てきたものだと考えて間違いありません。

机上の空論に思えてしまうのは、それが現場の臨場感を失うほど抽象化されているからですが、それは何にでも応用できるほど抽象化されているということでもあります。

成功者の話や事例、あるいは誰かのノウハウというものは、経営理論を理解するための材料として、あるいは自分のモチベーションを高めるためのツールとして割り切って考えた方がいいと思います。

決して、先人の成功事例に「答え」を求めないようにしてください。

■Q:創業した後、どうやってモチベーションを維持するのか?

A:計画通りいかないとくじけそうになりますね。心が折れる時というのはあるでしょう。

それでも耐えられるというのは、やはり好きなことで創業したのだという事実です。

だから安易に「儲かりそうだ」という理由でビジネスを始めるべきではありません。

「どうしてもこれを世の中に広めたい」という使命感か、「好きなことなんだから我慢できる」という気持ちになれるようなビジネスで創業してください。

それでも、やる気が出ない時期というのはあります。これは仕方ない。

その時のために、みなさん、自分でやる気を出すための方法を持っておいてください。

映画に行くのでもいい。音楽のライブに行くのでもいい。釣りでもいい。

私の場合は、「あのバカにやらせてみよう」というベンチャー起業家を扱ったルポルタージュを読むとやる気になります。
http://www.nin-r.com/uneisha/netbaka/

どうしてもやる気がでない時は、これを読むようにしています。

もっと卑近な話ですが、一人で仕事していると、やる気にならない時間帯があります。

そういう時の注意点は、他のことをしないこと。やる気にならない時は目を閉じて、やる気になるのを待ちます。

間違っても、ネットサーフィンしたり、動画をみたりしないこと。余計気が散って、その日一日、何もできなくなってしまいますので。

■Q:最初の日、創業するとリスクが多いと言われた。それならなぜ講師の方は創業したのか?

A:言いましたね。頭のいい人は創業なんてしないって^^

参考:創業して10年続く人が持っている3つの資質
http://www.createvalue.biz/column2/post-284.html

これは理屈ではないです。止むにやまれぬ気持ちというやつですか。

それはここにいる方、すべてがそうじゃないでしょうか。

ただ、私の場合、素直に思います。私には、会社員を続ける才能はなかったと。

変な言い方ですかね。

今になって思いますが、会社員というのは、上司がいて、部下がいて、同僚がいて、その複雑な思惑の中で、自分の居場所や存在意義を見出していかなければなりません。

会社にいながら、自分なりの充実感をもって仕事できる人は、素晴らしいと思います。

私にはその能力はありませんでした。

だから辞めるしかなかったのでしょう。

できないことに汲々するよりも、できることに集中した方が幸せですよ。

だから会社員を続ける能力がある人は、それを行使すればいいと思いますね。

■しかし、創業してしまった人はもう仕方ありません。

覚悟を決めていただかなければなりません。

「1万時間の法則」というのをご存じでしょうか。

もともとはマルコム・グラッドウェルという人が提唱した概念で、世の一流といわれる人々は例外なく、その分野で1万時間の下積みを経験しているというものです。

1万時間というと、1日3時間として、一日も休まなくて、約10年間。

1日8時間としても、4~5年です。

はっきりいって科学的な根拠はありません。精神論の類ですよ。

だけど、私は、その信奉者です。

たいした才能のない私が10年もやってこれたのは、始めたからには、1万時間を過ごそうという覚悟のみです。

決して鼻先の小銭に目を奪われることなく、本物になるための時間を過ごしていただきたいと思います。

参考:それぞれの「1万時間」を過ごそう
http://www.createvalue.biz/column2/post-63.html

またお会いしましょうね!

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