差別化は、マイナスせよ

2013.04.18

(2013年4月18日メルマガより)


■ランチェスター戦略の考えで企業が勝つ方法とは


1.どんなに小さくても自社がナンバーワンになれる可能性のある市場を選ぶ。

2.その市場の中で、自社が弱者か強者かを見極め、適切な戦略を作る

3.一度決めた戦略を徹底してやり抜く

という3つを行うことです。

これ以上でも、これ以下でもありません。

これをやり切れるなら、必ず成果が上がります。

■とは言いながら、この3つをやりきるのが難しい。

それぞれに細かな工夫もあります。

我々、ランチェスター戦略の専門家は、この3つのプロセスを完遂するために、日々の
研鑚を重ねているわけです。

■上の3つの中の、真ん中にあたるのが、戦略作りです。

市場シェアによって、1位なら強者、2位以下は弱者と規定されます。

当然ながら、強者と弱者ではとるべき戦略が異なります。

これが有名な「強者の戦略、弱者の戦略」です。

■強者の戦略の基本はミートです。

ミートとは、簡単にいえば、真似すること。

弱者企業の得意技を真似してしまえば、その武器は無力化します。

なぜなら、顧客は、一番売れている企業や商品を好むので、強者と弱者が同じサービスを
提供しているなら、強者を支持します。

■逆に、弱者の戦略の基本は差別化です。

人と違うことをする。

そうでないと、弱者は生き残れません。

創業社長の話を聞いていると、必ず出てくるのが、この言葉ですね。

「人を同じことをしては駄目だ」

それはそうでしょう。

創業者は殆どの場合、弱者からスタートするはずです。

だとすれば、成功した創業社長は、その経緯の中で、弱者の戦略を身を持って体現してき
たはずだからです。

弱者は差別化をする。

ランチェスター戦略戦略を学ぶ者は、誰もが知っている命題です。

■しかしながら、どんな差別化でもいいってわけではありません。

強者は、差別化を無力化すべく、虎視眈々と狙っています。

いくら差別化しても、簡単にミートされるようなら、競争力になりません。

差別化するなら、真似されにくい差別化を志向しなければならないのです。

■たとえば、価格の差別化とか、広告の差別化とかは、真似されやすい差別化です。

どんな安値を出そうとも、逆に高値をつけようとも、あるいは、どんなインパクトのある
広告宣伝を打とうとも、トップ企業とすれば真似しやすいことこの上ない。

商品の差別化も同じです。ある程度時間はかかりますが、特許などで守られていない限り、
差別化は容易です。

そんな差別化に力を入れて、イタチごっこになるのは、得策とは言えません。

■では、真似されやすい差別化とは何なのか?

その一つのヒントが、もはや古典となった「ブルー・オーシャン戦略」に載っています。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4270000708/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本の優れているところは、戦略の背景や概要説明ではなく、戦略立案の方法を中心に
書かれていることですね。

59ページに「アクション・マトリクス」というツールが紹介されています。

詳しくは、この本を読んでいただきたいですが、ありていに言えば、自社の提供している
価値の中から「増やすもの」と「減らすもの」を決めるための分析ツールです。

この本にも書いていますが、価値を高めることは同時にコストを高めることにつながります。

要するに、価値の高いものを提供しようとすれば、値段も高くなります。

安くしようとすれば、価値も下がります。

それが普通の考えなのですが、増やす価値、減らす価値をきっちりと決めることで、
メリハリをつけた価値提供と価格設定が可能になるだろうというのが、このツールの意味です。

■このツールが優れているのは、「減らす価値」を意識させようとしていることです。

企業が、差別化をしようとする場合、今のサービスに何か新しいものを「付加」しようと
してしまいます。

ところが、それは価格を上げる要因です。高値につながってしまう。

その上、付加したサービスは、ミートされやすいという特徴を持っています。

とりわけ、資金的に余裕のあるトップ企業からすれば、少々のコストがかかろうと、真似
してしまえば楽ちんです。

しかし、サービスを減らされた場合はどうでしょうか。

他の企業が、サービスを減らしたからといって、自社も減らすわけにはいきません。それ
は既存顧客が怒ってしまいます。

トップ企業とすれば、サービスは減らさずに、値段だけ下げなければならないという事態
になってしまいます。

あるいは、攻める企業は、あるサービスを減らした分、別のサービスを増やそうとするか
も知れません。

これもトップ企業にとっては悩ましいことです。

値段を上げることなく、サービスばかり増やさなければならないわけですから。

■これをさらに明瞭にした考えが「なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編」に
掲載されています。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4532318211/lanchesterkan-22/ref=nosim

137ページにある「マイナスの差別化」です。

この本には、マイナスの差別化を行うと、トップ企業は追随しにくいと書かれています。

なぜなら、マイナスの差別化を行うためには、固定費の使い方を変えざるをえず、大掛か
りなビジネスモデルの転換が必要になるからです。

例えば、スターバックスコーヒーは、喫茶店という業態の中から「喫煙」をマイナスしました。

私のように非喫煙者には誠にありがたい店舗ですから、少々高くても、行きたくなります。
(まあ、それぐらい他人の煙を喫うというのは嫌なものです)

ところが、業界トップのドトールコーヒーは、おいそれとミートできません。既存客の中
には、喫煙者が多くいるからです。

できて分煙。完全に禁煙の店舗を作るには、別ブランドの店を作る必要がありました。

あるいは、今話題のLCC(低価格の航空機運行サービス)は、JALやANAといった
通常の運行から、機内サービスや座席指定といったサービスをマイナスし、低価格化して
います。

これも、JALやANAは追随できません。そんなマイナスをすれば、顧客からクレーム
が殺到するでしょう。

やはり、別の運行サービス会社を始めるしか手がありませんでした。

「ブルー・オーシャン戦略」にも掲載されているのが、日本の理髪チェーンである「QB
ハウス」ですね。

これはご存じでしょう。通常の理髪サービスから、洗髪、髭剃り、指名といった要素をマ
イナスして、10分1000円という価格を実現しています。

■繰り返しますが、マイナスの差別化にミートしにくいのは、固定資産の扱いに関わるか
らです。

QBハウスが流行っているので、ミートしてやろうと思っても、通常の理髪店には、洗髪
や髭剃りの施設も器具も既にあります。技術者もいます。

それらがある限り、固定費削減にはつながりません。

何とも悩ましい差別化施策なのです。

■このマイナスの差別化は、新規参入する企業や、創業企業、あるいは零細企業にとって
有効です。

いわゆる「後だしジャンケン」ですから、攻める方は楽、守る方は厳しい施策です。

やり方は実に簡単です。

その業界のトップ2、3社が持っている商品やサービスを調べて、羅列します。

その上で、自社の特徴に応じて、これは止める、これは強化する、と決めていけばいいの
です。

■コンサルタントや士業にとっても、実に有効な方法です。

どうせ今の仕事がなくなっても、大した損害はないでしょう(失礼!)

それならば、ガラリとやり方を変えてみるのも、一興です。

ぜひとも、試してみてください。

(2013年4月18日メルマガより)


■ランチェスター戦略の考えで企業が勝つ方法とは


1.どんなに小さくても自社がナンバーワンになれる可能性のある市場を選ぶ。

2.その市場の中で、自社が弱者か強者かを見極め、適切な戦略を作る

3.一度決めた戦略を徹底してやり抜く

という3つを行うことです。

これ以上でも、これ以下でもありません。

これをやり切れるなら、必ず成果が上がります。

■とは言いながら、この3つをやりきるのが難しい。

それぞれに細かな工夫もあります。

我々、ランチェスター戦略の専門家は、この3つのプロセスを完遂するために、日々の
研鑚を重ねているわけです。

■上の3つの中の、真ん中にあたるのが、戦略作りです。

市場シェアによって、1位なら強者、2位以下は弱者と規定されます。

当然ながら、強者と弱者ではとるべき戦略が異なります。

これが有名な「強者の戦略、弱者の戦略」です。

■強者の戦略の基本はミートです。

ミートとは、簡単にいえば、真似すること。

弱者企業の得意技を真似してしまえば、その武器は無力化します。

なぜなら、顧客は、一番売れている企業や商品を好むので、強者と弱者が同じサービスを
提供しているなら、強者を支持します。

■逆に、弱者の戦略の基本は差別化です。

人と違うことをする。

そうでないと、弱者は生き残れません。

創業社長の話を聞いていると、必ず出てくるのが、この言葉ですね。

「人を同じことをしては駄目だ」

それはそうでしょう。

創業者は殆どの場合、弱者からスタートするはずです。

だとすれば、成功した創業社長は、その経緯の中で、弱者の戦略を身を持って体現してき
たはずだからです。

弱者は差別化をする。

ランチェスター戦略戦略を学ぶ者は、誰もが知っている命題です。

■しかしながら、どんな差別化でもいいってわけではありません。

強者は、差別化を無力化すべく、虎視眈々と狙っています。

いくら差別化しても、簡単にミートされるようなら、競争力になりません。

差別化するなら、真似されにくい差別化を志向しなければならないのです。

■たとえば、価格の差別化とか、広告の差別化とかは、真似されやすい差別化です。

どんな安値を出そうとも、逆に高値をつけようとも、あるいは、どんなインパクトのある
広告宣伝を打とうとも、トップ企業とすれば真似しやすいことこの上ない。

商品の差別化も同じです。ある程度時間はかかりますが、特許などで守られていない限り、
差別化は容易です。

そんな差別化に力を入れて、イタチごっこになるのは、得策とは言えません。

■では、真似されやすい差別化とは何なのか?

その一つのヒントが、もはや古典となった「ブルー・オーシャン戦略」に載っています。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4270000708/lanchesterkan-22/ref=nosim

この本の優れているところは、戦略の背景や概要説明ではなく、戦略立案の方法を中心に
書かれていることですね。

59ページに「アクション・マトリクス」というツールが紹介されています。

詳しくは、この本を読んでいただきたいですが、ありていに言えば、自社の提供している
価値の中から「増やすもの」と「減らすもの」を決めるための分析ツールです。

この本にも書いていますが、価値を高めることは同時にコストを高めることにつながります。

要するに、価値の高いものを提供しようとすれば、値段も高くなります。

安くしようとすれば、価値も下がります。

それが普通の考えなのですが、増やす価値、減らす価値をきっちりと決めることで、
メリハリをつけた価値提供と価格設定が可能になるだろうというのが、このツールの意味です。

■このツールが優れているのは、「減らす価値」を意識させようとしていることです。

企業が、差別化をしようとする場合、今のサービスに何か新しいものを「付加」しようと
してしまいます。

ところが、それは価格を上げる要因です。高値につながってしまう。

その上、付加したサービスは、ミートされやすいという特徴を持っています。

とりわけ、資金的に余裕のあるトップ企業からすれば、少々のコストがかかろうと、真似
してしまえば楽ちんです。

しかし、サービスを減らされた場合はどうでしょうか。

他の企業が、サービスを減らしたからといって、自社も減らすわけにはいきません。それ
は既存顧客が怒ってしまいます。

トップ企業とすれば、サービスは減らさずに、値段だけ下げなければならないという事態
になってしまいます。

あるいは、攻める企業は、あるサービスを減らした分、別のサービスを増やそうとするか
も知れません。

これもトップ企業にとっては悩ましいことです。

値段を上げることなく、サービスばかり増やさなければならないわけですから。

■これをさらに明瞭にした考えが「なぜ、あの会社は儲かるのか?ビジネスモデル編」に
掲載されています。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4532318211/lanchesterkan-22/ref=nosim

137ページにある「マイナスの差別化」です。

この本には、マイナスの差別化を行うと、トップ企業は追随しにくいと書かれています。

なぜなら、マイナスの差別化を行うためには、固定費の使い方を変えざるをえず、大掛か
りなビジネスモデルの転換が必要になるからです。

例えば、スターバックスコーヒーは、喫茶店という業態の中から「喫煙」をマイナスしました。

私のように非喫煙者には誠にありがたい店舗ですから、少々高くても、行きたくなります。
(まあ、それぐらい他人の煙を喫うというのは嫌なものです)

ところが、業界トップのドトールコーヒーは、おいそれとミートできません。既存客の中
には、喫煙者が多くいるからです。

できて分煙。完全に禁煙の店舗を作るには、別ブランドの店を作る必要がありました。

あるいは、今話題のLCC(低価格の航空機運行サービス)は、JALやANAといった
通常の運行から、機内サービスや座席指定といったサービスをマイナスし、低価格化して
います。

これも、JALやANAは追随できません。そんなマイナスをすれば、顧客からクレーム
が殺到するでしょう。

やはり、別の運行サービス会社を始めるしか手がありませんでした。

「ブルー・オーシャン戦略」にも掲載されているのが、日本の理髪チェーンである「QB
ハウス」ですね。

これはご存じでしょう。通常の理髪サービスから、洗髪、髭剃り、指名といった要素をマ
イナスして、10分1000円という価格を実現しています。

■繰り返しますが、マイナスの差別化にミートしにくいのは、固定資産の扱いに関わるか
らです。

QBハウスが流行っているので、ミートしてやろうと思っても、通常の理髪店には、洗髪
や髭剃りの施設も器具も既にあります。技術者もいます。

それらがある限り、固定費削減にはつながりません。

何とも悩ましい差別化施策なのです。

■このマイナスの差別化は、新規参入する企業や、創業企業、あるいは零細企業にとって
有効です。

いわゆる「後だしジャンケン」ですから、攻める方は楽、守る方は厳しい施策です。

やり方は実に簡単です。

その業界のトップ2、3社が持っている商品やサービスを調べて、羅列します。

その上で、自社の特徴に応じて、これは止める、これは強化する、と決めていけばいいの
です。

■コンサルタントや士業にとっても、実に有効な方法です。

どうせ今の仕事がなくなっても、大した損害はないでしょう(失礼!)

それならば、ガラリとやり方を変えてみるのも、一興です。

ぜひとも、試してみてください。

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