いつまで川原で石を売るのですか?(3)

2005.07.22


(2005年7月22日メルマガより)

■前回の続きです。

■大半の製造業者は、消費者に直接販売することはありません。
卸売業者や小売業者を仲介して販売しています。
これら仲介業者のことを一般にチャネルと呼んでいます。

私の経験で言いますが、小さな製造業者は、チャネルを選択するという余裕
がないところが殆どです。
どころか、売ってくれるなら、どこでもいいや、背に腹は変えられん、とい
うところが多いのではないでしょうか。

しかし、その姿勢が実は、後々、足かせになってしまいます。


■私の関わっているある企業は(詳しく書けませんが)家庭用雑貨の分野で
有望な商品を製造しています。有望であると判断したので、関わったわけで
すが。

そこで、販売戦略を立てて、ある小売チェーンと取り組むのが適切だという
ことになりました。

ところが、その小売チェーンは商品コンセプトに興味は示したものの、実際
の販売には難色を示しました。そこが差別化の対象としている小売店にその
商品が導入されていたからです。(社長は、導入されていることすら知りま
せんでした)

しかし、導入されているといっても、ほんの少しのアイテムです。もともと
店のカラーに合わないので、導入されていること自体がおかしいのですが。

ややこしいのはその後で、その店に納入している卸売業者が「専売権」を主
張し、新たなチャネル開拓にクレームをつけてきました。小さな取引額の卸
売業者なのですが、昔からの取引なので、発言も強いのです。

最終的には、その1アイテムを撤退してもらい、戦略どおりのチャネル開拓
ができたのですが、ずいぶん、苦労しました...

その会社は、典型的な「売ってくれるなら誰にでも任す」という方針だった
ようです。社長には、いい加減なチャネル戦略について、大いに反省しても
らいました。


■どこにでも売る、いっぱい売る、という姿勢は、強い商品があるという前
提に立っています。まさに強者の戦略です。

大衆に広く訴求するナンバーワンの商品を持っており、生産力に何の問題も
ないなら、なるべく多くの人に知らしめるのが正しい戦略です。多くの人の
目に触れれば、それだけ売れる可能性が増えます。

しかし、小さな製造業者は、そんな夢のような商品を持っていようはずもあ
りません。
その場合、強者のマネをしていては勝ち目はありません。

例えば、大手メーカーの人気商品をたくさん売っている量販店があるとしま
しょう。そこに、小さなメーカーの類似商品を並べたとして、売れると思い
ます?
あなたがお客さんなら、わざわざよく知らないメーカーの商品を買いますか?

おわかりですね。商品で差別化するのと同じぐらい、チャネルを差別化する
のは重要なことなのです。

ところが、殆どの製造業者がチャネルの差別化ということに無頓着です。

1つには、自社商品が他社の商品と比べて十分差別化できているという妄想
に近い思い込みがあるのかも知れません。

さらには、人気商品のついでに売れるかも知れないという都合のいい期待。

そしてやはり、売れるならどこにでも売ろうという、実質的な「販売戦略の
放棄」があるわけです。

戦略とは、取捨選択するものです。だから、なんでもかんでも売るのは戦略
の放棄です。

これが「川原で石を売る」という行為です。


■ただし、チャネルの選択は、企業戦略です。思いつきで安易に決めるべき
ものではありません。

そのチャネルに実質、アプローチできるのか。
そのチャネルは、自社がコントロールできるのか。
そのチャネルで、本当に儲けることができるのか。

こういった観点から地味に判断することを忘れないようにしてください。


■3回に渡ってお伝えしてきた内容はいかがでしたか。

単純な話です。営業には「誰に、何を、どのように」売るのか。要素はこの
3つしかありません。

こに3つにおいて差別化しなければ、それは「川原で石を売っている」のと
同じことです。


(2005年7月22日メルマガより)

■前回の続きです。

■大半の製造業者は、消費者に直接販売することはありません。
卸売業者や小売業者を仲介して販売しています。
これら仲介業者のことを一般にチャネルと呼んでいます。

私の経験で言いますが、小さな製造業者は、チャネルを選択するという余裕
がないところが殆どです。
どころか、売ってくれるなら、どこでもいいや、背に腹は変えられん、とい
うところが多いのではないでしょうか。

しかし、その姿勢が実は、後々、足かせになってしまいます。


■私の関わっているある企業は(詳しく書けませんが)家庭用雑貨の分野で
有望な商品を製造しています。有望であると判断したので、関わったわけで
すが。

そこで、販売戦略を立てて、ある小売チェーンと取り組むのが適切だという
ことになりました。

ところが、その小売チェーンは商品コンセプトに興味は示したものの、実際
の販売には難色を示しました。そこが差別化の対象としている小売店にその
商品が導入されていたからです。(社長は、導入されていることすら知りま
せんでした)

しかし、導入されているといっても、ほんの少しのアイテムです。もともと
店のカラーに合わないので、導入されていること自体がおかしいのですが。

ややこしいのはその後で、その店に納入している卸売業者が「専売権」を主
張し、新たなチャネル開拓にクレームをつけてきました。小さな取引額の卸
売業者なのですが、昔からの取引なので、発言も強いのです。

最終的には、その1アイテムを撤退してもらい、戦略どおりのチャネル開拓
ができたのですが、ずいぶん、苦労しました...

その会社は、典型的な「売ってくれるなら誰にでも任す」という方針だった
ようです。社長には、いい加減なチャネル戦略について、大いに反省しても
らいました。


■どこにでも売る、いっぱい売る、という姿勢は、強い商品があるという前
提に立っています。まさに強者の戦略です。

大衆に広く訴求するナンバーワンの商品を持っており、生産力に何の問題も
ないなら、なるべく多くの人に知らしめるのが正しい戦略です。多くの人の
目に触れれば、それだけ売れる可能性が増えます。

しかし、小さな製造業者は、そんな夢のような商品を持っていようはずもあ
りません。
その場合、強者のマネをしていては勝ち目はありません。

例えば、大手メーカーの人気商品をたくさん売っている量販店があるとしま
しょう。そこに、小さなメーカーの類似商品を並べたとして、売れると思い
ます?
あなたがお客さんなら、わざわざよく知らないメーカーの商品を買いますか?

おわかりですね。商品で差別化するのと同じぐらい、チャネルを差別化する
のは重要なことなのです。

ところが、殆どの製造業者がチャネルの差別化ということに無頓着です。

1つには、自社商品が他社の商品と比べて十分差別化できているという妄想
に近い思い込みがあるのかも知れません。

さらには、人気商品のついでに売れるかも知れないという都合のいい期待。

そしてやはり、売れるならどこにでも売ろうという、実質的な「販売戦略の
放棄」があるわけです。

戦略とは、取捨選択するものです。だから、なんでもかんでも売るのは戦略
の放棄です。

これが「川原で石を売る」という行為です。


■ただし、チャネルの選択は、企業戦略です。思いつきで安易に決めるべき
ものではありません。

そのチャネルに実質、アプローチできるのか。
そのチャネルは、自社がコントロールできるのか。
そのチャネルで、本当に儲けることができるのか。

こういった観点から地味に判断することを忘れないようにしてください。


■3回に渡ってお伝えしてきた内容はいかがでしたか。

単純な話です。営業には「誰に、何を、どのように」売るのか。要素はこの
3つしかありません。

こに3つにおいて差別化しなければ、それは「川原で石を売っている」のと
同じことです。

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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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