コトラーに教えらえた初心に戻る

2013.12.12

(2013年12月12日メルマガより)


■今月の日経新聞の「私の履歴書」は、フィリップ・
コトラーですね。

コトラーはマーケティング理論を現在の形に完成させた人であり、いまだ進化を続ける第一線の研究者でもあります。

マーケティングに関わる仕事をする人は、コトラーを避けては通れません。誰でも何冊かは本を読んだことがあるはずです。

営業も同じ。コトラーのマーケティング理論を知らずして営業はできません。

と、かっこよく言いたいところですが、実際には、コトラーの名前も知らない営業が多いのが実態です。

営業は勉強しませんからね^^;

私も、実はその一人でしたが、ある時、コトラーの本を読んで、目から鱗が落ちる経験をしました。

だから、私は、ことのほか、コトラーには思い入れがあります。

今回は、そのことを書こうと思います。

■かつて私はある製造業の営業担当者でした。

製造業の営業というと、昔は日蔭の存在でした。今は違うのかな?

製造業は、製品が全て。技術が全て。それが、会社内のコンセンサスでした。

売上や利益の向上は、製品力にかかっており、営業の役割は最初のきっかけを作るだけ。

営業なんて誰でもできる。と思われていました。

■会社がそういう風潮だから、当の営業が営業理論を身に着けるはずもありません。

結局、コミュニケーション能力があって、押しが強くて、ほんの少し現場で工夫できる者がトップ営業になれる世界でした。

実際のところ、私も営業成績はそこそこよかったのですが、実態は、押しの強さだけで成績を上げているようなものです。

それは自分が一番よくわかっています。

ところが人間とは勝手なもので「現場には、現場の者にしか分からない世界がある」なんて言って、妙なプライドをふくらませていたものでした。

■まあ、単なる売り子の言い分ですよ。

自分に中身がないから、それを隠すためにわざとシニカルにふるまったりしながら、やるときはやるぞ、なんて態度を示していました。

そんなだから、部下を指導することもできません。

私も先輩や上司から営業を教えてもらった記憶はありませんから、全部、たたき上げの知識です。それを部下に教えることなどできません。

部下や後輩の質問に、その程度も分からないのか?とあきれるふりをしていましたが、実際には、どう伝えていいかわかっていなかったのです。

先輩の中には「バカな部下は相手にしない。できるやつだけ教えてやる」とうそぶいている人もいました。

私はその先輩ほど最大級のバカではありませんでしたが、本質は同じようなものだったはずです。

■さすがに私も危機感を持っていたのでしょうね。

ある営業賞の賞金の一部で、勉強しよう、などと殊勝なことを考えました。

せっかくなら本格的な本を買おう、ということで、購入したのが、コトラーの「マーケティング原理」9515円也(当時)でした。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4478502102/lanchesterkan-22/ref=nosim

ほとんど広辞苑のような分厚さの本でしたから、買っただけで勉強したような気になってもよかったのですが、その時だけは違ったんですね。

せっかくだから読もう。

しかし読んでもわからない。

悔しいので、もう一度読む。

なんてことをしながら、最後は、1ページずつ、まとめ書きしながら読んでいきました。

意地になっていたんですね。というか、勉強らしきことをしている自分に酔っていたんだと思います。

■それが30歳の半ばだったと思います。

それまで営業担当者でいながらマーケティング理論を知らなかったという事実も間抜けですが、本当だから仕方ない。

それよりも、もとから素直な私は、そこに書いてあることに、すっかり感心してしまいました。

自分のやっている営業という仕事が、マーケティングという理論体系の中にどのように位置づけられているかを知り、自分の日々の活動が、会社にとって、あるいは経済社会全体にとってどのように関連しているのかを初めて知ったのです。

自分の目の前が開けた瞬間です。

それまで営業はつらい仕事だ。バカな上司の命令で、会社の利益をあげるために今日も嫌な顧客に頭を下げなければならない。でも家族を養うためには仕方ない。。。

としか思っていませんでしたが、マーケティング理論という大きな枠組みで捉えれば、あらゆる仕事は、よりよい社会をつくるために人々に与えられた社会的役割分担の一つです。

その中では、ライバル会社も、顧客も、社内の人たちも、等しく、よりよい社会をつくるためのパートナーであると位置づけられます

嫌な仕事だとか、嫌な客だとか言っていた自分が本当に愚かだったことに今さらながら気づかされました。

大げさに聞こえるかも知れませんが、世界の見方が一変したかのような衝撃を受けたのです。

■まったくもってコトラーさまさまですよ。

あの一冊がなければ、中小企業診断士の資格をとろうとも思わなかったでしょうし、独立しようとも思わなかったでしょう。

独立して、営業に関するコンサルティングの仕事に携わっている私ですが、やはり、こだわっているのは、営業を大きな体系の中で捉えようとする姿勢です。

現場の様々な苦労やノウハウには敬意を表しますが、それで上げれる利益など微々たるものです。

それよりも営業現場に出る前段階の「戦略」が、成果の大きさを決めます。

それを伝えるために、コンサルタントになったようなものですから、それだけは譲ることはできません。

ちょっと意地になりすぎているかも知れませんが。

■というのも、当の営業自身は、現場のノウハウを求めます。

自分のやっていることをさらに強化するためのツールがほしいわけです。

ところが戦略は、今やっていることを否定してしまうかも知れません。まったく違うやり方をしようということになるかも知れません。

戦略が大事だ。と思わない人には、受け入れられるものではないでしょう。

だから頭のいいコンサルタントは、いかにも現場で役立つ秘訣を教えるよーーとアピールしながら、食いついてきた人には「実は中身はこんなに奥深いんだよ」と戦略の大切さを教えようとします。

それができる人が、一流のコンサルタントだと思いますね。

早く私もそうならないといけない^^;

■コトラーの「私の履歴書」に4P誕生秘話のような回がありました。

4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの頭文字をとったものです。

標的市場から望む反応を引き出すための手法をフレームワーク化したもので、マーケティング・ミックスといわれています。

マーケティング理論の中でも象徴的なフレームワークであり、コトラーのいうように、この理論発展のために欠かせない概念でした。

一般に、4Pという概念は、コトラーが発明したように思われていますが、実際には、彼の友人が考え出したもので、その友人も他の人のフレームワークをアレンジしたものだということが、「私の履歴書」に書かれています。

ここからも分かるように、コトラーは、コンテンツを作り出す人ではなく、様々な概念を編集し、体系化してきた人です。

これだけの理論体系をまとめあげ、さらに進化発展させていこうというのは、まさに偉大な編集者の能力によるものだと考えます。

そして、その内容を惜しげもなく、公開してきたことが、マーケティングをここまで広く普及させることになったのでしょう

■そういえば、半年ほど前ですが、あるセミナーに参加しました。

マーケティングの理論を、ある切り口から編集し、うまくまとめた内容だったので、感心して、セミナー後、名刺交換しました。

するとその講師の顔色が変わりました。私の名刺がコンサルタントとなっていたからです。

その講師の方は「今日のセミナーの内容は私が考えたものだから、使うならロイヤリティを払え」などと言い出すわけです。

思わず「あほか」と言いそうになりました。その程度の編集で、ビジネスになると思っているのか?

コトラーも先人の理論を編集・体系化して、次代に伝える作業をしてきたわけです。

世の中の全ての理論は、過去の理論からの編集であり再構成です。そこに様々な検証が加えられ、時代に合うようにカスタマイズされていきます。

私も同じです。自分のオリジナルコンテンツだ、などというつもりは毛頭ありません。ランチェスター戦略やマーケティング戦略を自分の顧客に役立つように工夫してカスタマイズしながら使っています。

人のビジネスにとやかく言うのも野暮ですから、何も言いませんでしたけどね。

さすがにコトラー先生は、「4P」は自分のコンテンツだから使うなら金を払えなどとは言いません。

私はコトラーの理論を活用し続けますよ。

■先ほど、一流のコンサルタントは、小手先のノウハウを売りにしていると思わせながら
実は奥に体系を持っているものだ、といいました。

ところが、コンサルタントも多様なので注意しなければなりません。

コンサル料さえとれればいいやという方針で、顧客に迎合して、小手先のノウハウだけ教えて終わり、という人もいます。

あるいは、最近では、小手先のノウハウしか知らないコンサルタントもいるようです。

そういう方は、自分の体験やノウハウを無理やり「オリジナルコンテンツ」に仕立てて、販売しようとしています。

本当に、小手先のノウハウでよくなるんだと素直に信じているコンサルタントもいるので、わけが分かりません。

ここはやはり「営業が現場のノウハウでできることなどたかが知れている。営業が始まる前の戦略をしっかりと作らなければならない」という私の初期の問題意識に立ち返って、自分のやるべきことをしていきたいと思います。

やるべきことはまだまだあります。

(2013年12月12日メルマガより)


■今月の日経新聞の「私の履歴書」は、フィリップ・
コトラーですね。

コトラーはマーケティング理論を現在の形に完成させた人であり、いまだ進化を続ける第一線の研究者でもあります。

マーケティングに関わる仕事をする人は、コトラーを避けては通れません。誰でも何冊かは本を読んだことがあるはずです。

営業も同じ。コトラーのマーケティング理論を知らずして営業はできません。

と、かっこよく言いたいところですが、実際には、コトラーの名前も知らない営業が多いのが実態です。

営業は勉強しませんからね^^;

私も、実はその一人でしたが、ある時、コトラーの本を読んで、目から鱗が落ちる経験をしました。

だから、私は、ことのほか、コトラーには思い入れがあります。

今回は、そのことを書こうと思います。

■かつて私はある製造業の営業担当者でした。

製造業の営業というと、昔は日蔭の存在でした。今は違うのかな?

製造業は、製品が全て。技術が全て。それが、会社内のコンセンサスでした。

売上や利益の向上は、製品力にかかっており、営業の役割は最初のきっかけを作るだけ。

営業なんて誰でもできる。と思われていました。

■会社がそういう風潮だから、当の営業が営業理論を身に着けるはずもありません。

結局、コミュニケーション能力があって、押しが強くて、ほんの少し現場で工夫できる者がトップ営業になれる世界でした。

実際のところ、私も営業成績はそこそこよかったのですが、実態は、押しの強さだけで成績を上げているようなものです。

それは自分が一番よくわかっています。

ところが人間とは勝手なもので「現場には、現場の者にしか分からない世界がある」なんて言って、妙なプライドをふくらませていたものでした。

■まあ、単なる売り子の言い分ですよ。

自分に中身がないから、それを隠すためにわざとシニカルにふるまったりしながら、やるときはやるぞ、なんて態度を示していました。

そんなだから、部下を指導することもできません。

私も先輩や上司から営業を教えてもらった記憶はありませんから、全部、たたき上げの知識です。それを部下に教えることなどできません。

部下や後輩の質問に、その程度も分からないのか?とあきれるふりをしていましたが、実際には、どう伝えていいかわかっていなかったのです。

先輩の中には「バカな部下は相手にしない。できるやつだけ教えてやる」とうそぶいている人もいました。

私はその先輩ほど最大級のバカではありませんでしたが、本質は同じようなものだったはずです。

■さすがに私も危機感を持っていたのでしょうね。

ある営業賞の賞金の一部で、勉強しよう、などと殊勝なことを考えました。

せっかくなら本格的な本を買おう、ということで、購入したのが、コトラーの「マーケティング原理」9515円也(当時)でした。
http://amazon.co.jp/o/ASIN/4478502102/lanchesterkan-22/ref=nosim

ほとんど広辞苑のような分厚さの本でしたから、買っただけで勉強したような気になってもよかったのですが、その時だけは違ったんですね。

せっかくだから読もう。

しかし読んでもわからない。

悔しいので、もう一度読む。

なんてことをしながら、最後は、1ページずつ、まとめ書きしながら読んでいきました。

意地になっていたんですね。というか、勉強らしきことをしている自分に酔っていたんだと思います。

■それが30歳の半ばだったと思います。

それまで営業担当者でいながらマーケティング理論を知らなかったという事実も間抜けですが、本当だから仕方ない。

それよりも、もとから素直な私は、そこに書いてあることに、すっかり感心してしまいました。

自分のやっている営業という仕事が、マーケティングという理論体系の中にどのように位置づけられているかを知り、自分の日々の活動が、会社にとって、あるいは経済社会全体にとってどのように関連しているのかを初めて知ったのです。

自分の目の前が開けた瞬間です。

それまで営業はつらい仕事だ。バカな上司の命令で、会社の利益をあげるために今日も嫌な顧客に頭を下げなければならない。でも家族を養うためには仕方ない。。。

としか思っていませんでしたが、マーケティング理論という大きな枠組みで捉えれば、あらゆる仕事は、よりよい社会をつくるために人々に与えられた社会的役割分担の一つです。

その中では、ライバル会社も、顧客も、社内の人たちも、等しく、よりよい社会をつくるためのパートナーであると位置づけられます

嫌な仕事だとか、嫌な客だとか言っていた自分が本当に愚かだったことに今さらながら気づかされました。

大げさに聞こえるかも知れませんが、世界の見方が一変したかのような衝撃を受けたのです。

■まったくもってコトラーさまさまですよ。

あの一冊がなければ、中小企業診断士の資格をとろうとも思わなかったでしょうし、独立しようとも思わなかったでしょう。

独立して、営業に関するコンサルティングの仕事に携わっている私ですが、やはり、こだわっているのは、営業を大きな体系の中で捉えようとする姿勢です。

現場の様々な苦労やノウハウには敬意を表しますが、それで上げれる利益など微々たるものです。

それよりも営業現場に出る前段階の「戦略」が、成果の大きさを決めます。

それを伝えるために、コンサルタントになったようなものですから、それだけは譲ることはできません。

ちょっと意地になりすぎているかも知れませんが。

■というのも、当の営業自身は、現場のノウハウを求めます。

自分のやっていることをさらに強化するためのツールがほしいわけです。

ところが戦略は、今やっていることを否定してしまうかも知れません。まったく違うやり方をしようということになるかも知れません。

戦略が大事だ。と思わない人には、受け入れられるものではないでしょう。

だから頭のいいコンサルタントは、いかにも現場で役立つ秘訣を教えるよーーとアピールしながら、食いついてきた人には「実は中身はこんなに奥深いんだよ」と戦略の大切さを教えようとします。

それができる人が、一流のコンサルタントだと思いますね。

早く私もそうならないといけない^^;

■コトラーの「私の履歴書」に4P誕生秘話のような回がありました。

4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の4つの頭文字をとったものです。

標的市場から望む反応を引き出すための手法をフレームワーク化したもので、マーケティング・ミックスといわれています。

マーケティング理論の中でも象徴的なフレームワークであり、コトラーのいうように、この理論発展のために欠かせない概念でした。

一般に、4Pという概念は、コトラーが発明したように思われていますが、実際には、彼の友人が考え出したもので、その友人も他の人のフレームワークをアレンジしたものだということが、「私の履歴書」に書かれています。

ここからも分かるように、コトラーは、コンテンツを作り出す人ではなく、様々な概念を編集し、体系化してきた人です。

これだけの理論体系をまとめあげ、さらに進化発展させていこうというのは、まさに偉大な編集者の能力によるものだと考えます。

そして、その内容を惜しげもなく、公開してきたことが、マーケティングをここまで広く普及させることになったのでしょう

■そういえば、半年ほど前ですが、あるセミナーに参加しました。

マーケティングの理論を、ある切り口から編集し、うまくまとめた内容だったので、感心して、セミナー後、名刺交換しました。

するとその講師の顔色が変わりました。私の名刺がコンサルタントとなっていたからです。

その講師の方は「今日のセミナーの内容は私が考えたものだから、使うならロイヤリティを払え」などと言い出すわけです。

思わず「あほか」と言いそうになりました。その程度の編集で、ビジネスになると思っているのか?

コトラーも先人の理論を編集・体系化して、次代に伝える作業をしてきたわけです。

世の中の全ての理論は、過去の理論からの編集であり再構成です。そこに様々な検証が加えられ、時代に合うようにカスタマイズされていきます。

私も同じです。自分のオリジナルコンテンツだ、などというつもりは毛頭ありません。ランチェスター戦略やマーケティング戦略を自分の顧客に役立つように工夫してカスタマイズしながら使っています。

人のビジネスにとやかく言うのも野暮ですから、何も言いませんでしたけどね。

さすがにコトラー先生は、「4P」は自分のコンテンツだから使うなら金を払えなどとは言いません。

私はコトラーの理論を活用し続けますよ。

■先ほど、一流のコンサルタントは、小手先のノウハウを売りにしていると思わせながら
実は奥に体系を持っているものだ、といいました。

ところが、コンサルタントも多様なので注意しなければなりません。

コンサル料さえとれればいいやという方針で、顧客に迎合して、小手先のノウハウだけ教えて終わり、という人もいます。

あるいは、最近では、小手先のノウハウしか知らないコンサルタントもいるようです。

そういう方は、自分の体験やノウハウを無理やり「オリジナルコンテンツ」に仕立てて、販売しようとしています。

本当に、小手先のノウハウでよくなるんだと素直に信じているコンサルタントもいるので、わけが分かりません。

ここはやはり「営業が現場のノウハウでできることなどたかが知れている。営業が始まる前の戦略をしっかりと作らなければならない」という私の初期の問題意識に立ち返って、自分のやるべきことをしていきたいと思います。

やるべきことはまだまだあります。

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