「深掘り質問」を制する者は営業を制す

2020.03.05

(2020年3月5日メルマガより)

☆メルマガ登録はこちら


営業活動で成果を出すには、いくつかのポイントがあります。

最も重要なポイントは、顧客と信頼関係を作ることです。何度も、このメルマガで採り上げていることですね。

信頼関係があれば、本音を聞き出すこともできますから、的確な提案ができるはずです。プレゼンの時間も確保してくれるでしょう。

ただ、信頼関係には段階があります。いくら時間をかけて関係構築に努めたとしても、いきなり親友のような間柄になることは望めません。

それでも、商談はしなければなりません。

本音として、悩みや要望を教えてくれれば、提案もしやすいですが、そうでない相手からいかにして課題を聞き出すか。

だから、営業のもう一つの重要なポイントは「ヒアリング」です。


基本質問と深掘り質問


とは言いましたが、それほど大仰に考える必要もありません。

通常のルート営業であれば、提案するために必要な情報は、顕在化しています。

業界や業種によって異なりますが、一般的には、「需要の概要」「決定権者」「商品選択のポイント」「予算」「購入時期」「納期」「競合の動向」を聞き出します。

これは基本質問とでもいうべきもので、機械的に聞き出せば大丈夫です。

もちろん、それなりに注意が必要ですが、詳細は省きます。


ただ、新規案件などでは、基本質問だけでは対応しきれない場合があります。

そもそも、顧客自身がニーズを理解していないことだってあります。

その場合は、課題=ニーズを掘り下げて聞かなければなりません。

いわば「深掘り質問」です。

ここは、営業として、ある程度の知識が必要になるでしょう。


現状を聞き、目標を聞き、課題を解決する


前回のメルマガで書いた通り、課題とは、現状と目標のギャップから抽出するものです。

つまり、(1)現状について聞き、(2)目標、理想の状態について聞き、(3)そのギャップ=課題を確認する、という流れになります。

例えば、ダイエットをしたい人がいたとします。ダイエット方法を提供する側は、自社の商品やサービスをそのまま押し付けてはいけません。

(1)現状の体重と体型。これまでのダイエット経験。失敗した理由、リバウンドの理由、などを聞き出します。

(2)目標体重。目標体型。目標期限。体重はそのままでも体型を絞りたいのか。健康のために体重を減らしたいのか。動きを軽快にしたいのか。ファッションのためなのか。何のためにダイエットしたいのかを聞きます。

(3)その上で、時間がとれない、キツイのは続かない、運動は苦手、夜の食事制限はできない、などといった課題を導き、確認します。

課題が正確に把握できれば、自社商品やサービスを使って、課題を解決できるかどうかが、明瞭になるはずです。


そのほかにも、いくつか簡単な質問の手法があります。

オープン質問、クローズド質問


まず、質問には大きく分けて「オープン質問」と「クローズド質問」があります。

オープン質問とは、「現状、お困りのことは何でしょうか?」「いちばんの目標とされていることは何でしょうか?」というような答えを限定しない質問のことです。

クローズド質問とは、「ボディラインを美しくすることを最も気にかけておられるということでしょうか?」「目標達成イメージは、体重よりも、体脂肪を抑えることですか?」というような答えを限定する質問です。

基本的に、オープン質問で悩みや問題を引き出し、クローズド質問で確認していきます。

引き出す、確認する、引き出す、確認する、を繰り返すことで徐々にヒアリングを深めていくイメージです。

ただし、オープン質問には、質問方法が漠然となりがちで、漠然とした答えを引き出す傾向があるという弱点があります。

そこで「最近は、減量よりも、筋肉量を増やそうとする人が多いですね」「時間がかかっても楽な方法で減量する方法が人気ですね」などと一般的な情報を提供し、できるだけ具体的な内容の答えを引き出します。

あまり恣意的な情報で答えをミスリードしてしまうのは避けたいですが、適切な情報提供は、ヒアリングを活性化させます。


具体化の質問、根拠の質問


オープン質問で引き出した言葉があいまいであったり、迷いが感じられたりする時は、「具体化」「根拠」の質問を行って深めていきます。

「具体化」とは、文字通り、話を具体的にしていくための質問です。「具体的には、どういう不具合があったのでしょうか?」「例えば、どのような事故があったのでしょうか?」というように、「具体的には」「例えば」を使います。

「根拠」とは理由を聞く質問です。「なぜ、そのような目標を設定されたのでしょうか?」「どうして、そのような行動をされたのでしょうか?」というように「なぜ」「どうして」を使います。

「なぜ」「どうして」「具体的には」「例えば」の質問を繰り返すことで、ヒアリングは深まっていくことを覚えておいてください。


事実化の質問


ヒアリング内容を深めていく過程では、推測や仮定の話が多くなる傾向があります。

あまり事実と離れていくと現実的な話ではなくなり、プレゼンテーションにつなげにくくなってしまいます。

そんな時は、いったん「事実化」するといいでしょう。

「事実化」とは、内容を現実的な事実として捉えることです。

「だれが・いつ・どこで・何を・どのような理由で・どれぐらいの数量・予算で・どのようにした」という5W3H(Who・When・Where・What・Why・How many・How much・How)で整理します。

時折、事実として捉えなおすことで、観念や理想論が独り歩きすることを避けたいものです。


横展開の質問


内容が深まってきたと思っても、そこで終わっては、真の課題にたどり着けない恐れがあります。

ヒアリングでは「横展開」することを忘れないようにしましょう。

「横展開」とは、話を横に広げることです。「他に、気になっていることはございませんか?」「他に、ご要望はございませんか?」というように「他に」を使います。

ヒアリング内容が深まっている時は、思考が活性化しているので、話が広まっていきやすいといえます。

ついでのように話した言葉の中に、大切な課題がある場合も多いので、横展開は必ず行ってください。


確認の質問


問題や課題が見つかったと思う時は、クローズド質問で「確認」しましょう。

「私なりに考えたのですが、この部分に問題があると考えてよろしいでしょうか?」「ここが課題だと捉えていいでしょうか?」というような言い方です。

もう少しテクニックを使うとすれば、二者択一をお勧めします。

「課題は、Aの側にあるのでしょうか?それでもBの側でしょうか?」という質問ならば、顧客自身が選んだという形をとることができます。

確認作業はとても大切です。

自分だけ課題を理解したと思っていても、それを顧客と共有していなければ、ずれている可能性があります。

時間が経てば、忘れてしまう恐れもあります。

ヒアリングの最後に確認することは必須です。

特に顧客とともに導き出した課題は、顧客自身にも思い入れがあるものです。有効なプレゼンテーションにつなげることができるはずです。


パターンを身に着ける


いろいろ書いたので、難しいなあと思うかも知れませんね。

営業に慣れた人ならば、自然にやっていることばかりですが、慣れない人は、パターンを覚えれば、それなりの形になります。

大丈夫です。英単語を覚えるより、よほど簡単です。

パターンを覚えて、実際にやってみて、身に着けていけば、大丈夫です。きっといい営業になれます。

大きな企画などで、顧客自身が意識していなかった課題を見出し、ともに確認し、喜ばれることは、営業の醍醐味の一つです。


(2020年3月5日メルマガより)

☆メルマガ登録はこちら


営業活動で成果を出すには、いくつかのポイントがあります。

最も重要なポイントは、顧客と信頼関係を作ることです。何度も、このメルマガで採り上げていることですね。

信頼関係があれば、本音を聞き出すこともできますから、的確な提案ができるはずです。プレゼンの時間も確保してくれるでしょう。

ただ、信頼関係には段階があります。いくら時間をかけて関係構築に努めたとしても、いきなり親友のような間柄になることは望めません。

それでも、商談はしなければなりません。

本音として、悩みや要望を教えてくれれば、提案もしやすいですが、そうでない相手からいかにして課題を聞き出すか。

だから、営業のもう一つの重要なポイントは「ヒアリング」です。


基本質問と深掘り質問


とは言いましたが、それほど大仰に考える必要もありません。

通常のルート営業であれば、提案するために必要な情報は、顕在化しています。

業界や業種によって異なりますが、一般的には、「需要の概要」「決定権者」「商品選択のポイント」「予算」「購入時期」「納期」「競合の動向」を聞き出します。

これは基本質問とでもいうべきもので、機械的に聞き出せば大丈夫です。

もちろん、それなりに注意が必要ですが、詳細は省きます。


ただ、新規案件などでは、基本質問だけでは対応しきれない場合があります。

そもそも、顧客自身がニーズを理解していないことだってあります。

その場合は、課題=ニーズを掘り下げて聞かなければなりません。

いわば「深掘り質問」です。

ここは、営業として、ある程度の知識が必要になるでしょう。


現状を聞き、目標を聞き、課題を解決する


前回のメルマガで書いた通り、課題とは、現状と目標のギャップから抽出するものです。

つまり、(1)現状について聞き、(2)目標、理想の状態について聞き、(3)そのギャップ=課題を確認する、という流れになります。

例えば、ダイエットをしたい人がいたとします。ダイエット方法を提供する側は、自社の商品やサービスをそのまま押し付けてはいけません。

(1)現状の体重と体型。これまでのダイエット経験。失敗した理由、リバウンドの理由、などを聞き出します。

(2)目標体重。目標体型。目標期限。体重はそのままでも体型を絞りたいのか。健康のために体重を減らしたいのか。動きを軽快にしたいのか。ファッションのためなのか。何のためにダイエットしたいのかを聞きます。

(3)その上で、時間がとれない、キツイのは続かない、運動は苦手、夜の食事制限はできない、などといった課題を導き、確認します。

課題が正確に把握できれば、自社商品やサービスを使って、課題を解決できるかどうかが、明瞭になるはずです。


そのほかにも、いくつか簡単な質問の手法があります。

オープン質問、クローズド質問


まず、質問には大きく分けて「オープン質問」と「クローズド質問」があります。

オープン質問とは、「現状、お困りのことは何でしょうか?」「いちばんの目標とされていることは何でしょうか?」というような答えを限定しない質問のことです。

クローズド質問とは、「ボディラインを美しくすることを最も気にかけておられるということでしょうか?」「目標達成イメージは、体重よりも、体脂肪を抑えることですか?」というような答えを限定する質問です。

基本的に、オープン質問で悩みや問題を引き出し、クローズド質問で確認していきます。

引き出す、確認する、引き出す、確認する、を繰り返すことで徐々にヒアリングを深めていくイメージです。

ただし、オープン質問には、質問方法が漠然となりがちで、漠然とした答えを引き出す傾向があるという弱点があります。

そこで「最近は、減量よりも、筋肉量を増やそうとする人が多いですね」「時間がかかっても楽な方法で減量する方法が人気ですね」などと一般的な情報を提供し、できるだけ具体的な内容の答えを引き出します。

あまり恣意的な情報で答えをミスリードしてしまうのは避けたいですが、適切な情報提供は、ヒアリングを活性化させます。


具体化の質問、根拠の質問


オープン質問で引き出した言葉があいまいであったり、迷いが感じられたりする時は、「具体化」「根拠」の質問を行って深めていきます。

「具体化」とは、文字通り、話を具体的にしていくための質問です。「具体的には、どういう不具合があったのでしょうか?」「例えば、どのような事故があったのでしょうか?」というように、「具体的には」「例えば」を使います。

「根拠」とは理由を聞く質問です。「なぜ、そのような目標を設定されたのでしょうか?」「どうして、そのような行動をされたのでしょうか?」というように「なぜ」「どうして」を使います。

「なぜ」「どうして」「具体的には」「例えば」の質問を繰り返すことで、ヒアリングは深まっていくことを覚えておいてください。


事実化の質問


ヒアリング内容を深めていく過程では、推測や仮定の話が多くなる傾向があります。

あまり事実と離れていくと現実的な話ではなくなり、プレゼンテーションにつなげにくくなってしまいます。

そんな時は、いったん「事実化」するといいでしょう。

「事実化」とは、内容を現実的な事実として捉えることです。

「だれが・いつ・どこで・何を・どのような理由で・どれぐらいの数量・予算で・どのようにした」という5W3H(Who・When・Where・What・Why・How many・How much・How)で整理します。

時折、事実として捉えなおすことで、観念や理想論が独り歩きすることを避けたいものです。


横展開の質問


内容が深まってきたと思っても、そこで終わっては、真の課題にたどり着けない恐れがあります。

ヒアリングでは「横展開」することを忘れないようにしましょう。

「横展開」とは、話を横に広げることです。「他に、気になっていることはございませんか?」「他に、ご要望はございませんか?」というように「他に」を使います。

ヒアリング内容が深まっている時は、思考が活性化しているので、話が広まっていきやすいといえます。

ついでのように話した言葉の中に、大切な課題がある場合も多いので、横展開は必ず行ってください。


確認の質問


問題や課題が見つかったと思う時は、クローズド質問で「確認」しましょう。

「私なりに考えたのですが、この部分に問題があると考えてよろしいでしょうか?」「ここが課題だと捉えていいでしょうか?」というような言い方です。

もう少しテクニックを使うとすれば、二者択一をお勧めします。

「課題は、Aの側にあるのでしょうか?それでもBの側でしょうか?」という質問ならば、顧客自身が選んだという形をとることができます。

確認作業はとても大切です。

自分だけ課題を理解したと思っていても、それを顧客と共有していなければ、ずれている可能性があります。

時間が経てば、忘れてしまう恐れもあります。

ヒアリングの最後に確認することは必須です。

特に顧客とともに導き出した課題は、顧客自身にも思い入れがあるものです。有効なプレゼンテーションにつなげることができるはずです。


パターンを身に着ける


いろいろ書いたので、難しいなあと思うかも知れませんね。

営業に慣れた人ならば、自然にやっていることばかりですが、慣れない人は、パターンを覚えれば、それなりの形になります。

大丈夫です。英単語を覚えるより、よほど簡単です。

パターンを覚えて、実際にやってみて、身に着けていけば、大丈夫です。きっといい営業になれます。

大きな企画などで、顧客自身が意識していなかった課題を見出し、ともに確認し、喜ばれることは、営業の醍醐味の一つです。


コラム

blog

代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
世の中の事象を営業戦略コンサルタントの視点から斬っていきます。(無料)

記事一覧

blog

記事一覧

Customer Voice

記事一覧

このページのTOPへ