地域密着企業の経営方法

2009.09.10

(2009年9月10日メルマガより)

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■今回は「コアラ社長の経営戦略」という本を紹介します。

コアラ社長こと小原隆浩マルイ不動産株式会社社長は「20代で人口10万人の
地方小都市で起業し、10年で年間取扱高40億円超、売上げ6億円超の会社に
した30代社長」だということです。

「地方の若手起業家必読!」と帯に書かれていますが、まさにその通り。

「人口の少ない地方の小都市において、少ない投資で短期間に地域一番店に
なり、市場を制圧し、堅い地盤を築く秘訣を紹介を紹介しています」(はじ
めにより)

地域を絞り込んでビジネスをする者にとって、非常に参考になる本であるこ
とは間違いありません。

■私はいろいろな場所で「ランチェスター戦略入門セミナー」を行っていま
す。

「非常に参考になった」と喜ばれることも多いですが、中には「考え方は分
かるんだけど、自分の事業にどうやって活かせばいいかが分からない」とい
う反応も少なからずあります。

もっと直截に「一般論ばかり言いやがって。結局どうすれば儲かるんだ!」
と言われたことも一度ありました^^;

そういう方は「○○すれば儲かる」という話に引っかからないように気をつ
けてください。

■要するに、考え方をマスターすることと、実践にそれを活かすのとでは、
相当のギャップがあるということでしょうか。

ランチェスター戦略をさらに進めば、どうやって市場シェアを高めるのかを
具体的行動に落とし込む方法も理論化されていますが、入門セミナーの中で
は、そこまで提示することはありません。

しかし、たとえランチェスター戦略の実践的な部分を知ったとしても、それ
を自分で応用して活かせる人と、相変わらず「自社にとってのやり方が分か
らない」と言う人に分かれてしまいます。

結局、実践は自分で工夫するしかないのです。

■そんな「どうやって理論を実践すればいいんだ」と考える方にとって、こ
の「コアラ社長の経営戦略」は非常に役に立つはずです。

著者は、起業当初、ランチェスター理論の概要を知ったそうですが、それを
自分で応用して独自解釈を加えて、実践に活かしている様子が描かれていま
す。

著者は「本をよみあさり、ピンと来るものだけをピックアップし、常日頃経
営に生かしています」と書いていますが、それが正しい姿勢なのだと思いま
す。

私自身、コンサルティングの際には、ランチェスター戦略に固執せず、様々
な戦略理論を組み合わせて活用しています。

理論は道具なのですから、常に実践に合わせて再編成すべきものだと思いま
す。

(実際には、マーケティング理論もランチェスター理論も、同じ結果を示す
ことも多いので、企業とすれば道具は何を使ってもいいわけです)

■ランチェスター戦略が教える結論は「市場でナンバーワンになること」で
す。

前回紹介した日本マクドナルドの原田泳幸CEOも「利益を生み出すビジネ
スモデルは、マスで限りなく多くの顧客を獲得するか、ニッチマーケットを
独占するかしかない」という意味のことを言っています。

つまり、弱者といわれる企業は、自社がナンバーワンになることができる市
場を探すことが成功の必須条件です。

まさに「小さな市場で戦え」

誰も目をつけないような独自の市場を見つけることができれば、成功はもう
一歩のところまで近づいていると言ってもいいでしょう。

■その「小さな市場」の典型が、地域密着です。

地方には、大都市では考えられないような少ない需要で経営せざるを得ない
小さな会社がいっぱいあるのですが、それは意識するしないに関わらず「小
さな市場」を既に選んでいることでもあり、逆に有利な点でもあるというこ
とです。

ランチェスター戦略が、地域戦略を重視しているのは、それがナンバーワン
になるための典型的な事例だからです。

■ランチェスター戦略においてナンバーワンとは、ある特定の市場において、
2位以下に√3倍以上(つまり1.7倍以上)の差をつけた1位のことを指
します。(店内シェアで争う場合は、局地戦となるので3倍の差をつけるこ
とが必要です)

この特定の市場というのは、大都市である必要はありません。どんな小さな
単位でも市場は市場です。

まずは市場の範囲を独自に設定し、その中でナンバーワンになることを目指
します。

(ちなみに、市場の範囲設定に独自性があるほど、優れた戦略展開ができま
す。競争相手から分かりにくい設定であれば、真似される可能性が低くなり
ますから)

■さて、設定した市場でナンバーワンになるためには、自分が今、どれぐら
いのシェアを持っているかを知らなければなりません。

測定できなければ、自分がいつナンバーワンになったのかも分からないでし
ょうから。

ただ多くの方はここで躓いてしまいます。

実際、地方の小さな町でも、自分がどの程度のシェアを持っているのかを測
定するのは苦労するはずです。

■ランチェスター戦略では「ローラー調査」を推奨しています。

これは、市場範囲内での全ての顧客を測定する調査です。

こういうことを言うと「そんなことやってられない!」という声が聞こえる
のですが、実際に強い企業は、1ヶ月程度かけてローラー調査をやりきりま
す。

消費者相手の場合は途方もない調査に思えるかも知れませんが、法人相手の
ビジネスの場合は、顧客数も限られています。

範囲を特定すれば、決して途方もない数値ではなくなるはずです。

結局は、行動するかしないかの差となってしまいます。

■もし、自分のビジネスがローラー調査に向かないと思う場合でも、諦めて
はいけません。

その場合は、自分で「何を測定すればいいのか」を工夫することです。

それを怠ってはなりません。

■「コアラ社長の経営戦略」の場合、不動産仲介業ですから、不動産の「売
り情報」と「買い情報」を収集して測定しています。

いずれも他社のチラシや不動産機構の成約情報などを丹念に調査し、自社の
情報を組み合わせることで、自社のポジションを測定しているようです。

自社は○○%で、競合Aは○○%、競合Bは○○%という市場シェア数値を
把握することでやるべき行動が決まります。

例えば、1位競合A30%、2位自社20%、3位競合B10%という市場
シェアであれば、自社がやるべきことは、3位の競合Bにミートして(ぶつ
ける、真似する)競合Aとは差別化することです。

あるいは、1位自社30%、2位競合A20%、3位競合B10%であれば、
2位の競合Aにミートして、2%のシェアを奪いナンバーワンの地位を得る
ことになります。

数値がなければ、誰と差別化し、誰をミートするのかさえも分からなくなり
ます。

■またその地域において、自社が2位以下の弱者であれば、弱者の戦略とし
て、ポイントを絞った尖った営業活動をすることが重要ですが、自社が1位
の強者になったならば、広告宣伝を強化し、2位企業の動向に目を光らせて、
丹念にミートする戦略に切り替えなければなりません。

自社が弱者か、強者かを把握しなければ、限られた予算をどう使うべきなの
かも分からないことになります。

■さらに構造シェアの概念を理解すると、自社が新規顧客開拓をすべきなの
か、既存顧客に力を入れるべきなのかも知ることができます。

いずれも、競合他社を含めた市場シェアの動向を知るからこそ戦略を立てる
ことが可能になるのです。

■私のセミナーを受講された方から「自社でこのように市場シェアを測定す
ることにしました」というメールをいただくことがあります。

私としては、本当に嬉しいことですし、その工夫の多彩さには驚きます。

製造業にしろ、小売業にしろ、その企業の歴史や立地、顧客層によって、実
に様々ですから、基本理論がそのまま適用できることが稀かも知れません。

ただその考え方を吸収し、工夫することで、理論を実践に活かすことは必ず
できます。

私がコンサルティングに入って精査しない限り、それができるのは、事業の
ことをよく知っている経営者本人しかいません。

■「コアラ社長の経営戦略」には、まさに自分自身で工夫し、実践と理論づ
けを繰り返してきた人にしか書けない様々な知恵が書かれています。

起業時のお金の使い方から始まって、トレンドを見極めるための工夫、地域
における広告戦略のあり方、営業方法、人材確保の方法など、実践感覚にあ
ふれたノウハウが満載です。

これがそのまま他の企業に使えるかどうかは分かりません。使えないことも
多いでしょう。

しかし、その精神や発想方法などは、必ず役に立つはずです。

戦略を学び、それをどう活かそうかと悩んでいる方には、一読をお勧めいた
します。

ぜひとも、自分自身で考え、工夫し、自分の手で独自の戦略を作ることで、
ビジネスチャンスを切り開いていってください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今回紹介した「コアラ社長の経営戦略」は、いい本ですよーー。

私のセミナーで配布したいくらいです。

本文にも書きましたが、ここに書かれているのは、実践によって培った知恵
とその体系です。

■この著者は、こうして著作にしてくれたのでありがたいのですが、地方に
は、独自の戦略により堅い地盤を持つしたたかな会社が多いはずです。

そうした企業の経営者が皆、「自社の経営戦略」をまとめて上梓してくれた
らいいんですけどねーー

■私の仕事のひとつは、そうした企業戦略の掘り起こしです。

そう実感しています。

これからも、小さな「したたかな」会社の事例を紹介していきたいと思いま
す。


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■今回は「コアラ社長の経営戦略」という本を紹介します。

コアラ社長こと小原隆浩マルイ不動産株式会社社長は「20代で人口10万人の
地方小都市で起業し、10年で年間取扱高40億円超、売上げ6億円超の会社に
した30代社長」だということです。

「地方の若手起業家必読!」と帯に書かれていますが、まさにその通り。

「人口の少ない地方の小都市において、少ない投資で短期間に地域一番店に
なり、市場を制圧し、堅い地盤を築く秘訣を紹介を紹介しています」(はじ
めにより)

地域を絞り込んでビジネスをする者にとって、非常に参考になる本であるこ
とは間違いありません。

■私はいろいろな場所で「ランチェスター戦略入門セミナー」を行っていま
す。

「非常に参考になった」と喜ばれることも多いですが、中には「考え方は分
かるんだけど、自分の事業にどうやって活かせばいいかが分からない」とい
う反応も少なからずあります。

もっと直截に「一般論ばかり言いやがって。結局どうすれば儲かるんだ!」
と言われたことも一度ありました^^;

そういう方は「○○すれば儲かる」という話に引っかからないように気をつ
けてください。

■要するに、考え方をマスターすることと、実践にそれを活かすのとでは、
相当のギャップがあるということでしょうか。

ランチェスター戦略をさらに進めば、どうやって市場シェアを高めるのかを
具体的行動に落とし込む方法も理論化されていますが、入門セミナーの中で
は、そこまで提示することはありません。

しかし、たとえランチェスター戦略の実践的な部分を知ったとしても、それ
を自分で応用して活かせる人と、相変わらず「自社にとってのやり方が分か
らない」と言う人に分かれてしまいます。

結局、実践は自分で工夫するしかないのです。

■そんな「どうやって理論を実践すればいいんだ」と考える方にとって、こ
の「コアラ社長の経営戦略」は非常に役に立つはずです。

著者は、起業当初、ランチェスター理論の概要を知ったそうですが、それを
自分で応用して独自解釈を加えて、実践に活かしている様子が描かれていま
す。

著者は「本をよみあさり、ピンと来るものだけをピックアップし、常日頃経
営に生かしています」と書いていますが、それが正しい姿勢なのだと思いま
す。

私自身、コンサルティングの際には、ランチェスター戦略に固執せず、様々
な戦略理論を組み合わせて活用しています。

理論は道具なのですから、常に実践に合わせて再編成すべきものだと思いま
す。

(実際には、マーケティング理論もランチェスター理論も、同じ結果を示す
ことも多いので、企業とすれば道具は何を使ってもいいわけです)

■ランチェスター戦略が教える結論は「市場でナンバーワンになること」で
す。

前回紹介した日本マクドナルドの原田泳幸CEOも「利益を生み出すビジネ
スモデルは、マスで限りなく多くの顧客を獲得するか、ニッチマーケットを
独占するかしかない」という意味のことを言っています。

つまり、弱者といわれる企業は、自社がナンバーワンになることができる市
場を探すことが成功の必須条件です。

まさに「小さな市場で戦え」

誰も目をつけないような独自の市場を見つけることができれば、成功はもう
一歩のところまで近づいていると言ってもいいでしょう。

■その「小さな市場」の典型が、地域密着です。

地方には、大都市では考えられないような少ない需要で経営せざるを得ない
小さな会社がいっぱいあるのですが、それは意識するしないに関わらず「小
さな市場」を既に選んでいることでもあり、逆に有利な点でもあるというこ
とです。

ランチェスター戦略が、地域戦略を重視しているのは、それがナンバーワン
になるための典型的な事例だからです。

■ランチェスター戦略においてナンバーワンとは、ある特定の市場において、
2位以下に√3倍以上(つまり1.7倍以上)の差をつけた1位のことを指
します。(店内シェアで争う場合は、局地戦となるので3倍の差をつけるこ
とが必要です)

この特定の市場というのは、大都市である必要はありません。どんな小さな
単位でも市場は市場です。

まずは市場の範囲を独自に設定し、その中でナンバーワンになることを目指
します。

(ちなみに、市場の範囲設定に独自性があるほど、優れた戦略展開ができま
す。競争相手から分かりにくい設定であれば、真似される可能性が低くなり
ますから)

■さて、設定した市場でナンバーワンになるためには、自分が今、どれぐら
いのシェアを持っているかを知らなければなりません。

測定できなければ、自分がいつナンバーワンになったのかも分からないでし
ょうから。

ただ多くの方はここで躓いてしまいます。

実際、地方の小さな町でも、自分がどの程度のシェアを持っているのかを測
定するのは苦労するはずです。

■ランチェスター戦略では「ローラー調査」を推奨しています。

これは、市場範囲内での全ての顧客を測定する調査です。

こういうことを言うと「そんなことやってられない!」という声が聞こえる
のですが、実際に強い企業は、1ヶ月程度かけてローラー調査をやりきりま
す。

消費者相手の場合は途方もない調査に思えるかも知れませんが、法人相手の
ビジネスの場合は、顧客数も限られています。

範囲を特定すれば、決して途方もない数値ではなくなるはずです。

結局は、行動するかしないかの差となってしまいます。

■もし、自分のビジネスがローラー調査に向かないと思う場合でも、諦めて
はいけません。

その場合は、自分で「何を測定すればいいのか」を工夫することです。

それを怠ってはなりません。

■「コアラ社長の経営戦略」の場合、不動産仲介業ですから、不動産の「売
り情報」と「買い情報」を収集して測定しています。

いずれも他社のチラシや不動産機構の成約情報などを丹念に調査し、自社の
情報を組み合わせることで、自社のポジションを測定しているようです。

自社は○○%で、競合Aは○○%、競合Bは○○%という市場シェア数値を
把握することでやるべき行動が決まります。

例えば、1位競合A30%、2位自社20%、3位競合B10%という市場
シェアであれば、自社がやるべきことは、3位の競合Bにミートして(ぶつ
ける、真似する)競合Aとは差別化することです。

あるいは、1位自社30%、2位競合A20%、3位競合B10%であれば、
2位の競合Aにミートして、2%のシェアを奪いナンバーワンの地位を得る
ことになります。

数値がなければ、誰と差別化し、誰をミートするのかさえも分からなくなり
ます。

■またその地域において、自社が2位以下の弱者であれば、弱者の戦略とし
て、ポイントを絞った尖った営業活動をすることが重要ですが、自社が1位
の強者になったならば、広告宣伝を強化し、2位企業の動向に目を光らせて、
丹念にミートする戦略に切り替えなければなりません。

自社が弱者か、強者かを把握しなければ、限られた予算をどう使うべきなの
かも分からないことになります。

■さらに構造シェアの概念を理解すると、自社が新規顧客開拓をすべきなの
か、既存顧客に力を入れるべきなのかも知ることができます。

いずれも、競合他社を含めた市場シェアの動向を知るからこそ戦略を立てる
ことが可能になるのです。

■私のセミナーを受講された方から「自社でこのように市場シェアを測定す
ることにしました」というメールをいただくことがあります。

私としては、本当に嬉しいことですし、その工夫の多彩さには驚きます。

製造業にしろ、小売業にしろ、その企業の歴史や立地、顧客層によって、実
に様々ですから、基本理論がそのまま適用できることが稀かも知れません。

ただその考え方を吸収し、工夫することで、理論を実践に活かすことは必ず
できます。

私がコンサルティングに入って精査しない限り、それができるのは、事業の
ことをよく知っている経営者本人しかいません。

■「コアラ社長の経営戦略」には、まさに自分自身で工夫し、実践と理論づ
けを繰り返してきた人にしか書けない様々な知恵が書かれています。

起業時のお金の使い方から始まって、トレンドを見極めるための工夫、地域
における広告戦略のあり方、営業方法、人材確保の方法など、実践感覚にあ
ふれたノウハウが満載です。

これがそのまま他の企業に使えるかどうかは分かりません。使えないことも
多いでしょう。

しかし、その精神や発想方法などは、必ず役に立つはずです。

戦略を学び、それをどう活かそうかと悩んでいる方には、一読をお勧めいた
します。

ぜひとも、自分自身で考え、工夫し、自分の手で独自の戦略を作ることで、
ビジネスチャンスを切り開いていってください。

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■今回紹介した「コアラ社長の経営戦略」は、いい本ですよーー。

私のセミナーで配布したいくらいです。

本文にも書きましたが、ここに書かれているのは、実践によって培った知恵
とその体系です。

■この著者は、こうして著作にしてくれたのでありがたいのですが、地方に
は、独自の戦略により堅い地盤を持つしたたかな会社が多いはずです。

そうした企業の経営者が皆、「自社の経営戦略」をまとめて上梓してくれた
らいいんですけどねーー

■私の仕事のひとつは、そうした企業戦略の掘り起こしです。

そう実感しています。

これからも、小さな「したたかな」会社の事例を紹介していきたいと思いま
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