セイコーマート・北の最強コンビニはどのようにできたのか

2016.12.15

(2016年12月15日メルマガより)


■関東の人が関西を訪れて驚くのが、駅の売店という売店で赤福餅を売っている状況だそうです。

確かに、赤福餅はどこでも売っています。日常的風景ですな。

同じく関東の人が和歌山に行って驚くのが、チェーンストアオークワがやたらあることだそうです。

これも確かにそうです。和歌山って、オークワだらけです。

関西の人間にとっては、ごく普通の見慣れた光景なんですけどね。

■赤福も、オークワも、地域密着戦略をとる企業です。

赤福は伊勢の企業ですが、名古屋から神戸あたりまでしか買えないことを価値としています。

土産ものを扱う企業にはよくある施策です。

オークワは徹底して和歌山に出店する戦略をとりました。(一部、大阪や奈良にも出店していますが)

ですから、大手小売り(イオンやダイエー)が和歌山に進出することを阻止することができました。

日本全体が経済成長している時期には、あまり目立たなかった地域密着という施策ですが、今や、生き残りのキモとでもいうべき戦略となっています。

■同じように地域密着戦略で生き残るユニークな企業が、北海道にあります。

道内でコンビニを1170店舗以上展開し、シェアトップを維持するセイコーマート(株式会社セコマ)です。

(2位はセブンイレブン。940店舗ほど。いずれも2016年3月時点)

先日、セイコーマートに関する記事がありましたので、興味深く読みました。

参考:北海道のコンビニが全国1位!大手コンビニが勝てない「セイコーマート」の秘密に迫る
http://yorimichi.airdo.jp/seicomart_saeri

写真も豊富で、消費者目線に書かれたいい記事です。

記事題名にある全国1位とは、コンビニにおける顧客満足度調査の結果です。なんと6年間調査して、そのうち5年が1位だったそうです。(2位はセブンイレブン。一度だけ1位となりました)

なんで北海道のローカルコンビニがそんなに支持を集めているのでしょうか。

■記事によると、セイコーマートの特徴は、品数が多い、安い、店内調理が多いことです。

写真をみればなんとなくわかりますが、これはコンビニというよりも、量販店並みです。

価格はディスカウントストア並み。

しかも店内調理もあり。って、それは満足度も上がりますね。

どうやって、こんなコンビニが成り立つのでしょうか。

■と、言ってはみましたが、実は私、北海道に行った時、セイコーマートに寄ったことがあります。

記事に掲載されている写真は綺麗ですが、私の記憶しているセイコーマートは、こんなところではなかったですね。

なんていうか、もっと雑っぽいというか、あか抜けないというか...

レジもとろとろしているし、人数がいないので待たされるし。

まさに田舎の店だなーという印象でした。

面白いことに、店によって雰囲気が違います。札幌の繁華街の店は普通のコンビニっぽかったですが、少し郊外に行くと昭和の売店のような感じがありましたね。

つまり、セイコーマートって、コンビニでは当たり前の店舗の標準化ができていないんじゃないかと感じました。

しかし、まさにそのことが、セイコーマートの独自性を作っているところでもあるのですから、ビジネスって面白いですね。

■セイコーマートの出自は、お酒の卸売業でした。小さい酒屋の将来性に疑問を抱いた創業者が、アメリカで流行っているコンビニを参考に店舗を作ったのが、1971年のこと。セブンイレブン1号店が1974年ですから、それより早かったことになります。

そんなこともあって、セイコーマートはセブンイレブンのやり方を参考にせず、欧州のコンビニを参考にしました。

欧州には、北海道より小さな国がいっぱいありますから、そこで成り立っているコンビニなら参考になると考えたのでしょうそれが日本におけるトップ企業であるセブンに対する差別化となっていきました。

いまでは、セブンは全国制覇を狙う巨人です。だからセイコーマートの創業者は、セブンの店舗には立ち寄らないといいます。立ち寄ると参考にしたくなるからだそうです。あくまでセブンとは違う店であり続けなければならないという差別化戦略を意識するあまりです。

■セブンイレブンは、ある地域に集中出店して物流コストと広告コストを抑えつつ、店舗運営と商品選択を効率化最適化するというやり方を徹底しました。

ところがセイコーマートは、人口密度の低い北海道で展開しなければなりません。人口900人の村でも成り立つようなコスト構造と北海道全域への物流網が必要でした。

店舗運営に関しては、セブンのように売れ筋商品だけを並べておくわけにはいきません。900人の村で成り立つためには、村民の多くに毎日のように利用してもらわなければなりません。そのためには、品ぞろえの多さも必要ですし、買いやすい価格にしておかなければなりません。

そこで、セイコーマートは、商品の多くを自社で製造する方式をとりました。自社で素材を調達し加工するならば、低価格でも満足できる商品を企画できるという算段です。実際に100円ショップのような価格設定の惣菜が多く並べられています。

セイコーマートにPB商品が多いのはそのためです。セブンのPB商品が高付加価値化を志向しているのに対して、セイコーマートは低価格化を実現するための手法となっています。

さらにいうと北海道には、毎日物流できないような僻地や離島もあります。そういう店への対策として、店内調理をするようになりました。

店内調理というと廃棄ロスが出て大変だろうなーと思うのですが、そこは地域密着店舗のことですから、毎日どれぐらい出荷できるかは推測しやすいのでしょうね。

物流に関しては、早い時期から北海道をカバーする物流網を整備しました。協力する問屋との関係も深いので、ネットワークそのものが競争力となります。また農業から加工まで手掛けるセイコーマートなので、運送便に無駄が発生しにくくコスト減につながっています。

ついでにいうと、地産地消が多いということは、最終商品の新鮮さにもつながり、添加物なども最低限に抑えられます。

このように、地域密着し、地域顧客のニーズに応えるためにやってきたことが、セイコーマートの独自性や強みにつながりました。いまや株式会社セコマは、小売、卸・物流、製造、農業生産法人が垂直統合されたグループです。

さすがのセブンといえども、対抗できない領域にいってしまったといえるでしょう。セブン側が「セイコーマートはコンビニじゃない」と悔し紛れに言う所以です。

参考:大手もかなわない「北海道No.1コンビニ」の秘密 セイコーマート、「顧客と向き合う」本質とは?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130326/245646/

参考:商圏人口900人!セイコーマート「初山別村」出店に秘めた未来戦略
http://hre-net.com/keizai/ryutu/15758/

■もうひとつ、セイコーマートの独自性を裏付けるのが、直営店の多さです。

コンビニといえばフランチャイズ方式が多いというのが日本の常識になっています。これは初期セブンイレブンが資金難を逃れるために採用したシステムで、この方式があったために展開速度が速まりました。

ところがセイコーマートは7割が直営店だといいます。

それはそうでしょうね。北海道全域に店舗を持つセイコーマートですから、僻地や離島の店を引き受けようという奇特なフランチャイズオーナーはそうはいないでしょう。店舗運営を標準化できず、わかりやすい勝ちパターンを提示することができないので、フランチャイズ募集もままなりません。フランチャイズオーナーの高齢化、跡取りの不足という問題もあります。

いきおい直営店が多くなっていったということだと推察します。

もっとも、直営店が多いということが、セコマの戦略や運営が独特かつ自由なものにしているのだから面白い。

参考:卸・物流、製造、農場を持つ地域密着型コンビニチェーンのビジネスモデル変革 顧客価値の創造により「小さなマーケットを大きくする」
http://ps.nikkei.co.jp/cxostudy/seico1511/index.html

■孫子は「兵は水の形にかたどる」(兵の形は水のようなものだ・最強の兵には形がない)と書いていますが、セイコーマートの柔軟な戦略の軌跡は、顧客の状況に合わせて自在に形を変えてきたと思えます。

ともすれば、その都度、部分最適を繰り返した結果として、今の形になったといえるかもしれません。

しかし、一貫しているのは、顧客に向き合ってきたことです。

北海道という地域に住む顧客に最適な経営の姿を模索する中で、今日のような形態を作り上げてきました。

業界トップのセブンイレブンのやり方を安易に真似ず、自社の顧客に向き合いながら試行錯誤してきた真摯さは称賛に値するのではないでしょうか。

■ところが、そんなふうに地域密着戦略を展開し、セブンイレブンでさえも容易には勝てないコンビニチェーンを北海道で作り上げたセコマが、今度は、北海道という市場に限界を感じているようです。

北海道は全国平均よりも人口減と高齢化が進む地域です。このまま小売りチェーンを続けていてもジリ貧になっていくことは明白です。全国規模のセブンイレブンと競争していたら、先に体力負けしてしまうでしょう。

そこで、近年、セコマは、自社商品を関東の量販店などに販売することを模索しています。北海道産の素材を調達し、製造する能力を持っている同社なので、確かにその製品には価値がありそうです。関東や海外へ、北海道産の商品を「輸出」することができれば、成長余地は広がります。

さらには、セイコーマートの特徴の一つである「店内調理システム(ホットシェフ)」を関東のコンビニに提供することも始めています。

これらは今は小さな試みですが、セコマ側は本気のようです。

創業者はこんなことを言っていますね。

「コンビニは表看板として置いておきますが、実態としては物流や卸業務を積極化していきます。一番収益が上がるのはメーカー機能の部分です。でもメーカーの後ろにある原料の関係はもっと面白いのです。みんなコンビニだと思っているうちに、気が付いたら、もうコンビニでなくなってしまっている、というのが当社の今後の姿です」

フランチャイズ店舗が多いセブンイレブンの経営者は口が裂けてもこんなことは言えないでしょう。直営店が多いセコマならではの率直で戦略的な発言です。

参考:製造業へ華麗に転身したセイコーマート
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/121800011/

参考:「気づいたらコンビニではなかった」を目指す 赤尾明彦氏 セイコーマート会長インタビュー
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/121800023/

参考:コンビニ異端児セコマの「コンビニ限界論」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/072200395/

■こうしてみると、ますますセイコーマートの柔軟さが際立ちます。

地域に密着し、ひたすら地域のために在った企業が、今度は北海道と心中する気はない!と言い出したように思えますから。

もっとも他県へ販売するといっても、その前提には北海道に作り上げたネットワークがあるわけですから、見捨てたわけではないんですが。

まあでも、現在成功している企業のほとんどが、型にはまらない柔軟性を身に着けています。

セイコーマートも孫子のいう「水」のような戦略形態を持つひとつの事例として挙げたいと思います。


(2016年12月15日メルマガより)


■関東の人が関西を訪れて驚くのが、駅の売店という売店で赤福餅を売っている状況だそうです。

確かに、赤福餅はどこでも売っています。日常的風景ですな。

同じく関東の人が和歌山に行って驚くのが、チェーンストアオークワがやたらあることだそうです。

これも確かにそうです。和歌山って、オークワだらけです。

関西の人間にとっては、ごく普通の見慣れた光景なんですけどね。

■赤福も、オークワも、地域密着戦略をとる企業です。

赤福は伊勢の企業ですが、名古屋から神戸あたりまでしか買えないことを価値としています。

土産ものを扱う企業にはよくある施策です。

オークワは徹底して和歌山に出店する戦略をとりました。(一部、大阪や奈良にも出店していますが)

ですから、大手小売り(イオンやダイエー)が和歌山に進出することを阻止することができました。

日本全体が経済成長している時期には、あまり目立たなかった地域密着という施策ですが、今や、生き残りのキモとでもいうべき戦略となっています。

■同じように地域密着戦略で生き残るユニークな企業が、北海道にあります。

道内でコンビニを1170店舗以上展開し、シェアトップを維持するセイコーマート(株式会社セコマ)です。

(2位はセブンイレブン。940店舗ほど。いずれも2016年3月時点)

先日、セイコーマートに関する記事がありましたので、興味深く読みました。

参考:北海道のコンビニが全国1位!大手コンビニが勝てない「セイコーマート」の秘密に迫る
http://yorimichi.airdo.jp/seicomart_saeri

写真も豊富で、消費者目線に書かれたいい記事です。

記事題名にある全国1位とは、コンビニにおける顧客満足度調査の結果です。なんと6年間調査して、そのうち5年が1位だったそうです。(2位はセブンイレブン。一度だけ1位となりました)

なんで北海道のローカルコンビニがそんなに支持を集めているのでしょうか。

■記事によると、セイコーマートの特徴は、品数が多い、安い、店内調理が多いことです。

写真をみればなんとなくわかりますが、これはコンビニというよりも、量販店並みです。

価格はディスカウントストア並み。

しかも店内調理もあり。って、それは満足度も上がりますね。

どうやって、こんなコンビニが成り立つのでしょうか。

■と、言ってはみましたが、実は私、北海道に行った時、セイコーマートに寄ったことがあります。

記事に掲載されている写真は綺麗ですが、私の記憶しているセイコーマートは、こんなところではなかったですね。

なんていうか、もっと雑っぽいというか、あか抜けないというか...

レジもとろとろしているし、人数がいないので待たされるし。

まさに田舎の店だなーという印象でした。

面白いことに、店によって雰囲気が違います。札幌の繁華街の店は普通のコンビニっぽかったですが、少し郊外に行くと昭和の売店のような感じがありましたね。

つまり、セイコーマートって、コンビニでは当たり前の店舗の標準化ができていないんじゃないかと感じました。

しかし、まさにそのことが、セイコーマートの独自性を作っているところでもあるのですから、ビジネスって面白いですね。

■セイコーマートの出自は、お酒の卸売業でした。小さい酒屋の将来性に疑問を抱いた創業者が、アメリカで流行っているコンビニを参考に店舗を作ったのが、1971年のこと。セブンイレブン1号店が1974年ですから、それより早かったことになります。

そんなこともあって、セイコーマートはセブンイレブンのやり方を参考にせず、欧州のコンビニを参考にしました。

欧州には、北海道より小さな国がいっぱいありますから、そこで成り立っているコンビニなら参考になると考えたのでしょうそれが日本におけるトップ企業であるセブンに対する差別化となっていきました。

いまでは、セブンは全国制覇を狙う巨人です。だからセイコーマートの創業者は、セブンの店舗には立ち寄らないといいます。立ち寄ると参考にしたくなるからだそうです。あくまでセブンとは違う店であり続けなければならないという差別化戦略を意識するあまりです。

■セブンイレブンは、ある地域に集中出店して物流コストと広告コストを抑えつつ、店舗運営と商品選択を効率化最適化するというやり方を徹底しました。

ところがセイコーマートは、人口密度の低い北海道で展開しなければなりません。人口900人の村でも成り立つようなコスト構造と北海道全域への物流網が必要でした。

店舗運営に関しては、セブンのように売れ筋商品だけを並べておくわけにはいきません。900人の村で成り立つためには、村民の多くに毎日のように利用してもらわなければなりません。そのためには、品ぞろえの多さも必要ですし、買いやすい価格にしておかなければなりません。

そこで、セイコーマートは、商品の多くを自社で製造する方式をとりました。自社で素材を調達し加工するならば、低価格でも満足できる商品を企画できるという算段です。実際に100円ショップのような価格設定の惣菜が多く並べられています。

セイコーマートにPB商品が多いのはそのためです。セブンのPB商品が高付加価値化を志向しているのに対して、セイコーマートは低価格化を実現するための手法となっています。

さらにいうと北海道には、毎日物流できないような僻地や離島もあります。そういう店への対策として、店内調理をするようになりました。

店内調理というと廃棄ロスが出て大変だろうなーと思うのですが、そこは地域密着店舗のことですから、毎日どれぐらい出荷できるかは推測しやすいのでしょうね。

物流に関しては、早い時期から北海道をカバーする物流網を整備しました。協力する問屋との関係も深いので、ネットワークそのものが競争力となります。また農業から加工まで手掛けるセイコーマートなので、運送便に無駄が発生しにくくコスト減につながっています。

ついでにいうと、地産地消が多いということは、最終商品の新鮮さにもつながり、添加物なども最低限に抑えられます。

このように、地域密着し、地域顧客のニーズに応えるためにやってきたことが、セイコーマートの独自性や強みにつながりました。いまや株式会社セコマは、小売、卸・物流、製造、農業生産法人が垂直統合されたグループです。

さすがのセブンといえども、対抗できない領域にいってしまったといえるでしょう。セブン側が「セイコーマートはコンビニじゃない」と悔し紛れに言う所以です。

参考:大手もかなわない「北海道No.1コンビニ」の秘密 セイコーマート、「顧客と向き合う」本質とは?
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20130326/245646/

参考:商圏人口900人!セイコーマート「初山別村」出店に秘めた未来戦略
http://hre-net.com/keizai/ryutu/15758/

■もうひとつ、セイコーマートの独自性を裏付けるのが、直営店の多さです。

コンビニといえばフランチャイズ方式が多いというのが日本の常識になっています。これは初期セブンイレブンが資金難を逃れるために採用したシステムで、この方式があったために展開速度が速まりました。

ところがセイコーマートは7割が直営店だといいます。

それはそうでしょうね。北海道全域に店舗を持つセイコーマートですから、僻地や離島の店を引き受けようという奇特なフランチャイズオーナーはそうはいないでしょう。店舗運営を標準化できず、わかりやすい勝ちパターンを提示することができないので、フランチャイズ募集もままなりません。フランチャイズオーナーの高齢化、跡取りの不足という問題もあります。

いきおい直営店が多くなっていったということだと推察します。

もっとも、直営店が多いということが、セコマの戦略や運営が独特かつ自由なものにしているのだから面白い。

参考:卸・物流、製造、農場を持つ地域密着型コンビニチェーンのビジネスモデル変革 顧客価値の創造により「小さなマーケットを大きくする」
http://ps.nikkei.co.jp/cxostudy/seico1511/index.html

■孫子は「兵は水の形にかたどる」(兵の形は水のようなものだ・最強の兵には形がない)と書いていますが、セイコーマートの柔軟な戦略の軌跡は、顧客の状況に合わせて自在に形を変えてきたと思えます。

ともすれば、その都度、部分最適を繰り返した結果として、今の形になったといえるかもしれません。

しかし、一貫しているのは、顧客に向き合ってきたことです。

北海道という地域に住む顧客に最適な経営の姿を模索する中で、今日のような形態を作り上げてきました。

業界トップのセブンイレブンのやり方を安易に真似ず、自社の顧客に向き合いながら試行錯誤してきた真摯さは称賛に値するのではないでしょうか。

■ところが、そんなふうに地域密着戦略を展開し、セブンイレブンでさえも容易には勝てないコンビニチェーンを北海道で作り上げたセコマが、今度は、北海道という市場に限界を感じているようです。

北海道は全国平均よりも人口減と高齢化が進む地域です。このまま小売りチェーンを続けていてもジリ貧になっていくことは明白です。全国規模のセブンイレブンと競争していたら、先に体力負けしてしまうでしょう。

そこで、近年、セコマは、自社商品を関東の量販店などに販売することを模索しています。北海道産の素材を調達し、製造する能力を持っている同社なので、確かにその製品には価値がありそうです。関東や海外へ、北海道産の商品を「輸出」することができれば、成長余地は広がります。

さらには、セイコーマートの特徴の一つである「店内調理システム(ホットシェフ)」を関東のコンビニに提供することも始めています。

これらは今は小さな試みですが、セコマ側は本気のようです。

創業者はこんなことを言っていますね。

「コンビニは表看板として置いておきますが、実態としては物流や卸業務を積極化していきます。一番収益が上がるのはメーカー機能の部分です。でもメーカーの後ろにある原料の関係はもっと面白いのです。みんなコンビニだと思っているうちに、気が付いたら、もうコンビニでなくなってしまっている、というのが当社の今後の姿です」

フランチャイズ店舗が多いセブンイレブンの経営者は口が裂けてもこんなことは言えないでしょう。直営店が多いセコマならではの率直で戦略的な発言です。

参考:製造業へ華麗に転身したセイコーマート
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/278209/121800011/

参考:「気づいたらコンビニではなかった」を目指す 赤尾明彦氏 セイコーマート会長インタビュー
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/121800023/

参考:コンビニ異端児セコマの「コンビニ限界論」
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/15/110879/072200395/

■こうしてみると、ますますセイコーマートの柔軟さが際立ちます。

地域に密着し、ひたすら地域のために在った企業が、今度は北海道と心中する気はない!と言い出したように思えますから。

もっとも他県へ販売するといっても、その前提には北海道に作り上げたネットワークがあるわけですから、見捨てたわけではないんですが。

まあでも、現在成功している企業のほとんどが、型にはまらない柔軟性を身に着けています。

セイコーマートも孫子のいう「水」のような戦略形態を持つひとつの事例として挙げたいと思います。


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