プロ野球は、名選手しか監督になれないのか?

2012.11.01

(2012年11月1日メルマガより)


■2012年のプロ野球は、
5月ぐらいには既に終わってしまいました。

話題といえば、金本の引退ぐらい。

ほんと酷いシーズンでした。

アニキの花道なんだから、せめてクライマックスシリーズぐらい出てほしかったものですな。

■ところが、つい先ごろ、突然のように阪神タイガースの活躍がマスコミをにぎわしました。

10月25日のドラフト会議においてです。

参考:「2012年ドラフト会議を徹底検証。 阪神の上手い指名を初めて見た!」
http://number.bunshun.jp/articles/-/288505/

なんと、今年最大の目玉と言われた大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手を4球団競合の末、引き当て
たのです。

ドラフト競合12連敗中の阪神タイガースとすれば歴史的な快挙です。

当たりくじを引き当てた和田監督は、ここでシーズン中の不興を一気に挽回したわけですな。

藤浪だけではありません。

2位で外れ1位候補だった北條史也(遊撃手・光星学院)を指名し、2位指名が予想され
ていた小豆畑眞也(捕手・西濃運輸)は、4位に回すという実にお得なドラフト指名をや
ってのけました。

やればできるじゃないか!

金本や城島が引退し、世代交代が一気に進む年に、こうしたドラフトができたというのは、
誠に幸先のいいことでした。

■もっとも巷には、「阪神タイガースが本気で強くなりたいなら、和田監督ではアカンやろ」
という声もちらほら聞こえます^^;

確かに今年の采配は、そう言いたくなるものでした。

現役時代、あれほどいい選手だった和田豊が監督になった途端、不可解な采配を連発する
のはなぜなのか?

誰か教えてほしいものです。

いや、和田監督だけではありません。真弓明信も大変な名選手でしたからね。

それだけ監督というのは難しいものなんでしょう。

来年は和田監督で行くとして、優勝でもしない限り、再来年は矢野燿大が監督になるので
しょうか。

まあ、悪くない人選かも知れませんが、その前に、言いたいですね。

「勝ちたかったら、落合博満を連れてこんかい!!!」

■どうも落合博満は、野村克也とは違う意味で嫌われているのかも知れません。

以前このメルマガで書いたことがありますね。

参考:「なぜ落合博満はブレないのか?」
http://www.createvalue.biz/column2/post-201.html

彼は、目標設定があまりにも明確でブレることのない人物だと私は見ました。

その典型例が、2007年日本シリーズにおける完全試合目前の山井大介投手を岩瀬仁紀
に交代させた采配です。

個人的な情や、観客サービスを考えると、決してありえない采配ですが、これこそ勝つこ
とを唯一の目標とする落合監督の必然だったのでしょう。

あまりの反響の大きさに、さすがの落合監督も「山井の指のマメがつぶれていたから」と
言い訳をせざるを得ませんでしたが、後に「マメがなくても交代させていた」と発言して
います。

このような落合監督ですから、フロントの思惑や空気を読むということは期待できません。
今の阪神タイガースにそんな彼を受け入れる度量があるとは思えませんね。

■勝つことにこだわった落合監督ですが、それでもその実績には驚きます。

あまり自分の采配について解説することをしない人ですが、様々なインタビューや著作を
見ると、本人が言うほど変わった戦術を使うわけではありません。

私なりに簡単にまとめてしまうと、彼が常勝軍団を作り上げるためにしたことは、

1.球際に強い選手を育成する。

2.確率の高い戦術を選ぶ。

ことのようです。

■球際に強い選手を育成するためにしたことは、徹底した基礎訓練です。

キャンプ初日から実戦形式の紅白戦を行うことが話題となりましが、奇をてらった訓練法
ではなく、キャンプ初日までに身体を仕上げてくることを選手に求めるための工夫だった
ようです。

そもそも落合監督は、身体づくりを最も重視しています。技や心構えを説く前に、まずは
身体を鍛えよという方針です。

解説者になった今年、関西のテレビで「阪神の選手は全然練習していない」と発言してい
るのを聞きましたが、それは落合が必要だと考える基礎練習をしていないという意味なの
でしょう。

だから、中日の選手は、基礎的な守備力が高く、怪我に強いことで有名でした。

■その戦力を背景に、最も確率の高い作戦を選択するのが落合流采配でした。

彼が、投手力を含めた守備力を重視していたことは皆が知るところでしょうが、それは守
備力の強いチームが勝つ確率が高いと判断したからです。

確かに点をとられなければ、負けることはありません。細かな攻めでとった1点を守りき
るという野球は面白味はないものの勝つ可能性は高まります。

じりじりとした展開にもゆるぎないように見えたのは、落合監督が、予測のつかない今に
意識を向けることなく、確率的に展開を捉えていたからだと思えます。

ただし、細かな目配りは忘れていないので、単なるパターンに任せることはしていません。

例えば、落合中日は、8回セットアッパー浅尾、9回ストッパー岩瀬という勝ちパターン
を持っていました。そのパターンに持ち込めば、勝つ確率が高いのですから、それに向け
た試合運びを行います。

しかし落合監督が面白いのは、そのパターンを時に崩すことも辞さないことです。

彼に言わせると「相手との相性や本人の調子など様々な要素があるので、パターンに頼っ
てはいけない。パターンに頼るのは、監督の責任放棄だ」ということになります。

あくまで、その時の状況を見ながら、最も確率の高い方策を選択する采配です。

■落合野球は、営業組織が実績を出すための参考にもなります。

私も、営業チームが成果を出すためには

1.営業現場で強い営業担当者を育成する。

2.最も効率的な営業プロセスを作る。

ことによって、営業の生産性を高めることに尽きると考えています。

簡単にいいますが、1の営業担当者を育成するためには、基礎的な理論を習得した上で、
ロールプレイ、実践、その反省を繰り返します。

2の営業プロセスは、営業戦略に沿って、顧客選択から営業、アフターフォローの流れを
設計します。

ちなみに私は、2の専門家です。

営業系コンサルタントというと、現場の売れるノウハウを教えてほしいと依頼されること
も多いのですが、私はほとんどタッチしていませんので、悪しからずご了承ください。

■1つだけ、落合監督に不満があります。

それは、彼が言うことを聞かない選手に「文句があるなら、おれの現役時代の成績を超え
てみろ」と発言することです。

まあ、三冠王を通算3回獲得した落合に、これを言われたら、誰も文句が言えませんよ。

生意気な選手を黙らせるには、手っ取り早い方法かもしれませんが、それはないんじゃな
いの、と思うわけです。

なぜなら、落合の論法でいえば、名選手しか監督やコーチになってはいけないことになり
ます。

名選手、名監督にあらず。という言葉もあるように、選手としての能力と監督としてのそ
れは別物です。

そのあたりをわかっていない現役選手は、成績優秀者の指導しか受けたがらないかもしれ
ませんが、それは明らかに間違っています。

それなのに、間違った考えを助長するような発言は控えてほしいものですな。

■そういえばプロ野球は、選手経験者しか監督になっていませんよね。

もちろん、西本幸雄や、上田利治など、選手時代の成績があまりパッとしない名監督はい
ますが、それでも元プロ野球選手です。

それに比べて、サッカーの世界では、必ずしも選手が監督をするわけではありません。

なにしろ現在、世界最高の監督といわれるレアル・マドリードのジョゼ・モウリーニョは、
プロ選手としての経験がありません。

彼のほかにも、プロ選手経験のない監督は普通に存在しているらしい。彼らは、監督にな
るために専門の教育を受けた人たちです。

プレーヤーとマネージャーでは、求められる能力が違うということでいえば、野球よりも
サッカーの方が、合理的なシステムです。

要するに、プロサッカーの世界は、監督を育成するシステムが確立されており、プロ野球
では未だ属人的な要素に頼っているということにほかなりません。

■ここまで来れば、私の主張が分かっていただけると思います。

営業の世界でも、プレーヤーとマネージャーの違いを明確に認識すべきではないでしょうか。

やはり多くの営業組織では、営業成績のよい者が営業マネージャーに選ばれます。

マネージャーとしての見識と能力を身に着けた人ならいいのですが、残念ながらそうでは
ない人もいます。

徐々に少なくなってきているとは思いますが、昔日の成功体験を頼みに精神論的な指示し
かできないマネージャーはもう勘弁願いたいものです。

■かといって、現場感覚のない営業マネージャーも困ったものです。

私にも経験があります。会社員時代、「リーマン」というあだ名のマネージャーの下につ
いた時は、気が狂いそうになりました。

リーマンとは、サラリーマンと管理マンをかけたあだ名だそうです^^;

「営業はバカで捨て駒みたいなもんだから、賢い人間に使い倒されなければならない」と
いうのが信念の現場を無視した浮世離れした指示を出す人でした。

「売上はいらないから利益だけ上げてこい」とか「商品が売れすぎて欠品したから、客か
ら返してもらえ」といった素晴らしい指示がいっぱいありました。

彼こそ、マネジメントの基本と人間心理を読む方法と自分のプライドを制御することを学
んでほしいものでしたが、これはあまりにも極端な例でしたね。

■営業は現場においては、顧客と真正面から向かい合い、気を抜いてはならない仕事です。

常に顧客とは一期一会です。

その顧客に充分に報いることが全てであり、会社の都合など考慮しているようでは、一流
の営業にはなれません。

現場を預かる者には、そんな迫力があるものです。

ところが、彼がマネージャーになると、全体を俯瞰することが求められるようになります。

一人の顧客に全ての労力を割くわけにはいきません。

組織にとって重要な顧客、緊急性のある顧客を分類して、労力をかけるべき顧客を選択し
なければ生産性が上がりません。

マネージャーは、営業を確率で捉えることが必要になります。

プレーヤーとマネージャーでは、営業に対する姿勢が180度変わってしまうのです。

■難しいのは、プレーヤーが変に「確率の営業」という理屈を覚えてしまえば、現場にお
ける迫力を出すことができなくなってしまいます。

これは私がコンサルティング現場で経験していることです。営業経験のない新人は、理論
を素直に受け入れるものの、頭でっかちになって、現場の迫力(真摯さ、敏感さ、粘りなど)
を身に着けられなくなってしまうことがしばしばです。

だから、新人営業に、最初から営業を確率で捉えることは危険を伴うことなのです。

余談になりますが、営業経験のないコンサルタントが営業を教える時、机上の空論になり
がちなのが、この現場の迫力を軽視してしまうことです。

現場に強いことは営業の存在意義であるといってもいいぐらいですから、軽視してもらっ
ては困ります。

だから現場の営業は「最少の労力で最大の効果を上げるのが営業の極意だ」などという言
葉に安易に耳を貸さないようにしてください。

■しかし、それでも、営業マネージャーは、効率性を考えなければなりません。

矛盾していますが、営業マネージャーは、最少の労力で最大の効果を上げる方法を追求し
なければならないのです。

180度変わってしまうというのはこのことです。

全ての名プレーヤーが、落合博満や野村克也のような名マネージャーになることができれ
ばいいのですが、そうはいきません。

何より、ほとんどの人は、プレーイング・マネージャーであるわけですからなお難しい。

現場営業との地続きの状態で、マネジメントの技術をマスターすることなどアクロバット
のように困難な仕業でしょう。

ましてや時に現場至上主義となり、時に効率性重視となる矛盾した姿勢を使い分けするこ
とは難しいことこの上ない。

■要するに、日本の営業も、マネージャーの教育方法を確立しなければならないのです。

欧米と日本では、営業の生産性が倍ほど違うという話は、既に30年ほど前から言われて
いることです。

営業の生産性を「一人当たりの営業利益」だと捉えるならば、その原因がマネジメント手法
や能力にあることは明白です。

日本の現場営業の優秀さを活かしつつ営業マネジメントを機能させるためには、それを専
門に学んでもらう必要があります。

先ほども書きましたが、効率的な営業プロセスを作って、営業生産性を高めることこそ、
私が心血を注いでいることです。

自分の力のなさに情けなくなることも多々ありますが、この分野に腰を据えていきたいと
考えていることは変わりません。

■以前ほど「戦略嫌い」の営業担当者はいなくなりました。そこそこ大きな企業では、上
に書いたような前提なしに話を進めることができるようになってきました。

いいことですね^^

ただ、日本の大半を占める小さな会社においては、やはり緊迫した状況にあるからでしょ
うか、時間のかかる戦略作りなどにかまけている暇はないという反応が未だに目立ちます。

戦略を作って、営業の仕組みを変えて、機能するようになるまでには確かに時間がかかり
ます。

最短で半年。通常は1年ほどかかるでしょう。

「そんな分かりにくいことはやめて、目先で花火を見せてやればいいんだよ」とそそのか
されたりもしますが、そうはいかないのがコンサルタントの良心ですね。

営業生産性を高めて、根本的な業績向上策を作ることこそ私の使命だと考えます。

■欧州サッカーの世界では、選手の能力と監督の能力が明確に区分けされていることを先
ほど書きました。

実をいうと、アメリカのメジャーリーグベースボールでも、メジャーリーガーの経験がない
監督は普通に存在します。

つまり、アメリカではベースボールにおいても、選手の能力と監督の能力は違うことが明確に
認識されているのです。

日本のプロ野球は、広告塔の役割を被せられるからなのか、活躍した選手が監督就任する
傾向があることは否めません。

これが欧米と日本の差異なのでしょうか。

プロ野球においても、選手経験のない監督が活躍する合理性を持って初めてプロスポーツ
としての一段の成熟を見るのだと考えます。

いわんや営業組織においてをや。




(2012年11月1日メルマガより)


■2012年のプロ野球は、
5月ぐらいには既に終わってしまいました。

話題といえば、金本の引退ぐらい。

ほんと酷いシーズンでした。

アニキの花道なんだから、せめてクライマックスシリーズぐらい出てほしかったものですな。

■ところが、つい先ごろ、突然のように阪神タイガースの活躍がマスコミをにぎわしました。

10月25日のドラフト会議においてです。

参考:「2012年ドラフト会議を徹底検証。 阪神の上手い指名を初めて見た!」
http://number.bunshun.jp/articles/-/288505/

なんと、今年最大の目玉と言われた大阪桐蔭の藤浪晋太郎投手を4球団競合の末、引き当て
たのです。

ドラフト競合12連敗中の阪神タイガースとすれば歴史的な快挙です。

当たりくじを引き当てた和田監督は、ここでシーズン中の不興を一気に挽回したわけですな。

藤浪だけではありません。

2位で外れ1位候補だった北條史也(遊撃手・光星学院)を指名し、2位指名が予想され
ていた小豆畑眞也(捕手・西濃運輸)は、4位に回すという実にお得なドラフト指名をや
ってのけました。

やればできるじゃないか!

金本や城島が引退し、世代交代が一気に進む年に、こうしたドラフトができたというのは、
誠に幸先のいいことでした。

■もっとも巷には、「阪神タイガースが本気で強くなりたいなら、和田監督ではアカンやろ」
という声もちらほら聞こえます^^;

確かに今年の采配は、そう言いたくなるものでした。

現役時代、あれほどいい選手だった和田豊が監督になった途端、不可解な采配を連発する
のはなぜなのか?

誰か教えてほしいものです。

いや、和田監督だけではありません。真弓明信も大変な名選手でしたからね。

それだけ監督というのは難しいものなんでしょう。

来年は和田監督で行くとして、優勝でもしない限り、再来年は矢野燿大が監督になるので
しょうか。

まあ、悪くない人選かも知れませんが、その前に、言いたいですね。

「勝ちたかったら、落合博満を連れてこんかい!!!」

■どうも落合博満は、野村克也とは違う意味で嫌われているのかも知れません。

以前このメルマガで書いたことがありますね。

参考:「なぜ落合博満はブレないのか?」
http://www.createvalue.biz/column2/post-201.html

彼は、目標設定があまりにも明確でブレることのない人物だと私は見ました。

その典型例が、2007年日本シリーズにおける完全試合目前の山井大介投手を岩瀬仁紀
に交代させた采配です。

個人的な情や、観客サービスを考えると、決してありえない采配ですが、これこそ勝つこ
とを唯一の目標とする落合監督の必然だったのでしょう。

あまりの反響の大きさに、さすがの落合監督も「山井の指のマメがつぶれていたから」と
言い訳をせざるを得ませんでしたが、後に「マメがなくても交代させていた」と発言して
います。

このような落合監督ですから、フロントの思惑や空気を読むということは期待できません。
今の阪神タイガースにそんな彼を受け入れる度量があるとは思えませんね。

■勝つことにこだわった落合監督ですが、それでもその実績には驚きます。

あまり自分の采配について解説することをしない人ですが、様々なインタビューや著作を
見ると、本人が言うほど変わった戦術を使うわけではありません。

私なりに簡単にまとめてしまうと、彼が常勝軍団を作り上げるためにしたことは、

1.球際に強い選手を育成する。

2.確率の高い戦術を選ぶ。

ことのようです。

■球際に強い選手を育成するためにしたことは、徹底した基礎訓練です。

キャンプ初日から実戦形式の紅白戦を行うことが話題となりましが、奇をてらった訓練法
ではなく、キャンプ初日までに身体を仕上げてくることを選手に求めるための工夫だった
ようです。

そもそも落合監督は、身体づくりを最も重視しています。技や心構えを説く前に、まずは
身体を鍛えよという方針です。

解説者になった今年、関西のテレビで「阪神の選手は全然練習していない」と発言してい
るのを聞きましたが、それは落合が必要だと考える基礎練習をしていないという意味なの
でしょう。

だから、中日の選手は、基礎的な守備力が高く、怪我に強いことで有名でした。

■その戦力を背景に、最も確率の高い作戦を選択するのが落合流采配でした。

彼が、投手力を含めた守備力を重視していたことは皆が知るところでしょうが、それは守
備力の強いチームが勝つ確率が高いと判断したからです。

確かに点をとられなければ、負けることはありません。細かな攻めでとった1点を守りき
るという野球は面白味はないものの勝つ可能性は高まります。

じりじりとした展開にもゆるぎないように見えたのは、落合監督が、予測のつかない今に
意識を向けることなく、確率的に展開を捉えていたからだと思えます。

ただし、細かな目配りは忘れていないので、単なるパターンに任せることはしていません。

例えば、落合中日は、8回セットアッパー浅尾、9回ストッパー岩瀬という勝ちパターン
を持っていました。そのパターンに持ち込めば、勝つ確率が高いのですから、それに向け
た試合運びを行います。

しかし落合監督が面白いのは、そのパターンを時に崩すことも辞さないことです。

彼に言わせると「相手との相性や本人の調子など様々な要素があるので、パターンに頼っ
てはいけない。パターンに頼るのは、監督の責任放棄だ」ということになります。

あくまで、その時の状況を見ながら、最も確率の高い方策を選択する采配です。

■落合野球は、営業組織が実績を出すための参考にもなります。

私も、営業チームが成果を出すためには

1.営業現場で強い営業担当者を育成する。

2.最も効率的な営業プロセスを作る。

ことによって、営業の生産性を高めることに尽きると考えています。

簡単にいいますが、1の営業担当者を育成するためには、基礎的な理論を習得した上で、
ロールプレイ、実践、その反省を繰り返します。

2の営業プロセスは、営業戦略に沿って、顧客選択から営業、アフターフォローの流れを
設計します。

ちなみに私は、2の専門家です。

営業系コンサルタントというと、現場の売れるノウハウを教えてほしいと依頼されること
も多いのですが、私はほとんどタッチしていませんので、悪しからずご了承ください。

■1つだけ、落合監督に不満があります。

それは、彼が言うことを聞かない選手に「文句があるなら、おれの現役時代の成績を超え
てみろ」と発言することです。

まあ、三冠王を通算3回獲得した落合に、これを言われたら、誰も文句が言えませんよ。

生意気な選手を黙らせるには、手っ取り早い方法かもしれませんが、それはないんじゃな
いの、と思うわけです。

なぜなら、落合の論法でいえば、名選手しか監督やコーチになってはいけないことになり
ます。

名選手、名監督にあらず。という言葉もあるように、選手としての能力と監督としてのそ
れは別物です。

そのあたりをわかっていない現役選手は、成績優秀者の指導しか受けたがらないかもしれ
ませんが、それは明らかに間違っています。

それなのに、間違った考えを助長するような発言は控えてほしいものですな。

■そういえばプロ野球は、選手経験者しか監督になっていませんよね。

もちろん、西本幸雄や、上田利治など、選手時代の成績があまりパッとしない名監督はい
ますが、それでも元プロ野球選手です。

それに比べて、サッカーの世界では、必ずしも選手が監督をするわけではありません。

なにしろ現在、世界最高の監督といわれるレアル・マドリードのジョゼ・モウリーニョは、
プロ選手としての経験がありません。

彼のほかにも、プロ選手経験のない監督は普通に存在しているらしい。彼らは、監督にな
るために専門の教育を受けた人たちです。

プレーヤーとマネージャーでは、求められる能力が違うということでいえば、野球よりも
サッカーの方が、合理的なシステムです。

要するに、プロサッカーの世界は、監督を育成するシステムが確立されており、プロ野球
では未だ属人的な要素に頼っているということにほかなりません。

■ここまで来れば、私の主張が分かっていただけると思います。

営業の世界でも、プレーヤーとマネージャーの違いを明確に認識すべきではないでしょうか。

やはり多くの営業組織では、営業成績のよい者が営業マネージャーに選ばれます。

マネージャーとしての見識と能力を身に着けた人ならいいのですが、残念ながらそうでは
ない人もいます。

徐々に少なくなってきているとは思いますが、昔日の成功体験を頼みに精神論的な指示し
かできないマネージャーはもう勘弁願いたいものです。

■かといって、現場感覚のない営業マネージャーも困ったものです。

私にも経験があります。会社員時代、「リーマン」というあだ名のマネージャーの下につ
いた時は、気が狂いそうになりました。

リーマンとは、サラリーマンと管理マンをかけたあだ名だそうです^^;

「営業はバカで捨て駒みたいなもんだから、賢い人間に使い倒されなければならない」と
いうのが信念の現場を無視した浮世離れした指示を出す人でした。

「売上はいらないから利益だけ上げてこい」とか「商品が売れすぎて欠品したから、客か
ら返してもらえ」といった素晴らしい指示がいっぱいありました。

彼こそ、マネジメントの基本と人間心理を読む方法と自分のプライドを制御することを学
んでほしいものでしたが、これはあまりにも極端な例でしたね。

■営業は現場においては、顧客と真正面から向かい合い、気を抜いてはならない仕事です。

常に顧客とは一期一会です。

その顧客に充分に報いることが全てであり、会社の都合など考慮しているようでは、一流
の営業にはなれません。

現場を預かる者には、そんな迫力があるものです。

ところが、彼がマネージャーになると、全体を俯瞰することが求められるようになります。

一人の顧客に全ての労力を割くわけにはいきません。

組織にとって重要な顧客、緊急性のある顧客を分類して、労力をかけるべき顧客を選択し
なければ生産性が上がりません。

マネージャーは、営業を確率で捉えることが必要になります。

プレーヤーとマネージャーでは、営業に対する姿勢が180度変わってしまうのです。

■難しいのは、プレーヤーが変に「確率の営業」という理屈を覚えてしまえば、現場にお
ける迫力を出すことができなくなってしまいます。

これは私がコンサルティング現場で経験していることです。営業経験のない新人は、理論
を素直に受け入れるものの、頭でっかちになって、現場の迫力(真摯さ、敏感さ、粘りなど)
を身に着けられなくなってしまうことがしばしばです。

だから、新人営業に、最初から営業を確率で捉えることは危険を伴うことなのです。

余談になりますが、営業経験のないコンサルタントが営業を教える時、机上の空論になり
がちなのが、この現場の迫力を軽視してしまうことです。

現場に強いことは営業の存在意義であるといってもいいぐらいですから、軽視してもらっ
ては困ります。

だから現場の営業は「最少の労力で最大の効果を上げるのが営業の極意だ」などという言
葉に安易に耳を貸さないようにしてください。

■しかし、それでも、営業マネージャーは、効率性を考えなければなりません。

矛盾していますが、営業マネージャーは、最少の労力で最大の効果を上げる方法を追求し
なければならないのです。

180度変わってしまうというのはこのことです。

全ての名プレーヤーが、落合博満や野村克也のような名マネージャーになることができれ
ばいいのですが、そうはいきません。

何より、ほとんどの人は、プレーイング・マネージャーであるわけですからなお難しい。

現場営業との地続きの状態で、マネジメントの技術をマスターすることなどアクロバット
のように困難な仕業でしょう。

ましてや時に現場至上主義となり、時に効率性重視となる矛盾した姿勢を使い分けするこ
とは難しいことこの上ない。

■要するに、日本の営業も、マネージャーの教育方法を確立しなければならないのです。

欧米と日本では、営業の生産性が倍ほど違うという話は、既に30年ほど前から言われて
いることです。

営業の生産性を「一人当たりの営業利益」だと捉えるならば、その原因がマネジメント手法
や能力にあることは明白です。

日本の現場営業の優秀さを活かしつつ営業マネジメントを機能させるためには、それを専
門に学んでもらう必要があります。

先ほども書きましたが、効率的な営業プロセスを作って、営業生産性を高めることこそ、
私が心血を注いでいることです。

自分の力のなさに情けなくなることも多々ありますが、この分野に腰を据えていきたいと
考えていることは変わりません。

■以前ほど「戦略嫌い」の営業担当者はいなくなりました。そこそこ大きな企業では、上
に書いたような前提なしに話を進めることができるようになってきました。

いいことですね^^

ただ、日本の大半を占める小さな会社においては、やはり緊迫した状況にあるからでしょ
うか、時間のかかる戦略作りなどにかまけている暇はないという反応が未だに目立ちます。

戦略を作って、営業の仕組みを変えて、機能するようになるまでには確かに時間がかかり
ます。

最短で半年。通常は1年ほどかかるでしょう。

「そんな分かりにくいことはやめて、目先で花火を見せてやればいいんだよ」とそそのか
されたりもしますが、そうはいかないのがコンサルタントの良心ですね。

営業生産性を高めて、根本的な業績向上策を作ることこそ私の使命だと考えます。

■欧州サッカーの世界では、選手の能力と監督の能力が明確に区分けされていることを先
ほど書きました。

実をいうと、アメリカのメジャーリーグベースボールでも、メジャーリーガーの経験がない
監督は普通に存在します。

つまり、アメリカではベースボールにおいても、選手の能力と監督の能力は違うことが明確に
認識されているのです。

日本のプロ野球は、広告塔の役割を被せられるからなのか、活躍した選手が監督就任する
傾向があることは否めません。

これが欧米と日本の差異なのでしょうか。

プロ野球においても、選手経験のない監督が活躍する合理性を持って初めてプロスポーツ
としての一段の成熟を見るのだと考えます。

いわんや営業組織においてをや。




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