地域密着営業って何だろう?

2016.10.20

(2016年10月20日メルマガより)


■「地域密着営業」が経営の課題としてうたわれるようになってから久しいですよね。

今でも、講演のテーマとして求められることが多い。いや、むしろ、今の方が、多いかもしれない。

思うに、地域密着営業という言葉が出始めた頃は、将来的に必要な概念という位置づけだったのが、今やそれは現実に取り組まなければならない必然です。

地域密着営業は、ようやくコンセプトからリアルになったというわけですか。

■だから講演などにおいても、質問内容が切羽詰まっています。

具体的にどうすればいいのか、こういう場面ではどうすればいいのか、という現実に則したものが多くなっています。

そんな地域密着営業に関する私なりの考えを、以前、このメルマガで書かせていただきました。

よければ参考にしてください。

参考:小さくても生き残る「局所的な強者」の作り方
http://www.createvalue.biz/column2/post-383.html

■地域密着営業が求められるのは、日本の市場が成熟状態にあるからです。

市場が成長していた時代は、頑張れば新規顧客を見つけることも可能でしたし、他社との差別化も効きやすかったはずです。

しかし、顧客が増えない現代においては、新規顧客を見つけることが極めて困難な上に、多くの企業がそれぞれ工夫をこらした差別化に取り組んでおり、その効果をお互い消しあっています。

差別化が当たり前になった時代に、我々営業に残された工夫は、顧客に接近し寄り添うことです。

営業として顧客に接近するためには、足元の地域顧客を大切にすることが最も現実的な手段なのです。

■気を付けてほしいのは、地域密着営業が、営業の効率化を図る手段になってはならないということです。

以前のメルマガにも書きましたが、営業において「効率よく」とか「最小の労力で最大の効果を」とか、すぐに言い出すやつはろくなもんじゃありません。

営業の効率は、やってみて、やってみて、やってみて、勝ちパターンが見えてきてから意識するものです。

そもそも、地域に密着するのは、効率を犠牲にしてまでも、地域の個客に向き合うためです。

現場にいる人間が、顧客の代弁者になるという営業の本質的役割を忘れてはなりません

■それに地域密着営業なんてのは、今や大企業でも取り組んでいます。

ただし、大企業は固定費が大きいという前提があるので、個客対応といいながら、実際には顧客層というカタマリをターゲットとします。

買ってくれそうな顧客がいっぱいいる層(要するに、企業にとって美味しい顧客がいっぱいいそうなところ)に営業をかけなければ、固定費をまかなうことができません。

それって、結局は企業の都合であって、顧客志向ではないんですよね。

幸い中小企業は、前提となる固定費が小さいので、そんなジレンマもありません。個客に密着できるはずです。

■以前のメルマガには2つの企業の事例をあげました。

一つは東京の「でんかのヤマグチ」、もう一つは新潟のアパレル会社「SUGAR」です。

いずれも営業においては「御用聞き」を徹底している小さな会社です。

御用聞きなんて古い営業のやり方だ、なんてバカにしてはダメですよ。個客に密着しその声に応えようとすれば、御用聞きをせざるを得ません。

御用聞きの徹底こそ大企業にはできない営業をすることにつながります。

■今回はもう一つ事例を紹介したいと思います。

福岡の食品スーパー、サンピットバリューです。

参考:学習塾も運営!地域スーパー、究極の囲い込み策(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/100500074/101200004/?rt=nocnt

記事によれば、こちらは福岡県うきは市に一店舗だけあるスーパーです。

大手スーパーに押されて、長らく赤字だった同社が、浮上するきっかけとなったのが、学習塾を店の上階に作ったことでした。

もともとスーパーの従業員の子供の面倒をみるために始めた勉強会だったようですが、講師の教え方がよかったので学習塾運営に発展していきます。(講師は同社の総務部長だとか)

この学習塾が評判になり、地元に根付いたことで、食品スーパーも黒字になっていったようです。

これを単にスーパーが多角化展開をして業績を持ち直したという事例ではありません。

本来、食品スーパーと学習塾は別物です。相乗効果があるかどうかわかりません。利益を追求する立場からすれば、上策とは言えないでしょう。

しかし、同スーパーの経営者が考えたのは、全く違うことです。

「学力と人口は相関関係にあり、地域の学力が低下すると人口流出が加速し、地域の衰退を招きやすい」というのが、同スーパー経営者の問題意識だったようです。

地域に根付くスーパーが不振に陥ったのも、もとはといえば人口減が大きな要因です。地域に活気がなければそこで事業する者にも潤いはもたらされません。その根本的な問題に向き合おうという壮大な考えです。

同社社長はこうも語っています。

「顧客を取り戻すには、地域密着を極めるしかない。地域で困っていることを率先して見つけ出し、解決していこうと考えた」

こうなれば同社は営利企業というよりも社会企業です。

■しかし、衰退する地域社会で生き残るためには、地域で暮らす人々の問題に向き合うしか方策はありません。

私企業は利益を追求することが本質だといわれるかも知れませんが、その利益のもとになる地域社会が疲弊していれば、どうしようもない。

そこで国や地方自治体の責任を追及しても始まりません。地域の問題に向き合い解決しようと考えたサンピットバリューは、きわめて合理的に判断したのだと思います。

■ここに、地域密着営業の本質があると私は考えます。

すなわち地域密着営業とは、地域の人たちから利益を吸い上げるための営業ではありません。

地域の人たちが困っている問題に取り組み、それを解決することで、地域の人たちが潤うようにするための営業であり、そうすることでなくてはならない存在になるということです。

そのためには、一人一人の個人と向き合う必要があります。悩み、問題など個人によって千差万別だからです。

各営業が個人と向き合うことで、見えてきた課題が集約されれば、もっと大きなビジネスにつながっていくのかも知れません。

が、それは後の話。現場を預かる営業は、一人一人と向き合うことが仕事です。

そうすることでしか、成熟し、衰退していく市場でビジネスを継続することはできないと思います

■実は、日本各地で、地域に根差す企業(スーパーやガソリンスタンドを展開していたような企業)が、介護事業などを展開する例が増えています。

それを見て、高齢化社会なんだから、そこにビジネスチャンスがあるんだ、きっと儲かるんだとだけ考えるのは短絡的だと私は思います。

介護事業は、そんな安易な考えで儲けられるような産業分野ではありません。それこそ、ヒト、サービス、カネに関する小さな施策を積み重ねて、その歯車がうまく回りだした時にだけ利益が出るような事業構造になっています。

やはり地域密着をうたう企業が、介護事業などに取り組むのは、それが地域の抱える重要な問題だとみなしたからでしょう。

地域が抱える問題に真正面から取り組まずして、何を地域密着というのでしょうか。社会問題の解決は誰かがやってくれるから、うちはそのおこぼれをもらおう、と考えるのも一つの考えですが、それはあまりにも他力本願でリスクの高い考えです。

その意味では、まさに今回のサンピットバリューと同じ考えのもと取り組む企業が増えているのだと思います。

■本来、我々が学んできたマーケティング理論は「社会に必要とされない企業は生き残れない」とはっきりと指摘しています。

マーケティングの本質は利益を追求することではなく「社会に貢献する」ことだったはずです。

だから社会起業家といわれる人たちが特別な存在ではありません。なぜならすべての営利企業は「社会貢献」をしないと生き残れないからです。

なのに、どこか社会起業家を特別扱いし、マーケティングの理念を「理想論」だと醒めた目で見ている自分がいなかっただろうか。

いや、私はそんなつもりはなかったと思いたいです。しかし、クライアント企業から「理想論や抽象論はいらない」と反発されて、マーケティングの最も重要な本質を省略したことがなかっただろうかと言われれば、反省せざるを得ません。

■つまり地域密着営業とは、地域の個人が抱える問題に真正面から取り組む営業です。

最終的な利潤が、自社商品の販売から得られるものだとしても、それだけにしか興味がないと顧客からは瞬間に見透かされてしまいます。

一人一人の個人が悩む問題を理解し、それを解決する方法を商品やサービスとして提供することができれば、その営業はなくてはならない存在となります。

それを解決する商品やサービスがなければ作ればいいのです。営業しか個客の本質的ニーズを掴むことはできません。商品開発が営業の力なくしては成立しないわけですから。

サンピットバリューの場合、数年連続赤字という切羽詰まった状態であったという事情があったにせよ、ビジネスの本質に気付いたということですから立派だと思います。

我々も、取り返しのつかない状態になる前に、そのことに気付いて、真摯に取り組んでいかなければなりませんね。


(2016年10月20日メルマガより)


■「地域密着営業」が経営の課題としてうたわれるようになってから久しいですよね。

今でも、講演のテーマとして求められることが多い。いや、むしろ、今の方が、多いかもしれない。

思うに、地域密着営業という言葉が出始めた頃は、将来的に必要な概念という位置づけだったのが、今やそれは現実に取り組まなければならない必然です。

地域密着営業は、ようやくコンセプトからリアルになったというわけですか。

■だから講演などにおいても、質問内容が切羽詰まっています。

具体的にどうすればいいのか、こういう場面ではどうすればいいのか、という現実に則したものが多くなっています。

そんな地域密着営業に関する私なりの考えを、以前、このメルマガで書かせていただきました。

よければ参考にしてください。

参考:小さくても生き残る「局所的な強者」の作り方
http://www.createvalue.biz/column2/post-383.html

■地域密着営業が求められるのは、日本の市場が成熟状態にあるからです。

市場が成長していた時代は、頑張れば新規顧客を見つけることも可能でしたし、他社との差別化も効きやすかったはずです。

しかし、顧客が増えない現代においては、新規顧客を見つけることが極めて困難な上に、多くの企業がそれぞれ工夫をこらした差別化に取り組んでおり、その効果をお互い消しあっています。

差別化が当たり前になった時代に、我々営業に残された工夫は、顧客に接近し寄り添うことです。

営業として顧客に接近するためには、足元の地域顧客を大切にすることが最も現実的な手段なのです。

■気を付けてほしいのは、地域密着営業が、営業の効率化を図る手段になってはならないということです。

以前のメルマガにも書きましたが、営業において「効率よく」とか「最小の労力で最大の効果を」とか、すぐに言い出すやつはろくなもんじゃありません。

営業の効率は、やってみて、やってみて、やってみて、勝ちパターンが見えてきてから意識するものです。

そもそも、地域に密着するのは、効率を犠牲にしてまでも、地域の個客に向き合うためです。

現場にいる人間が、顧客の代弁者になるという営業の本質的役割を忘れてはなりません

■それに地域密着営業なんてのは、今や大企業でも取り組んでいます。

ただし、大企業は固定費が大きいという前提があるので、個客対応といいながら、実際には顧客層というカタマリをターゲットとします。

買ってくれそうな顧客がいっぱいいる層(要するに、企業にとって美味しい顧客がいっぱいいそうなところ)に営業をかけなければ、固定費をまかなうことができません。

それって、結局は企業の都合であって、顧客志向ではないんですよね。

幸い中小企業は、前提となる固定費が小さいので、そんなジレンマもありません。個客に密着できるはずです。

■以前のメルマガには2つの企業の事例をあげました。

一つは東京の「でんかのヤマグチ」、もう一つは新潟のアパレル会社「SUGAR」です。

いずれも営業においては「御用聞き」を徹底している小さな会社です。

御用聞きなんて古い営業のやり方だ、なんてバカにしてはダメですよ。個客に密着しその声に応えようとすれば、御用聞きをせざるを得ません。

御用聞きの徹底こそ大企業にはできない営業をすることにつながります。

■今回はもう一つ事例を紹介したいと思います。

福岡の食品スーパー、サンピットバリューです。

参考:学習塾も運営!地域スーパー、究極の囲い込み策(日経ビジネスオンライン)
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/100500074/101200004/?rt=nocnt

記事によれば、こちらは福岡県うきは市に一店舗だけあるスーパーです。

大手スーパーに押されて、長らく赤字だった同社が、浮上するきっかけとなったのが、学習塾を店の上階に作ったことでした。

もともとスーパーの従業員の子供の面倒をみるために始めた勉強会だったようですが、講師の教え方がよかったので学習塾運営に発展していきます。(講師は同社の総務部長だとか)

この学習塾が評判になり、地元に根付いたことで、食品スーパーも黒字になっていったようです。

これを単にスーパーが多角化展開をして業績を持ち直したという事例ではありません。

本来、食品スーパーと学習塾は別物です。相乗効果があるかどうかわかりません。利益を追求する立場からすれば、上策とは言えないでしょう。

しかし、同スーパーの経営者が考えたのは、全く違うことです。

「学力と人口は相関関係にあり、地域の学力が低下すると人口流出が加速し、地域の衰退を招きやすい」というのが、同スーパー経営者の問題意識だったようです。

地域に根付くスーパーが不振に陥ったのも、もとはといえば人口減が大きな要因です。地域に活気がなければそこで事業する者にも潤いはもたらされません。その根本的な問題に向き合おうという壮大な考えです。

同社社長はこうも語っています。

「顧客を取り戻すには、地域密着を極めるしかない。地域で困っていることを率先して見つけ出し、解決していこうと考えた」

こうなれば同社は営利企業というよりも社会企業です。

■しかし、衰退する地域社会で生き残るためには、地域で暮らす人々の問題に向き合うしか方策はありません。

私企業は利益を追求することが本質だといわれるかも知れませんが、その利益のもとになる地域社会が疲弊していれば、どうしようもない。

そこで国や地方自治体の責任を追及しても始まりません。地域の問題に向き合い解決しようと考えたサンピットバリューは、きわめて合理的に判断したのだと思います。

■ここに、地域密着営業の本質があると私は考えます。

すなわち地域密着営業とは、地域の人たちから利益を吸い上げるための営業ではありません。

地域の人たちが困っている問題に取り組み、それを解決することで、地域の人たちが潤うようにするための営業であり、そうすることでなくてはならない存在になるということです。

そのためには、一人一人の個人と向き合う必要があります。悩み、問題など個人によって千差万別だからです。

各営業が個人と向き合うことで、見えてきた課題が集約されれば、もっと大きなビジネスにつながっていくのかも知れません。

が、それは後の話。現場を預かる営業は、一人一人と向き合うことが仕事です。

そうすることでしか、成熟し、衰退していく市場でビジネスを継続することはできないと思います

■実は、日本各地で、地域に根差す企業(スーパーやガソリンスタンドを展開していたような企業)が、介護事業などを展開する例が増えています。

それを見て、高齢化社会なんだから、そこにビジネスチャンスがあるんだ、きっと儲かるんだとだけ考えるのは短絡的だと私は思います。

介護事業は、そんな安易な考えで儲けられるような産業分野ではありません。それこそ、ヒト、サービス、カネに関する小さな施策を積み重ねて、その歯車がうまく回りだした時にだけ利益が出るような事業構造になっています。

やはり地域密着をうたう企業が、介護事業などに取り組むのは、それが地域の抱える重要な問題だとみなしたからでしょう。

地域が抱える問題に真正面から取り組まずして、何を地域密着というのでしょうか。社会問題の解決は誰かがやってくれるから、うちはそのおこぼれをもらおう、と考えるのも一つの考えですが、それはあまりにも他力本願でリスクの高い考えです。

その意味では、まさに今回のサンピットバリューと同じ考えのもと取り組む企業が増えているのだと思います。

■本来、我々が学んできたマーケティング理論は「社会に必要とされない企業は生き残れない」とはっきりと指摘しています。

マーケティングの本質は利益を追求することではなく「社会に貢献する」ことだったはずです。

だから社会起業家といわれる人たちが特別な存在ではありません。なぜならすべての営利企業は「社会貢献」をしないと生き残れないからです。

なのに、どこか社会起業家を特別扱いし、マーケティングの理念を「理想論」だと醒めた目で見ている自分がいなかっただろうか。

いや、私はそんなつもりはなかったと思いたいです。しかし、クライアント企業から「理想論や抽象論はいらない」と反発されて、マーケティングの最も重要な本質を省略したことがなかっただろうかと言われれば、反省せざるを得ません。

■つまり地域密着営業とは、地域の個人が抱える問題に真正面から取り組む営業です。

最終的な利潤が、自社商品の販売から得られるものだとしても、それだけにしか興味がないと顧客からは瞬間に見透かされてしまいます。

一人一人の個人が悩む問題を理解し、それを解決する方法を商品やサービスとして提供することができれば、その営業はなくてはならない存在となります。

それを解決する商品やサービスがなければ作ればいいのです。営業しか個客の本質的ニーズを掴むことはできません。商品開発が営業の力なくしては成立しないわけですから。

サンピットバリューの場合、数年連続赤字という切羽詰まった状態であったという事情があったにせよ、ビジネスの本質に気付いたということですから立派だと思います。

我々も、取り返しのつかない状態になる前に、そのことに気付いて、真摯に取り組んでいかなければなりませんね。


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