日本酒市場あれこれ

2006.09.14


(2006年9月14日メルマガより)

■「ビール最終戦争」という本は、日本を代表す
るビールメーカー(アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー)の激しいシェ
ア争いや開発競争の裏側を生々しく書いたドキュメンタリーです。

戦略や実践の事例としてとても示唆に富んでいます。

■ビールメーカーはこれほどシェア激しくシェア争いを行っているのですが、
実はビール市場そのものは長期的には衰退していっています。むしろ、衰退
しているからこそ、激しいシェア争いが起こっているのです。

■もっと深刻なのが、日本酒市場です。

こちらも、長期衰退市場です。しかも、もともとの規模が小さいので、大き
な企業があまり見当たりません。

03年の日本酒の消費量は83万キロリットル。ビールは378万キロリットル。
(ビール風アルコール飲料は含まず)

■しかし衰退市場にも、多くのスキマが生まれます。

日本酒市場では、全国の小さな酒蔵が、独自の酵母と酒造りの手法を押し立
てて生産に励みました。

スタンダードな味に飽き足らない本格志向の顧客の心をとらえ、90年代の終
わり頃に地酒ブームを引き起こしました。これは記憶に新しいところですね。

小さな酒蔵は、競合他社と差別化し、独自の個性をアピールしないと生き残
れません。だから、いっせいに、トンガッタ個性を打ち出す数多くの銘酒が
生まれました。

■「日経ビジネス」2006年5月22日号には、その究極ともいえるビジネスを
展開する酒蔵の話が載っています。

こちらは、愛媛県の亀岡酒造。

日本全国各地からの依頼を受け、その土地から採取した酵母を培養して、独
自の酒を作るサービスを行っています。

酵母は日本酒の要。だから最も気を使うところです。一般には、日本醸造協
会が製造する特定の酵母を使用するそうです。

ところが、亀岡酒造は、土地の神社や杜など、開発されていないところの土
を採取して、酵母を培養します。

その酵母を使用して日本酒を作るのです。

だから、正真正銘の地酒というわけです。

■もちろん、その酵母が使いものにならないことも多いらしい。

でも、思わぬ香りを発する酒ができることもある。

いずれにしろ、個性の強い、オンリーワンの酒ができるわけです。

■亀岡酒造は、酵母培養の依頼を受けて、酒造りを代行するビジネスを展開
しています。

それがどの程度ビジネスとして収益を生むのかは分かりませんが(たぶん、
全然儲からないような気がする^^;)ものづくりとしては、面白い試みで
すね。

■日本より大手ビール会社の力が強いアメリカでも、地ビールを製造するベ
ンチャーが活躍しています。

大手ビールにないフレーバーな味わいを武器に「サミュエル・アダムス」と
いうブランドで商品展開をする企業があります。日本にも輸出をしているら
しいですね。

小さな企業でも、本気になれば、本物志向の顧客の心をとらえるものづくり
が可能となるのですね。

■ただし。

ブームというものは一過性のものです。

いっせいに沸き起こった地酒ブームもだいぶ沈静化しました。

残っているのは、一部の超有名ブランドです。

もしかしたら、ブームというのは、流通業者に踊らされただけかもしれない。
。。

ここ数年の焼酎ブームも同じ道を辿りそうですね。

ブームが過ぎた時、生き残っていけるかどうかが、それぞれの小さな企業の
課題となっています。

■そんな小さな企業の課題は「販路開拓」です。

日本酒のような特殊技能を必要とするものづくりは、小さな酒蔵それぞれが
得意とする分野でしょう。

だからといって「いいものを作ればわかってくれる」と問屋に任せているだ
けではブームに踊らされ、生き残っていけません。

■先ほどの「サミュエル・アダムス」を展開する企業は、資金のかかる"マ
ーケティング"を思い切って捨てて"セールス"に賭けたということです。

要するに、創業者自らが、商品を抱えて地元のバーをこまめに回って(後に
はセールスチームを組織して)拡販に努めたわけです。

まさにランチェスター戦略でいう接近戦(弱者の戦略)ですね。

「いい商品は分かってもらえる」と言えるのは、販路を持っている企業だけ
です。販路がない企業は、いくらいい商品を作っても、顧客に届かないわけ
ですから、分かってもらいようがありません。

小さな企業は、販路開拓を避けては生きていけません。最大の重要課題であ
ると言えます。

■ところで、日本酒が海外、特にアメリカでブームになっているそうですね。

これは日本食ブームの余波として起こったものだと思われます。

アメリカでは、大吟醸などの「プレミアム・サケ」の消費量が特に伸びてい
るようです。

それらの酒は「日本のアーチストたちによる手の込んだ作品」と受取られて
います。

いわゆる本物志向が海外で沸き起こっているわけですね。

■だからといって、ブームに乗っかって、安易に輸出するだけで売れるわけ
ではないので注意してください。

現在、アメリカで売れている日本酒は、現地の良質な販売業者と緊密な提携
をし、冷蔵施設のある配送業者を選定し、ラベルや説明書を現地化するなど
の細かな努力を行っています。

日本酒の良いイメージも、先に進出した企業のイメージ戦略の賜物です。
アメリカの消費者や販売業者は日本酒の知識がほとんど無いのですから、ま
ずは作り手側が積極的にイメージ作りをしていかなければなりません。

そして、このブームを千載一遇のチャンスをとらえ、なるべく消費者に接近
して、確実な販売経路を作っておくことです。

そうじゃないと、設備や在庫を抱え右往左往することになりますからね。




(2006年9月14日メルマガより)

■「ビール最終戦争」という本は、日本を代表す
るビールメーカー(アサヒ、キリン、サッポロ、サントリー)の激しいシェ
ア争いや開発競争の裏側を生々しく書いたドキュメンタリーです。

戦略や実践の事例としてとても示唆に富んでいます。

■ビールメーカーはこれほどシェア激しくシェア争いを行っているのですが、
実はビール市場そのものは長期的には衰退していっています。むしろ、衰退
しているからこそ、激しいシェア争いが起こっているのです。

■もっと深刻なのが、日本酒市場です。

こちらも、長期衰退市場です。しかも、もともとの規模が小さいので、大き
な企業があまり見当たりません。

03年の日本酒の消費量は83万キロリットル。ビールは378万キロリットル。
(ビール風アルコール飲料は含まず)

■しかし衰退市場にも、多くのスキマが生まれます。

日本酒市場では、全国の小さな酒蔵が、独自の酵母と酒造りの手法を押し立
てて生産に励みました。

スタンダードな味に飽き足らない本格志向の顧客の心をとらえ、90年代の終
わり頃に地酒ブームを引き起こしました。これは記憶に新しいところですね。

小さな酒蔵は、競合他社と差別化し、独自の個性をアピールしないと生き残
れません。だから、いっせいに、トンガッタ個性を打ち出す数多くの銘酒が
生まれました。

■「日経ビジネス」2006年5月22日号には、その究極ともいえるビジネスを
展開する酒蔵の話が載っています。

こちらは、愛媛県の亀岡酒造。

日本全国各地からの依頼を受け、その土地から採取した酵母を培養して、独
自の酒を作るサービスを行っています。

酵母は日本酒の要。だから最も気を使うところです。一般には、日本醸造協
会が製造する特定の酵母を使用するそうです。

ところが、亀岡酒造は、土地の神社や杜など、開発されていないところの土
を採取して、酵母を培養します。

その酵母を使用して日本酒を作るのです。

だから、正真正銘の地酒というわけです。

■もちろん、その酵母が使いものにならないことも多いらしい。

でも、思わぬ香りを発する酒ができることもある。

いずれにしろ、個性の強い、オンリーワンの酒ができるわけです。

■亀岡酒造は、酵母培養の依頼を受けて、酒造りを代行するビジネスを展開
しています。

それがどの程度ビジネスとして収益を生むのかは分かりませんが(たぶん、
全然儲からないような気がする^^;)ものづくりとしては、面白い試みで
すね。

■日本より大手ビール会社の力が強いアメリカでも、地ビールを製造するベ
ンチャーが活躍しています。

大手ビールにないフレーバーな味わいを武器に「サミュエル・アダムス」と
いうブランドで商品展開をする企業があります。日本にも輸出をしているら
しいですね。

小さな企業でも、本気になれば、本物志向の顧客の心をとらえるものづくり
が可能となるのですね。

■ただし。

ブームというものは一過性のものです。

いっせいに沸き起こった地酒ブームもだいぶ沈静化しました。

残っているのは、一部の超有名ブランドです。

もしかしたら、ブームというのは、流通業者に踊らされただけかもしれない。
。。

ここ数年の焼酎ブームも同じ道を辿りそうですね。

ブームが過ぎた時、生き残っていけるかどうかが、それぞれの小さな企業の
課題となっています。

■そんな小さな企業の課題は「販路開拓」です。

日本酒のような特殊技能を必要とするものづくりは、小さな酒蔵それぞれが
得意とする分野でしょう。

だからといって「いいものを作ればわかってくれる」と問屋に任せているだ
けではブームに踊らされ、生き残っていけません。

■先ほどの「サミュエル・アダムス」を展開する企業は、資金のかかる"マ
ーケティング"を思い切って捨てて"セールス"に賭けたということです。

要するに、創業者自らが、商品を抱えて地元のバーをこまめに回って(後に
はセールスチームを組織して)拡販に努めたわけです。

まさにランチェスター戦略でいう接近戦(弱者の戦略)ですね。

「いい商品は分かってもらえる」と言えるのは、販路を持っている企業だけ
です。販路がない企業は、いくらいい商品を作っても、顧客に届かないわけ
ですから、分かってもらいようがありません。

小さな企業は、販路開拓を避けては生きていけません。最大の重要課題であ
ると言えます。

■ところで、日本酒が海外、特にアメリカでブームになっているそうですね。

これは日本食ブームの余波として起こったものだと思われます。

アメリカでは、大吟醸などの「プレミアム・サケ」の消費量が特に伸びてい
るようです。

それらの酒は「日本のアーチストたちによる手の込んだ作品」と受取られて
います。

いわゆる本物志向が海外で沸き起こっているわけですね。

■だからといって、ブームに乗っかって、安易に輸出するだけで売れるわけ
ではないので注意してください。

現在、アメリカで売れている日本酒は、現地の良質な販売業者と緊密な提携
をし、冷蔵施設のある配送業者を選定し、ラベルや説明書を現地化するなど
の細かな努力を行っています。

日本酒の良いイメージも、先に進出した企業のイメージ戦略の賜物です。
アメリカの消費者や販売業者は日本酒の知識がほとんど無いのですから、ま
ずは作り手側が積極的にイメージ作りをしていかなければなりません。

そして、このブームを千載一遇のチャンスをとらえ、なるべく消費者に接近
して、確実な販売経路を作っておくことです。

そうじゃないと、設備や在庫を抱え右往左往することになりますからね。



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