最強のビジネスモデルとは何か

2007.07.05


(2007年7月5日メルマガより)

■日本は成熟市場の国です。つまり、我々は「ものが売れない市場」でビジ
ネスしていることを覚悟しなければなりません。

まずは「景気が上向けば、また昔のように売れるようになる...」といった考
えを捨てることが必要です。

■成熟市場でビジネスを展開していくためには、リピーターを重視しなけれ
ばなりません。

新規顧客を探すことがますます困難になりますから、既存顧客に満足しても
らって、また顧客になってもらう。究極には、ファンになってもらう。とい
うことが、安定したビジネス展開をする条件です。

■現代の企業は、顧客のリピート化に様々な知恵を絞っています。顧客リス
トを基にサービスを継続したり。ポイント付与やマイレージを活用したり。
顧客ごとにワンツーワンのサービスを展開したり。アマゾンのように、購買
履歴からニーズを自動で読み取って、自動で提案する企業もあります。現代
企業の競争とは、顧客を囲い込むための競争だと思えます。

皆さんも、リピーターの確保を課題とされているのではないでしょうか。い
い方法があれば教えてください^^

■その中でも、最も成功したビジネスモデルは何だと思いますか?

私は、剃刀メーカーのジレットのビジネスモデルが最強ではないかと考えて
います。

男性なら馴染みありますね。髭剃り用の剃刀です。

ジレットは、髭剃り用剃刀の柄だけを安価で提供し、その後、消耗品である
替え刃で儲けるというビジネスを確立しています。

髭はほぼ毎日剃るものですから、替え刃は継続的に必要になります。ジレッ
トの柄に合う替え刃はジレット製しかありませんから、否応なしにリピータ
ーになるわけです。

これは「ジレット・モデル」といって、非常に有名なビジネスモデルです。

■日本で「ジレット・モデル」を完璧に展開しているのがキャノンです。

なぜ、あの会社は儲かるのか」という本の中で、キャノンが松下電器に
比べて利益率が高いのは何故なのかという理由が述べられていますが、
要するにビジネスモデルの差です。

キャノンは、コピー機やプリンターの本体を販売し、その後、トナーやイン
クで儲ける仕組みを作っています。

キャノンの製品を買えば、キャノンのリピーターにならざるを得ないわけで
す。

■もともとキャノンはカメラ機のメーカーでした。その頃、キャノンは今ほ
ど儲かっていなかったはずです。

というのも、カメラ本体は一度売れば、買い替え時期ぐらいにしか需要が発
生しません。

成長市場のうちはそれでいいのですが、今となっては、儲からないビジネス
です。

実は、カメラ業界で儲けていたのはフィルムメーカーです。富士写真フィル
ムなどは、カメラが使用され続ける限り、需要があるわけですから、それは
それは儲かったことでしょう。

キャノンとすればおいしいところを持っていかれて「カナワンナー」という
気持ちがあったんでしょうな。

だから「ジレット・モデル」をとことん研究し、今のビジネスモデルを構築
したわけです。

■携帯電話は、このモデルに近いものがありますね。携帯端末を非常な安価
(赤字で)提供し、その後の通話料金で回収する仕組みです。

ゲーム機などもそうです。ゲーム本体は赤字でも、ソフトで儲けています。

このモデルが成り立つためには、継続的な利用があること、付属品から一定
の収益が上げられること、本体と附属品の互換性が閉鎖的であることが条件
にあげられます。

安い替えインクが出てきた時、キャノンが過敏に反応して法的措置までとる
のは、ビジネスモデルの存立が危ぶまれるからに他なりません。もっとも、
あまり目くじらと立てると、消費者の反感を買うので微妙なバランスが必要
ですが。

家電メーカーなども、早く新製品依存のビジネスから、部品で儲けるビジネ
スに転換すべきだと思うのですが、いかがでしょう。その方が、結果として
環境にもいいでしょうしね。

皆さんも「ジレット・モデル」を研究し、自身のビジネスの中で応用できな
いか、考えてみることをお奨めします。

■しかし、この「顧客囲い込み」の姿勢に異論を唱える声もありますので、
紹介しておきます。

発言者は、松井証券の松井道夫社長です。

松井社長は以前から、独特の視点から鋭い意見を言うことで知られています
が、最近「顧客を囲い込むなんて、企業の傲慢だ」と言っているのを聞きま
した。

松井証券はご存知の通り、日本の証券会社としてインターネット取引を始め
た草分け企業です。それまでは業界内でも地味な中堅企業に過ぎなかった同
社がインターネット取引という分野を開拓し、その領域でトップ企業となり
ました。

もっとも、最近は、複数のインターネット専業証券会社が登場したこともあ
って、3番手、4番手の地位に甘んじています。松井社長は「顧客のニーズを
読み違えた」「私が傲慢だった」と素直に反省しています。

■その松井社長、インターネット取引を始めるにあたって、シリコンバレー
の有名企業に話を聞きにいったそうです。(1997年頃)技術的なことではな
く、これからどんな社会になるのかを包括的に聞きにいったということです
が、そこで「大変な変化が起こる」ことを確信したとか。

だから、インターネット取引に進出したのですが、今でも「変化はまだまだ
こんなもんで終わらない。本当の変化はこれから始まる」と言っています。

■松井社長によると、web2.0の本質は「個」の時代の到来であるとか。

以前は、人々を「大衆」という塊でとらえることができましたが、今ではそ
んな漠然とした理解では通用しません。人々は「個」の集合体です。

インターネットというツールを持った「個」は、自ら意思表示し、表現し、
行動することができます。「個」が集まった時、巨大な力を持つようになっ
たのです。

だから企業は「個」に向けたビジネスを志向しなければなりません。「個」
を無視したり、軽視したりする企業は大きなしっぺ返しを喰らうことは間違
いありません。

■さらに言うと、顧客と同時に企業も「個」が集まってできています。組織
も「個」の集合です。組織内の「個」を無視したり軽視しては、組織は機能
しません。

「個」は組織に従うべきだなどと考える傲慢な企業は早晩なくなってしまう
でしょう。

というのも、顧客と社員の境界は非常に曖昧です。インターネット取引では、
買い手が売り手になり、売り手が買い手になるという切り替えが頻繁に起こ
ります。

組織内の「個」を満足させることが、顧客を満足させることに直結する所以
です。

■アマゾンやグーグルといった企業は、「個」に向けたビジネスをいち早く
設計することで成長しています。

彼らの特徴は、大衆をコントロールすることで収益を得ようとするのではな
く、「個」が活動しやすいように便宜を図ることで、収益を上げていること
です。

そこには「顧客を囲い込む」という発想はありません。松井社長は「個人に
は、企業を選ぶ自由がある。それを尊重しなければ、社会が成り立たない」
と言っています。

いくらマイレージをやろうと、ポイントを付加しようと、メリットを感じな
ければ切り替えは自由です。囲い込みをしたつもりでも、顧客はそれ以上の
情報を持っていますから、もっと得なところがあれば移ります。

切り替えができないような仕組みになっていれば、むしろ、顧客の不満が溜
まることにもなりかねません。以前、マイクロソフトが一部ユーザーの不興
を買ったように。

■では、顧客に選ばれるためにはどうすればいいのか。松井社長は「それが
分かれば苦労しない」と言いながらも^^「特定の分野に絞って、どこにも
負けないサービスを提供することで、常に選ばれる存在でなければならない」
ということを言っていました。

もっとも私はそれでは不十分だと思います。顧客が自分でサービス設計でき
るような双方向の仕組みが必要でしょう。キーワードは「顧客参加」です。

しかし、詳細は私も「それが分かれば苦労しません」^^と言っておきます。

■現在「ジレット・モデル」が大きな効果を上げていることは否定できませ
ん。

ただ「個」の時代には、新たなビジネスモデルが必要だという意見もあるこ
とを紹介しました。

判断は皆さんにお任せいたします。


【オンラインセミナー】ランチェスター戦略入門編
http://goo.gl/ka0BBL






(2007年7月5日メルマガより)

■日本は成熟市場の国です。つまり、我々は「ものが売れない市場」でビジ
ネスしていることを覚悟しなければなりません。

まずは「景気が上向けば、また昔のように売れるようになる...」といった考
えを捨てることが必要です。

■成熟市場でビジネスを展開していくためには、リピーターを重視しなけれ
ばなりません。

新規顧客を探すことがますます困難になりますから、既存顧客に満足しても
らって、また顧客になってもらう。究極には、ファンになってもらう。とい
うことが、安定したビジネス展開をする条件です。

■現代の企業は、顧客のリピート化に様々な知恵を絞っています。顧客リス
トを基にサービスを継続したり。ポイント付与やマイレージを活用したり。
顧客ごとにワンツーワンのサービスを展開したり。アマゾンのように、購買
履歴からニーズを自動で読み取って、自動で提案する企業もあります。現代
企業の競争とは、顧客を囲い込むための競争だと思えます。

皆さんも、リピーターの確保を課題とされているのではないでしょうか。い
い方法があれば教えてください^^

■その中でも、最も成功したビジネスモデルは何だと思いますか?

私は、剃刀メーカーのジレットのビジネスモデルが最強ではないかと考えて
います。

男性なら馴染みありますね。髭剃り用の剃刀です。

ジレットは、髭剃り用剃刀の柄だけを安価で提供し、その後、消耗品である
替え刃で儲けるというビジネスを確立しています。

髭はほぼ毎日剃るものですから、替え刃は継続的に必要になります。ジレッ
トの柄に合う替え刃はジレット製しかありませんから、否応なしにリピータ
ーになるわけです。

これは「ジレット・モデル」といって、非常に有名なビジネスモデルです。

■日本で「ジレット・モデル」を完璧に展開しているのがキャノンです。

なぜ、あの会社は儲かるのか」という本の中で、キャノンが松下電器に
比べて利益率が高いのは何故なのかという理由が述べられていますが、
要するにビジネスモデルの差です。

キャノンは、コピー機やプリンターの本体を販売し、その後、トナーやイン
クで儲ける仕組みを作っています。

キャノンの製品を買えば、キャノンのリピーターにならざるを得ないわけで
す。

■もともとキャノンはカメラ機のメーカーでした。その頃、キャノンは今ほ
ど儲かっていなかったはずです。

というのも、カメラ本体は一度売れば、買い替え時期ぐらいにしか需要が発
生しません。

成長市場のうちはそれでいいのですが、今となっては、儲からないビジネス
です。

実は、カメラ業界で儲けていたのはフィルムメーカーです。富士写真フィル
ムなどは、カメラが使用され続ける限り、需要があるわけですから、それは
それは儲かったことでしょう。

キャノンとすればおいしいところを持っていかれて「カナワンナー」という
気持ちがあったんでしょうな。

だから「ジレット・モデル」をとことん研究し、今のビジネスモデルを構築
したわけです。

■携帯電話は、このモデルに近いものがありますね。携帯端末を非常な安価
(赤字で)提供し、その後の通話料金で回収する仕組みです。

ゲーム機などもそうです。ゲーム本体は赤字でも、ソフトで儲けています。

このモデルが成り立つためには、継続的な利用があること、付属品から一定
の収益が上げられること、本体と附属品の互換性が閉鎖的であることが条件
にあげられます。

安い替えインクが出てきた時、キャノンが過敏に反応して法的措置までとる
のは、ビジネスモデルの存立が危ぶまれるからに他なりません。もっとも、
あまり目くじらと立てると、消費者の反感を買うので微妙なバランスが必要
ですが。

家電メーカーなども、早く新製品依存のビジネスから、部品で儲けるビジネ
スに転換すべきだと思うのですが、いかがでしょう。その方が、結果として
環境にもいいでしょうしね。

皆さんも「ジレット・モデル」を研究し、自身のビジネスの中で応用できな
いか、考えてみることをお奨めします。

■しかし、この「顧客囲い込み」の姿勢に異論を唱える声もありますので、
紹介しておきます。

発言者は、松井証券の松井道夫社長です。

松井社長は以前から、独特の視点から鋭い意見を言うことで知られています
が、最近「顧客を囲い込むなんて、企業の傲慢だ」と言っているのを聞きま
した。

松井証券はご存知の通り、日本の証券会社としてインターネット取引を始め
た草分け企業です。それまでは業界内でも地味な中堅企業に過ぎなかった同
社がインターネット取引という分野を開拓し、その領域でトップ企業となり
ました。

もっとも、最近は、複数のインターネット専業証券会社が登場したこともあ
って、3番手、4番手の地位に甘んじています。松井社長は「顧客のニーズを
読み違えた」「私が傲慢だった」と素直に反省しています。

■その松井社長、インターネット取引を始めるにあたって、シリコンバレー
の有名企業に話を聞きにいったそうです。(1997年頃)技術的なことではな
く、これからどんな社会になるのかを包括的に聞きにいったということです
が、そこで「大変な変化が起こる」ことを確信したとか。

だから、インターネット取引に進出したのですが、今でも「変化はまだまだ
こんなもんで終わらない。本当の変化はこれから始まる」と言っています。

■松井社長によると、web2.0の本質は「個」の時代の到来であるとか。

以前は、人々を「大衆」という塊でとらえることができましたが、今ではそ
んな漠然とした理解では通用しません。人々は「個」の集合体です。

インターネットというツールを持った「個」は、自ら意思表示し、表現し、
行動することができます。「個」が集まった時、巨大な力を持つようになっ
たのです。

だから企業は「個」に向けたビジネスを志向しなければなりません。「個」
を無視したり、軽視したりする企業は大きなしっぺ返しを喰らうことは間違
いありません。

■さらに言うと、顧客と同時に企業も「個」が集まってできています。組織
も「個」の集合です。組織内の「個」を無視したり軽視しては、組織は機能
しません。

「個」は組織に従うべきだなどと考える傲慢な企業は早晩なくなってしまう
でしょう。

というのも、顧客と社員の境界は非常に曖昧です。インターネット取引では、
買い手が売り手になり、売り手が買い手になるという切り替えが頻繁に起こ
ります。

組織内の「個」を満足させることが、顧客を満足させることに直結する所以
です。

■アマゾンやグーグルといった企業は、「個」に向けたビジネスをいち早く
設計することで成長しています。

彼らの特徴は、大衆をコントロールすることで収益を得ようとするのではな
く、「個」が活動しやすいように便宜を図ることで、収益を上げていること
です。

そこには「顧客を囲い込む」という発想はありません。松井社長は「個人に
は、企業を選ぶ自由がある。それを尊重しなければ、社会が成り立たない」
と言っています。

いくらマイレージをやろうと、ポイントを付加しようと、メリットを感じな
ければ切り替えは自由です。囲い込みをしたつもりでも、顧客はそれ以上の
情報を持っていますから、もっと得なところがあれば移ります。

切り替えができないような仕組みになっていれば、むしろ、顧客の不満が溜
まることにもなりかねません。以前、マイクロソフトが一部ユーザーの不興
を買ったように。

■では、顧客に選ばれるためにはどうすればいいのか。松井社長は「それが
分かれば苦労しない」と言いながらも^^「特定の分野に絞って、どこにも
負けないサービスを提供することで、常に選ばれる存在でなければならない」
ということを言っていました。

もっとも私はそれでは不十分だと思います。顧客が自分でサービス設計でき
るような双方向の仕組みが必要でしょう。キーワードは「顧客参加」です。

しかし、詳細は私も「それが分かれば苦労しません」^^と言っておきます。

■現在「ジレット・モデル」が大きな効果を上げていることは否定できませ
ん。

ただ「個」の時代には、新たなビジネスモデルが必要だという意見もあるこ
とを紹介しました。

判断は皆さんにお任せいたします。


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