理屈のない実行はギャンブルですよ

2010.12.02

(2010年12月2日メルマガより)

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■先日、ある場所で長い研修を行う機会がありました。

テーマは営業戦略の立案です。

その受講者の方々とさらに長い時間、懇親会で話し合う機会に恵まれました。

コンサルティングならともかく、研修やセミナーでそこまでじっくりと話し
合う機会を持つことは稀ですから、非常に参考になりました。

あらためてお礼を申し上げます。

■私の営業系セミナーは、ちょっと異質かも知れません。

なんせ、私は営業セミナーでは精神論的な要素を一切排除しようとしています。

だから、モチベーションを上げるとか、元気を注入するとかいうことは意図
していません。

せっかくの営業セミナーに元気をもらおうと思っている人にとっては物足り
ないかも知れませんね。

そうは言いながら「勇気をもらった」「明日からやる気になれた」という感
想があるのだから不思議なんですが...

■私が自分の研修やセミナー、コンサルティングで一貫して伝えているのは、
営業の論理面です。

「営業は理屈ではない。気持ちが大切だ」と主張している方もおられますが、
それは間違いです。

正確には、「営業には、理屈も大切だが、気持ちも大切だ」というべきです。

ちなみに私は、営業マン時代、あまりにも気持ちや勢い重視の営業の世界に
生きてきたので、その反動から「営業には、気持ちも大切だが、理屈はもっ
と大切だ」と主張することが多くなっています。

私の周りでは「営業は理屈で割り切れない」という考えが一般的でしたので、
それなら割り切れるような理屈を持ってやる、というのが私のスタート段階
での意気込みでした。

■もちろん、本音では、営業には「気持ち」「志」「魂」といった言葉で表
される要素も必要だと思っています。

それは否定できません。

両方大切ですよ。と言ってしまえば、当たり前すぎて陳腐ですが、その通り
だから仕方がない。

詳しく言いなおすと、営業に必要な要素は、営業のプロセスの段階や捉え方
によって異なるということになります。

■話が抽象的になってしまいましたね。

実際のコンサルティングや研修はこれほど抽象的ではありませんので、ご安
心ください^^;

それはともかく。

営業における理屈とは何か。

要するに、どういう理屈を持てば、営業において成果を上げることができる
のか。

■それは、小手先のテクニックなどではありませんよね。

どういうわけか「営業は気持ちだ」と主張する人が、小手先のテクニックを
有難がる傾向にあるのが不思議です。

モチベーションを上げるだけ上げて、そこに具体的かつ卑小なテクニックを
伝えると、皆が、それを一所懸命にやり出すでしょう。

どんなことでも、一所懸命にやれば、一時的にでも小さな成果が上がるもの
ですから、勘違いしてしまうかも知れません。

しかし、これは、似非コンサルタントの卑怯なやり口です。

マルチビジネスなどに繋がるかも知れない危険なやり口ですから、私は否定
しています。

少なくとも、末端のテクニックが、なぜ成果を生むのかという因果関係に納
得しないうちは信用してはダメです。

あくまでも論理的に納得することを心がけてください。

(小手先のテクニックとは何を指すのかは、ここでは黙っておきます。皆さ
んで考えてください)

■成果を上げるための理屈を私は数字に求めています。

なぜなら成果とは、達成できたかどうかを測定できるものでなければならな
いからです。

だからこそ、理屈は数値として表されるものでなければならない。

■ちなみに、数字にこだわる姿勢は、ランチェスター戦略の創設者である田
岡信夫先生の精神でもあります。

ランチェスター理論の底には、常に方程式があり、具体的な事象を数値化す
るという考え方があります。

私は、その精神こそを最も受け継いでいきたいと思っています。

■例えば、売上の伸び悩みを抱えている営業担当者が、売上の増加を目指す
ためにはどうすればいいのか。

「お客様のことを真剣に考える」「常にお客様の役に立つという信念を持つ」
というのも間違いではないのですが、売上という成果につながるまでの因果
関係が遠いので、悩んでいる人にはピンと来ないでしょう。

では、どうするのか。

売上を上げる方法を方程式に表します。

例えば、売上高=新規獲得店数×1店あたり販売数量×平均商品単価、とい
う式が成り立つビジネスだったとしましょう。

ということは、彼が売上を上げる方法は、

1.新規獲得店数を上げる。

2.1店あたり販売数量を上げる。

3.平均商品単価を上げる。

の3つに集約されます。

■では、1の新規獲得店数を増やすにはどうすればいいのいか。

新規獲得店数=労働時間×1時間あたり訪問件数×クロージング率と分解し
てもいいです。

ということは、

1.労働時間を増やす。

2.1時間あたり訪問店数を増やす。

3.クロージング率を高める。

という方法を考えることになります。

このように数字を分解していくことで、具体的なアイデアを出しやすくなり
ます。

もし営業会議に時間を使うなら、こういう方策を皆で考える場にすれば、成
果につながる時間を使ったということになりますね。

■ちなみに私の研修で、擬似営業会議を開き、上記の方程式に肉付けしても
らったところ、

1店あたりの販売数を上げるには?

→商品メニューの増加を行う。セット提案を行う。消費者需要の喚起のため
のイベントを行う。

平均商品単価を上げるには?

→ハイブランドやプレミアム商品を投入して商品の付加価値を高める。価格
ラインを複数提案して平均値を高める。

労働時間を増やすには?

→基本的に無理。準備や内勤の時間を減らして、訪問時間を増やすことぐら
いかな。

1時間あたりの訪問件数を上げるには?

→訪問計画を立てて、無駄な時間を減らす。担当先の地域をまとめる。

クロージング率を高めるには?

→おまけやお試し企画などで初回契約のハードルを低くする。ロールプレイ
や同行営業でクロージング力をつける。

などと言った意見が出てきました。

もちろん、上記は一例であって、各自が自分のビジネスに応じた方程式を作
成する必要があります。

細かく分解すればするほど、アイデアは具体的になりますので、試してくだ
さい。

■このように努力を成果に結びつけるには、論理がつながっていることが必
要です。

論理のない実行など、ギャンブルに過ぎません。

ドトールコーヒーの鳥羽博道氏は、実行力の塊のような人ですが、彼からし
て「経営は理屈ではなく実行ですよね」などという安易な意見を諌めています。

鳥羽氏は「もし私が最初からランチェスター戦略を知っていたら、ドトール
コーヒーは今の3倍にはなっていたはずだ」と発言しています。

ここでも正しい答えは「理屈と実行、両方大切だ」というものです。

■ところで先日、ある年輩の方に「営業で最も大切なのは数字です」とその
まま言ったところ、猛反発されてしまいました。

「営業で最も大切なのは、心だろう!」ということでした。

気持ちは分かります。営業は数字だなどと言われたら、心のこもらない単な
る拝金主義のように捉われたのかも知れません。

私の言い方が舌足らずでしたね。

私が言いたいのは「心や気持ちが空回りしないためには、戦略が必要であり、
その検証・改善のために数字が大切である」ということです。

フレーズが長いので、途中で怒られてしまうかも知れませんが^^;

■私は、自分は、理屈っぽい人間ではないと思っています。

どちらかというと感性的です。

思いつきで行動するのが好きです。その方が楽だし、ワクワクしますね^^;

ただコンサルタントという職業を選んだ以上、その性質は致命傷となります
ので、なるべく論理的になろうと心がけています。

ことに仕事の上においては、感性で行動することを認めません。

勘、経験、心の声などいろいろ言いますが、いずれも過去の経験を総合して
無意識のうちに判断した結果であると思いますので、その根拠となる理屈を
何としても明確にしないと気が済みません。

私の個人的な感性でクライアントを路頭に迷わせることはできませんのでね。

これからも、自分のスタンスを貫いていこうと思います。


(2010年12月2日メルマガより)

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■先日、ある場所で長い研修を行う機会がありました。

テーマは営業戦略の立案です。

その受講者の方々とさらに長い時間、懇親会で話し合う機会に恵まれました。

コンサルティングならともかく、研修やセミナーでそこまでじっくりと話し
合う機会を持つことは稀ですから、非常に参考になりました。

あらためてお礼を申し上げます。

■私の営業系セミナーは、ちょっと異質かも知れません。

なんせ、私は営業セミナーでは精神論的な要素を一切排除しようとしています。

だから、モチベーションを上げるとか、元気を注入するとかいうことは意図
していません。

せっかくの営業セミナーに元気をもらおうと思っている人にとっては物足り
ないかも知れませんね。

そうは言いながら「勇気をもらった」「明日からやる気になれた」という感
想があるのだから不思議なんですが...

■私が自分の研修やセミナー、コンサルティングで一貫して伝えているのは、
営業の論理面です。

「営業は理屈ではない。気持ちが大切だ」と主張している方もおられますが、
それは間違いです。

正確には、「営業には、理屈も大切だが、気持ちも大切だ」というべきです。

ちなみに私は、営業マン時代、あまりにも気持ちや勢い重視の営業の世界に
生きてきたので、その反動から「営業には、気持ちも大切だが、理屈はもっ
と大切だ」と主張することが多くなっています。

私の周りでは「営業は理屈で割り切れない」という考えが一般的でしたので、
それなら割り切れるような理屈を持ってやる、というのが私のスタート段階
での意気込みでした。

■もちろん、本音では、営業には「気持ち」「志」「魂」といった言葉で表
される要素も必要だと思っています。

それは否定できません。

両方大切ですよ。と言ってしまえば、当たり前すぎて陳腐ですが、その通り
だから仕方がない。

詳しく言いなおすと、営業に必要な要素は、営業のプロセスの段階や捉え方
によって異なるということになります。

■話が抽象的になってしまいましたね。

実際のコンサルティングや研修はこれほど抽象的ではありませんので、ご安
心ください^^;

それはともかく。

営業における理屈とは何か。

要するに、どういう理屈を持てば、営業において成果を上げることができる
のか。

■それは、小手先のテクニックなどではありませんよね。

どういうわけか「営業は気持ちだ」と主張する人が、小手先のテクニックを
有難がる傾向にあるのが不思議です。

モチベーションを上げるだけ上げて、そこに具体的かつ卑小なテクニックを
伝えると、皆が、それを一所懸命にやり出すでしょう。

どんなことでも、一所懸命にやれば、一時的にでも小さな成果が上がるもの
ですから、勘違いしてしまうかも知れません。

しかし、これは、似非コンサルタントの卑怯なやり口です。

マルチビジネスなどに繋がるかも知れない危険なやり口ですから、私は否定
しています。

少なくとも、末端のテクニックが、なぜ成果を生むのかという因果関係に納
得しないうちは信用してはダメです。

あくまでも論理的に納得することを心がけてください。

(小手先のテクニックとは何を指すのかは、ここでは黙っておきます。皆さ
んで考えてください)

■成果を上げるための理屈を私は数字に求めています。

なぜなら成果とは、達成できたかどうかを測定できるものでなければならな
いからです。

だからこそ、理屈は数値として表されるものでなければならない。

■ちなみに、数字にこだわる姿勢は、ランチェスター戦略の創設者である田
岡信夫先生の精神でもあります。

ランチェスター理論の底には、常に方程式があり、具体的な事象を数値化す
るという考え方があります。

私は、その精神こそを最も受け継いでいきたいと思っています。

■例えば、売上の伸び悩みを抱えている営業担当者が、売上の増加を目指す
ためにはどうすればいいのか。

「お客様のことを真剣に考える」「常にお客様の役に立つという信念を持つ」
というのも間違いではないのですが、売上という成果につながるまでの因果
関係が遠いので、悩んでいる人にはピンと来ないでしょう。

では、どうするのか。

売上を上げる方法を方程式に表します。

例えば、売上高=新規獲得店数×1店あたり販売数量×平均商品単価、とい
う式が成り立つビジネスだったとしましょう。

ということは、彼が売上を上げる方法は、

1.新規獲得店数を上げる。

2.1店あたり販売数量を上げる。

3.平均商品単価を上げる。

の3つに集約されます。

■では、1の新規獲得店数を増やすにはどうすればいいのいか。

新規獲得店数=労働時間×1時間あたり訪問件数×クロージング率と分解し
てもいいです。

ということは、

1.労働時間を増やす。

2.1時間あたり訪問店数を増やす。

3.クロージング率を高める。

という方法を考えることになります。

このように数字を分解していくことで、具体的なアイデアを出しやすくなり
ます。

もし営業会議に時間を使うなら、こういう方策を皆で考える場にすれば、成
果につながる時間を使ったということになりますね。

■ちなみに私の研修で、擬似営業会議を開き、上記の方程式に肉付けしても
らったところ、

1店あたりの販売数を上げるには?

→商品メニューの増加を行う。セット提案を行う。消費者需要の喚起のため
のイベントを行う。

平均商品単価を上げるには?

→ハイブランドやプレミアム商品を投入して商品の付加価値を高める。価格
ラインを複数提案して平均値を高める。

労働時間を増やすには?

→基本的に無理。準備や内勤の時間を減らして、訪問時間を増やすことぐら
いかな。

1時間あたりの訪問件数を上げるには?

→訪問計画を立てて、無駄な時間を減らす。担当先の地域をまとめる。

クロージング率を高めるには?

→おまけやお試し企画などで初回契約のハードルを低くする。ロールプレイ
や同行営業でクロージング力をつける。

などと言った意見が出てきました。

もちろん、上記は一例であって、各自が自分のビジネスに応じた方程式を作
成する必要があります。

細かく分解すればするほど、アイデアは具体的になりますので、試してくだ
さい。

■このように努力を成果に結びつけるには、論理がつながっていることが必
要です。

論理のない実行など、ギャンブルに過ぎません。

ドトールコーヒーの鳥羽博道氏は、実行力の塊のような人ですが、彼からし
て「経営は理屈ではなく実行ですよね」などという安易な意見を諌めています。

鳥羽氏は「もし私が最初からランチェスター戦略を知っていたら、ドトール
コーヒーは今の3倍にはなっていたはずだ」と発言しています。

ここでも正しい答えは「理屈と実行、両方大切だ」というものです。

■ところで先日、ある年輩の方に「営業で最も大切なのは数字です」とその
まま言ったところ、猛反発されてしまいました。

「営業で最も大切なのは、心だろう!」ということでした。

気持ちは分かります。営業は数字だなどと言われたら、心のこもらない単な
る拝金主義のように捉われたのかも知れません。

私の言い方が舌足らずでしたね。

私が言いたいのは「心や気持ちが空回りしないためには、戦略が必要であり、
その検証・改善のために数字が大切である」ということです。

フレーズが長いので、途中で怒られてしまうかも知れませんが^^;

■私は、自分は、理屈っぽい人間ではないと思っています。

どちらかというと感性的です。

思いつきで行動するのが好きです。その方が楽だし、ワクワクしますね^^;

ただコンサルタントという職業を選んだ以上、その性質は致命傷となります
ので、なるべく論理的になろうと心がけています。

ことに仕事の上においては、感性で行動することを認めません。

勘、経験、心の声などいろいろ言いますが、いずれも過去の経験を総合して
無意識のうちに判断した結果であると思いますので、その根拠となる理屈を
何としても明確にしないと気が済みません。

私の個人的な感性でクライアントを路頭に迷わせることはできませんのでね。

これからも、自分のスタンスを貫いていこうと思います。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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