営業をシステムとして把握する

2002.09.07

◆営業は最後の暗黒大陸!?
営業は、朝出ていって、夜に帰ってくるだけ。評価は実績のみ。内勤の者からすると、営業って普段なにやってるんだろうな?と言いたくなります。いつもはチャランポランに見えても、月末に帳尻を合わせればそれでよし。遊んでいても実績を上げてさえいればうるさく言わない。一昔前まではそういう営業管理が当たり前でした。(今でもそんな会社はあるでしょうね)
しかし、こんな管理をしているようでは、会社の営業力はいつまで経っても向上しません。
欧米と日本では、営業一人当たりの生産性が、倍以上違うと言われています。一足早く低成長時代の企業システムを確立した欧米の企業は、営業の効率性において、日本を大きくリードしているのです。
製造部門ではあれだけ苛烈な生産性向上に意欲を燃やす日本企業が、なぜ営業に関してはブラックボックス化するのを許すのか理解に苦しみます。

◆営業マネージャーの役割
戦略は、方向性を決め、経営資源を配分し、営業戦略を策定するのが機能と言いました。参照:戦略とは見えざるもの
管理の機能は、その営業戦略を受けて、さらに具体的な計画にまで落とし込むことです。戦略を立てる経営陣と現場にいる営業担当者の橋渡しをするのが、営業マネージャーの役割です。長期的な視点に立った戦略目標を現場に"見える"ように翻訳するのが仕事だと言い換えてもいいでしょう。優秀なマネージャーがいれば、現場の担当者は、力を発揮しやすくなります。小さな会社の場合、多くは「プレーイング・マネージャー」だと思うのですが、マネージャーはあくまで、現場の営業担当者を円滑に活動させるのが役割です。ですから、マネージャーに大きな個人ノルマを課すのは、いい管理方法だとは言えません。自分のノルマ達成に精一杯で部下を見る余裕のないマネージャーなら、営業担当に戻した方が組織のためになります。ずっと現場にいた方が、力を発揮する人はいっぱいいますから。
営業生産性を向上するとは、預かった現有人材を使って、チームとして最高のパフォーマンスを発揮することです。(指標でいうと、一人当たり営業利益を向上させること)そのためには、最適なフォーメーションを選択し、管理者がある程度、行動をコントロールしなければなりません。営業マネージャーがその役割を果たすためには、自社の営業内容を分析し、営業システムを把握する必要があります。

◆営業をシステムとして把握する
営業の生産性を向上するためには、まず営業という仕事をシステムとして把握する必要があります。営業が、商談の現場で、切った張ったをするだけの存在だと思っていてはいけません。営業には「見えない」システムがあるはずです。
私の考えでは、見込み顧客に出会って、その顧客が会社のファンになるまでに、5つのステップを営業は踏む必要があります。
その5つとは(1)リストアップ、(2)アプローチ、(3)ヒアリング、(4)プレゼンテーション、(5)クロージング、(6)アフターフォローです。

営業は仕組みで考える.jpg

◆リストアップ
リストアップとは、見込み客グループを探し出すこと。"筋のいい"顧客グループを見つけ出すことができれば、それで営業の仕事の80%は成功したも同然です。リストアップが的確な営業活動は、高い所にある水源から水を引くようなもので、実にスムーズにいきます。
リストアップは、戦略の項にあった「ターゲティング」から繋がっています。すなわち、リスト作りは会社の経営課題だと考えた方がいいでしょう。ということは、現場の営業担当者にリストアップを含めて丸投げする会社は、営業が弱い会社だということです。
リストアップという考え方は、パレートの法則をあてはめてみると理解しやすくなります。パレートの法則とは、イタリアの経済学者が発見した「社会全体の富の80%は20%の人間に集中している」というもの。現在ではさらに一般化されて全体の20%が全体の80%を独占するという意味で使われています。つまり、重要度の高い上位20%に集中すれば、全体の80%を効率的にカバーできるという考え方です。
優秀な営業担当者は、この法則を経験的に知っています。私などはその典型でした。つまり、上位20%のいいお客さんのところへしか行かないという営業行動です。実は、それだけで成績を上げるのは十分。時間が余ってしまうぐらいです。
多くの企業で、リストアップが適切になされていません。重要な顧客に行かず、収益に結びつかない顧客回りばかりしているというのが実態です。営業担当者を放っておけば、行きたいところにしか行きません。行きたいところとは、ウマが合う顧客、歓迎してくれる顧客、うるさいことを言わない顧客、値切らない顧客、可愛い受付嬢がいる顧客などです。
好き嫌いではなく、行くべきところへ行く。それだけで、営業の成果は全く変わってきます。

◆アプローチ
アプローチにおいて重要なことは、顧客と信頼関係を作ることです。信頼関係さえ築くことができれば、後の営業作業は非常にやりやすくなります。
同時に、単純に訪問件数を増やすだけでも、営業の成果は向上します。商談の巧拙に関わりなく、量を増やせば当る数も多くなる、これも真実です。
一回一回の訪問を大切にして、信頼関係を築くことは営業として当然のことですが、単純に訪問件数を増やすことも忘れてはなりません。

◆ヒアリング
信頼関係ができていれば、顧客の本音を聞き出すことは容易なはずです。優秀な営業が顧客のニーズを的確に聞き出すことができるのは、その前段階でしっかりと信頼関係を築くことができているからです。
同時に、ヒアリングでは、聞くべきことを漏らさずに聞くということが求められます。
新人営業でもできることとして、ヒアリング項目をあらかじめ決めておき、確実に聞き取ることが営業の組織力を向上させます。

◆プレゼンテーション
プレゼンテーションは、営業実践のハイライトとも言うべき活動です。
プレゼンテーションというステップは、さらに(1)ニーズの探索、(2)商品・サービス(ソリューション)の提案、(3)申し入れという工程に分けることができます。
リストアップが的確であれば、機械的な商品紹介を繰り返すだけで、ある程度の実績を見込むことができるでしょう。
しかし実際には、顧客と十分なコミュニケーションをとらなければ、真のニーズを発見することはできず、商品を紹介することもできません。プレゼンテーションは、まず顧客の真のニーズを知るところから始ります。顧客の現状と課題を理解した上で、自社の提供する商品やサービスが顧客のソリューション(問題解決)につながるのかを検証します。(戦略の項を参照してください)それがなければ、プレゼンテーションは有り得ません。プレゼンテーションとは、顧客の利益になる部分を明確にし、なぜこのサービスが顧客のソリューションになるのかを分かりやすく伝えるものです。
またプレゼンテーションのステップにおいて、クロージングのための申し入れを行っておくことも重要です。「買おうという気になったのに、具体的にどう注文すれば分からなかったので、あえて言わなかった」という顧客も実は多いのです。具体的に何をどのように販売したいのかを明確にすることが、クロージングの精度を高めます。
なお、よいプレゼンテーションとは、きれいな立派なものではなく、「分かりやすい」ものです。分かりやすいとは、要点が先にあり明確で、説明が短く、印象的なキーワードや比喩が使われているものです。
プレゼンテーションと、この後のクロージングは、学習と反復訓練で必ず身につけられます。

◆クロージング
プレゼンテーションを受けた顧客は必ず反対意見を言います。心理的に、説得されることを嫌がり、否定のための理由を探すのです。この時に真摯な姿勢で接することが、業績の向上と、営業担当者の能力向上につながります。クロージングを焦るあまり"ごまかし"や"無理強い"に入ってはいけません。営業の成果を上げるためには、顧客の満足を第一に考えること。目先の千円を拾ってはいけません。
ただし、クロージングは、顧客の背中を押すことでもあります。
見積書の提出、発注書の作成、契約書へのサイン。
きっかけを顧客に与えることで、クロージングを促すことができます。
営業に強い会社は、独自のクロージングツールを持っているものです。

◆アフターフォロー
最も効果の高いリストアップの方法は、満足した既存顧客をリストに上げることです。一般に、既存顧客への営業は、新規顧客へのそれに比べて10倍楽だと言われています。一度でも購入したことのある顧客が、これから初めて買う顧客よりもハードルが低いことは誰が考えても明らかですよね。
満足した既存顧客が多い企業は、すなわち営業に強い企業です。
アフターフォローに力を入れることが、どれだけ会社の業績安定と向上につながるか、理解していただけると思います。
私の知っているある企業は、既存顧客へ行くことを禁じているそうです。そんな暇があれば、新しい客をつかまえてこいというのが上司の考えです。こういう会社に未来はないことは断言してもいいでしょう。


◆営業は最後の暗黒大陸!?
営業は、朝出ていって、夜に帰ってくるだけ。評価は実績のみ。内勤の者からすると、営業って普段なにやってるんだろうな?と言いたくなります。いつもはチャランポランに見えても、月末に帳尻を合わせればそれでよし。遊んでいても実績を上げてさえいればうるさく言わない。一昔前まではそういう営業管理が当たり前でした。(今でもそんな会社はあるでしょうね)
しかし、こんな管理をしているようでは、会社の営業力はいつまで経っても向上しません。
欧米と日本では、営業一人当たりの生産性が、倍以上違うと言われています。一足早く低成長時代の企業システムを確立した欧米の企業は、営業の効率性において、日本を大きくリードしているのです。
製造部門ではあれだけ苛烈な生産性向上に意欲を燃やす日本企業が、なぜ営業に関してはブラックボックス化するのを許すのか理解に苦しみます。

◆営業マネージャーの役割
戦略は、方向性を決め、経営資源を配分し、営業戦略を策定するのが機能と言いました。参照:戦略とは見えざるもの
管理の機能は、その営業戦略を受けて、さらに具体的な計画にまで落とし込むことです。戦略を立てる経営陣と現場にいる営業担当者の橋渡しをするのが、営業マネージャーの役割です。長期的な視点に立った戦略目標を現場に"見える"ように翻訳するのが仕事だと言い換えてもいいでしょう。優秀なマネージャーがいれば、現場の担当者は、力を発揮しやすくなります。小さな会社の場合、多くは「プレーイング・マネージャー」だと思うのですが、マネージャーはあくまで、現場の営業担当者を円滑に活動させるのが役割です。ですから、マネージャーに大きな個人ノルマを課すのは、いい管理方法だとは言えません。自分のノルマ達成に精一杯で部下を見る余裕のないマネージャーなら、営業担当に戻した方が組織のためになります。ずっと現場にいた方が、力を発揮する人はいっぱいいますから。
営業生産性を向上するとは、預かった現有人材を使って、チームとして最高のパフォーマンスを発揮することです。(指標でいうと、一人当たり営業利益を向上させること)そのためには、最適なフォーメーションを選択し、管理者がある程度、行動をコントロールしなければなりません。営業マネージャーがその役割を果たすためには、自社の営業内容を分析し、営業システムを把握する必要があります。

◆営業をシステムとして把握する
営業の生産性を向上するためには、まず営業という仕事をシステムとして把握する必要があります。営業が、商談の現場で、切った張ったをするだけの存在だと思っていてはいけません。営業には「見えない」システムがあるはずです。
私の考えでは、見込み顧客に出会って、その顧客が会社のファンになるまでに、5つのステップを営業は踏む必要があります。
その5つとは(1)リストアップ、(2)アプローチ、(3)ヒアリング、(4)プレゼンテーション、(5)クロージング、(6)アフターフォローです。

営業は仕組みで考える.jpg

◆リストアップ
リストアップとは、見込み客グループを探し出すこと。"筋のいい"顧客グループを見つけ出すことができれば、それで営業の仕事の80%は成功したも同然です。リストアップが的確な営業活動は、高い所にある水源から水を引くようなもので、実にスムーズにいきます。
リストアップは、戦略の項にあった「ターゲティング」から繋がっています。すなわち、リスト作りは会社の経営課題だと考えた方がいいでしょう。ということは、現場の営業担当者にリストアップを含めて丸投げする会社は、営業が弱い会社だということです。
リストアップという考え方は、パレートの法則をあてはめてみると理解しやすくなります。パレートの法則とは、イタリアの経済学者が発見した「社会全体の富の80%は20%の人間に集中している」というもの。現在ではさらに一般化されて全体の20%が全体の80%を独占するという意味で使われています。つまり、重要度の高い上位20%に集中すれば、全体の80%を効率的にカバーできるという考え方です。
優秀な営業担当者は、この法則を経験的に知っています。私などはその典型でした。つまり、上位20%のいいお客さんのところへしか行かないという営業行動です。実は、それだけで成績を上げるのは十分。時間が余ってしまうぐらいです。
多くの企業で、リストアップが適切になされていません。重要な顧客に行かず、収益に結びつかない顧客回りばかりしているというのが実態です。営業担当者を放っておけば、行きたいところにしか行きません。行きたいところとは、ウマが合う顧客、歓迎してくれる顧客、うるさいことを言わない顧客、値切らない顧客、可愛い受付嬢がいる顧客などです。
好き嫌いではなく、行くべきところへ行く。それだけで、営業の成果は全く変わってきます。

◆アプローチ
アプローチにおいて重要なことは、顧客と信頼関係を作ることです。信頼関係さえ築くことができれば、後の営業作業は非常にやりやすくなります。
同時に、単純に訪問件数を増やすだけでも、営業の成果は向上します。商談の巧拙に関わりなく、量を増やせば当る数も多くなる、これも真実です。
一回一回の訪問を大切にして、信頼関係を築くことは営業として当然のことですが、単純に訪問件数を増やすことも忘れてはなりません。

◆ヒアリング
信頼関係ができていれば、顧客の本音を聞き出すことは容易なはずです。優秀な営業が顧客のニーズを的確に聞き出すことができるのは、その前段階でしっかりと信頼関係を築くことができているからです。
同時に、ヒアリングでは、聞くべきことを漏らさずに聞くということが求められます。
新人営業でもできることとして、ヒアリング項目をあらかじめ決めておき、確実に聞き取ることが営業の組織力を向上させます。

◆プレゼンテーション
プレゼンテーションは、営業実践のハイライトとも言うべき活動です。
プレゼンテーションというステップは、さらに(1)ニーズの探索、(2)商品・サービス(ソリューション)の提案、(3)申し入れという工程に分けることができます。
リストアップが的確であれば、機械的な商品紹介を繰り返すだけで、ある程度の実績を見込むことができるでしょう。
しかし実際には、顧客と十分なコミュニケーションをとらなければ、真のニーズを発見することはできず、商品を紹介することもできません。プレゼンテーションは、まず顧客の真のニーズを知るところから始ります。顧客の現状と課題を理解した上で、自社の提供する商品やサービスが顧客のソリューション(問題解決)につながるのかを検証します。(戦略の項を参照してください)それがなければ、プレゼンテーションは有り得ません。プレゼンテーションとは、顧客の利益になる部分を明確にし、なぜこのサービスが顧客のソリューションになるのかを分かりやすく伝えるものです。
またプレゼンテーションのステップにおいて、クロージングのための申し入れを行っておくことも重要です。「買おうという気になったのに、具体的にどう注文すれば分からなかったので、あえて言わなかった」という顧客も実は多いのです。具体的に何をどのように販売したいのかを明確にすることが、クロージングの精度を高めます。
なお、よいプレゼンテーションとは、きれいな立派なものではなく、「分かりやすい」ものです。分かりやすいとは、要点が先にあり明確で、説明が短く、印象的なキーワードや比喩が使われているものです。
プレゼンテーションと、この後のクロージングは、学習と反復訓練で必ず身につけられます。

◆クロージング
プレゼンテーションを受けた顧客は必ず反対意見を言います。心理的に、説得されることを嫌がり、否定のための理由を探すのです。この時に真摯な姿勢で接することが、業績の向上と、営業担当者の能力向上につながります。クロージングを焦るあまり"ごまかし"や"無理強い"に入ってはいけません。営業の成果を上げるためには、顧客の満足を第一に考えること。目先の千円を拾ってはいけません。
ただし、クロージングは、顧客の背中を押すことでもあります。
見積書の提出、発注書の作成、契約書へのサイン。
きっかけを顧客に与えることで、クロージングを促すことができます。
営業に強い会社は、独自のクロージングツールを持っているものです。

◆アフターフォロー
最も効果の高いリストアップの方法は、満足した既存顧客をリストに上げることです。一般に、既存顧客への営業は、新規顧客へのそれに比べて10倍楽だと言われています。一度でも購入したことのある顧客が、これから初めて買う顧客よりもハードルが低いことは誰が考えても明らかですよね。
満足した既存顧客が多い企業は、すなわち営業に強い企業です。
アフターフォローに力を入れることが、どれだけ会社の業績安定と向上につながるか、理解していただけると思います。
私の知っているある企業は、既存顧客へ行くことを禁じているそうです。そんな暇があれば、新しい客をつかまえてこいというのが上司の考えです。こういう会社に未来はないことは断言してもいいでしょう。


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