「テスト受注」は営業の醍醐味だ!

2020.01.23

(2020年1月23日メルマガより)

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営業活動には、プロセスがあります。

アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングという4段階です。

(もう少し大きくとらえる場合、リストアップとアフターフォローを前後に付け加えます)

この4段階は、どのような業界であっても当てはまります。

営業をする方は、まずはプロセスを意識してください。


営業は4つのプロセスでできている


アプローチとは、顧客に接触し、信頼関係を築く段階です。

ヒアリングとは、顧客から本音としての悩みや要望や課題を引き出す段階です。

プレゼンテーションとは、課題を解決するための的確な提案をする段階です。

クロージングとは、契約を結ぶ段階です。

営業に慣れない人は、この4つの段階がわかっていません。

アプローチの段階なのに、顧客に言われるがまま見積もりを提出してしまったりします。

信頼関係もできていないのに、いきなり見積もりを出せば「高い」と言われるだけですよ。

きちんとプロセスが理解できていれば、このような間違いは起きません。

営業活動する上で、今日はどの段階にあるのかを常に意識してください。


「アプローチ」が最も重要


さて、この4つのプロセスの中で最も重要な部分はどこでしょうか?

全部重要です。

が、敢えて、優劣をつけるとすれば、「アプローチ」が最も重要だといえます。

アプローチは営業の入り口です。アプローチがなければ、営業が始まりません。

契約をするためには、的確な提案が必要です。提案のためには真の課題をつかんでいることが重要です。真の課題を引き出すには、本音を聞き出せる信頼関係が必要です。

つまり、信頼関係を作る段階であるアプローチがダメならば、すべてうまくいかないのです。

アプローチが最も重要である所以です。


前回のメルマガで、そのアプローチの一つの役割である顧客訪問件数について書かせていただきました。

今回は、もう一つの役割である信頼関係をどのようにして構築するかを書きたいと思います。


新規開拓で信頼関係を築く難しさ


顧客訪問を重ねることで、顧客とは馴染みの関係になることはできます。しかし、それだけで、ビジネスにおける信頼関係ができたというわけではありません。

やはり、ビジネスをする上での信頼関係は、仕事内容で築くものでしょう。

新規開拓営業をする場合は、特にそうです。

いくら熱心に通ってくる営業だったとしても、よさそうな人だったとしても、仕事の取引を始めるには、ハードルがあります。

0から1へのハードルは相当です。

新規開拓営業は、既存顧客への営業よりも、何倍も難しいものなのです。


「テスト受注」が信頼関係のカギ


顧客心理として、いくら気に入った営業だったとしても、いきなり大きな取引を任せるのは怖いものです。

できれば、最初の取引の前に、仕事ができる相手かどうか、確かめたいと思うでしょう。

だから、まずは小さな取引を任せてみて、信頼できる相手かどうか見極めたい。

いわば「テスト発注」です。

営業側からすると、この「テスト受注」に合格して初めて取引ができる相手だと認められます。

だから最初の小さな取引はすこぶる重要です。何としても合格しなければなりません。


ただし、気を付けなければいけないのは、テスト受注が、小さな取引というような分かりやすい形で行われるとは限らないことです。

顧客も無意識のうちに、信頼に足る営業かどうかを確認しているのですから、テスト受注は様々な形をとることがあります。

例えば、それまで仕事の話にならなかった顧客なのに、突如「一度、企画書を持ってきてよ」と言われることがあります。これは、テスト受注でしょう。

この時の企画書は完璧を期してください。

内容も充実したものを提供すべきですが、時間も大切です。一週間後にのんびり持っていくようなことはせず、翌日か翌々日、顧客の気持ちが冷めないうちに持っていくべきです。

内容でも、姿勢でも、取引する上で信頼できる営業だと認められなければなりません。

このほか、サンプルを持ってきてほしいと言われることもあります。パンフレットを多めに持ってきてほしいと言われることもあります。展示会の日程を聞かれることもあります。競合他社との比較表を作ってきてほしいと言われることもあります。

要するに、顧客がそれまでとは違う動きを見せたり、要望を伝えてきたりした時は、テスト受注だと思うべきです。

テスト受注に合格すれば、取引に大きく近づきます。不合格ならば、これまでの関係構築への努力が無駄になります。

営業としての正念場の一つだという自覚を持たなければなりません。


「テスト受注」の繰り返しで信頼関係は深まる


既存顧客との取引においても、テスト受注があります。

通常の取引とは違う要望をされた時などが、それです。

たとえば、企画書のパワーポイントのデータがほしいと言われたり、これまでの取引データをまとめてほしいと言われたり、工場を見学させてほしいと言われたり、展示会に上司と一緒に行くと言われたりするようなことです。

明らかにこれまでのルーティンにはなかった要望や依頼を受けた時は、テスト受注ではないかと考えてください。

既存顧客によるテスト受注は、信頼関係を深めるチャンスです。

顧客がそれまでと違うことを要望するには、何等かの理由があるものです。

取引を拡大したいと思っているのかもしれません。大きなプロジェクトの候補に挙がっているのかも知れません。重点取引先に選定されようとしているのかも知れません。(反対に、仕入れ先整理の対象になっているのかも知れませんが...)

その真意を聞き出し、読み取り、完璧な答えを出すことです。

顧客が本当に困って助けを求めているのかも知れません。そういうこともあるでしょう。発注ミスがあって急な追加注文をしてきたり、現場でのサポートが急遽必要だったり。

そんな時に「先方のミスだから知らない」などと言っていては、営業失格です。

ミスは誰にだってあるものです。それをカバーするのが営業です。

営業は常に顧客の味方であるべきです。こんな時こそ、無理をしてでも顧客を助けなければなりません。

場合によっては、自分の会社と喧嘩しなければならないかも知れない。それでも、営業には無茶を通さなければならない時があるのです。

本当に困った時に助けられた人は、あなたのことをどう思うでしょうか?

恩に着せる必要はありませんが、そういうことの積み重ねで、信頼関係は深まっていくのだと覚えておいてください。


「テスト受注」をつかむと、営業人生が充実する


営業をある程度の期間やっていると、深い信頼関係で結びついた得意客が何人かいるものです。

私にだっています。

会社を辞めて15年以上経ちますが、いまでも飲みにいきます。仕事の細かな内容はもう思い出せませんが、信頼関係は残っているのですね。

思い返すと、あの時の営業対応があったから、絆が強まったのだな、と思える場面がいくつかあります。

長い付き合いの中でも、ほんの1度か2度のことです。確かに、あの時、少しは頑張りました。

あのほんの少しの頑張りが、その後の私の営業成績を支え続けてくれたお得意様を作ることになったのだから、営業というのは派手なパフォーマンスではありませんね。小さな、ほんの小さな努力の積み重ねです。

逆に、せっかくのテスト受注に気づかず、スルーしていたらと思うとぞっとしますね。

気づくか、気づかないか、紙一重ではないでしょうか。

私もたまにしかありませんでした。たぶん、気づかないことも多かったのでしょうね。でも、たまに気づいたから、今があると思っています。優秀な人は、もっと多くの機会をつかんでいるのでしょうね。


(2020年1月23日メルマガより)

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営業活動には、プロセスがあります。

アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングという4段階です。

(もう少し大きくとらえる場合、リストアップとアフターフォローを前後に付け加えます)

この4段階は、どのような業界であっても当てはまります。

営業をする方は、まずはプロセスを意識してください。


営業は4つのプロセスでできている


アプローチとは、顧客に接触し、信頼関係を築く段階です。

ヒアリングとは、顧客から本音としての悩みや要望や課題を引き出す段階です。

プレゼンテーションとは、課題を解決するための的確な提案をする段階です。

クロージングとは、契約を結ぶ段階です。

営業に慣れない人は、この4つの段階がわかっていません。

アプローチの段階なのに、顧客に言われるがまま見積もりを提出してしまったりします。

信頼関係もできていないのに、いきなり見積もりを出せば「高い」と言われるだけですよ。

きちんとプロセスが理解できていれば、このような間違いは起きません。

営業活動する上で、今日はどの段階にあるのかを常に意識してください。


「アプローチ」が最も重要


さて、この4つのプロセスの中で最も重要な部分はどこでしょうか?

全部重要です。

が、敢えて、優劣をつけるとすれば、「アプローチ」が最も重要だといえます。

アプローチは営業の入り口です。アプローチがなければ、営業が始まりません。

契約をするためには、的確な提案が必要です。提案のためには真の課題をつかんでいることが重要です。真の課題を引き出すには、本音を聞き出せる信頼関係が必要です。

つまり、信頼関係を作る段階であるアプローチがダメならば、すべてうまくいかないのです。

アプローチが最も重要である所以です。


前回のメルマガで、そのアプローチの一つの役割である顧客訪問件数について書かせていただきました。

今回は、もう一つの役割である信頼関係をどのようにして構築するかを書きたいと思います。


新規開拓で信頼関係を築く難しさ


顧客訪問を重ねることで、顧客とは馴染みの関係になることはできます。しかし、それだけで、ビジネスにおける信頼関係ができたというわけではありません。

やはり、ビジネスをする上での信頼関係は、仕事内容で築くものでしょう。

新規開拓営業をする場合は、特にそうです。

いくら熱心に通ってくる営業だったとしても、よさそうな人だったとしても、仕事の取引を始めるには、ハードルがあります。

0から1へのハードルは相当です。

新規開拓営業は、既存顧客への営業よりも、何倍も難しいものなのです。


「テスト受注」が信頼関係のカギ


顧客心理として、いくら気に入った営業だったとしても、いきなり大きな取引を任せるのは怖いものです。

できれば、最初の取引の前に、仕事ができる相手かどうか、確かめたいと思うでしょう。

だから、まずは小さな取引を任せてみて、信頼できる相手かどうか見極めたい。

いわば「テスト発注」です。

営業側からすると、この「テスト受注」に合格して初めて取引ができる相手だと認められます。

だから最初の小さな取引はすこぶる重要です。何としても合格しなければなりません。


ただし、気を付けなければいけないのは、テスト受注が、小さな取引というような分かりやすい形で行われるとは限らないことです。

顧客も無意識のうちに、信頼に足る営業かどうかを確認しているのですから、テスト受注は様々な形をとることがあります。

例えば、それまで仕事の話にならなかった顧客なのに、突如「一度、企画書を持ってきてよ」と言われることがあります。これは、テスト受注でしょう。

この時の企画書は完璧を期してください。

内容も充実したものを提供すべきですが、時間も大切です。一週間後にのんびり持っていくようなことはせず、翌日か翌々日、顧客の気持ちが冷めないうちに持っていくべきです。

内容でも、姿勢でも、取引する上で信頼できる営業だと認められなければなりません。

このほか、サンプルを持ってきてほしいと言われることもあります。パンフレットを多めに持ってきてほしいと言われることもあります。展示会の日程を聞かれることもあります。競合他社との比較表を作ってきてほしいと言われることもあります。

要するに、顧客がそれまでとは違う動きを見せたり、要望を伝えてきたりした時は、テスト受注だと思うべきです。

テスト受注に合格すれば、取引に大きく近づきます。不合格ならば、これまでの関係構築への努力が無駄になります。

営業としての正念場の一つだという自覚を持たなければなりません。


「テスト受注」の繰り返しで信頼関係は深まる


既存顧客との取引においても、テスト受注があります。

通常の取引とは違う要望をされた時などが、それです。

たとえば、企画書のパワーポイントのデータがほしいと言われたり、これまでの取引データをまとめてほしいと言われたり、工場を見学させてほしいと言われたり、展示会に上司と一緒に行くと言われたりするようなことです。

明らかにこれまでのルーティンにはなかった要望や依頼を受けた時は、テスト受注ではないかと考えてください。

既存顧客によるテスト受注は、信頼関係を深めるチャンスです。

顧客がそれまでと違うことを要望するには、何等かの理由があるものです。

取引を拡大したいと思っているのかもしれません。大きなプロジェクトの候補に挙がっているのかも知れません。重点取引先に選定されようとしているのかも知れません。(反対に、仕入れ先整理の対象になっているのかも知れませんが...)

その真意を聞き出し、読み取り、完璧な答えを出すことです。

顧客が本当に困って助けを求めているのかも知れません。そういうこともあるでしょう。発注ミスがあって急な追加注文をしてきたり、現場でのサポートが急遽必要だったり。

そんな時に「先方のミスだから知らない」などと言っていては、営業失格です。

ミスは誰にだってあるものです。それをカバーするのが営業です。

営業は常に顧客の味方であるべきです。こんな時こそ、無理をしてでも顧客を助けなければなりません。

場合によっては、自分の会社と喧嘩しなければならないかも知れない。それでも、営業には無茶を通さなければならない時があるのです。

本当に困った時に助けられた人は、あなたのことをどう思うでしょうか?

恩に着せる必要はありませんが、そういうことの積み重ねで、信頼関係は深まっていくのだと覚えておいてください。


「テスト受注」をつかむと、営業人生が充実する


営業をある程度の期間やっていると、深い信頼関係で結びついた得意客が何人かいるものです。

私にだっています。

会社を辞めて15年以上経ちますが、いまでも飲みにいきます。仕事の細かな内容はもう思い出せませんが、信頼関係は残っているのですね。

思い返すと、あの時の営業対応があったから、絆が強まったのだな、と思える場面がいくつかあります。

長い付き合いの中でも、ほんの1度か2度のことです。確かに、あの時、少しは頑張りました。

あのほんの少しの頑張りが、その後の私の営業成績を支え続けてくれたお得意様を作ることになったのだから、営業というのは派手なパフォーマンスではありませんね。小さな、ほんの小さな努力の積み重ねです。

逆に、せっかくのテスト受注に気づかず、スルーしていたらと思うとぞっとしますね。

気づくか、気づかないか、紙一重ではないでしょうか。

私もたまにしかありませんでした。たぶん、気づかないことも多かったのでしょうね。でも、たまに気づいたから、今があると思っています。優秀な人は、もっと多くの機会をつかんでいるのでしょうね。


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