AIの時代に、どのような営業が生き残れるのか?

2017.12.28

(2017年12月28日メルマガより)

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私が学生時代、就職活動をしている時に聞いた噂ですが、さる洋酒メーカーは、採用の条件として容姿を重視しているとか。

夜の町のお姐さんを相手に営業させるので、イケメンでなければならないそうです。

まあ、都市伝説の類ですな。

しかし、妙にリアリティのある話なので、私なぞビビッてしまって、間違っても洋酒メーカーには近づかないでおこうと考えておりました。

だって嫌ですよね。採用されなかったら、おれは容姿が残念だったのか...と落ち込むし、採用されたらされたで何を評価されたのだろうと考え込んでしまう。

それ以上に、洋酒メーカーの営業って、どれだけえげつないことをさせるんだーって戦慄しました。


そこまで営業は安直な仕事ではない...のか?


そんなことはあり得ないんですけどね。

営業って、イケメンだからうまくいくなんて安直な仕事ではありませんし、逆にそんなことで優位になると考えるような会社など危険です。

ただ、そんな噂が流れる背景がわからないでもありません。

商品や販売チャネルや営業手法で差別化が効かず手詰まり感のある業界では、現場営業に頼りたくなってきます。

接触回数を増やせ。という会社の指示は間違っていませんが、前線にいてままならない顧客の相手をする営業からすれば「おれがもう少しイケメンだったら楽なのかなあ」という愚痴の一つも出てくるでしょうね。

私も同じでした。顧客を自在に操れる心理テクニックってないだろうか。とか、妄想したり、探したりしましたもの。

そんな他愛もない(?)冗談をOB社員から聞かされた就活生から広まった噂なんだろうなと想像します。

って言っておきながら、いまになって、そうだろうか?と思う部分もあります。

本当に営業って、そんなに複雑な仕事だろうか?


AIの進化は、知的労働をなくしてしまう


最近、10年後に消える仕事、残る仕事、なんて話題をよく見るようになりました。

背景には、自動化、省力化の技術が加速度的に進んでいる事実があります。

ロボット技術やAI技術が進めば、多くの仕事が失われてしまうと考えられています。

だとしたら残る仕事は、ロボットにできない創造性を発揮できる仕事か、対人接触を求められる仕事か。

その意味では、芸術家などとともに、営業はなくならない仕事だと評価する予測が多いようです。

なにしろ営業は、対人関係能力が求められる仕事ですからね。これはさすがにロボットやAIには置き換えられないでしょう...

しかし本当にそうだろうか?

上の本を読んでみると、むしろ知的労働は早晩AIに置き換えられてしまい、単純労働が残ると指摘されています。

なぜなら、ロボット技術の進化よりも、AI能力の進化の方がはるかに早いから。

細かな手作業ができるロボットを開発するよりも、絵を描いたり、小説を書いたりするAIの方が、実現が早いと考えられています。


AIの時代に営業は生き残れるのか?


では営業という仕事はどうか。

確かに営業は人と接する仕事です。

我々は、それなりに思い切りのいるものを買う時、信頼できる人から購入したいという気持ちがあります。

その信頼とは何か。

人柄がよさそう。熱心。情報が正確。嘘がない。失礼がない。しつこくない。気持ちを分かってくれる。こちらの立場で考えてくれる。的確なものを提案してくれる。買った後も同じように接してくれる。

といったことが、信頼感を育みます。

が、よく考えてみれば、これらの要素の殆どは、AIで代替できることばかり。というか、AIの方が得意なことばかりです。

情報が正確で嘘がないのはAIの真骨頂です。商品知識、技術知識などは、どんな人間よりも深く正確のはず。だから提案も的確ですし、買った後も変わらずフォローしてくれるでしょう。

気持ちを分かってくれるというのはいかにも人間的ですが、それは相当優秀な営業の話で、並みの営業に任すならばAIに分析してもらった方が、より的確なニーズを引き出してくれそうです。

結局、人間でないとダメなことは、人柄だとか笑顔だとか共感だとか、言葉にしずらいものです。

容姿端麗であれ。とは言いませんが、誠実そうで、朗らかで、清潔感があって、親切で、クセがない人でさえあれば、後の能力はAIが補完してくれそうですよ。


AIが人間のサポートをするのではなく、人間がAIの補完をする


さらに営業をプロセスに分解してみます。

営業の仕事は、リストアップ、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージング、アフターフォローに分解できます。

リストアップとは、自分の扱う商品を必要とする顧客を見つけて、リスト化する作業です。いわば戦略の部分であり、こちらの市場リサーチと分析は、AIの得意分野です。

アプローチとは、リスト化した顧客に接触する計画を立てて、接触した上で信頼関係を作る作業です。効率のいい計画作成はAIの得意分野です。信頼関係づくりは、人間が工夫すべき分野になるかも知れません。

ヒアリングとは、接触した顧客からニーズを聞き出す作業です。本音で聞き出すのは、人間でないと難しい気がしますが、実際にはAIが導き出す質問項目や雑談記録などからニーズを分析する方が正確でしょう。

プレゼンテーションとは、ニーズに基づき的確なものを提案する作業です。迫真感をもってプレゼンするのは人間かも知れませんが、その中身はAIが作った方が的確のはずです。

クロージングは、購入の後押しをする作業です。こちらは人間が得意かも知れませんが、ここでもたもたするのは、そもそもプレゼンが失敗しているからだと考えられるので、押し売りになっては困るところです。

アフターフォローは、購入した後、顧客の不安や不満を聞きだし解消しさらなる信頼関係を作る作業です。成績に直結しない作業なので人間はやりたがりません。AIが示すタイミングや内容で取り組むのがいいでしょうね。

こうしてみると、AIが営業のサポートをするというよりも、人間がAIの補完をする感覚で臨んだ方がいいような内容です。

これからの営業は、ニコニコしてAIの命ずるままに動いていればいいやん。と言いたくなりますな。


AIがなければ営業が成立しない時代になる


少なくとも、これからの営業は、AIをうまく取り入れていかないと立ちいかなくなるでしょう。

AIの進化がどこまで早いかによりますが、近い将来、5年か10年の間には、必ずそうなります。

その時、自社だけ昔のままやっている。ということになれば、競争にもなりません。

その時には、AIを営業マネージャーにして、若い素直な人を営業担当にした方がいいですね。

冗談ではなく、本気でそう思います。

特に営業という仕事を経験でしか把握せず、AIをどう活用すればいいのか理解しようとしない人は、適応するのが難しい。むしろ軋轢ばかりで面倒くさい。

それなら、経験のない若い人にやってもらう方がいいというものです。


それでも営業が会社の強みになる


あるいは、営業部なんてなくしてしまって、AIで営業に代わる仕組みを作った方がいいという話にもなりそうです。

いま営業部のない小さな製造業などは、あるいはそうする方が賢明かも知れませんね。

もっとも、だからといって営業なんていらない。消えてしまう仕事だ。とは思いません。

すべてがAIになってしまうと、その能力は平均化されてしまいます。営業の部分で差別化できないというのは、武器が一つなくなってしまうことです。

それは避けた方がいいと思います。

そもそも企業競争において、多くの差別化策は模倣され無力化されてしまう運命にあります。

企業の努力とは、自社の強みを模倣から防御し、アップデートし続けることです。

ところがそのアップデートにも限界がある。企業とすれば、なるべく模倣されないような強みを持ちたい。

模倣されない強み。。。その最大のものは、人間です。

例えば、営業の能力が高い。やる気がある。行動力がある。ということが他社より優れている場合、ただちに模倣されることはありません。

なぜなら人間の能力は蓄積が必要で、一朝一夕に模倣されることはないからです。

その意味でも強い営業力は、企業にとって模倣されない強みの最たるものであると言えます。


AIの時代に、営業はどう振舞えばいいのか


これから数年、営業にAIを取り入れる企業が増えてくるでしょう。

過渡期です。だからこそ、うまく取り入れた企業が、営業を強みにすることができます。その強みは数年間のアドバンテージとなるはずです。

その場合、営業担当者側はどうすればいいのか。

(1)まずは、営業のプロセスを理解して、どの部分にAIを取り入れるのかを理解することです。

上に書いた営業プロセスをもう一度、見直してみてください。

AIが得意なこと。不得意なことがあったはずです。

もちろん業界、業種、企業によって少しずつ違うかも知れません。その時はカスタマイズしてください。

いきなり全部AIに置き換えるとはいかないでしょうから、優先順位も意識しなければなりません。

それも含めて、自社の営業プロセスを理解し、どの部分にAIを取り入れたのか、それこそが営業の強みとなります。

(2)次に、AIに置き換えられない部分を意識して鍛えることです。

いまだロボットやAIがインターフェイスを擬人化するのは、やはり人間は人間と接していたいという本質的な欲求があるからでしょう。

対面することで与えられる安心感、信頼感、臨場感、緊張感は、まだしばらくはAIやロボットに置き換えられないものだと考えます。

どうすれば、顧客に安心感を与えることができるのか。信頼関係を結ぶことができるのか。臨場感や緊張感を作ることができるのか。

今回は書きませんが、それぞれやりようがありますので、それを意識して鍛えることです。


営業は脱ブラックボックス化するが、格差も生まれる


気を付けなければならないのは、これから営業は、個人としての格差が付きやすくなると考えられることです。これは、AIを使う側と、使われる側に分かれていくというだけではありません。

たとえば上記の(1)は、AIを使って自社営業のルールや勝ちパターンを作る者に必要なスキルです。

それに対して(2)は、ルールができた後の枠内で努力する者のやるべきことです。

パソコンを動かすプログラムを組む仕事と、それを使って何かをする仕事。というぐらいのイメージですかね。

そのうちAIからは、新たな勝ちパターンが抽出できるようになるでしょうから、それをさらに取り入れていくのも(1)ができる者の仕事となります。

たとえばAIが「容姿端麗の方が成績がよい」というデータを抽出すれば、それを採用するマネージャーも出てくるでしょう。冒頭の冗談が本当になるってことですよ。

普通にいえば、営業マネージャーといわれる人が(1)の担い手となります。

ただし今のように歳をとれば皆マネージャーになるという話ではありません。AIを使えば、マネージできる人数も大幅に増えますから、そのポストも減ることになります。

人数が少ないということは、当然ながら報酬も高くなるということですね。


もうひとつ。(2)の側の中でも格差が生まれやすくなります。AIが戦略を立てるので、そこは条件がみな同じです。だとすれば、個人スキルの部分で成績の差が出ているということが明白になってしまいます。

個人スキルが成績の差となるなら、報酬にも差をつけなければなりません。世知辛い話ですが。

営業担当者にとってはしんどい時代になっていくと思われるかも知れませんね。

しかし私は各自努力の方向性が明確になるのだから、これからの若い営業担当者にとっては、やりがいのある仕事になっていくのだと考えています。

もう「わが社の営業はブラックボックスだ」っていう会社がなくなっていくことを願っています。

AIによって営業という仕事が健全化する。と前向きにとらえていきましょう。




(2017年12月28日メルマガより)

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私が学生時代、就職活動をしている時に聞いた噂ですが、さる洋酒メーカーは、採用の条件として容姿を重視しているとか。

夜の町のお姐さんを相手に営業させるので、イケメンでなければならないそうです。

まあ、都市伝説の類ですな。

しかし、妙にリアリティのある話なので、私なぞビビッてしまって、間違っても洋酒メーカーには近づかないでおこうと考えておりました。

だって嫌ですよね。採用されなかったら、おれは容姿が残念だったのか...と落ち込むし、採用されたらされたで何を評価されたのだろうと考え込んでしまう。

それ以上に、洋酒メーカーの営業って、どれだけえげつないことをさせるんだーって戦慄しました。


そこまで営業は安直な仕事ではない...のか?


そんなことはあり得ないんですけどね。

営業って、イケメンだからうまくいくなんて安直な仕事ではありませんし、逆にそんなことで優位になると考えるような会社など危険です。

ただ、そんな噂が流れる背景がわからないでもありません。

商品や販売チャネルや営業手法で差別化が効かず手詰まり感のある業界では、現場営業に頼りたくなってきます。

接触回数を増やせ。という会社の指示は間違っていませんが、前線にいてままならない顧客の相手をする営業からすれば「おれがもう少しイケメンだったら楽なのかなあ」という愚痴の一つも出てくるでしょうね。

私も同じでした。顧客を自在に操れる心理テクニックってないだろうか。とか、妄想したり、探したりしましたもの。

そんな他愛もない(?)冗談をOB社員から聞かされた就活生から広まった噂なんだろうなと想像します。

って言っておきながら、いまになって、そうだろうか?と思う部分もあります。

本当に営業って、そんなに複雑な仕事だろうか?


AIの進化は、知的労働をなくしてしまう


最近、10年後に消える仕事、残る仕事、なんて話題をよく見るようになりました。

背景には、自動化、省力化の技術が加速度的に進んでいる事実があります。

ロボット技術やAI技術が進めば、多くの仕事が失われてしまうと考えられています。

だとしたら残る仕事は、ロボットにできない創造性を発揮できる仕事か、対人接触を求められる仕事か。

その意味では、芸術家などとともに、営業はなくならない仕事だと評価する予測が多いようです。

なにしろ営業は、対人関係能力が求められる仕事ですからね。これはさすがにロボットやAIには置き換えられないでしょう...

しかし本当にそうだろうか?

上の本を読んでみると、むしろ知的労働は早晩AIに置き換えられてしまい、単純労働が残ると指摘されています。

なぜなら、ロボット技術の進化よりも、AI能力の進化の方がはるかに早いから。

細かな手作業ができるロボットを開発するよりも、絵を描いたり、小説を書いたりするAIの方が、実現が早いと考えられています。


AIの時代に営業は生き残れるのか?


では営業という仕事はどうか。

確かに営業は人と接する仕事です。

我々は、それなりに思い切りのいるものを買う時、信頼できる人から購入したいという気持ちがあります。

その信頼とは何か。

人柄がよさそう。熱心。情報が正確。嘘がない。失礼がない。しつこくない。気持ちを分かってくれる。こちらの立場で考えてくれる。的確なものを提案してくれる。買った後も同じように接してくれる。

といったことが、信頼感を育みます。

が、よく考えてみれば、これらの要素の殆どは、AIで代替できることばかり。というか、AIの方が得意なことばかりです。

情報が正確で嘘がないのはAIの真骨頂です。商品知識、技術知識などは、どんな人間よりも深く正確のはず。だから提案も的確ですし、買った後も変わらずフォローしてくれるでしょう。

気持ちを分かってくれるというのはいかにも人間的ですが、それは相当優秀な営業の話で、並みの営業に任すならばAIに分析してもらった方が、より的確なニーズを引き出してくれそうです。

結局、人間でないとダメなことは、人柄だとか笑顔だとか共感だとか、言葉にしずらいものです。

容姿端麗であれ。とは言いませんが、誠実そうで、朗らかで、清潔感があって、親切で、クセがない人でさえあれば、後の能力はAIが補完してくれそうですよ。


AIが人間のサポートをするのではなく、人間がAIの補完をする


さらに営業をプロセスに分解してみます。

営業の仕事は、リストアップ、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージング、アフターフォローに分解できます。

リストアップとは、自分の扱う商品を必要とする顧客を見つけて、リスト化する作業です。いわば戦略の部分であり、こちらの市場リサーチと分析は、AIの得意分野です。

アプローチとは、リスト化した顧客に接触する計画を立てて、接触した上で信頼関係を作る作業です。効率のいい計画作成はAIの得意分野です。信頼関係づくりは、人間が工夫すべき分野になるかも知れません。

ヒアリングとは、接触した顧客からニーズを聞き出す作業です。本音で聞き出すのは、人間でないと難しい気がしますが、実際にはAIが導き出す質問項目や雑談記録などからニーズを分析する方が正確でしょう。

プレゼンテーションとは、ニーズに基づき的確なものを提案する作業です。迫真感をもってプレゼンするのは人間かも知れませんが、その中身はAIが作った方が的確のはずです。

クロージングは、購入の後押しをする作業です。こちらは人間が得意かも知れませんが、ここでもたもたするのは、そもそもプレゼンが失敗しているからだと考えられるので、押し売りになっては困るところです。

アフターフォローは、購入した後、顧客の不安や不満を聞きだし解消しさらなる信頼関係を作る作業です。成績に直結しない作業なので人間はやりたがりません。AIが示すタイミングや内容で取り組むのがいいでしょうね。

こうしてみると、AIが営業のサポートをするというよりも、人間がAIの補完をする感覚で臨んだ方がいいような内容です。

これからの営業は、ニコニコしてAIの命ずるままに動いていればいいやん。と言いたくなりますな。


AIがなければ営業が成立しない時代になる


少なくとも、これからの営業は、AIをうまく取り入れていかないと立ちいかなくなるでしょう。

AIの進化がどこまで早いかによりますが、近い将来、5年か10年の間には、必ずそうなります。

その時、自社だけ昔のままやっている。ということになれば、競争にもなりません。

その時には、AIを営業マネージャーにして、若い素直な人を営業担当にした方がいいですね。

冗談ではなく、本気でそう思います。

特に営業という仕事を経験でしか把握せず、AIをどう活用すればいいのか理解しようとしない人は、適応するのが難しい。むしろ軋轢ばかりで面倒くさい。

それなら、経験のない若い人にやってもらう方がいいというものです。


それでも営業が会社の強みになる


あるいは、営業部なんてなくしてしまって、AIで営業に代わる仕組みを作った方がいいという話にもなりそうです。

いま営業部のない小さな製造業などは、あるいはそうする方が賢明かも知れませんね。

もっとも、だからといって営業なんていらない。消えてしまう仕事だ。とは思いません。

すべてがAIになってしまうと、その能力は平均化されてしまいます。営業の部分で差別化できないというのは、武器が一つなくなってしまうことです。

それは避けた方がいいと思います。

そもそも企業競争において、多くの差別化策は模倣され無力化されてしまう運命にあります。

企業の努力とは、自社の強みを模倣から防御し、アップデートし続けることです。

ところがそのアップデートにも限界がある。企業とすれば、なるべく模倣されないような強みを持ちたい。

模倣されない強み。。。その最大のものは、人間です。

例えば、営業の能力が高い。やる気がある。行動力がある。ということが他社より優れている場合、ただちに模倣されることはありません。

なぜなら人間の能力は蓄積が必要で、一朝一夕に模倣されることはないからです。

その意味でも強い営業力は、企業にとって模倣されない強みの最たるものであると言えます。


AIの時代に、営業はどう振舞えばいいのか


これから数年、営業にAIを取り入れる企業が増えてくるでしょう。

過渡期です。だからこそ、うまく取り入れた企業が、営業を強みにすることができます。その強みは数年間のアドバンテージとなるはずです。

その場合、営業担当者側はどうすればいいのか。

(1)まずは、営業のプロセスを理解して、どの部分にAIを取り入れるのかを理解することです。

上に書いた営業プロセスをもう一度、見直してみてください。

AIが得意なこと。不得意なことがあったはずです。

もちろん業界、業種、企業によって少しずつ違うかも知れません。その時はカスタマイズしてください。

いきなり全部AIに置き換えるとはいかないでしょうから、優先順位も意識しなければなりません。

それも含めて、自社の営業プロセスを理解し、どの部分にAIを取り入れたのか、それこそが営業の強みとなります。

(2)次に、AIに置き換えられない部分を意識して鍛えることです。

いまだロボットやAIがインターフェイスを擬人化するのは、やはり人間は人間と接していたいという本質的な欲求があるからでしょう。

対面することで与えられる安心感、信頼感、臨場感、緊張感は、まだしばらくはAIやロボットに置き換えられないものだと考えます。

どうすれば、顧客に安心感を与えることができるのか。信頼関係を結ぶことができるのか。臨場感や緊張感を作ることができるのか。

今回は書きませんが、それぞれやりようがありますので、それを意識して鍛えることです。


営業は脱ブラックボックス化するが、格差も生まれる


気を付けなければならないのは、これから営業は、個人としての格差が付きやすくなると考えられることです。これは、AIを使う側と、使われる側に分かれていくというだけではありません。

たとえば上記の(1)は、AIを使って自社営業のルールや勝ちパターンを作る者に必要なスキルです。

それに対して(2)は、ルールができた後の枠内で努力する者のやるべきことです。

パソコンを動かすプログラムを組む仕事と、それを使って何かをする仕事。というぐらいのイメージですかね。

そのうちAIからは、新たな勝ちパターンが抽出できるようになるでしょうから、それをさらに取り入れていくのも(1)ができる者の仕事となります。

たとえばAIが「容姿端麗の方が成績がよい」というデータを抽出すれば、それを採用するマネージャーも出てくるでしょう。冒頭の冗談が本当になるってことですよ。

普通にいえば、営業マネージャーといわれる人が(1)の担い手となります。

ただし今のように歳をとれば皆マネージャーになるという話ではありません。AIを使えば、マネージできる人数も大幅に増えますから、そのポストも減ることになります。

人数が少ないということは、当然ながら報酬も高くなるということですね。


もうひとつ。(2)の側の中でも格差が生まれやすくなります。AIが戦略を立てるので、そこは条件がみな同じです。だとすれば、個人スキルの部分で成績の差が出ているということが明白になってしまいます。

個人スキルが成績の差となるなら、報酬にも差をつけなければなりません。世知辛い話ですが。

営業担当者にとってはしんどい時代になっていくと思われるかも知れませんね。

しかし私は各自努力の方向性が明確になるのだから、これからの若い営業担当者にとっては、やりがいのある仕事になっていくのだと考えています。

もう「わが社の営業はブラックボックスだ」っていう会社がなくなっていくことを願っています。

AIによって営業という仕事が健全化する。と前向きにとらえていきましょう。




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