「なんでも酒やカクヤス」にみる局地戦の極意

2018.02.08

(2018年2月8日メルマガより)

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「なんでも酒やカクヤス」というお店をご存じでしょうか。

東京の方はよくご存じでしょうね。

ピンクの看板が目立つ"お酒のバラエティショップ"といった感じの酒販店です。

なんとこのお店、東京都だけで120店舗以上。売上高1100億円。株式上場も視野に入れています。(大阪にも9店舗ほどあります)

東京では売上高1位。業務用でも1位。

堂々たる勝ち組企業ですが、元はといえば、どこにでもある小さな酒販店からのスタートでした。

カクヤスがいかにして現在の地位を築いたかをきいてみると、ランチェスター弱者の戦略にいう「局地戦」「接近戦」を徹底してきたことがわかります。

実にいい事例だなあと思いご紹介する次第です。


「東京23区内なら2時間以内、無料で宅配」


カクヤスの特徴は「東京23区内なら2時間以内、無料で宅配する」というサービスです。

ビール1本から無料です。なんとも凄まじいサービスですな。

このサービスをもってカクヤスを飛躍させたのが、同社3代目の佐藤順一社長です。

確固たるビジョンを持って、目標達成にまい進してきたのだろうか。といえば、そうではないらしい。

佐藤社長の話によると、その都度の課題に取り組んでいるうちに、今の形になったことがわかります。

それが現実的で面白い。


宅配サービスを始めたきっかけ


先にも書きましたが、カクヤスはもとはどこにでもある小さな酒販店でした。

それでもバブル絶頂期には、売上高15億円、営業利益9600万円をあげていたといいます。

ところがバブル崩壊後は、勢いのある飲食店が次々と倒産。多額の不良債権を抱えることになってしまいました。

飲食店向けの業務用販売は苦しい。ならば一般消費者向けだ。と、ディスカウントショップを開いてみたものの、同社がもっていた店は、駐車場もない小さな店舗です。

薄利多売のディスカウントストアは、広い駐車場、広い店舗で、大量に顧客を集め、大量販売することが必要条件です。

こんな小さな店では、どうにもならん、と始めたのが、宅配サービスでした。

宅配なら店に来てもらう必要はない。こちらから行けばいいので、立地の悪さをカバーできます。


その際、カクヤスは宅配の範囲を1.2キロと設定します。

なぜ1.2キロなのか?

というと、自転車で運ぶには、だいたい1キロかなと地図に円を描いてみたものの、それではたまたまそこにあった大きな団地を逃してしまう。

この団地を取り込むためには1.2キロにしなければならんな。と、なんとも偶然要素の強い設定だったようです。


カクヤスが勝てる「局所」


弱者が勝つ方法とは、自分でも勝てる「局所」を見つけて、そこに経営資源を集中することです。

カクヤスの局所は「半径1.2キロ圏内」でした。

これが当たります。

勝った理由のひとつは、宅配というサービスの威力です。いくら安いといっても、ケース買いして、家まで運ぶのは大変です。団地だったらなおさらです。

1.2キロという圏内でしたら、1時間に3~5件届けることができるので、宅配が可能となりました。

(当初は宅配料300円をとっていましたが、後に無料になりました)

もうひとつは、これも偶然かも知れませんが、1.2キロ圏内には他のディスカウントショップがなかったこと。

ディスカウントショップは郊外型が多い。わざわざ車で遠くに行かなくても、近くに安い店があるのは有難いわけです。だから宅配を使わず店に買いにくる顧客も多くいたようです。


商圏設定は企業側の都合


一応の成功を収めて、店舗数を増やしていったカクヤスですが、2000年に業界全体の転機が訪れます。

ひとつは日本の酒類販売の売上が減少に転じたこと。衰退期の到来です。これでは、メーカーも小売店に払う販促費を絞って、利益重視の施策にせざるを得ません。ディスカウントビジネスにとって冬の時代です。

さらには酒の免許制度の緩和で、コンビニやスーパーが酒類販売を始めること。品揃えではスーパーに、利便性ではコンビニに勝てません。

価格で勝負するのは厳しい。品揃え、利便性でも勝てない。

カクヤスは、最大の武器である「宅配」を磨かなければ勝てないという現実を突きつけられました。

カクヤスのやっている「1本から無料配達」というサービスは実に明解です。これを貫く限り、宅配便を使う業者には負けないでしょう。

ところが「1.2キロ圏内」という縛りはどうでしょうか?

1.2キロ商圏が有難いのは、カクヤス側にとってです。顧客とすれば、自分が商圏内か商圏外かなど気にしていません。

なんで丁目が違うだけで届けられないんだ?って不満に思うでしょう。

これでは宅配便を使う業者につけ入る隙を与えてしまいます。


東京23区内全体を1.2キロ商圏に入れてしまう


そこで佐藤社長は、およそ尋常でない発想の転換を行います。

「日本全国どこでも...は無理だが、東京23区内なら2時間で無料配達。なら分かりやすい」

「どうすれば23区内に2時間以内で配達できるか?...1.2キロ圏内に、東京23区を入れてしまおう。つまり、東京中に店を作ればいいわけだ!」

ということで、東京23区の面積を1.2キロ商圏で割って、必要店舗数を割り出します。それが、カクヤスの目標出店件数となりました。

東京23区内すべてを1.2キロ商圏でカバーする。という壮大なビジョンを掲げた佐藤社長は、銀行を巻き込んで、店舗展開に乗り出します。

それまで二十数店舗だったのが一気に100店舗以上ですから、これは「はれのひ」も驚く思い切った拡大です。

局地は、あくまで勝てる場所を選ばなければなりません。が、100店舗以上となれば、勝てる場所、勝てない場所が出来てきます。人材育成も追い付かないでしょう。

せっかく調子よかった会社が、一気に悪くなってしまいました。


秀逸な営業トーク


118店舗で23区内をカバーする体制を整えたカクヤスですが、立ち上げに苦労して全体としては赤字のまま。倒産も覚悟しなければならないような状況に陥ります。

ランチェスター地域戦略を知っていたならば、もっと着実に業績を伸ばせただろうに。。とも思いますが、知らなかったので仕方がない。

それでもシェア獲得を優先し、スピード重視した決断力はさすがです。これだけ一気だとライバル企業も出てきません。

かといって赤字は困ります。

ここで起死回生となったのが、飲食店への販売でした。

もともとカクヤスは、飲食店向け販売が強い酒販店です。

ところがバブル崩壊後、一般消費者向けへのシフトとして、ディスカウントショップを立ち上げた経緯があります。

そのターゲット設定にいつの間にか固執していたのでしょうね。従業員から言われるまで、飲食店への販売を思いつかなかったといいます。そこで、再び飲食店への営業を開始します。

その際、使った営業トークが秀逸です。

「注文忘れで困ったときだけ使ってください」

これは新規開拓のハードルを下げる実にうまいトークです。全切り替えは先方も躊躇しますが、困った時だけ、なら心理的障壁がありません。受け入れられやすくなります。

しかも飲食店にとって2時間で届けてくれるサービスは実にありがたい。急な予約にも対応しやすいし、なにより在庫を持たなくてよい。

こういうサービスがあると知ったら、注文したくなるというものです。

カクヤスのサービスは飲食店の支持を受けて、かくして全店黒字を達成するに至りました。


今後のカクヤスの方向性


まとめます。

カクヤスにとって局地(勝てる場所)は、「1.2キロ商圏」でした。

自ら区切りをつけた地域セグメントを局地にしたのです。

1.2キロ商圏ならば、2時間で無料宅配するという真似できないサービスを作ることができたからです。

しかも、宅配するということは、最終顧客にとことん接近しているということです。接近すれば、顧客の新たなサービスを読み取ることもできます。

カクヤスが、配達も注文請けも、アウトソーシングせずに自社で行っているのは、それが自社の武器であると認識しているからでしょう。


今後のカクヤスの方向性としては、

(1)東京23区内でのシェアを41.7%以上にすること

東京23区内でトップになったといっても市場シェア目標値である41.7%を超えているとは思えません。そこに至るまでには、まだまだやることが多くありそうです。

(2)それができれば、地域を広げること

目標値を超えれば、ターゲット地域を変える必要があります。いま、神奈川、埼玉、大阪に展開しています。東京攻略後は、本格的にこれらの地域のシェア獲得に動いていくのがいいでしょう。

ただし酒類市場の縮小は、待ったなしの状況です。このまま衰退市場でシェアをとっても、ジリ貧になることは目に見えています。

そこでカクヤスは、

(3)酒類以外のサービスを提供すること

に着手しています。文房具や生花、冠婚葬祭の企業を買収し、現在の顧客に新しいサービスを提供することで酒類の落ち込みをカバーしようという思惑です。

これはランチェスター戦略にいう「グー・パー・チョキ戦略」で、主力事業がある程度うまくいくと、商品バリエーションを増やして次の柱を作るという施策です。

ただ、商品ジャンルを増やすというのは、ブランドイメージも地続きではありませんし、業務オペレーションも変えなければなりません。販売も業務も人材育成が難しく一筋縄ではいきません。

しかも、主力商品である酒類販売が市場シェア目標値に届いていない状況で、新しい商品に手を出すのは、手を広げすぎだと言われても仕方ありません。

本来ならば、酒類販売に集中しておく時期です。

それができないほど危機感を抱かせる市場の縮小に見舞われているというのは、悩ましいというほかありません。


株式上場を控えて、手を広げすぎているのでは?


いまのカクヤスは、主業の市場深耕を進めると同時に、新しい商材の開発、新市場の開拓を同時に行っている状態です。

そのための資金調達を目指して株式上場するのでしょうが、少々急ぎ過ぎていると私は思います。

カクヤス社内の業務オペレーションや人材育成が十全に機能しているのかどうかはわかりませんが、手を広げすぎて機能不全を起こさないように注意しなければなりません。

ちなみに私なら、新しい商材の開発、または新市場の開拓、どちらかをいったん手控えるべきだと考えます。

一般的には、より成功確率が低いと言われる新市場の開拓を手控えるべきでしょうが、それは社内の状況を鑑みながら判断することなので、外野からは何とも言えません。

まあそうは言いながら、ここまでカクヤスを引っ張ってきた佐藤社長です。困難を乗り越えて、大阪府内も2時間以内宅配無料サービスを展開してくれることでしょう。

大いに期待しております。


【参考】








カクヤス、業務用酒販店ナンバーワンへの奇跡の道のり 第1回




(2018年2月8日メルマガより)

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「なんでも酒やカクヤス」というお店をご存じでしょうか。

東京の方はよくご存じでしょうね。

ピンクの看板が目立つ"お酒のバラエティショップ"といった感じの酒販店です。

なんとこのお店、東京都だけで120店舗以上。売上高1100億円。株式上場も視野に入れています。(大阪にも9店舗ほどあります)

東京では売上高1位。業務用でも1位。

堂々たる勝ち組企業ですが、元はといえば、どこにでもある小さな酒販店からのスタートでした。

カクヤスがいかにして現在の地位を築いたかをきいてみると、ランチェスター弱者の戦略にいう「局地戦」「接近戦」を徹底してきたことがわかります。

実にいい事例だなあと思いご紹介する次第です。


「東京23区内なら2時間以内、無料で宅配」


カクヤスの特徴は「東京23区内なら2時間以内、無料で宅配する」というサービスです。

ビール1本から無料です。なんとも凄まじいサービスですな。

このサービスをもってカクヤスを飛躍させたのが、同社3代目の佐藤順一社長です。

確固たるビジョンを持って、目標達成にまい進してきたのだろうか。といえば、そうではないらしい。

佐藤社長の話によると、その都度の課題に取り組んでいるうちに、今の形になったことがわかります。

それが現実的で面白い。


宅配サービスを始めたきっかけ


先にも書きましたが、カクヤスはもとはどこにでもある小さな酒販店でした。

それでもバブル絶頂期には、売上高15億円、営業利益9600万円をあげていたといいます。

ところがバブル崩壊後は、勢いのある飲食店が次々と倒産。多額の不良債権を抱えることになってしまいました。

飲食店向けの業務用販売は苦しい。ならば一般消費者向けだ。と、ディスカウントショップを開いてみたものの、同社がもっていた店は、駐車場もない小さな店舗です。

薄利多売のディスカウントストアは、広い駐車場、広い店舗で、大量に顧客を集め、大量販売することが必要条件です。

こんな小さな店では、どうにもならん、と始めたのが、宅配サービスでした。

宅配なら店に来てもらう必要はない。こちらから行けばいいので、立地の悪さをカバーできます。


その際、カクヤスは宅配の範囲を1.2キロと設定します。

なぜ1.2キロなのか?

というと、自転車で運ぶには、だいたい1キロかなと地図に円を描いてみたものの、それではたまたまそこにあった大きな団地を逃してしまう。

この団地を取り込むためには1.2キロにしなければならんな。と、なんとも偶然要素の強い設定だったようです。


カクヤスが勝てる「局所」


弱者が勝つ方法とは、自分でも勝てる「局所」を見つけて、そこに経営資源を集中することです。

カクヤスの局所は「半径1.2キロ圏内」でした。

これが当たります。

勝った理由のひとつは、宅配というサービスの威力です。いくら安いといっても、ケース買いして、家まで運ぶのは大変です。団地だったらなおさらです。

1.2キロという圏内でしたら、1時間に3~5件届けることができるので、宅配が可能となりました。

(当初は宅配料300円をとっていましたが、後に無料になりました)

もうひとつは、これも偶然かも知れませんが、1.2キロ圏内には他のディスカウントショップがなかったこと。

ディスカウントショップは郊外型が多い。わざわざ車で遠くに行かなくても、近くに安い店があるのは有難いわけです。だから宅配を使わず店に買いにくる顧客も多くいたようです。


商圏設定は企業側の都合


一応の成功を収めて、店舗数を増やしていったカクヤスですが、2000年に業界全体の転機が訪れます。

ひとつは日本の酒類販売の売上が減少に転じたこと。衰退期の到来です。これでは、メーカーも小売店に払う販促費を絞って、利益重視の施策にせざるを得ません。ディスカウントビジネスにとって冬の時代です。

さらには酒の免許制度の緩和で、コンビニやスーパーが酒類販売を始めること。品揃えではスーパーに、利便性ではコンビニに勝てません。

価格で勝負するのは厳しい。品揃え、利便性でも勝てない。

カクヤスは、最大の武器である「宅配」を磨かなければ勝てないという現実を突きつけられました。

カクヤスのやっている「1本から無料配達」というサービスは実に明解です。これを貫く限り、宅配便を使う業者には負けないでしょう。

ところが「1.2キロ圏内」という縛りはどうでしょうか?

1.2キロ商圏が有難いのは、カクヤス側にとってです。顧客とすれば、自分が商圏内か商圏外かなど気にしていません。

なんで丁目が違うだけで届けられないんだ?って不満に思うでしょう。

これでは宅配便を使う業者につけ入る隙を与えてしまいます。


東京23区内全体を1.2キロ商圏に入れてしまう


そこで佐藤社長は、およそ尋常でない発想の転換を行います。

「日本全国どこでも...は無理だが、東京23区内なら2時間で無料配達。なら分かりやすい」

「どうすれば23区内に2時間以内で配達できるか?...1.2キロ圏内に、東京23区を入れてしまおう。つまり、東京中に店を作ればいいわけだ!」

ということで、東京23区の面積を1.2キロ商圏で割って、必要店舗数を割り出します。それが、カクヤスの目標出店件数となりました。

東京23区内すべてを1.2キロ商圏でカバーする。という壮大なビジョンを掲げた佐藤社長は、銀行を巻き込んで、店舗展開に乗り出します。

それまで二十数店舗だったのが一気に100店舗以上ですから、これは「はれのひ」も驚く思い切った拡大です。

局地は、あくまで勝てる場所を選ばなければなりません。が、100店舗以上となれば、勝てる場所、勝てない場所が出来てきます。人材育成も追い付かないでしょう。

せっかく調子よかった会社が、一気に悪くなってしまいました。


秀逸な営業トーク


118店舗で23区内をカバーする体制を整えたカクヤスですが、立ち上げに苦労して全体としては赤字のまま。倒産も覚悟しなければならないような状況に陥ります。

ランチェスター地域戦略を知っていたならば、もっと着実に業績を伸ばせただろうに。。とも思いますが、知らなかったので仕方がない。

それでもシェア獲得を優先し、スピード重視した決断力はさすがです。これだけ一気だとライバル企業も出てきません。

かといって赤字は困ります。

ここで起死回生となったのが、飲食店への販売でした。

もともとカクヤスは、飲食店向け販売が強い酒販店です。

ところがバブル崩壊後、一般消費者向けへのシフトとして、ディスカウントショップを立ち上げた経緯があります。

そのターゲット設定にいつの間にか固執していたのでしょうね。従業員から言われるまで、飲食店への販売を思いつかなかったといいます。そこで、再び飲食店への営業を開始します。

その際、使った営業トークが秀逸です。

「注文忘れで困ったときだけ使ってください」

これは新規開拓のハードルを下げる実にうまいトークです。全切り替えは先方も躊躇しますが、困った時だけ、なら心理的障壁がありません。受け入れられやすくなります。

しかも飲食店にとって2時間で届けてくれるサービスは実にありがたい。急な予約にも対応しやすいし、なにより在庫を持たなくてよい。

こういうサービスがあると知ったら、注文したくなるというものです。

カクヤスのサービスは飲食店の支持を受けて、かくして全店黒字を達成するに至りました。


今後のカクヤスの方向性


まとめます。

カクヤスにとって局地(勝てる場所)は、「1.2キロ商圏」でした。

自ら区切りをつけた地域セグメントを局地にしたのです。

1.2キロ商圏ならば、2時間で無料宅配するという真似できないサービスを作ることができたからです。

しかも、宅配するということは、最終顧客にとことん接近しているということです。接近すれば、顧客の新たなサービスを読み取ることもできます。

カクヤスが、配達も注文請けも、アウトソーシングせずに自社で行っているのは、それが自社の武器であると認識しているからでしょう。


今後のカクヤスの方向性としては、

(1)東京23区内でのシェアを41.7%以上にすること

東京23区内でトップになったといっても市場シェア目標値である41.7%を超えているとは思えません。そこに至るまでには、まだまだやることが多くありそうです。

(2)それができれば、地域を広げること

目標値を超えれば、ターゲット地域を変える必要があります。いま、神奈川、埼玉、大阪に展開しています。東京攻略後は、本格的にこれらの地域のシェア獲得に動いていくのがいいでしょう。

ただし酒類市場の縮小は、待ったなしの状況です。このまま衰退市場でシェアをとっても、ジリ貧になることは目に見えています。

そこでカクヤスは、

(3)酒類以外のサービスを提供すること

に着手しています。文房具や生花、冠婚葬祭の企業を買収し、現在の顧客に新しいサービスを提供することで酒類の落ち込みをカバーしようという思惑です。

これはランチェスター戦略にいう「グー・パー・チョキ戦略」で、主力事業がある程度うまくいくと、商品バリエーションを増やして次の柱を作るという施策です。

ただ、商品ジャンルを増やすというのは、ブランドイメージも地続きではありませんし、業務オペレーションも変えなければなりません。販売も業務も人材育成が難しく一筋縄ではいきません。

しかも、主力商品である酒類販売が市場シェア目標値に届いていない状況で、新しい商品に手を出すのは、手を広げすぎだと言われても仕方ありません。

本来ならば、酒類販売に集中しておく時期です。

それができないほど危機感を抱かせる市場の縮小に見舞われているというのは、悩ましいというほかありません。


株式上場を控えて、手を広げすぎているのでは?


いまのカクヤスは、主業の市場深耕を進めると同時に、新しい商材の開発、新市場の開拓を同時に行っている状態です。

そのための資金調達を目指して株式上場するのでしょうが、少々急ぎ過ぎていると私は思います。

カクヤス社内の業務オペレーションや人材育成が十全に機能しているのかどうかはわかりませんが、手を広げすぎて機能不全を起こさないように注意しなければなりません。

ちなみに私なら、新しい商材の開発、または新市場の開拓、どちらかをいったん手控えるべきだと考えます。

一般的には、より成功確率が低いと言われる新市場の開拓を手控えるべきでしょうが、それは社内の状況を鑑みながら判断することなので、外野からは何とも言えません。

まあそうは言いながら、ここまでカクヤスを引っ張ってきた佐藤社長です。困難を乗り越えて、大阪府内も2時間以内宅配無料サービスを展開してくれることでしょう。

大いに期待しております。


【参考】








カクヤス、業務用酒販店ナンバーワンへの奇跡の道のり 第1回




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