王将の餃子は大阪を跳び出すか?

2013.02.21

(2013年2月21日メルマガより)


■先ごろ、飲み会の席で、
大阪のソウルフードって何だという話になりました。

お好み焼き、たこ焼き。というのが、最も一般的ですかね。

うどんも大阪らしい。

串カツというのもあります。いか焼きはどうですか。あれは、阪神百貨店下の一か所だか
ら駄目ですかね。

どて焼きも大阪ならではです。

外から見れば、焼き肉という印象も強いみたいです。

■意外な意見では、吉野家の牛丼という人がいました。あれは大阪だろうか?まあでも、
甘いタレは大阪人好みかもしれません。

マクド。というのは違いますね。単なるその人の子供時代の記憶によるものです。

その中でも多かったのが、王将の餃子という意見でした。

これは納得します。

確かに、我々が子供の頃、王将の餃子は日常的な食べ物だった気がします。

■昔は、王将の餃子を10皿食べれば、無料になるというサービスがありました。

それがたまに、5皿で無料というサービスデーがあるんですな^^その時を狙って、食べ
に行ったものです。中学生の頃かな。5皿でも苦しい思いをするのですから、わざわざ挑
戦する意味はあるのだろうかと今では思いますが、そんなことで満足していたんですね。
懐かしい。

昔の王将は、適度に汚くて、店員もガラが悪くて、それでも安くてうまいから活気があり
ました。商店街に一軒はあったような気がする。

そんな王将が今や、企業戦略のケースとしてビジネス誌にとりあげられたりするのです
ら、時代も変わりましたね...

■最近も、「におわない餃子」を開発して、都心展開を狙うという記事がありました。

参考:「大阪王将」のイートアンドが首都圏攻勢! 新餃子バネに戦略再構築
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130217/ecn1302170709003-n1.htm

ただし、これは「大阪王将」です。

「餃子の王将」とは別会社なので、注意しなければなりません。

■関西以外の人には分からないでしょうが、王将には、「餃子の王将」と「大阪王将」が
あるのですね。

元祖は「餃子の王将」のようです。こちらは京都に本社があるので、「京都王将」といわ
れたりもします。

もともとあった「餃子の王将」から分派したのが「大阪王将」らしい。

その双方がチェーン展開しているのでややこしい。昔は商標をめぐって争ったりもしたも
のの、今は、共存しています。

もっとも、餃子の味にどんな違いがあるのか?と言われても、私には説明できません。

違うらしいですけどね。気になる方は、食べ比べてみてください。

■「餃子の王将」は、1967年に第一号店を京都に出店しました。

1974年にチェーン展開を開始。

1993年に、ジャスダックに上場。(現在は、大証一部)

2010年の売上高は、672億円。店舗数600店以上です。

ちなみに現在の筆頭株主はアサヒビールです。

■1993年に株式上場するために、効率的なチェーン運営に改革していきますが、その分、
王将らしい活気を失ってしまったとも言われます。

そこで2000年代になって改革をはじめたのが、現在の大東隆行社長でした。

現場をよく知る大東社長は原点回帰をスローガンに改革に乗り出します。

餃子の王将が、活気を失ってしまったのは、セントラルキッチンの導入により現場での
調理作業が少なくなってしまったこと、その上、キッチンを客席から見えなくしてしまっ
たため、迫力がなくなってしまったことなどでした。

そこで、大東社長は、食材を各店にそのまま納入し、現場で調理をするスタイルに戻しま
した。さらに、キッチンを客席から見える場所に移動し「イーハンソーガ!」などといっ
た中国語による注文通しがそのまま聞こえるスタイルに戻しました

それが王将らしい活気を取り戻す呼び水となったようです。

■王将は、雑然とした現場からの活力を特徴としています。大阪の持つアジア的な猥雑な
雰囲気が王将の魅力でもあります。

もともと各店の自由度が高く、店長の権限が大幅に認められているチェーン店でしたから、
そんな王将を一つの規格で縛り付けるのは、魅力を削ぎ落してしまうことになります。

だから、今でも、王将の店舗は各店バラバラです。餃子やその他中心的なメニュー以外は、
店で開発していいことになっているので、店長がその場所のニーズに合わせてメニューや
セットを提供しています。

王将は自らを「日本人に親しまれてきた大衆中華料理」店と規定しています。本格中華で
なくてもいい。要するに何でもありです。

最低限の統一感だけを確保して、後は現場に任せるスタイルが、機能したわけです。

参考:餃子の王将、店ごとにまったく違うメニューで勝負、関西発「常識破り」経営
http://toyokeizai.net/articles/-/10305

(このマネジメントスタイルが、逆転の発想ながら理にかなっているとして、メディアに
もてはやされましたが、「全部後付け」だとする意見もあります^^;実は、業績が芳し
くないので、各店長が「好きにやらせろ」と迫った結果、こうしたスタイルに落ち着いた
のだとか。まあ、そうした噂もちらほら聞きました)

■さて、王将の統一性を確保しているのが、店名にある通り、餃子です。こちらには並々
ならぬこだわりを持っています。

餃子については、あんも皮も本部が支給し、各店で包み調理する仕組みをとっています。
また焼き方も本部が厳しく教育・指導しているそうなので、建前としてはどこで食べても
同じ味のはずです。

なのに「店によって味が違う」という噂が根強いのはなぜなのか?

焼き方の違いがまだまだある、ということもあるでしょうが、実際には、「餃子の王将」
と「大阪王将」は別の店であることを認識している人が少ないということに原因があるん
ではないかと私は疑っています。

■「大阪王将」は、1969年に大阪で始めた「餃子の王将」店が元となっています。

1977年に大阪王将食品株式会社を設立、今は、株式会社イートアンドという社名です。

上記の記事にあるように、1985年に2代目社長となった又野直樹社長は「餃子の王将」
との差別化を図るため、ラーメン店の展開や、冷凍食品の販売などに事業を拡大していき
ます。

特に冷凍食品の「大阪王将餃子」はヒットし、味の素に続く業界2位の地位を得ています。

■そんな大阪王将が今、狙うのが、都心の開拓です。

ご存じの通り、王将の餃子は、大阪のソウルフードともいわれるべきものですから、東京
にはそれほど馴染みがあるわけではありません。逆にいうとそれだけ開拓余地があるとい
うことです。

どうやら又野社長率いる大阪王将は、餃子の王将のような「現場に任せる」というスタイ
ルはとらず、本部主導の戦略展開を行っているようです。

そんな又野社長が、王将の都心適応策として考えたのが、「におわない餃子」の開発でした。

■大阪は、日本のアジアですからどれだけニンニク臭かろうと平気な人が多いのですが、
オフィスが多い都心ではそうはいきません。

昼食に餃子を食べるなどもってのほか。

会社員時代、私の知っている課長が昼食に餃子を食べて、部長から怒鳴られているのを見
たことがあります^^;

だから、昼食に食べても平気な餃子の開発は、まさに潜在需要を捉えるものです。

錦野旦の「におわない~、餃子~」というCMはベタ過ぎますが...

■首都圏では、昼は中華ランチ、夜は中華風居酒屋の店を目指すらしい。これも、賃料の
高い都心展開を可能とする面白い試みです。

和民やその他大衆居酒屋チェーンのメニューを見ていると、王将のメニューが十分通用す
ることが窺えます。

餃子をつまみながらハイボールを飲むというスタイルを大阪王将は推奨しているようです
が、それも乙なものですね。

ただし、それもこれも、餃子のにおいが明日に残らないことが前提です。

なにしろ、王将の餃子のニンニクはきついですからねーーー。

■今回、においを80%カットしたということですが、それでも会社員には不安が残ります。

私は未だ昼食にそれを食べる勇気がありません。ニンニクのにおいは当人では分からない
ものですからね。

ここは思い切って、ニンニク抜きの餃子を投入すべきです。

王将側は、それでは自社の味が出せないと主張するでしょうが、それは顧客が判断すれば
いい。たぶん、私は、一人前はニンニク入りにして、後はニンニク抜きで過ごすと思います。

それが当人も、周りの人も、帰りの電車で乗り合わせる人々も平和な道ですよ。

オフィス需要を開拓するには、それがいいと思うのだけどなーー

■それにしても、面白いのは、「餃子の王将」と「大阪王将」の戦略的な姿勢の違いです。

創業当初「餃子の王将」は、先行していた「みんみん」に対抗する必要性がありました。

そこでとられたのが、看板メニューの餃子のボリュームを大きくした上で、安くすること。
そして、主に学生を中心に餃子の無料券を配布して集客することでした。

事業ドメインでいえば、

1.誰に:腹を空かせた学生。

2.何を:安くてボリュームのある中華料理。

3.どのように:餃子無料券の配布、餃子10皿完食無料イベント、その他。

ということになります。

ところが、ある程度、成功してくると、戦略的な施策は少なくなり、現場に任せるスタイル
をとるようになります。

■すなわち「みんみん」が、チェーン展開に遅れをとった要因である「調理人の管理」と
いう問題を、「店長の好きなようにやらせる」「あとは素人を活用する」という方法で乗
り切ります。

素人を活用するには、教育システムを強化しなければなりません。

素人を教育する→調理できるようになる→任せる→現場でノウハウが蓄積される→企業と
しての強みとなる。という現場人材の能力で競争力を発揮するのが「餃子の王将」流です。

参考:鉄人社員をつくる「餃子の王将」の4つの押しボタン
http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2010/20101101/16630/16636/

■これに対して「大阪王将」は、最初から「餃子の王将」と差別化しなければならなかっ
たので、駅前小規模店の展開や、冷凍食品への進出など、戦略的な判断が目立ちます。

それはつまり弱者の戦略を意識しているということで、本部主導でのいわゆるポジショニ
ング戦略を積極的に打ち出しています。

どちらが正しいというわけではありません。ポジショニング戦略はハイリスクハイリター
ンですし、組織能力に頼る方法はローリスクですが時間がかかります。

日本企業は、人材の経験値で競争力を発揮する場合が多いと言われますし、欧米企業は大
胆なポジショニング戦略をとることが多いと言われます。

ランチェスター戦略のくくりでいうと、弱者は、ポジショニング戦略をとらなければなり
ませんし、強者は時間をかけても組織能力を高めていかなければなりません。

似た名前のチェーンでも戦略に違いがあるので、参考になりますし、見ていると面白いで
すね。

■「餃子の王将」の方は、中国の大連に店舗展開しているようですね。

中国では焼き餃子は一般的ではないそうですが、まあ、問題ないでしょう。なにせ、日本
のアジアである大阪で鍛えられた王将が、中国で受け入れられないわけがない。

むしろ、東京よりも、中国やその他東南アジアの方が、合うんじゃないかと思えるぐらい
ですよ。

味のことよりも、中国人スタッフに対して、日本式の教育が通用するのかどうかを聞きた
いところですね。

また情報が入りましたら、お知らせしたいと思います。

■というわけで、大阪のソウルフードである王将の餃子の東京進出と世界進出を祈念いた
しましょう。

頑張ってください^^

(2013年2月21日メルマガより)


■先ごろ、飲み会の席で、
大阪のソウルフードって何だという話になりました。

お好み焼き、たこ焼き。というのが、最も一般的ですかね。

うどんも大阪らしい。

串カツというのもあります。いか焼きはどうですか。あれは、阪神百貨店下の一か所だか
ら駄目ですかね。

どて焼きも大阪ならではです。

外から見れば、焼き肉という印象も強いみたいです。

■意外な意見では、吉野家の牛丼という人がいました。あれは大阪だろうか?まあでも、
甘いタレは大阪人好みかもしれません。

マクド。というのは違いますね。単なるその人の子供時代の記憶によるものです。

その中でも多かったのが、王将の餃子という意見でした。

これは納得します。

確かに、我々が子供の頃、王将の餃子は日常的な食べ物だった気がします。

■昔は、王将の餃子を10皿食べれば、無料になるというサービスがありました。

それがたまに、5皿で無料というサービスデーがあるんですな^^その時を狙って、食べ
に行ったものです。中学生の頃かな。5皿でも苦しい思いをするのですから、わざわざ挑
戦する意味はあるのだろうかと今では思いますが、そんなことで満足していたんですね。
懐かしい。

昔の王将は、適度に汚くて、店員もガラが悪くて、それでも安くてうまいから活気があり
ました。商店街に一軒はあったような気がする。

そんな王将が今や、企業戦略のケースとしてビジネス誌にとりあげられたりするのです
ら、時代も変わりましたね...

■最近も、「におわない餃子」を開発して、都心展開を狙うという記事がありました。

参考:「大阪王将」のイートアンドが首都圏攻勢! 新餃子バネに戦略再構築
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130217/ecn1302170709003-n1.htm

ただし、これは「大阪王将」です。

「餃子の王将」とは別会社なので、注意しなければなりません。

■関西以外の人には分からないでしょうが、王将には、「餃子の王将」と「大阪王将」が
あるのですね。

元祖は「餃子の王将」のようです。こちらは京都に本社があるので、「京都王将」といわ
れたりもします。

もともとあった「餃子の王将」から分派したのが「大阪王将」らしい。

その双方がチェーン展開しているのでややこしい。昔は商標をめぐって争ったりもしたも
のの、今は、共存しています。

もっとも、餃子の味にどんな違いがあるのか?と言われても、私には説明できません。

違うらしいですけどね。気になる方は、食べ比べてみてください。

■「餃子の王将」は、1967年に第一号店を京都に出店しました。

1974年にチェーン展開を開始。

1993年に、ジャスダックに上場。(現在は、大証一部)

2010年の売上高は、672億円。店舗数600店以上です。

ちなみに現在の筆頭株主はアサヒビールです。

■1993年に株式上場するために、効率的なチェーン運営に改革していきますが、その分、
王将らしい活気を失ってしまったとも言われます。

そこで2000年代になって改革をはじめたのが、現在の大東隆行社長でした。

現場をよく知る大東社長は原点回帰をスローガンに改革に乗り出します。

餃子の王将が、活気を失ってしまったのは、セントラルキッチンの導入により現場での
調理作業が少なくなってしまったこと、その上、キッチンを客席から見えなくしてしまっ
たため、迫力がなくなってしまったことなどでした。

そこで、大東社長は、食材を各店にそのまま納入し、現場で調理をするスタイルに戻しま
した。さらに、キッチンを客席から見える場所に移動し「イーハンソーガ!」などといっ
た中国語による注文通しがそのまま聞こえるスタイルに戻しました

それが王将らしい活気を取り戻す呼び水となったようです。

■王将は、雑然とした現場からの活力を特徴としています。大阪の持つアジア的な猥雑な
雰囲気が王将の魅力でもあります。

もともと各店の自由度が高く、店長の権限が大幅に認められているチェーン店でしたから、
そんな王将を一つの規格で縛り付けるのは、魅力を削ぎ落してしまうことになります。

だから、今でも、王将の店舗は各店バラバラです。餃子やその他中心的なメニュー以外は、
店で開発していいことになっているので、店長がその場所のニーズに合わせてメニューや
セットを提供しています。

王将は自らを「日本人に親しまれてきた大衆中華料理」店と規定しています。本格中華で
なくてもいい。要するに何でもありです。

最低限の統一感だけを確保して、後は現場に任せるスタイルが、機能したわけです。

参考:餃子の王将、店ごとにまったく違うメニューで勝負、関西発「常識破り」経営
http://toyokeizai.net/articles/-/10305

(このマネジメントスタイルが、逆転の発想ながら理にかなっているとして、メディアに
もてはやされましたが、「全部後付け」だとする意見もあります^^;実は、業績が芳し
くないので、各店長が「好きにやらせろ」と迫った結果、こうしたスタイルに落ち着いた
のだとか。まあ、そうした噂もちらほら聞きました)

■さて、王将の統一性を確保しているのが、店名にある通り、餃子です。こちらには並々
ならぬこだわりを持っています。

餃子については、あんも皮も本部が支給し、各店で包み調理する仕組みをとっています。
また焼き方も本部が厳しく教育・指導しているそうなので、建前としてはどこで食べても
同じ味のはずです。

なのに「店によって味が違う」という噂が根強いのはなぜなのか?

焼き方の違いがまだまだある、ということもあるでしょうが、実際には、「餃子の王将」
と「大阪王将」は別の店であることを認識している人が少ないということに原因があるん
ではないかと私は疑っています。

■「大阪王将」は、1969年に大阪で始めた「餃子の王将」店が元となっています。

1977年に大阪王将食品株式会社を設立、今は、株式会社イートアンドという社名です。

上記の記事にあるように、1985年に2代目社長となった又野直樹社長は「餃子の王将」
との差別化を図るため、ラーメン店の展開や、冷凍食品の販売などに事業を拡大していき
ます。

特に冷凍食品の「大阪王将餃子」はヒットし、味の素に続く業界2位の地位を得ています。

■そんな大阪王将が今、狙うのが、都心の開拓です。

ご存じの通り、王将の餃子は、大阪のソウルフードともいわれるべきものですから、東京
にはそれほど馴染みがあるわけではありません。逆にいうとそれだけ開拓余地があるとい
うことです。

どうやら又野社長率いる大阪王将は、餃子の王将のような「現場に任せる」というスタイ
ルはとらず、本部主導の戦略展開を行っているようです。

そんな又野社長が、王将の都心適応策として考えたのが、「におわない餃子」の開発でした。

■大阪は、日本のアジアですからどれだけニンニク臭かろうと平気な人が多いのですが、
オフィスが多い都心ではそうはいきません。

昼食に餃子を食べるなどもってのほか。

会社員時代、私の知っている課長が昼食に餃子を食べて、部長から怒鳴られているのを見
たことがあります^^;

だから、昼食に食べても平気な餃子の開発は、まさに潜在需要を捉えるものです。

錦野旦の「におわない~、餃子~」というCMはベタ過ぎますが...

■首都圏では、昼は中華ランチ、夜は中華風居酒屋の店を目指すらしい。これも、賃料の
高い都心展開を可能とする面白い試みです。

和民やその他大衆居酒屋チェーンのメニューを見ていると、王将のメニューが十分通用す
ることが窺えます。

餃子をつまみながらハイボールを飲むというスタイルを大阪王将は推奨しているようです
が、それも乙なものですね。

ただし、それもこれも、餃子のにおいが明日に残らないことが前提です。

なにしろ、王将の餃子のニンニクはきついですからねーーー。

■今回、においを80%カットしたということですが、それでも会社員には不安が残ります。

私は未だ昼食にそれを食べる勇気がありません。ニンニクのにおいは当人では分からない
ものですからね。

ここは思い切って、ニンニク抜きの餃子を投入すべきです。

王将側は、それでは自社の味が出せないと主張するでしょうが、それは顧客が判断すれば
いい。たぶん、私は、一人前はニンニク入りにして、後はニンニク抜きで過ごすと思います。

それが当人も、周りの人も、帰りの電車で乗り合わせる人々も平和な道ですよ。

オフィス需要を開拓するには、それがいいと思うのだけどなーー

■それにしても、面白いのは、「餃子の王将」と「大阪王将」の戦略的な姿勢の違いです。

創業当初「餃子の王将」は、先行していた「みんみん」に対抗する必要性がありました。

そこでとられたのが、看板メニューの餃子のボリュームを大きくした上で、安くすること。
そして、主に学生を中心に餃子の無料券を配布して集客することでした。

事業ドメインでいえば、

1.誰に:腹を空かせた学生。

2.何を:安くてボリュームのある中華料理。

3.どのように:餃子無料券の配布、餃子10皿完食無料イベント、その他。

ということになります。

ところが、ある程度、成功してくると、戦略的な施策は少なくなり、現場に任せるスタイル
をとるようになります。

■すなわち「みんみん」が、チェーン展開に遅れをとった要因である「調理人の管理」と
いう問題を、「店長の好きなようにやらせる」「あとは素人を活用する」という方法で乗
り切ります。

素人を活用するには、教育システムを強化しなければなりません。

素人を教育する→調理できるようになる→任せる→現場でノウハウが蓄積される→企業と
しての強みとなる。という現場人材の能力で競争力を発揮するのが「餃子の王将」流です。

参考:鉄人社員をつくる「餃子の王将」の4つの押しボタン
http://www.president.co.jp/pre/backnumber/2010/20101101/16630/16636/

■これに対して「大阪王将」は、最初から「餃子の王将」と差別化しなければならなかっ
たので、駅前小規模店の展開や、冷凍食品への進出など、戦略的な判断が目立ちます。

それはつまり弱者の戦略を意識しているということで、本部主導でのいわゆるポジショニ
ング戦略を積極的に打ち出しています。

どちらが正しいというわけではありません。ポジショニング戦略はハイリスクハイリター
ンですし、組織能力に頼る方法はローリスクですが時間がかかります。

日本企業は、人材の経験値で競争力を発揮する場合が多いと言われますし、欧米企業は大
胆なポジショニング戦略をとることが多いと言われます。

ランチェスター戦略のくくりでいうと、弱者は、ポジショニング戦略をとらなければなり
ませんし、強者は時間をかけても組織能力を高めていかなければなりません。

似た名前のチェーンでも戦略に違いがあるので、参考になりますし、見ていると面白いで
すね。

■「餃子の王将」の方は、中国の大連に店舗展開しているようですね。

中国では焼き餃子は一般的ではないそうですが、まあ、問題ないでしょう。なにせ、日本
のアジアである大阪で鍛えられた王将が、中国で受け入れられないわけがない。

むしろ、東京よりも、中国やその他東南アジアの方が、合うんじゃないかと思えるぐらい
ですよ。

味のことよりも、中国人スタッフに対して、日本式の教育が通用するのかどうかを聞きた
いところですね。

また情報が入りましたら、お知らせしたいと思います。

■というわけで、大阪のソウルフードである王将の餃子の東京進出と世界進出を祈念いた
しましょう。

頑張ってください^^

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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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