売れる仕組みが必要な理由

2014.04.03

(2014年4月3日メルマガより)


■経営者は「売れる仕組み」を持たなければいけない。


というと、使い古されたフレーズのようで、今さら当たり前のことを言うなと叱られそうですが、そうでもないようです。

先日、ある経営者の講演に行ってきました。

その方は、いわゆる地頭のいい人です。

学校の成績がよかったかどうかは分かりません。たぶんよくなかったんじゃないかな。

でも、話はとても面白く、余談が多いようで筋を外さず、それでいてこちらの予想を裏切るオチを常に作ってきます。

なかなかこういう人にはお目にかかれません。

その人が、起業志望者から経営の秘訣のようなことを聞かれて「経営なんて運だけなんだから、とにかくやればいいんですよ」とおっしゃいました。

■迷惑な発言ですな^^;

成功者の発言はそれなりに重みを持つのだから、慎重に願いたいものです。

どうもその人は、感謝とか引きよせとか一念とか、成功した経営者の定番となっている精神論系の発言のアンチテーゼを述べたのでしょう。

それは分かります。私も精神論で片付けられたくない。

ただ運だけ、なんて断言されたら、余計困ったことになります。

運だけなんだから、気合一発でいいんだと思う起業者が出てきてもおかしくない。

しかも、起業者がいっぱい出てくることで、その中から一定の割合ですごい成功者が現れるという確率論でいえば、運だけ、という発言が事実のように見えてしまうから厄介です。

■経営の成功に運の要素があることは否定しません。だけどそれは何だって同じことです。

たとえば、農業をするにしても、天候の状況は運任せです。

では、行き当たりばったりでいいのか、といえばそんなことはない。

いくら天候が良かったとしても、それまでの準備を怠っていると、十分な収穫につながりません。

漁業でも同じですね。魚の群れに行き当たるかどうかは運かも知れません。

だけどそれまでの備えがなければ幸運を収穫に結びつけることができません。

要するに、運を成果に結びつけるための備えが「仕組み」だということです。

■競争戦略の観点からいえば、経営者が行うことは次の二つです。

(1)競合他社に負けない位置取り(ポジショニング)をして、そこで収穫するための仕組みを作る。

(2)そこで収益を上げながら、蓄積した経験値や技術やノウハウを強みとする。

昔から日本の会社は、(2)の経験積み上げ式の経営手法を得意としていて、(1)のポジショニングに欠けると言われています。

私があえてコンサルティングの内容としているのは、ポジショニングを含めた仕組み作りに関することです。

■「結局「仕組み」を作った人が勝っている」という本があります。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4334786200/lanchesterkan-22/ref=nosim

ちなみに姉妹編として「やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている」もあります。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4334786278/lanchesterkan-22/ref=nosim

紹介されているのが、個人規模のビジネスばかりですが、ここに書かれている仕組みの概念は参考になります。

要するに仕組み作りとは、経営者がタッチしなくてもビジネスが回る状態を作ることです。

金利収入、不動産収入で生活しているなら、それは仕組みが完成した状態です。

その他のビジネスであれば、経営者が現場を離れていても、定期的に収益が上がっている状態です。

ということは、経営者個人でしかできないことが多いビジネスは、仕組みになりません。仕組みを作るには、誰でも出来るシンプルな作業に落とし込む必要がなります。

これを言い換えれば、当たり前のことを習慣としてやっているだけで、収益が上がる状態です。

仕組みが出来上がらなければ、いつまで経っても、自転車操業から抜け出せません。それは、環境が変わった時、次のポジション取りを考える時間がとれないということですので、かなり危険な状態だと言わざるを得ません。

■この仕組み作りが必要である、というのは、会社の経営者だけではありません。

営業担当者にも理解していただきたい概念です。

ドラッカーは「マーケティングはセールスを不要にする」と言いましたが、これはまさに、セールスは仕組みで行え、という教えに外なりません。

マーケティングは、売れる仕組みそのものだからです。

■たとえば、売上=顧客数×顧客単価です。

さらにいうと、顧客数=見込顧客数×受注確率です。

現場にどっぷり浸かっている営業担当者が、一人の顧客にとことん食らいついて、受注しよう(受注確率を上げよう)と考えるのは自然なことです。

が、その場合も、現場の提案力で受注確率を上げようとするのではなく、そもそも受注しそうな見込顧客を見つけてアプローチするというというのがマーケティングの考え方です。

目の前の顧客が難しい人だからとすぐに諦めていては、粘りがないと怒られそうですが、(実際、私が上司ならとりあえず叱るでしょうが)そこで粘るよりも、営業生産性を上げるためには、やるべきことがあるのです。

■そもそも営業生産性を上げるためには、次の3つが必要です。

(1)見込顧客を増やす。

(2)受注確率を上げる。

(3)アプローチ~契約までの営業時間を短縮する。

新人営業が、自らのスキルを磨くために、(2)に必死になるのは当然だとしても、そこにあまりにも時間を使うのは、営業生産性の低下を招きます。

営業マネージャーは、教育育成のためにグッと我慢して、新人営業がやりたいようにさせていることでしょうが、本当は「もっと筋のいい顧客のところに行けよーー」と思っているはずです。

さらに言えば、受注確率を上げるには相当のスキルが必要なんだから、新人の頃はとにかく数を当たれ、と思っています。

■これもどこかで書いたと思いますが、営業は、現場に出ている時には、目の前の顧客に全精力を注がなければなりません。

優秀な営業は、とにかく目の前の顧客に報いようとする人です。

ところが、マネージャーの立場になると「営業は確率だ」という考えを持たなければなりません。

コペルニクスのように考え方を変えなければならないのです。

優秀な現場営業がしばしば優秀なマネージャーになれないのはその難しさですね。

しかし、そこで考え方をくるりと変えられない人は、マネージャーになってはいけません。

■マーケティングというと、外国の事例を基にした抽象的な学問であると感じている人は多いかも知れませんが、要するに、ビジネスを自動化するための仕組みのことだと捉えてください。

そうすれば、学んでみようかなって思えませんか^^

もちろん、マーケティングの本を読んだだけでビジネスの達人になれるわけではありません。(実際はそれだけで達人になれる勘の鋭い人もいるでしょうが)

私なども、営業の組織力向上というテーマで、ずっと仕組み化という問題に取り組んできました。

マーケティング戦略をはじめとして、ランチェスター戦略、孫子の兵法、ポーターの競争戦略、ビジネスモデル論、あるいは現場から得た営業プロセスの構築など、これらはすべて、仕組み化というテーマに集約されます。

こうした様々な戦略や実践の繰り返しから、私なりの「売れる仕組みの作り方」を構築してきたつもりです。

私事ですが、50歳の節目を迎えて、そろそろ自分なりの体系を発信する時期にあるのかなと考えております。

実は、今年の私のテーマが、ここにあります。

今後の発信では、この仕組み化を中心に行っていきたいと思います。

今後もよろしくお願いいたします。

(2014年4月3日メルマガより)


■経営者は「売れる仕組み」を持たなければいけない。


というと、使い古されたフレーズのようで、今さら当たり前のことを言うなと叱られそうですが、そうでもないようです。

先日、ある経営者の講演に行ってきました。

その方は、いわゆる地頭のいい人です。

学校の成績がよかったかどうかは分かりません。たぶんよくなかったんじゃないかな。

でも、話はとても面白く、余談が多いようで筋を外さず、それでいてこちらの予想を裏切るオチを常に作ってきます。

なかなかこういう人にはお目にかかれません。

その人が、起業志望者から経営の秘訣のようなことを聞かれて「経営なんて運だけなんだから、とにかくやればいいんですよ」とおっしゃいました。

■迷惑な発言ですな^^;

成功者の発言はそれなりに重みを持つのだから、慎重に願いたいものです。

どうもその人は、感謝とか引きよせとか一念とか、成功した経営者の定番となっている精神論系の発言のアンチテーゼを述べたのでしょう。

それは分かります。私も精神論で片付けられたくない。

ただ運だけ、なんて断言されたら、余計困ったことになります。

運だけなんだから、気合一発でいいんだと思う起業者が出てきてもおかしくない。

しかも、起業者がいっぱい出てくることで、その中から一定の割合ですごい成功者が現れるという確率論でいえば、運だけ、という発言が事実のように見えてしまうから厄介です。

■経営の成功に運の要素があることは否定しません。だけどそれは何だって同じことです。

たとえば、農業をするにしても、天候の状況は運任せです。

では、行き当たりばったりでいいのか、といえばそんなことはない。

いくら天候が良かったとしても、それまでの準備を怠っていると、十分な収穫につながりません。

漁業でも同じですね。魚の群れに行き当たるかどうかは運かも知れません。

だけどそれまでの備えがなければ幸運を収穫に結びつけることができません。

要するに、運を成果に結びつけるための備えが「仕組み」だということです。

■競争戦略の観点からいえば、経営者が行うことは次の二つです。

(1)競合他社に負けない位置取り(ポジショニング)をして、そこで収穫するための仕組みを作る。

(2)そこで収益を上げながら、蓄積した経験値や技術やノウハウを強みとする。

昔から日本の会社は、(2)の経験積み上げ式の経営手法を得意としていて、(1)のポジショニングに欠けると言われています。

私があえてコンサルティングの内容としているのは、ポジショニングを含めた仕組み作りに関することです。

■「結局「仕組み」を作った人が勝っている」という本があります。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4334786200/lanchesterkan-22/ref=nosim

ちなみに姉妹編として「やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている」もあります。
http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4334786278/lanchesterkan-22/ref=nosim

紹介されているのが、個人規模のビジネスばかりですが、ここに書かれている仕組みの概念は参考になります。

要するに仕組み作りとは、経営者がタッチしなくてもビジネスが回る状態を作ることです。

金利収入、不動産収入で生活しているなら、それは仕組みが完成した状態です。

その他のビジネスであれば、経営者が現場を離れていても、定期的に収益が上がっている状態です。

ということは、経営者個人でしかできないことが多いビジネスは、仕組みになりません。仕組みを作るには、誰でも出来るシンプルな作業に落とし込む必要がなります。

これを言い換えれば、当たり前のことを習慣としてやっているだけで、収益が上がる状態です。

仕組みが出来上がらなければ、いつまで経っても、自転車操業から抜け出せません。それは、環境が変わった時、次のポジション取りを考える時間がとれないということですので、かなり危険な状態だと言わざるを得ません。

■この仕組み作りが必要である、というのは、会社の経営者だけではありません。

営業担当者にも理解していただきたい概念です。

ドラッカーは「マーケティングはセールスを不要にする」と言いましたが、これはまさに、セールスは仕組みで行え、という教えに外なりません。

マーケティングは、売れる仕組みそのものだからです。

■たとえば、売上=顧客数×顧客単価です。

さらにいうと、顧客数=見込顧客数×受注確率です。

現場にどっぷり浸かっている営業担当者が、一人の顧客にとことん食らいついて、受注しよう(受注確率を上げよう)と考えるのは自然なことです。

が、その場合も、現場の提案力で受注確率を上げようとするのではなく、そもそも受注しそうな見込顧客を見つけてアプローチするというというのがマーケティングの考え方です。

目の前の顧客が難しい人だからとすぐに諦めていては、粘りがないと怒られそうですが、(実際、私が上司ならとりあえず叱るでしょうが)そこで粘るよりも、営業生産性を上げるためには、やるべきことがあるのです。

■そもそも営業生産性を上げるためには、次の3つが必要です。

(1)見込顧客を増やす。

(2)受注確率を上げる。

(3)アプローチ~契約までの営業時間を短縮する。

新人営業が、自らのスキルを磨くために、(2)に必死になるのは当然だとしても、そこにあまりにも時間を使うのは、営業生産性の低下を招きます。

営業マネージャーは、教育育成のためにグッと我慢して、新人営業がやりたいようにさせていることでしょうが、本当は「もっと筋のいい顧客のところに行けよーー」と思っているはずです。

さらに言えば、受注確率を上げるには相当のスキルが必要なんだから、新人の頃はとにかく数を当たれ、と思っています。

■これもどこかで書いたと思いますが、営業は、現場に出ている時には、目の前の顧客に全精力を注がなければなりません。

優秀な営業は、とにかく目の前の顧客に報いようとする人です。

ところが、マネージャーの立場になると「営業は確率だ」という考えを持たなければなりません。

コペルニクスのように考え方を変えなければならないのです。

優秀な現場営業がしばしば優秀なマネージャーになれないのはその難しさですね。

しかし、そこで考え方をくるりと変えられない人は、マネージャーになってはいけません。

■マーケティングというと、外国の事例を基にした抽象的な学問であると感じている人は多いかも知れませんが、要するに、ビジネスを自動化するための仕組みのことだと捉えてください。

そうすれば、学んでみようかなって思えませんか^^

もちろん、マーケティングの本を読んだだけでビジネスの達人になれるわけではありません。(実際はそれだけで達人になれる勘の鋭い人もいるでしょうが)

私なども、営業の組織力向上というテーマで、ずっと仕組み化という問題に取り組んできました。

マーケティング戦略をはじめとして、ランチェスター戦略、孫子の兵法、ポーターの競争戦略、ビジネスモデル論、あるいは現場から得た営業プロセスの構築など、これらはすべて、仕組み化というテーマに集約されます。

こうした様々な戦略や実践の繰り返しから、私なりの「売れる仕組みの作り方」を構築してきたつもりです。

私事ですが、50歳の節目を迎えて、そろそろ自分なりの体系を発信する時期にあるのかなと考えております。

実は、今年の私のテーマが、ここにあります。

今後の発信では、この仕組み化を中心に行っていきたいと思います。

今後もよろしくお願いいたします。

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