クロージングがうまくいかない時にこそ、営業の真価が問われる

2020.05.14

(2020年5月14日メルマガより)

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クロージングにおいて大切なのは、簡単に諦めない姿勢です。

クロージングの段階に至って、一部の条件がどうしても合わない場合があります。一部仕様が条件を満たしていなかったり、納期が間に合わなかったり、予算との差異が詰められなかったりした場合などです。

そんな時でも、簡単に諦めないでください。

クロージングの段階まで進んでいるということは、可能性がないわけではありません。脈がない場合は、もっと早い段階で断られているはずです。むしろあと少しで契約に至るところまで進んでいます。

条件が合わないのであれば、契約のしようがないじゃないか、と思うかも知れません。しかし、実際の営業では逆転はしばしば起きます。クロージングの進め方次第です。


「仮定」をうまく使う


一部の条件が合わない場合は、その一部だけに囚われてはいけません。その他の部分に注意を向けることです。

「残念ながら、価格については、開きがありますね。しかし、もし価格が合うと仮定すれば、他の条件は問題ありませんか?」

「納期は厳しいですね。でも、仮に納期が間に合うとすれば、この商品で問題ありませんか?」

「もし、この課題がクリアすれば、契約いただけますよね」

このように、「仮定」をうまく使って、他の部分に焦点を当てれば、条件を満たしていない部分がほんの一部であることを確認できます。

その一部のために全体の好条件を諦めるのは得策ではないとお互いが思えば、条件の違いを乗り越える方法を考えようという気運が生まれます。

顧客と営業の共闘です。お互いが智恵を出し合って、壁を乗り越えられたなら、信頼関係は確実に深まります。いえ、たとえ乗り越えられずに、契約に至らなかったとしても、共闘したことで結びつきは強まるはずです。

もし営業自身が諦めてしまえば、この取引はその場で潰えてしまいます。そんなもったいないことをいてはいけません。

クロージングに障害はつきものです。様々な障害を乗り越えてこそ契約に至ります。障害に当たった時は、簡単に諦めずに、工夫をしてみましょう。

日を変える


商談が煮詰まった時は、いったん持ち帰って、仕切り直しをしましょう。日が変われば、気分も変わり、前向きに取り組む気持ちになっているかも知れません。

ただし、日が変われば、交渉すべてがリセットされる恐れもあるので、この日までの合意事項は必ず確認しておきましょう。

上司を連れていく


人が変わると、雰囲気もがらりと変わることがあります。上司が商談に入ることで、顧客の態度も軟化する場合があります。そのためには、上司というカードはギリギリまでとっておくことです。

第三者を連れていく


懸案事項が、専門的な内容であれば、技術担当者、知財担当者などに同席してもらいましょう。課題について新しい視点から見ることができます。

冗談を言う


笑いは、緊迫した雰囲気を一気に緩和させます。冗談の一つも挟んで、お互い余裕をもって商談に臨みたいものです。


顧客が無茶を言ってきたら


クロージングの段階になって、顧客が新たな要望を追加してくる場合があります。

「オプションを付けてほしい」「納期を早めてほしい」「設置場所を変更してほしい」など。

問題なく対応できる場合はいいですが、対応が難しい場合もあります。技術部や製造部が「今さら無茶を言うな」と怒り出すような案件です。

そんな場合でも、営業は顧客の要望をむげに断ってはいけません。

顧客側にも様々な事情があります。予期せぬ出来事が起こったり、顧客の顧客から無理を言われたり、顧客担当者がミスをしていたのが発覚したり。

無茶を言いたくて言う人はそうはいないものです。

だから一概に「無理です」というのではなく、顧客の真意を確かめたうえで、もし顧客が、本気で困りはてた上でお願いしてきているのならば、できるだけ要望に応えたいものです。

営業は会社の手先ではありません。顧客の代理人であるべきです。

技術部や製造部と粘り強く交渉し、少しでも顧客の要望に近づく努力をしましょう。すべてを叶えることができなければ一部でもいい、代案でもいい、顧客の悩みが解消する方法を真剣に考えて、顧客に提案してみましょう。

ここでも共闘です。ともに窮地を抜け出した経験は、顧客との信頼関係を格段に強化します。助けたり、助けられたりを繰り返すことで、結びつきは強くなります。窮地はチャンスだと思ってください。


抜け目ない顧客には対応策が必要


しかし顧客の中には「要求が通れば儲けもの」程度の思惑で無茶をいう人がいるかも知れません。

いわゆる抜け目ないタイプの人です。

失礼ながら、こういう人に毎回、振り回されていると、会社内での信用がなくなってしまうので注意しなければなりません。

まずは相手の様子をよく観察して、本当に困って依頼しているのか、あるいは、ドサクサに紛れて無茶を通そうとしているのか、見極めてください。

そのうえで、単に無茶を言っているのだと分かれば、受け入れてはだめです。安易に対応すれば、さらに無理を通そうとしてきます。

ただ、相手にもプライドがあるので、無茶な要求だとしてもむげに撥ねつけてしまうと、しこりが残ります。

そんな場合は、こちらが何らかの譲歩をしたという形が必要になります。

面倒に思うかも知れませんが、そんな場合にできる小さな譲歩をあらかじめ準備しておきます。

ちょっとした値引きや、オプションの追加や、保証の拡充など。こちらに負担のない程度の譲歩策を用意しておくのです。

ぎりぎりの交渉の末に、ちょっと譲歩をすることで、落としどころを作るわけです。

相手によっては、そういう交渉が必要な場合もあるということです。


クロージング・テクニックは覚えなくてよい


クロージングにおいて、無茶を言ってくる場合などに備えて、最低限の準備はしておいた方がいいという話をしました。

これは一種のクロージング・テクニックといえるものかも知れません。

しかし、ことさら、クロージング・テクニックを覚えようとする必要はありません。

営業もベテランになってくると、自然にテクニックめいたものは身についてきます。それで充分です。いや、むしろ、使い勝手がいいからといってたやすく使わないように気を付けてください。

経験の浅い営業の中に、覚えたてのテクニックを使いたがる人がいるようです。

やたら交渉期限を区切りたがったり、いきなり難題をぶつけて譲歩してみせたり、コンビ技を使おうとしたりすることなどです。

経験の浅い営業が使うテクニックなど見透かされています。

若いうちから妙なテクニックを使いたがる人は、顧客の信頼を得ることはできません。そんなことでは、営業として大成することはないでしょう。


営業の本分を忘れない


営業はうまいことを言って、必要ないものまで買わせる仕事ではありません。

そんなことをしていたら悪評がはびこり、営業として生きていけなくなってしまいます。

営業の本分は顧客の悩みを解消したり、願いを叶えたりするために自社商品を役立てることです。

だから焦ってはいけません。


(2020年5月14日メルマガより)

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クロージングにおいて大切なのは、簡単に諦めない姿勢です。

クロージングの段階に至って、一部の条件がどうしても合わない場合があります。一部仕様が条件を満たしていなかったり、納期が間に合わなかったり、予算との差異が詰められなかったりした場合などです。

そんな時でも、簡単に諦めないでください。

クロージングの段階まで進んでいるということは、可能性がないわけではありません。脈がない場合は、もっと早い段階で断られているはずです。むしろあと少しで契約に至るところまで進んでいます。

条件が合わないのであれば、契約のしようがないじゃないか、と思うかも知れません。しかし、実際の営業では逆転はしばしば起きます。クロージングの進め方次第です。


「仮定」をうまく使う


一部の条件が合わない場合は、その一部だけに囚われてはいけません。その他の部分に注意を向けることです。

「残念ながら、価格については、開きがありますね。しかし、もし価格が合うと仮定すれば、他の条件は問題ありませんか?」

「納期は厳しいですね。でも、仮に納期が間に合うとすれば、この商品で問題ありませんか?」

「もし、この課題がクリアすれば、契約いただけますよね」

このように、「仮定」をうまく使って、他の部分に焦点を当てれば、条件を満たしていない部分がほんの一部であることを確認できます。

その一部のために全体の好条件を諦めるのは得策ではないとお互いが思えば、条件の違いを乗り越える方法を考えようという気運が生まれます。

顧客と営業の共闘です。お互いが智恵を出し合って、壁を乗り越えられたなら、信頼関係は確実に深まります。いえ、たとえ乗り越えられずに、契約に至らなかったとしても、共闘したことで結びつきは強まるはずです。

もし営業自身が諦めてしまえば、この取引はその場で潰えてしまいます。そんなもったいないことをいてはいけません。

クロージングに障害はつきものです。様々な障害を乗り越えてこそ契約に至ります。障害に当たった時は、簡単に諦めずに、工夫をしてみましょう。

日を変える


商談が煮詰まった時は、いったん持ち帰って、仕切り直しをしましょう。日が変われば、気分も変わり、前向きに取り組む気持ちになっているかも知れません。

ただし、日が変われば、交渉すべてがリセットされる恐れもあるので、この日までの合意事項は必ず確認しておきましょう。

上司を連れていく


人が変わると、雰囲気もがらりと変わることがあります。上司が商談に入ることで、顧客の態度も軟化する場合があります。そのためには、上司というカードはギリギリまでとっておくことです。

第三者を連れていく


懸案事項が、専門的な内容であれば、技術担当者、知財担当者などに同席してもらいましょう。課題について新しい視点から見ることができます。

冗談を言う


笑いは、緊迫した雰囲気を一気に緩和させます。冗談の一つも挟んで、お互い余裕をもって商談に臨みたいものです。


顧客が無茶を言ってきたら


クロージングの段階になって、顧客が新たな要望を追加してくる場合があります。

「オプションを付けてほしい」「納期を早めてほしい」「設置場所を変更してほしい」など。

問題なく対応できる場合はいいですが、対応が難しい場合もあります。技術部や製造部が「今さら無茶を言うな」と怒り出すような案件です。

そんな場合でも、営業は顧客の要望をむげに断ってはいけません。

顧客側にも様々な事情があります。予期せぬ出来事が起こったり、顧客の顧客から無理を言われたり、顧客担当者がミスをしていたのが発覚したり。

無茶を言いたくて言う人はそうはいないものです。

だから一概に「無理です」というのではなく、顧客の真意を確かめたうえで、もし顧客が、本気で困りはてた上でお願いしてきているのならば、できるだけ要望に応えたいものです。

営業は会社の手先ではありません。顧客の代理人であるべきです。

技術部や製造部と粘り強く交渉し、少しでも顧客の要望に近づく努力をしましょう。すべてを叶えることができなければ一部でもいい、代案でもいい、顧客の悩みが解消する方法を真剣に考えて、顧客に提案してみましょう。

ここでも共闘です。ともに窮地を抜け出した経験は、顧客との信頼関係を格段に強化します。助けたり、助けられたりを繰り返すことで、結びつきは強くなります。窮地はチャンスだと思ってください。


抜け目ない顧客には対応策が必要


しかし顧客の中には「要求が通れば儲けもの」程度の思惑で無茶をいう人がいるかも知れません。

いわゆる抜け目ないタイプの人です。

失礼ながら、こういう人に毎回、振り回されていると、会社内での信用がなくなってしまうので注意しなければなりません。

まずは相手の様子をよく観察して、本当に困って依頼しているのか、あるいは、ドサクサに紛れて無茶を通そうとしているのか、見極めてください。

そのうえで、単に無茶を言っているのだと分かれば、受け入れてはだめです。安易に対応すれば、さらに無理を通そうとしてきます。

ただ、相手にもプライドがあるので、無茶な要求だとしてもむげに撥ねつけてしまうと、しこりが残ります。

そんな場合は、こちらが何らかの譲歩をしたという形が必要になります。

面倒に思うかも知れませんが、そんな場合にできる小さな譲歩をあらかじめ準備しておきます。

ちょっとした値引きや、オプションの追加や、保証の拡充など。こちらに負担のない程度の譲歩策を用意しておくのです。

ぎりぎりの交渉の末に、ちょっと譲歩をすることで、落としどころを作るわけです。

相手によっては、そういう交渉が必要な場合もあるということです。


クロージング・テクニックは覚えなくてよい


クロージングにおいて、無茶を言ってくる場合などに備えて、最低限の準備はしておいた方がいいという話をしました。

これは一種のクロージング・テクニックといえるものかも知れません。

しかし、ことさら、クロージング・テクニックを覚えようとする必要はありません。

営業もベテランになってくると、自然にテクニックめいたものは身についてきます。それで充分です。いや、むしろ、使い勝手がいいからといってたやすく使わないように気を付けてください。

経験の浅い営業の中に、覚えたてのテクニックを使いたがる人がいるようです。

やたら交渉期限を区切りたがったり、いきなり難題をぶつけて譲歩してみせたり、コンビ技を使おうとしたりすることなどです。

経験の浅い営業が使うテクニックなど見透かされています。

若いうちから妙なテクニックを使いたがる人は、顧客の信頼を得ることはできません。そんなことでは、営業として大成することはないでしょう。


営業の本分を忘れない


営業はうまいことを言って、必要ないものまで買わせる仕事ではありません。

そんなことをしていたら悪評がはびこり、営業として生きていけなくなってしまいます。

営業の本分は顧客の悩みを解消したり、願いを叶えたりするために自社商品を役立てることです。

だから焦ってはいけません。


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