セブンvsミスド 初戦の判定は

2015.04.16

(2015年4月16日メルマガより)


■コンビニの雄、セブンイレブンが、
ドーナツ市場を狙っています。

セブンイレブンといえば、セブンカフェなる100円ドリップコーヒーで、コーヒー市場を席巻し、マクドナルドや缶コーヒーに大いなるダメージを与えたことで知られています。

今やコンビニ─コーヒーの市場規模は、1900億円以上といわれ、コーヒー市場全体の18%を占めるまでになりました。

コンビニの可能性を拡大する販売施策として、話題になったことは記憶に新しいことでしょう。

その夢よ、もう一度。ということもあるでしょうし、コーヒーに合うのはドーナツだろう。ということもあり、次のターゲットをドーナツ市場に絞ったわけですね。


■日本のドーナツ市場を独占しているのは、ダスキンが運営するミスタードーナツです。

気分よく運営しているところに、突然の黒船ですから、いい迷惑ですな。

しかし自由競争の世の中だから仕方ありません。

ここは対応策を考えなければなりません。

参考:ミスド、売られたケンカに反撃の狼煙 コンビニ各社が仕掛けたドーナツ戦争に勝てるか
http://goo.gl/p1d98M


■ダスキンの売上高は、約1700億円。

会社四季報によると、フード事業の割合が28%ということなので、約476億円。

しかも、フード事業は赤字なんですね。。。

ちなみに、セブンイレブンは、ドーナツの販売目標を600億円としているので、いきなりミスド超えを狙っているわけです。

豪気ですな。

まあ、それもコンビニの規模からいうと、むべなるかな。

セブンの売上は、約3兆8000億円です。600億円なんて、小さい話です。


■もっとも、現状では、セブンの思惑通りには進んでいないようです。

セブンの店舗数は、1万7000店以上。

それに対して、ミスドは1350店。

その差、12倍以上。

巨人と小人の戦いのようで、勝負にならないような規模の差があります。

これだけ差があると、どんなことでもセブンの思い通りになりそうなものですが、そうはいかないというのはなぜなのでしょうか。


■ランチェスター戦略をご存じの方なら、おわかりでしょうね^^

店舗数こそ、セブンは圧倒的な強者ですが、ことドーナツ市場においては新参者。いわゆる弱者です。

逆にミスドは圧倒的な強者です。

(ランチェスター戦略においては、市場シェアトップを強者、その他を弱者と規定します)

そんな強者に対して、弱者であるセブンが新規参入時に選んだ施策はどのようなものだったのか。

そう考えると、いかにもショボイ^^;

チョコファッションとか、ポンデリングとか、ミスドにある商品のそっくりさんを6種類選んで100円で売るというもの。

価格以外は何もない施策です。

それらの商品は、ミスドで普段120円~150円ぐらいで売っているもの。しかも、休む間もないほどやっている100円セール対象商品群です。

安いといっても、ほとんどインパクトのない程度の安さです。


■商品そのものは「そこそこいけるやん」という味だそうですが、店舗で手作りのミスドに敵うものではありません。

(私の個人的な感想では、ミスドより味は落ちます)

品揃えも少ない。味も落ちる。ちょっと安い。

要するに、圧倒的な店舗数の露出度をアテにしているのみです。

それが弱者の施策といえるのでしょうか。

さすがのセブンも、今回は甘い。と言われても仕方ないでしょう。


■ミスドの社長が、余裕をもったマスコミ対応をしているのは、セブンの戦略の甘さを知ってのことでしょう。

ミスドとすれば、100円セール連発で、赤字の事業です。なんとかしなければいかんと、高価格商品の投入を進めていたところでした。

そこに、セブンが劣化コピーを大量にやってくれたわけですから、どちらかというと、ドーナツ市場の裾野を広げてくれたわいな。という感覚でしょう。

つまり労せずして、高価格商品を販売拡充する素地を作ってくれたわけですな。

図らずも、敵に塩、ならぬ砂糖を送られた格好です。


■まあでも、セブンがこれで満足するとは思えません。

思えばコンビニコーヒーにおいても、30年以上、粘りに粘って大ヒットさせた執念を持っている企業です。

参考:セブンカフェ成功の裏にあった「30年戦争」
http://toyokeizai.net/articles/-/51509

すぐに施策を修正してくるでしょう。

まずは商品選択をやりなおすこと。

弱者の基本は差別化です。

いくら12倍以上の企業規模があったとしても、ドーナツというジャンルの中では、弱者なのですから、強者と同じことをしていてはダメ。

わざわざミスドの劣化コピーをするのではなく、彼らが持っていない商品価値を提供すべきです。

たとえばローカロリードーナツでもいい。新素材を使ったドーナツでもいい。他の菓子との組み合わせでもいい。「はじめての衝撃」「はじめての食感」などと言えるようなイノベーションを伴った商品でなければなりません。

あるいは、逆に、プレーンドーナツばかりを品揃えして、ひたすらベーシックな味を追求することもありです。

セブンのドーナツは違う。ミスドでは味わえない。と言わせなければなりません。


■もし、あえてコピーをするならミスドが100円セールをやらない高価格商品を選択しなければなりません。

たとえば現在一押しのクロワッサンドーナツを100円で売るのです。

それならば、まだインパクトがあります。

この時に出し惜しみしていてはダメです。

セブンほどの規模があれば、ミスドの高価格商品を100円で売ることも不可能ではないはずです。


■セブンとすれば、最終的には、ヒット商品の開発はミスドに任せて、実販売はセブンがとるという、かつてのソニー-松下状態に持っていきたいことでしょう。

だがそれには時期尚早です。

まずは、目標通りドーナツの売上600億円を達成して、トップシェアを得なければなりません。

セブンイレブンでドーナツを買うことを習慣づけることができて、しかも強者となった時に、セブンの規模は大いに機能するはずです。

そのためにも、新規参入時に、弱者が強者に対して中途半端なミート(ぶつける:マネする)をしていてはどうにもなりませんよ。


■実際にセブンの施策が機能し出したら、ミスドは、苦しい立場に追い込まれます。

今、高付加価値の新商品開発に力を入れているようですが、それもベーシックな売上基盤があればこそです。

量を追うのはやめて、高付加価値商品のみの利益追求にシフトすると、規模を縮小せざるを得ず、現在の店舗数を維持することはできなくなります。

安易に高いものを売ればいいというわけではありません。やはり市場シェアを追求しなければならないのです。

今回、コンビニがドーナツ市場に参入したことで、市場規模は拡大します。その拡大した市場の中で、シェアを奪うためには、ミスドもそこに参入しなければなりません。

すなわちコンビニという販売チャネルへの進出です。

手っ取り早いのは、ローソンやファミマと組むことです。敵の敵と組むというのは兵法の基本ですから。

おすすめはローソンでしょうか。かの会社は成城石井を買収して、惣菜売り場を高度化しようとしているところでしょう。

だとすれば、ローソン内にミスドコーナーを作ることも可能なはずです。いまいち乗り切れないドリップコーヒー販売拡充の起爆剤になるかも知れません。

(そうなれば、ファミマは、海外のドーナツ屋と組むかも知れませんね)


■確かにドーナツというのは、日本人になじみのある食べ物であるわりには、競争が少なく、ミスタードーナツの独占状態となっています。

ここに目をつけたのはさすがセブンです。

競争が生まれると、市場が活性化し、市場規模が拡大していくでしょう。

今後、数少ない成長市場の一つになっていくのかも知れません。

ただし、今のところ、セブンの選んだ戦略は中途半端ですから、現状のままではうまくいかないと思います。

セブンのことですから、このままでは終わらないでしょう。

トライ・アンド・エラーを繰り返して、この市場をモノにするところを見てみたいと思います。



【オンラインセミナー】ランチェスター戦略入門編
http://goo.gl/ka0BBL

(2015年4月16日メルマガより)


■コンビニの雄、セブンイレブンが、
ドーナツ市場を狙っています。

セブンイレブンといえば、セブンカフェなる100円ドリップコーヒーで、コーヒー市場を席巻し、マクドナルドや缶コーヒーに大いなるダメージを与えたことで知られています。

今やコンビニ─コーヒーの市場規模は、1900億円以上といわれ、コーヒー市場全体の18%を占めるまでになりました。

コンビニの可能性を拡大する販売施策として、話題になったことは記憶に新しいことでしょう。

その夢よ、もう一度。ということもあるでしょうし、コーヒーに合うのはドーナツだろう。ということもあり、次のターゲットをドーナツ市場に絞ったわけですね。


■日本のドーナツ市場を独占しているのは、ダスキンが運営するミスタードーナツです。

気分よく運営しているところに、突然の黒船ですから、いい迷惑ですな。

しかし自由競争の世の中だから仕方ありません。

ここは対応策を考えなければなりません。

参考:ミスド、売られたケンカに反撃の狼煙 コンビニ各社が仕掛けたドーナツ戦争に勝てるか
http://goo.gl/p1d98M


■ダスキンの売上高は、約1700億円。

会社四季報によると、フード事業の割合が28%ということなので、約476億円。

しかも、フード事業は赤字なんですね。。。

ちなみに、セブンイレブンは、ドーナツの販売目標を600億円としているので、いきなりミスド超えを狙っているわけです。

豪気ですな。

まあ、それもコンビニの規模からいうと、むべなるかな。

セブンの売上は、約3兆8000億円です。600億円なんて、小さい話です。


■もっとも、現状では、セブンの思惑通りには進んでいないようです。

セブンの店舗数は、1万7000店以上。

それに対して、ミスドは1350店。

その差、12倍以上。

巨人と小人の戦いのようで、勝負にならないような規模の差があります。

これだけ差があると、どんなことでもセブンの思い通りになりそうなものですが、そうはいかないというのはなぜなのでしょうか。


■ランチェスター戦略をご存じの方なら、おわかりでしょうね^^

店舗数こそ、セブンは圧倒的な強者ですが、ことドーナツ市場においては新参者。いわゆる弱者です。

逆にミスドは圧倒的な強者です。

(ランチェスター戦略においては、市場シェアトップを強者、その他を弱者と規定します)

そんな強者に対して、弱者であるセブンが新規参入時に選んだ施策はどのようなものだったのか。

そう考えると、いかにもショボイ^^;

チョコファッションとか、ポンデリングとか、ミスドにある商品のそっくりさんを6種類選んで100円で売るというもの。

価格以外は何もない施策です。

それらの商品は、ミスドで普段120円~150円ぐらいで売っているもの。しかも、休む間もないほどやっている100円セール対象商品群です。

安いといっても、ほとんどインパクトのない程度の安さです。


■商品そのものは「そこそこいけるやん」という味だそうですが、店舗で手作りのミスドに敵うものではありません。

(私の個人的な感想では、ミスドより味は落ちます)

品揃えも少ない。味も落ちる。ちょっと安い。

要するに、圧倒的な店舗数の露出度をアテにしているのみです。

それが弱者の施策といえるのでしょうか。

さすがのセブンも、今回は甘い。と言われても仕方ないでしょう。


■ミスドの社長が、余裕をもったマスコミ対応をしているのは、セブンの戦略の甘さを知ってのことでしょう。

ミスドとすれば、100円セール連発で、赤字の事業です。なんとかしなければいかんと、高価格商品の投入を進めていたところでした。

そこに、セブンが劣化コピーを大量にやってくれたわけですから、どちらかというと、ドーナツ市場の裾野を広げてくれたわいな。という感覚でしょう。

つまり労せずして、高価格商品を販売拡充する素地を作ってくれたわけですな。

図らずも、敵に塩、ならぬ砂糖を送られた格好です。


■まあでも、セブンがこれで満足するとは思えません。

思えばコンビニコーヒーにおいても、30年以上、粘りに粘って大ヒットさせた執念を持っている企業です。

参考:セブンカフェ成功の裏にあった「30年戦争」
http://toyokeizai.net/articles/-/51509

すぐに施策を修正してくるでしょう。

まずは商品選択をやりなおすこと。

弱者の基本は差別化です。

いくら12倍以上の企業規模があったとしても、ドーナツというジャンルの中では、弱者なのですから、強者と同じことをしていてはダメ。

わざわざミスドの劣化コピーをするのではなく、彼らが持っていない商品価値を提供すべきです。

たとえばローカロリードーナツでもいい。新素材を使ったドーナツでもいい。他の菓子との組み合わせでもいい。「はじめての衝撃」「はじめての食感」などと言えるようなイノベーションを伴った商品でなければなりません。

あるいは、逆に、プレーンドーナツばかりを品揃えして、ひたすらベーシックな味を追求することもありです。

セブンのドーナツは違う。ミスドでは味わえない。と言わせなければなりません。


■もし、あえてコピーをするならミスドが100円セールをやらない高価格商品を選択しなければなりません。

たとえば現在一押しのクロワッサンドーナツを100円で売るのです。

それならば、まだインパクトがあります。

この時に出し惜しみしていてはダメです。

セブンほどの規模があれば、ミスドの高価格商品を100円で売ることも不可能ではないはずです。


■セブンとすれば、最終的には、ヒット商品の開発はミスドに任せて、実販売はセブンがとるという、かつてのソニー-松下状態に持っていきたいことでしょう。

だがそれには時期尚早です。

まずは、目標通りドーナツの売上600億円を達成して、トップシェアを得なければなりません。

セブンイレブンでドーナツを買うことを習慣づけることができて、しかも強者となった時に、セブンの規模は大いに機能するはずです。

そのためにも、新規参入時に、弱者が強者に対して中途半端なミート(ぶつける:マネする)をしていてはどうにもなりませんよ。


■実際にセブンの施策が機能し出したら、ミスドは、苦しい立場に追い込まれます。

今、高付加価値の新商品開発に力を入れているようですが、それもベーシックな売上基盤があればこそです。

量を追うのはやめて、高付加価値商品のみの利益追求にシフトすると、規模を縮小せざるを得ず、現在の店舗数を維持することはできなくなります。

安易に高いものを売ればいいというわけではありません。やはり市場シェアを追求しなければならないのです。

今回、コンビニがドーナツ市場に参入したことで、市場規模は拡大します。その拡大した市場の中で、シェアを奪うためには、ミスドもそこに参入しなければなりません。

すなわちコンビニという販売チャネルへの進出です。

手っ取り早いのは、ローソンやファミマと組むことです。敵の敵と組むというのは兵法の基本ですから。

おすすめはローソンでしょうか。かの会社は成城石井を買収して、惣菜売り場を高度化しようとしているところでしょう。

だとすれば、ローソン内にミスドコーナーを作ることも可能なはずです。いまいち乗り切れないドリップコーヒー販売拡充の起爆剤になるかも知れません。

(そうなれば、ファミマは、海外のドーナツ屋と組むかも知れませんね)


■確かにドーナツというのは、日本人になじみのある食べ物であるわりには、競争が少なく、ミスタードーナツの独占状態となっています。

ここに目をつけたのはさすがセブンです。

競争が生まれると、市場が活性化し、市場規模が拡大していくでしょう。

今後、数少ない成長市場の一つになっていくのかも知れません。

ただし、今のところ、セブンの選んだ戦略は中途半端ですから、現状のままではうまくいかないと思います。

セブンのことですから、このままでは終わらないでしょう。

トライ・アンド・エラーを繰り返して、この市場をモノにするところを見てみたいと思います。



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