できる営業は、負け方が違う

2013.05.16

(2013年5月16日メルマガより)


■テレビでプロ野球観戦をしていると、
解説者がバッターを評して「今の見逃し方がいいですね」とか「凡打でも打ち取られ方がいいですよ」とか言ったりするのを聞きます。

あれは何なんでしょうか。

いくらいい見逃し方であれ、いい当たりであれ、ストライクはストライク。ワンアウトはワンアウトのはず。

何が、いい見逃し方で、いい打ち取られ方なんでしょうか。

あるいは、敗色濃厚な終盤に「同じ負けるにしても、このまま負けたらだめですよ」とか聞いたりもします。

私は専門家ではないのでよく分からないのですが、どうやら、いい負け方と悪い負け方があるようです。

■もっともプロ野球は勝率で順位を決めるゲームですから、本来いい負け方も悪い負け方もないはずです。

1点差でも10点差でも同じ1敗です。

むしろ負ける時は、戦力を使わずにあっさりと負けて、次の試合に備える方が、長期的にはいい方向に向かうのではないでしょうか。

などと思ったりするわけです。

■ただ素人なりに考えてみると、長期的に戦わなければならないゆえに、メンタル面を勘案すると、あっさり負けるわけにはいかないという事情もある気がします。

無抵抗のまま負けてしまうと、敵は「得意意識」を持ってしまうかも知れません。自信を持っている相手は今後やっかいな存在になります。

それよりも、簡単には勝てないな、という苦手意識を植え付けてしまった方が、後々、有利に試合を運ぶことができそうです。

要するに、プロ野球のペナントレースは、144試合の勝率を競うゲームであると同時に、毎試合のペース(多分にメンタル的な)を奪い合うゲームであるということです。

だから「見逃し方がいい」という発言の裏には、その打者の調子や待球を評価すると同時に、相手に警戒心を抱かせたことを評価しているのだと考えるわけです

■なぜこんな話をするかというと、最近、営業コンサルティングの現場で、とみに「あの営業は負け方がいい」「負け方が悪い」と表現したくなる場面に出くわすことが多いからです。

営業も、いうまでもなく長期戦です。

1カ月や2か月、成績がよかったからといって、いい営業だとは評価できません。

2年、3年の長期にわたってその成績を維持していかなければなりません

営業マネージャーの立場からすると、成績にムラのある者は、使いにくくて仕方がありません。

たとえ低空飛行だとしても、コツコツと成績を維持する者の方が、計算できる分だけ有難い存在です。

そんなコンスタントに成績を上げる営業にはどんな特徴があるのかと調べてみると、地味で手堅く粘り強いという共通項があることが分かります。

逆にダメなのは、大物狙いで大勝もするが、さっぱりダメな時もあるというタイプです。

かつて私がこのタイプでした^^;今、私が反面教師としています。

かつての私は「努力しないであっと驚く成績を上げるやつ」という自己像に美意識を持っていたので、努力していることは隠して、遊んでいるように見せかけながら、時折、皆がびっくりするような巨額受注を上げてみせて、澄ました顔をしていました。

このタイプでいることは実は楽です。

何が楽かというと、一年間通じての成績がそれほど振るわなくても、時折の大物釣りで、とりあえずは、周りから一目置かれるからです。

帳尻合わせで、世間を渡っていけるとしたら、これは楽チンですよ。

私はそのことをよく知っているので、現在のコンサルティングの現場では、こういう大物狙いの営業を評価していません。

大物釣りが異能だなどと甘やかしてはダメですよ。実は楽をしているのですから^^

■ところがコンサルティングをしていると、高い成績をコンスタントに上げ続けるスーパー営業マンに出くわします。

こういう人に出会うのが、コンサルタントの役得でしょうね。いろいろ勉強になります。

まあ、こういう人は、実に多くの能力を持っています。論理的思考もできるし、計算にも強い、人の感情を読むのがうまいし、切換が早くて前向きです。だからスーパー営業マンなのでしょうけど。

たいていはプレーイング・マネージャーですから、全体を俯瞰して捉えることもできています。

ただ一般の営業マネージャーとそのスーパー営業マネージャーとの顕著な違いの一つが、どういう状況であろうと、簡単には負けない粘りをチームに徹底していることです。

全体のバランスを考えると、負け戦に時間を割くよりも、次の受注活動に向かった方が生産性は上がるはずです。

しかし、スーパー営業マネージャーは、負け戦に手を抜くことを良しとしていません。これはなぜなのか。気になって確認してみました。

すると、その中の一人は「土俵に乗る資格を失いたくないから、同じ負けるにしても、惜しい負け方で終わりたい」と発言していたので感心しました。

■言い換えると、その人は顧客の「マインドシェア」を重視しているのです。

顧客がものを購入しようとするとき、まずは一番売れている商品、有名な商品を念頭に置くはずです。

そこで即買いする顧客もいるでしょう。ナンバーワンの商品がさらに売れるゆえんです。

ところが商品が高額な場合や法人顧客などは、比較検討します。恐らくは、二番目に売れている商品、三番目に売れている商品などを並べて、検討するはずです。

ということは、ここで三番目までに入っていないと、売れる可能性は極めて低くなります。土俵に乗るとはこのことです。

■だから、コンスタントに売れるためには、少なくとも顧客にとって三番目の商品になっておかなければならない。

その商品が市場で既に売れていたり、あるいは明確な差別化がなされているなら、これはOKです。

しかし実際にはそうはいなかいことも多い。

企業によっては、何の優位性もなく、セールスポイントの説明に苦慮するような状況もあるはずです。

そんな時「うちは価格対応できないので諦めます」などとやっていれば、顧客マインドの中の優先順位は遥かランク外に下がってしまいます

今回は売れなくても、次回以降に可能性を残すためには、今回の勝負を「惜しい負け」にとどめておく必要があるのです。

■ある種の営業は、案件数×受注確率で成績を計算できます。

現場の営業マンは、受注確率(一件一件を受注すること)に注力しています。

これに対して、マネージャーは、案件数を増やすことに意識を向けているはずです。

「惜しい負け方をする」というのは、一見、受注確率を高めることに失敗した結果に思えるかも知れませんが、実際には、案件数を維持するための戦術です。

だからこれは、営業マネージャーの政策なのです。

■ちょっと偉そうに言ってしまいますが、営業マンにも段階があると感じます。

第一段階(新人レベル)は、とにかく目の前の顧客に集中し、必死になる段階です。

これが基本です。目の前の顧客に必死になれない人は、営業マン失格ですから、まずはこのレベルにはなっておかなければなりません。

ところがこれだけでは、マネージャーになれません。

第二段階(中堅レベル)は、目の前の顧客だけではなく、ターゲット顧客全体を見渡して、効率を考えて営業する段階です。

チーム全体の成績に責任を持つためには、目の前の顧客だけに囚われていてはダメです。割り切りも必要になってきます。

ただし、これだけでは凡庸な営業マネージャーになってしまいます。

第三段階(達人レベル)は、今日の話であるスーパー営業マネージャーの到達する段階です。

彼らは、現在の効率性だけに囚われるのではなく、長期的な生産性を考えて営業することができる人たちです。

つまり同じ負けるにしても惜しい負け方をしようとする人たちです

(惜しい負け方とは、具体的にどういうものかは、このメルマガでは言いません。それは各自が考えてほしいと思います。)

■これができれば、かつての私ももう少し納得のいく営業になれたのかも知れませんね

残念ながら私は、諦める時は諦める。ぐずぐずと無理な案件に関わっていたら時間の無駄。そういう割り切りのいい営業でした。

効率がいいと自負していたかつての私ですが、実際には、長期的視野に立っていない凡庸な営業でした。

今になって、自分の成績にムラがあった理由が分かる気がします。

全部勝つ必要はない。しかし、あっさり負けるのは、愚かでした。

本当は、営業のことを何も分かっていなかったんだなあーー

■それにしても営業って深いですね。

ホント、営業ほど勉強になって、成長出来る仕事はありません。

営業を極めると、何にでもなれますよ^^

そんなわけで、若い営業の方は、目の前の顧客を疎かにしないようにしてください。

そして営業マネージャーの方は「惜しい負け方をする」意識を持ってください。

これは精神論ではありません。長期的な生産性を高めるための秘訣です。

(2013年5月16日メルマガより)


■テレビでプロ野球観戦をしていると、
解説者がバッターを評して「今の見逃し方がいいですね」とか「凡打でも打ち取られ方がいいですよ」とか言ったりするのを聞きます。

あれは何なんでしょうか。

いくらいい見逃し方であれ、いい当たりであれ、ストライクはストライク。ワンアウトはワンアウトのはず。

何が、いい見逃し方で、いい打ち取られ方なんでしょうか。

あるいは、敗色濃厚な終盤に「同じ負けるにしても、このまま負けたらだめですよ」とか聞いたりもします。

私は専門家ではないのでよく分からないのですが、どうやら、いい負け方と悪い負け方があるようです。

■もっともプロ野球は勝率で順位を決めるゲームですから、本来いい負け方も悪い負け方もないはずです。

1点差でも10点差でも同じ1敗です。

むしろ負ける時は、戦力を使わずにあっさりと負けて、次の試合に備える方が、長期的にはいい方向に向かうのではないでしょうか。

などと思ったりするわけです。

■ただ素人なりに考えてみると、長期的に戦わなければならないゆえに、メンタル面を勘案すると、あっさり負けるわけにはいかないという事情もある気がします。

無抵抗のまま負けてしまうと、敵は「得意意識」を持ってしまうかも知れません。自信を持っている相手は今後やっかいな存在になります。

それよりも、簡単には勝てないな、という苦手意識を植え付けてしまった方が、後々、有利に試合を運ぶことができそうです。

要するに、プロ野球のペナントレースは、144試合の勝率を競うゲームであると同時に、毎試合のペース(多分にメンタル的な)を奪い合うゲームであるということです。

だから「見逃し方がいい」という発言の裏には、その打者の調子や待球を評価すると同時に、相手に警戒心を抱かせたことを評価しているのだと考えるわけです

■なぜこんな話をするかというと、最近、営業コンサルティングの現場で、とみに「あの営業は負け方がいい」「負け方が悪い」と表現したくなる場面に出くわすことが多いからです。

営業も、いうまでもなく長期戦です。

1カ月や2か月、成績がよかったからといって、いい営業だとは評価できません。

2年、3年の長期にわたってその成績を維持していかなければなりません

営業マネージャーの立場からすると、成績にムラのある者は、使いにくくて仕方がありません。

たとえ低空飛行だとしても、コツコツと成績を維持する者の方が、計算できる分だけ有難い存在です。

そんなコンスタントに成績を上げる営業にはどんな特徴があるのかと調べてみると、地味で手堅く粘り強いという共通項があることが分かります。

逆にダメなのは、大物狙いで大勝もするが、さっぱりダメな時もあるというタイプです。

かつて私がこのタイプでした^^;今、私が反面教師としています。

かつての私は「努力しないであっと驚く成績を上げるやつ」という自己像に美意識を持っていたので、努力していることは隠して、遊んでいるように見せかけながら、時折、皆がびっくりするような巨額受注を上げてみせて、澄ました顔をしていました。

このタイプでいることは実は楽です。

何が楽かというと、一年間通じての成績がそれほど振るわなくても、時折の大物釣りで、とりあえずは、周りから一目置かれるからです。

帳尻合わせで、世間を渡っていけるとしたら、これは楽チンですよ。

私はそのことをよく知っているので、現在のコンサルティングの現場では、こういう大物狙いの営業を評価していません。

大物釣りが異能だなどと甘やかしてはダメですよ。実は楽をしているのですから^^

■ところがコンサルティングをしていると、高い成績をコンスタントに上げ続けるスーパー営業マンに出くわします。

こういう人に出会うのが、コンサルタントの役得でしょうね。いろいろ勉強になります。

まあ、こういう人は、実に多くの能力を持っています。論理的思考もできるし、計算にも強い、人の感情を読むのがうまいし、切換が早くて前向きです。だからスーパー営業マンなのでしょうけど。

たいていはプレーイング・マネージャーですから、全体を俯瞰して捉えることもできています。

ただ一般の営業マネージャーとそのスーパー営業マネージャーとの顕著な違いの一つが、どういう状況であろうと、簡単には負けない粘りをチームに徹底していることです。

全体のバランスを考えると、負け戦に時間を割くよりも、次の受注活動に向かった方が生産性は上がるはずです。

しかし、スーパー営業マネージャーは、負け戦に手を抜くことを良しとしていません。これはなぜなのか。気になって確認してみました。

すると、その中の一人は「土俵に乗る資格を失いたくないから、同じ負けるにしても、惜しい負け方で終わりたい」と発言していたので感心しました。

■言い換えると、その人は顧客の「マインドシェア」を重視しているのです。

顧客がものを購入しようとするとき、まずは一番売れている商品、有名な商品を念頭に置くはずです。

そこで即買いする顧客もいるでしょう。ナンバーワンの商品がさらに売れるゆえんです。

ところが商品が高額な場合や法人顧客などは、比較検討します。恐らくは、二番目に売れている商品、三番目に売れている商品などを並べて、検討するはずです。

ということは、ここで三番目までに入っていないと、売れる可能性は極めて低くなります。土俵に乗るとはこのことです。

■だから、コンスタントに売れるためには、少なくとも顧客にとって三番目の商品になっておかなければならない。

その商品が市場で既に売れていたり、あるいは明確な差別化がなされているなら、これはOKです。

しかし実際にはそうはいなかいことも多い。

企業によっては、何の優位性もなく、セールスポイントの説明に苦慮するような状況もあるはずです。

そんな時「うちは価格対応できないので諦めます」などとやっていれば、顧客マインドの中の優先順位は遥かランク外に下がってしまいます

今回は売れなくても、次回以降に可能性を残すためには、今回の勝負を「惜しい負け」にとどめておく必要があるのです。

■ある種の営業は、案件数×受注確率で成績を計算できます。

現場の営業マンは、受注確率(一件一件を受注すること)に注力しています。

これに対して、マネージャーは、案件数を増やすことに意識を向けているはずです。

「惜しい負け方をする」というのは、一見、受注確率を高めることに失敗した結果に思えるかも知れませんが、実際には、案件数を維持するための戦術です。

だからこれは、営業マネージャーの政策なのです。

■ちょっと偉そうに言ってしまいますが、営業マンにも段階があると感じます。

第一段階(新人レベル)は、とにかく目の前の顧客に集中し、必死になる段階です。

これが基本です。目の前の顧客に必死になれない人は、営業マン失格ですから、まずはこのレベルにはなっておかなければなりません。

ところがこれだけでは、マネージャーになれません。

第二段階(中堅レベル)は、目の前の顧客だけではなく、ターゲット顧客全体を見渡して、効率を考えて営業する段階です。

チーム全体の成績に責任を持つためには、目の前の顧客だけに囚われていてはダメです。割り切りも必要になってきます。

ただし、これだけでは凡庸な営業マネージャーになってしまいます。

第三段階(達人レベル)は、今日の話であるスーパー営業マネージャーの到達する段階です。

彼らは、現在の効率性だけに囚われるのではなく、長期的な生産性を考えて営業することができる人たちです。

つまり同じ負けるにしても惜しい負け方をしようとする人たちです

(惜しい負け方とは、具体的にどういうものかは、このメルマガでは言いません。それは各自が考えてほしいと思います。)

■これができれば、かつての私ももう少し納得のいく営業になれたのかも知れませんね

残念ながら私は、諦める時は諦める。ぐずぐずと無理な案件に関わっていたら時間の無駄。そういう割り切りのいい営業でした。

効率がいいと自負していたかつての私ですが、実際には、長期的視野に立っていない凡庸な営業でした。

今になって、自分の成績にムラがあった理由が分かる気がします。

全部勝つ必要はない。しかし、あっさり負けるのは、愚かでした。

本当は、営業のことを何も分かっていなかったんだなあーー

■それにしても営業って深いですね。

ホント、営業ほど勉強になって、成長出来る仕事はありません。

営業を極めると、何にでもなれますよ^^

そんなわけで、若い営業の方は、目の前の顧客を疎かにしないようにしてください。

そして営業マネージャーの方は「惜しい負け方をする」意識を持ってください。

これは精神論ではありません。長期的な生産性を高めるための秘訣です。

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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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