狭く、深く掘り進めれば、視界は開ける

2006.03.16


(2006年3月16日メルマガより)

■前回、携帯電話における日本企業の世界シェアは約10%であるというこ
とをお伝えしました。

市場は急速にボーダーレス化し、世界レベルでの価格競争力を持つ企業が市
場を制しようとしています。

米国のモトローラ、韓国のサムスン電子やLGグループの製品が世界を席巻
しています。

日本市場は特殊だからと安穏としていれば、企業は存在意義を失って、消え
去る運命にあります。


■そのモトローラのエドワード・ザンダー会長は、今年の1月、多忙なスケ
ジュールの合間を縫って、日本企業回りを行いました。

モトローラは日本市場でのシェアは低いものの、日本に縁の深い会社です。
毎年、世界中の担当者が東京に集まって会議を開いているほどです。

実は、モトローラは、携帯部材の約70%を日本メーカーから購入していま
す。

東京で毎年、部材調達会議を開催しているのはそのためです。


■韓国メーカーも事情は同じ。サムスン電子の製品といえども、その中身は
日本の部品メーカーに依存しています。

韓国の対日貿易収支は累積2千5百億ドルを超える赤字です。

世界を駆け巡る韓国製品の中身は日本製であることを表しています。


■経済産業省によると、日本の電子部品の世界シェアは65%。

圧倒的な強さを誇っています。


■なぜ、日本の部品産業は強いのか?

中国などは、低廉な労働力と国をあげた戦略投資で、"世界の工場"の地位
を手に入れましたが、それはローテクな組み立て品に限定されるようです。

特殊な技術や作り手の感性が必要な先端部品には、積み上げてきたノウハウ
が重要です。

日本の部品メーカーは、完成品メーカーの下請けとして、ある意味否応なし
に、コツコツと技術を磨いてきました。

時間をかけて蓄積してきたノウハウは、容易にマネのできない競争力となっ
ています。


■もう1つ。

ローテクな組み立て品は、市場規模が大きいので、大きな儲けを見込むこと
ができます。

それに対して、特殊な技術や部品は、難易度が高いわりには市場が小さくて
儲かりません。

わざわざ小さな市場に新規参入して、その道何十年という小さな会社を蹴散
らしても、得られる利益はたかが知れています。

それよりは、その会社から少々高い値段で購入する方が合理的です。

だからライバルが現れにくいという事情があります。


■ところが、組み立て品メーカーが世界レベルに育ってきているのに合わせ
て、部品というニッチ市場も、急速に(それなりに)大きくなってきている
のが現在です。

先端部品という狭い特殊な世界で堅実に生きてきた企業にとっては、今や、
市場のグローバル化、ボーダーレス化の波に乗るための千載一遇のチャンス
がきていると言えるでしょう。

そのパイオニア企業の代表が、村田製作所や日東電工、JSR、住友ベーク
ライト、日本特殊陶業などです。

小さな世界、狭い世界で必死で頑張ってきたからこそ、世界で通用する技術
を身につけた小さな企業が、日本にはいっぱいあるのです。

(東大阪には、ノーベル賞クラスの町工場がいっぱいある、とよく聞きます
ね)


■ランチェスター戦略の結論の1つが"一点集中"です。

「狭く、深く」事業を絞り込むことに、多くの企業は不安を覚えるようです。

実際には「狭く、深く」絞り込んで、誰もが追随できないほど極めて極め抜
いて、突き抜けた先には、大きな空間が広がっています。

今回の場合は、世界というマーケットです。

小さな会社が成功するためには、「狭く、深く」絞り込んで、突き抜けるま
でやり通すこと。

これが成功のコツです。


■もっとも、他のアジア諸国も手をこまねいているわけではありません。

韓国政府は、部材産業の育成を国家戦略として、1800億円の投資を決め
ています。

長年積み上げてきたノウハウを一朝一夕でものにすることは難しいものの、
それが、不可能だと決め付けることもできないでしょう。

これからも、競争は厳しいものだということです。

(日経新聞2月25日号を参照しました)


編集後記

■営業をしたことがないという小さなメーカーの社長によく会います。

世界レベルの技術を持っていたとしても、それを伝えることができなければ、
何も無いのと同じです。

いいものを作っていると何時か分かってくれるというのは、都合のいい考え
ですね。


■営業とはなにも弁舌さわやかに、売れないものを売りつけることではあり
ません。

自社の得意技術が、相手の役に立てるかどうかをともに考えることです。

口下手とか、人当たりが悪いとか、全く関係のない話です。


■営業のトークのコツも、自社製品の特徴を1つか2つに絞り込んで、集中
して伝えることです。

相手の役に立たない特徴を得意げに話しても、意味はありません。

だから、自社の技術を「狭く、深く」絞り込むことは、実は、営業の仕事を
容易にします。

凡庸な営業でも「狭く、深く」することで、必ず売れるようになりますから


(2006年3月16日メルマガより)

■前回、携帯電話における日本企業の世界シェアは約10%であるというこ
とをお伝えしました。

市場は急速にボーダーレス化し、世界レベルでの価格競争力を持つ企業が市
場を制しようとしています。

米国のモトローラ、韓国のサムスン電子やLGグループの製品が世界を席巻
しています。

日本市場は特殊だからと安穏としていれば、企業は存在意義を失って、消え
去る運命にあります。


■そのモトローラのエドワード・ザンダー会長は、今年の1月、多忙なスケ
ジュールの合間を縫って、日本企業回りを行いました。

モトローラは日本市場でのシェアは低いものの、日本に縁の深い会社です。
毎年、世界中の担当者が東京に集まって会議を開いているほどです。

実は、モトローラは、携帯部材の約70%を日本メーカーから購入していま
す。

東京で毎年、部材調達会議を開催しているのはそのためです。


■韓国メーカーも事情は同じ。サムスン電子の製品といえども、その中身は
日本の部品メーカーに依存しています。

韓国の対日貿易収支は累積2千5百億ドルを超える赤字です。

世界を駆け巡る韓国製品の中身は日本製であることを表しています。


■経済産業省によると、日本の電子部品の世界シェアは65%。

圧倒的な強さを誇っています。


■なぜ、日本の部品産業は強いのか?

中国などは、低廉な労働力と国をあげた戦略投資で、"世界の工場"の地位
を手に入れましたが、それはローテクな組み立て品に限定されるようです。

特殊な技術や作り手の感性が必要な先端部品には、積み上げてきたノウハウ
が重要です。

日本の部品メーカーは、完成品メーカーの下請けとして、ある意味否応なし
に、コツコツと技術を磨いてきました。

時間をかけて蓄積してきたノウハウは、容易にマネのできない競争力となっ
ています。


■もう1つ。

ローテクな組み立て品は、市場規模が大きいので、大きな儲けを見込むこと
ができます。

それに対して、特殊な技術や部品は、難易度が高いわりには市場が小さくて
儲かりません。

わざわざ小さな市場に新規参入して、その道何十年という小さな会社を蹴散
らしても、得られる利益はたかが知れています。

それよりは、その会社から少々高い値段で購入する方が合理的です。

だからライバルが現れにくいという事情があります。


■ところが、組み立て品メーカーが世界レベルに育ってきているのに合わせ
て、部品というニッチ市場も、急速に(それなりに)大きくなってきている
のが現在です。

先端部品という狭い特殊な世界で堅実に生きてきた企業にとっては、今や、
市場のグローバル化、ボーダーレス化の波に乗るための千載一遇のチャンス
がきていると言えるでしょう。

そのパイオニア企業の代表が、村田製作所や日東電工、JSR、住友ベーク
ライト、日本特殊陶業などです。

小さな世界、狭い世界で必死で頑張ってきたからこそ、世界で通用する技術
を身につけた小さな企業が、日本にはいっぱいあるのです。

(東大阪には、ノーベル賞クラスの町工場がいっぱいある、とよく聞きます
ね)


■ランチェスター戦略の結論の1つが"一点集中"です。

「狭く、深く」事業を絞り込むことに、多くの企業は不安を覚えるようです。

実際には「狭く、深く」絞り込んで、誰もが追随できないほど極めて極め抜
いて、突き抜けた先には、大きな空間が広がっています。

今回の場合は、世界というマーケットです。

小さな会社が成功するためには、「狭く、深く」絞り込んで、突き抜けるま
でやり通すこと。

これが成功のコツです。


■もっとも、他のアジア諸国も手をこまねいているわけではありません。

韓国政府は、部材産業の育成を国家戦略として、1800億円の投資を決め
ています。

長年積み上げてきたノウハウを一朝一夕でものにすることは難しいものの、
それが、不可能だと決め付けることもできないでしょう。

これからも、競争は厳しいものだということです。

(日経新聞2月25日号を参照しました)


編集後記

■営業をしたことがないという小さなメーカーの社長によく会います。

世界レベルの技術を持っていたとしても、それを伝えることができなければ、
何も無いのと同じです。

いいものを作っていると何時か分かってくれるというのは、都合のいい考え
ですね。


■営業とはなにも弁舌さわやかに、売れないものを売りつけることではあり
ません。

自社の得意技術が、相手の役に立てるかどうかをともに考えることです。

口下手とか、人当たりが悪いとか、全く関係のない話です。


■営業のトークのコツも、自社製品の特徴を1つか2つに絞り込んで、集中
して伝えることです。

相手の役に立たない特徴を得意げに話しても、意味はありません。

だから、自社の技術を「狭く、深く」絞り込むことは、実は、営業の仕事を
容易にします。

凡庸な営業でも「狭く、深く」することで、必ず売れるようになりますから

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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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