飲料業界は激変の予感

2007.04.12


(2007年4月12日メルマガより)

■「コカ・コーラ」「ファンタ」「ジョージア」「アクエリアス」といえば、
飲料の中のそれぞれの分野で1、2位を争うブランドです。

メーカーはもちろん日本コカ・コーラ。市場シェア29.3%を持つ日本の
トップ企業です。

ところがそのトップ企業があえいでいます。飲料業界全体の変動の流れの中
で、じりじりとシェアを落としてきているのです。

■原因は、飲料の売上構成の劇的な変化にあります。

長らく清涼飲料のトップは、コーヒー飲料です。これは1兆1359億円規
模の市場。その中で「ジョージア」は、27.9%のシェアを持つナンバー
ワンブランドです。2位の「ボス」(サントリー)13.0%を√3倍以上
の射程距離圏外に引き離しています。

(射程距離理論を含むランチェスター戦略の基礎についてはこちらを参照く

ところが、次に大きい茶系飲料(8202億円)では、日本コカ・コーラの
「爽健美茶」が3位。力を入れて投入した「一」が5位に甘んじています。

というのは、この茶系飲料という分野、1995年には約850億円の市場
規模に過ぎませんでした。これが健康ブームに乗ったのか、少子高齢化の影
響なのか、今では巨大市場に成長しました。

こういう市場の構成比が急激に変化する時、企業の地位にも変化が生じやす
くなります。日本コカ・コーラとすれば、ノーマークだった市場が急に拡大
してきたとあって寝耳に水のような状況です。影響をまともに受けてしまい
ました。

■茶系飲料とは、ウーロン茶や緑茶のこと。

ここ数年、お茶のペットボトルの売れ行きの伸びたるや凄まじいものがあり
ました。確かに20年前に、お茶がこれほど売れるようになるとは想像もつ
きませんでした。

私の友人など「おれの目の黒いうちは、お茶に金なんか出さん!」と宣言し
ていました^^当時、お茶は家で作って飲むものでしたからね。

彼は今でもお茶を買って飲むことはないのでしょうか?

■この分野のトップブランドは伊藤園の「お~いお茶」です。お茶がこれほ
ど売れない時代から続けてきた茶系飲料のパイオニアです。

伊藤園という会社、売上規模は2880億円程度。充分大きな売上ですが、
1兆円を超す飲料メーカーが多い中では相当小さな会社です。

創業は1966年。当初は、茶缶のパッケージを100gいくらで販売して
いました。

1980年代には缶入りウーロン茶を発売。この時、販売提携したのはサン
トリーだそうです。

「お~いお茶」を売り出したのは1990年代。それからのロングセラーで
す。

■小さい会社が勝ち抜くためには、「小さな市場」を選ばなければなりませ
ん。伊藤園の戦略は、本来の強みであるお茶にこだわること。業界で初めて
缶入り緑茶を開発し、販売しました。当時は小さな市場であるゆえ、ライバ
ル企業も少なく、生き残ることができたのです。

さらに伊藤園は、少ない投資額で戦えるように、生産を外部に委託していま
す。自社がこだわるのは、商品開発とお茶の葉の調達です。それ以外は、宣
伝も抑え気味にして、効率のいい事業運営を行っています。

くどいようですが、小さな儲からない市場だからこそできた戦略です。もっ
とも、茶葉をグラム売りしてきた伊藤園にすれば、充分利益のとれるビジネ
スだという意識があったのではないでしょうか。

茶系飲料の市場規模がさらに拡大したのは、2004年のサントリー「伊右
衛門茶」の登場が大きいと思われますが、「お~いお茶」は、市場の拡大と
ともに売上を伸ばしていきます。まさにトップブランドの地位を磐石にした
時期でした。

■もっとも、安心ばかりはしてもいられません。

遅れをとった日本コカ・コーラは、トップ企業の意地にかけて、体力勝負の
消耗戦を仕掛けてきているといわれます。量販店やスーパーでの販売に多大
な販促費をかけ、価格競争を仕掛けてきているそうです。

これは、売り場を確保した上で、新しいブランドを投入する布石であるとも
言われます。

トップの資本力があればこその強者の戦略です。

なにしろ、コーヒー系飲料、茶系飲料、機能性飲料、炭酸飲料で、清涼飲料
の73%近くを占めています。その中で、日本コカ・コーラがトップでない
のは、茶系飲料だけです。

強者としては放置しておく手はありません。

■伊藤園にとってさらにシリアスなのは、茶系飲料の売上が昨年はじめてマ
イナス成長になったという状況です。

茶系飲料市場だけに特化して戦ってきたのに、その市場が縮小するとなれば
死活問題です。(今更、大きくなった組織をもとに戻すわけにはいきません
からね)

そこで、コーヒーチェーンのタリーズを買収するなど、M&Aに積極的な姿
勢を見せ、戦略の転換を図っています。

厳しい戦いになることは否めませんが、ぼーとしているわけにはいかないで
しょうからね。

■M&Aに積極的なのは、なにも伊藤園だけではありません。

アサヒやキリンなどビール系メーカーは、ビール市場の縮小に直面しており、
新たな儲け先を探しています。

特にアサヒは「スーパードライ」のみのメーカーですから、伊藤園以上にシ
リアスです。

M&A先を探す目は血眼になっていることでしょう。

■カゴメ、ポッカ、ダイドー。それぞれ得意分野を持つメーカーに、大手5
社(日本コカ、サントリー、キリン、伊藤園、アサヒ)の関心が向けられて
います。

5大メーカーの戦略の可否に大きな影響力を持つのが、それぞれ得意分野を
持った小さなメーカーだというのも面白い。政治の世界で言えば、キャステ
ィングボートというやつですかな。

いずれにしろ、小さな市場で尖った得意分野を持つ企業は、強いということ
がわかりますね。

それはともかく、飲料業界の再編は必至です。業界が大きく動く様子を見る
のは、大変勉強になります。(不謹慎かもしれませんが...)

これからも注目していきたいと思います。

(「週刊ダイヤモンド2007・03・31号」を参照しました)


(2007年4月12日メルマガより)

■「コカ・コーラ」「ファンタ」「ジョージア」「アクエリアス」といえば、
飲料の中のそれぞれの分野で1、2位を争うブランドです。

メーカーはもちろん日本コカ・コーラ。市場シェア29.3%を持つ日本の
トップ企業です。

ところがそのトップ企業があえいでいます。飲料業界全体の変動の流れの中
で、じりじりとシェアを落としてきているのです。

■原因は、飲料の売上構成の劇的な変化にあります。

長らく清涼飲料のトップは、コーヒー飲料です。これは1兆1359億円規
模の市場。その中で「ジョージア」は、27.9%のシェアを持つナンバー
ワンブランドです。2位の「ボス」(サントリー)13.0%を√3倍以上
の射程距離圏外に引き離しています。

(射程距離理論を含むランチェスター戦略の基礎についてはこちらを参照く

ところが、次に大きい茶系飲料(8202億円)では、日本コカ・コーラの
「爽健美茶」が3位。力を入れて投入した「一」が5位に甘んじています。

というのは、この茶系飲料という分野、1995年には約850億円の市場
規模に過ぎませんでした。これが健康ブームに乗ったのか、少子高齢化の影
響なのか、今では巨大市場に成長しました。

こういう市場の構成比が急激に変化する時、企業の地位にも変化が生じやす
くなります。日本コカ・コーラとすれば、ノーマークだった市場が急に拡大
してきたとあって寝耳に水のような状況です。影響をまともに受けてしまい
ました。

■茶系飲料とは、ウーロン茶や緑茶のこと。

ここ数年、お茶のペットボトルの売れ行きの伸びたるや凄まじいものがあり
ました。確かに20年前に、お茶がこれほど売れるようになるとは想像もつ
きませんでした。

私の友人など「おれの目の黒いうちは、お茶に金なんか出さん!」と宣言し
ていました^^当時、お茶は家で作って飲むものでしたからね。

彼は今でもお茶を買って飲むことはないのでしょうか?

■この分野のトップブランドは伊藤園の「お~いお茶」です。お茶がこれほ
ど売れない時代から続けてきた茶系飲料のパイオニアです。

伊藤園という会社、売上規模は2880億円程度。充分大きな売上ですが、
1兆円を超す飲料メーカーが多い中では相当小さな会社です。

創業は1966年。当初は、茶缶のパッケージを100gいくらで販売して
いました。

1980年代には缶入りウーロン茶を発売。この時、販売提携したのはサン
トリーだそうです。

「お~いお茶」を売り出したのは1990年代。それからのロングセラーで
す。

■小さい会社が勝ち抜くためには、「小さな市場」を選ばなければなりませ
ん。伊藤園の戦略は、本来の強みであるお茶にこだわること。業界で初めて
缶入り緑茶を開発し、販売しました。当時は小さな市場であるゆえ、ライバ
ル企業も少なく、生き残ることができたのです。

さらに伊藤園は、少ない投資額で戦えるように、生産を外部に委託していま
す。自社がこだわるのは、商品開発とお茶の葉の調達です。それ以外は、宣
伝も抑え気味にして、効率のいい事業運営を行っています。

くどいようですが、小さな儲からない市場だからこそできた戦略です。もっ
とも、茶葉をグラム売りしてきた伊藤園にすれば、充分利益のとれるビジネ
スだという意識があったのではないでしょうか。

茶系飲料の市場規模がさらに拡大したのは、2004年のサントリー「伊右
衛門茶」の登場が大きいと思われますが、「お~いお茶」は、市場の拡大と
ともに売上を伸ばしていきます。まさにトップブランドの地位を磐石にした
時期でした。

■もっとも、安心ばかりはしてもいられません。

遅れをとった日本コカ・コーラは、トップ企業の意地にかけて、体力勝負の
消耗戦を仕掛けてきているといわれます。量販店やスーパーでの販売に多大
な販促費をかけ、価格競争を仕掛けてきているそうです。

これは、売り場を確保した上で、新しいブランドを投入する布石であるとも
言われます。

トップの資本力があればこその強者の戦略です。

なにしろ、コーヒー系飲料、茶系飲料、機能性飲料、炭酸飲料で、清涼飲料
の73%近くを占めています。その中で、日本コカ・コーラがトップでない
のは、茶系飲料だけです。

強者としては放置しておく手はありません。

■伊藤園にとってさらにシリアスなのは、茶系飲料の売上が昨年はじめてマ
イナス成長になったという状況です。

茶系飲料市場だけに特化して戦ってきたのに、その市場が縮小するとなれば
死活問題です。(今更、大きくなった組織をもとに戻すわけにはいきません
からね)

そこで、コーヒーチェーンのタリーズを買収するなど、M&Aに積極的な姿
勢を見せ、戦略の転換を図っています。

厳しい戦いになることは否めませんが、ぼーとしているわけにはいかないで
しょうからね。

■M&Aに積極的なのは、なにも伊藤園だけではありません。

アサヒやキリンなどビール系メーカーは、ビール市場の縮小に直面しており、
新たな儲け先を探しています。

特にアサヒは「スーパードライ」のみのメーカーですから、伊藤園以上にシ
リアスです。

M&A先を探す目は血眼になっていることでしょう。

■カゴメ、ポッカ、ダイドー。それぞれ得意分野を持つメーカーに、大手5
社(日本コカ、サントリー、キリン、伊藤園、アサヒ)の関心が向けられて
います。

5大メーカーの戦略の可否に大きな影響力を持つのが、それぞれ得意分野を
持った小さなメーカーだというのも面白い。政治の世界で言えば、キャステ
ィングボートというやつですかな。

いずれにしろ、小さな市場で尖った得意分野を持つ企業は、強いということ
がわかりますね。

それはともかく、飲料業界の再編は必至です。業界が大きく動く様子を見る
のは、大変勉強になります。(不謹慎かもしれませんが...)

これからも注目していきたいと思います。

(「週刊ダイヤモンド2007・03・31号」を参照しました)

コラム

blog

代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
世の中の事象を営業戦略コンサルタントの視点から斬っていきます。(無料)

記事一覧

blog

記事一覧

講演・セミナー実績

Customer Voice

記事一覧

このページのTOPへ