アマゾン・エフェクトに対抗する手段はあるのか

2018.11.01

(2018年11月1日メルマガより)

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ビジネスの情報に接していて、その消息を聞かない日はない、というのが、アマゾンです。

まったくもって呆れたもんです。

ここ数年ではありません。十数年。アマゾンは話題の主役であり続けています。


アマゾン・エフェクトとは


このたびも、米国大手小売りチェーンのシアーズが経営破綻しましたが、その直接の原因が、アマゾンの台頭だと言われています。


いわゆるアマゾン・エフェクトというやつですな。

ちなみにアマゾン・エフェクトとは、アマゾンの革新的なビジネスのパワーにより、あらゆる産業のプレイヤーたちが市場からの退場やビジネスモデルの大幅な変革を余儀なくされることを示した言葉です。

家電量販店のラジオジャックや玩具小売大手トイザらスなど、ここ数年、アマゾン・エフェクトにより破綻に追い込まれる小売店が頻発しています。

あるいは衣料品小売り大手のギャップの店舗が大量閉鎖に追い込まれたこともありました。

そうかと思えば、ビジネスモデルをガラリと変えて生き残る企業も出ています。

いまやアマゾンは、ネット通販大手でもあり、家電品メーカーでもあり、衣料品製造小売りでもあり、出版社でもあり、クラウドシステムの提供企業でもあります。もうすぐ金融機能も持つようになるでしょう。

だからアマゾンの及ぼす営業は地のはてまで及びます。どの業界もアマゾン・エフェクトから逃れることはできません。

アマゾンの脅威恐るべしです。


アマゾン・エフェクトに対抗する方法はあるのか


シアーズというと、経営理論の教科書に載るぐらい成功した小売チェーンでした。

創業当初は、小売り流通網のない農村地帯をターゲットにした通販カタログ事業として発足し、流通網が整備されてくると、組織体制をいち早く整えて、全米に小売店を展開していきました。

常に時代の変化を読み、真っ先に組織を整備して、時代に対応するというのがシアーズでした。

ところが、そのシアーズも、アマゾンの台頭には太刀打ちできなかったようです。

げに恐ろしきはアマゾンです。

しかし、よく調べてみると、シアーズの業績が悪化したのは、必ずしもアマゾンによるものとは言えない部分もあります。

現在のアメリカのナンバーワン小売チェーンであるウォルマートの台頭時から、シアーズは苦戦を強いられていました。

ウォルマートの代名詞である「エブリデイ・ロープライス」に対抗できていなかったのです。

そのウォルマートでさえ、アマゾンの脅威によって、窮地に陥っています。

だから今回、経営破綻したシアーズは、とうの昔に、時代に追い付けなくなっていたといった方がいいのかも知れません。


イナゴの大群のようにすべてを食い尽くし、不毛の地にしてしまうかのようなアマゾンの進撃ですが、実をいうと、したたかに生き残る小売チェーンも存在します。


アメリカのホームセンター、ホーム・デポや家電量販店のベストバイなどです。

どのような小売チェーンが生き残っているというのでしょうか。


アマゾン・エフェクトに対抗する その1.店舗をとことん利用する


まず一つ。アマゾンには店舗がありません。

いや最近は弱点を克服しようと小売店の買収や無人店舗の開発などを進めているようですが、まだ戦力となるには至っていません。

ですから、店舗を中心とした販売戦略には、アマゾンが対抗できない分野があります。


たとえば上記のアメリカの家電量販店ベストバイは「ショールーミング」を推奨する戦略をとっています。

ショールーミングとは、ネットで購入する前に、店舗で商品を確認する作業のことです。

実際にはネットで買われるのだから、店側としてはいい迷惑です。散々、商品を見せて、必要ならば説明し、値段を提示して、それで買ってくれない。得するのはアマゾンだけです。

既存の家電量販店が軒並み業績を悪化させたのは、アマゾンの台頭によりショールーミングが一般的になってしまったことが一因です。

しかし我々一般消費者からすれば、一抹の罪悪感は覚えるものの同じ商品を購入するなら、安くて宅配してくれるアマゾンがいいに決まっています。

憤懣やるかたない店側ですが、さすがに消費者に文句を言うわけにはいきません。そこで開き直ったベストバイは、ショールーミング上等!どんどん見て、どんどんネットで買ってくれ!と言い出しました。

その代わり、購入するのは、自社のネットサイトです。

そうなんですね。ベストバイは多額の投資を行って、アマゾンに負けないような自社ネットショップを作ってしまったのです。

店舗で商品を確かめてもらったら、そのまま自社のネットサイトで購入してもらうように誘導する接客を行いました。

値段はアマゾンに合わせています。だから消費者は、ベストバイで購入しない理由がありません。罪悪感も覚えません。


この方法は、ヤマダ電機も追随しています。ヨドバシカメラはもっと本格的にネット販売に取り組んで、一定の成果を上げています。

アメリカの場合、宅配事情が日本ほど細やかでないという理由もあります。アメリカの宅配業者は、不在の場合、玄関前に商品をそのまま置いていくことが多いそうですから、置き引きが多発しているそうです。

それなら、ネットで購入して、店舗で受け取ることができるベストバイに利便性があるというものですね。

店舗+ネットの合わせ技で対抗するというのが、一つの方法です。


アマゾン・エフェクトに対抗する その2.体験の提供


アマゾンが最も苦手とするのが「体験」の提供です。

これもネット通販の泣き所ですね。


上記のアメリカのホームセンター、ホーム・デポは、自社の店舗を「体験の場」だと位置づけて、日曜大工の講習や相談会を積極的に展開することで、顧客の支持を得ました。

ネットで日曜大工のことをいくら調べても、実際のリアルな講習ほどの臨場感はありません。わからないことがあれば、店員さんに聞けばすぐに答えてくれるはずです。

日曜大工に興味のない消費者でも、店に行けば講習をやっているので、興味を持つこともあるでしょう。

あの店に行けば何か体験できる。というイメージは、店に足を運ぶ大きな動機となります。


日本においては、ドン・キホーテが、エンタメ要素満載の体験型消費を提供しています。

大手小売りチェーンのユニーなど、ドン・キホーテと提携したと思ったら、店舗の多くをドンキ型に改装していく意向を示しました。えらい入れ込みようです。

道頓堀にあるドン・キホーテの屋上には観覧車が回っていますが、それが同社のコンセプトを象徴しています。

わざと探しにくく陳列した店舗は、宝探しのようなワクワク感に満ちています。

品揃えも、バラエティショップよろしく、定番化していないので、行くたびに新しい商品を見つけることができます。

驚安というほど安くない商品も多いのですが、それでも何があるか分からないという楽しさがあります。

これは、検索のしやすさを追求しているアマゾンとは真逆の楽しさです。アマゾンにはない購買体験を提供しているといえます。

アマゾン・エフェクトに対抗する その3.特殊で深いニーズに応える


上記のホーム・デポは、一般消費者ではなく、建築業者などをターゲット顧客とする戦略を推し進めています。


アマゾンは最も大きな市場を狙いますから、専門業者の特殊ニーズに応えるのは、あまり得意としていません。

ですから、専門業者のニーズに応えることができれば、その分野では、アマゾンに勝つことができます。


日本でいえば、ワークマンなどは、特殊性の高い商品展開をしているので、アマゾンの影響を受けにくいといえます。


特殊性が高いということは、リアルに確認してから購入したい顧客が多いということです。

アマゾンも業者向けサイトを開設するなどして、この分野の取り込みを図っていますが、いかんせんすべてを網羅することは難しいと思います。

やはり特殊なニーズに深く応える店は、生き残る可能性が高いといえるでしょう。


アマゾン・エフェクトに対抗する その他の方法


その他、アマゾンに対抗できそうなのは、100円ショップです。

こちらも、いくら衝動買いしても大した金額にならないという安心感から、エンタメ化した購買体験を提供しているといえます。

その上、アマゾンは、送料がかかるために、100円などという価格をつけることを苦手としています。

エンタメ+送料不要というアマゾンの苦手な部分を担うことで100円ショップは、これからも生き残っていくだろうと思います。


あとは、ドラッグストア。

こちらは処方箋医薬品を扱っていますので、アマゾンには手を出せない部分ですね。


さらに進撃するアマゾン

こうしてみると、小売店が生き残るための鍵は、アマゾンの死角や隙間を突くことだといえますね。

言い換えれば、圧倒的な強者であるアマゾンに対して、「弱者の戦略」をとることが生き残るための必要条件です。

アマゾンが弱点としている「店舗の活用」「リアルな体験」「特殊な専門性」。これらに集中し、深く掘り下げることで、勝ち目が見えてきます。

いや、そこを突かないと、勝てる要素がありません。


もっともアマゾンも手をこまねているわけではありません。

小売チェーンの買収や、無人店舗の展開などを通じて、弱点を克服しようとしています。

あるいはビジネス向けのニーズに応えるべく専門のサイトも開設しています。

それがうまく機能しているかどうかはまだ未知数ですが、アマゾンがこまめにミート戦略を実施してきていることは、さらに脅威となりそうです。

(ミート戦略:強者が、弱者の特徴を消すために弱者のマネをする戦略)


アマゾン・エフェクトに対抗する その4.アマゾンの傘下に入る


最近、ベストバイが、アマゾンとの提携を発表し、世間を驚かせました。

アマゾンのサイト内にベストバイの販売コーナーを設置したのです。

これまでベストバイは、店舗で見てネットで購入する顧客を自社サイトに取り込もうと躍起になってきましたが、ここにきてアマゾンに歩み寄ったかっこうです。

ベストバイの経営陣いわく「ネット通販でアマゾンに対抗するのは無理があった」ということですから、実に潔い白旗ではないですか。

もしかすると、この提携は、アマゾンによる資本参加、あるいは買収につながっていくのかも知れません。

アマゾンに飲み込まれることを覚悟した選択であり、究極の「長いものに巻かれよ」ですな。


そうなると、日本において、店舗とネット通販を充実させてアマゾンにまっこう対立する戦略をとるヨドバシカメラの去就が注目されます。

都市型家電量販店のヨドバシカメラは、業界でもひとり気を吐いている好調組ですが、アマゾンが日本攻略にさらに本腰を入れてきた時に、持ちこたえられるのでしょうか。


アマゾン・エフェクトは終わらない


アマゾン・エフェクトに対して、生き残る方策はある。とことさら取り上げること自体、アマゾンの強大な力を示しています。

日本を代表する小売チェーンといえども、アマゾンの死角や隙間を突かないと生き残ることができないほど追い詰められているのです。

しかもアマゾンは、日々、その戦略や技術を進化させています。アマゾン・エフェクトがさらに強大になることはあっても、消えていくことは考えにくいです。

世界中の小売店は、もはやアマゾンの脅威に晒されることを前提に戦略を決めていかなければなりません。

いわば、世界中が「弱者の戦略」を強いられている状態です。

皆さま、覚悟いたしましょう。


(2018年11月1日メルマガより)

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ビジネスの情報に接していて、その消息を聞かない日はない、というのが、アマゾンです。

まったくもって呆れたもんです。

ここ数年ではありません。十数年。アマゾンは話題の主役であり続けています。


アマゾン・エフェクトとは


このたびも、米国大手小売りチェーンのシアーズが経営破綻しましたが、その直接の原因が、アマゾンの台頭だと言われています。


いわゆるアマゾン・エフェクトというやつですな。

ちなみにアマゾン・エフェクトとは、アマゾンの革新的なビジネスのパワーにより、あらゆる産業のプレイヤーたちが市場からの退場やビジネスモデルの大幅な変革を余儀なくされることを示した言葉です。

家電量販店のラジオジャックや玩具小売大手トイザらスなど、ここ数年、アマゾン・エフェクトにより破綻に追い込まれる小売店が頻発しています。

あるいは衣料品小売り大手のギャップの店舗が大量閉鎖に追い込まれたこともありました。

そうかと思えば、ビジネスモデルをガラリと変えて生き残る企業も出ています。

いまやアマゾンは、ネット通販大手でもあり、家電品メーカーでもあり、衣料品製造小売りでもあり、出版社でもあり、クラウドシステムの提供企業でもあります。もうすぐ金融機能も持つようになるでしょう。

だからアマゾンの及ぼす営業は地のはてまで及びます。どの業界もアマゾン・エフェクトから逃れることはできません。

アマゾンの脅威恐るべしです。


アマゾン・エフェクトに対抗する方法はあるのか


シアーズというと、経営理論の教科書に載るぐらい成功した小売チェーンでした。

創業当初は、小売り流通網のない農村地帯をターゲットにした通販カタログ事業として発足し、流通網が整備されてくると、組織体制をいち早く整えて、全米に小売店を展開していきました。

常に時代の変化を読み、真っ先に組織を整備して、時代に対応するというのがシアーズでした。

ところが、そのシアーズも、アマゾンの台頭には太刀打ちできなかったようです。

げに恐ろしきはアマゾンです。

しかし、よく調べてみると、シアーズの業績が悪化したのは、必ずしもアマゾンによるものとは言えない部分もあります。

現在のアメリカのナンバーワン小売チェーンであるウォルマートの台頭時から、シアーズは苦戦を強いられていました。

ウォルマートの代名詞である「エブリデイ・ロープライス」に対抗できていなかったのです。

そのウォルマートでさえ、アマゾンの脅威によって、窮地に陥っています。

だから今回、経営破綻したシアーズは、とうの昔に、時代に追い付けなくなっていたといった方がいいのかも知れません。


イナゴの大群のようにすべてを食い尽くし、不毛の地にしてしまうかのようなアマゾンの進撃ですが、実をいうと、したたかに生き残る小売チェーンも存在します。


アメリカのホームセンター、ホーム・デポや家電量販店のベストバイなどです。

どのような小売チェーンが生き残っているというのでしょうか。


アマゾン・エフェクトに対抗する その1.店舗をとことん利用する


まず一つ。アマゾンには店舗がありません。

いや最近は弱点を克服しようと小売店の買収や無人店舗の開発などを進めているようですが、まだ戦力となるには至っていません。

ですから、店舗を中心とした販売戦略には、アマゾンが対抗できない分野があります。


たとえば上記のアメリカの家電量販店ベストバイは「ショールーミング」を推奨する戦略をとっています。

ショールーミングとは、ネットで購入する前に、店舗で商品を確認する作業のことです。

実際にはネットで買われるのだから、店側としてはいい迷惑です。散々、商品を見せて、必要ならば説明し、値段を提示して、それで買ってくれない。得するのはアマゾンだけです。

既存の家電量販店が軒並み業績を悪化させたのは、アマゾンの台頭によりショールーミングが一般的になってしまったことが一因です。

しかし我々一般消費者からすれば、一抹の罪悪感は覚えるものの同じ商品を購入するなら、安くて宅配してくれるアマゾンがいいに決まっています。

憤懣やるかたない店側ですが、さすがに消費者に文句を言うわけにはいきません。そこで開き直ったベストバイは、ショールーミング上等!どんどん見て、どんどんネットで買ってくれ!と言い出しました。

その代わり、購入するのは、自社のネットサイトです。

そうなんですね。ベストバイは多額の投資を行って、アマゾンに負けないような自社ネットショップを作ってしまったのです。

店舗で商品を確かめてもらったら、そのまま自社のネットサイトで購入してもらうように誘導する接客を行いました。

値段はアマゾンに合わせています。だから消費者は、ベストバイで購入しない理由がありません。罪悪感も覚えません。


この方法は、ヤマダ電機も追随しています。ヨドバシカメラはもっと本格的にネット販売に取り組んで、一定の成果を上げています。

アメリカの場合、宅配事情が日本ほど細やかでないという理由もあります。アメリカの宅配業者は、不在の場合、玄関前に商品をそのまま置いていくことが多いそうですから、置き引きが多発しているそうです。

それなら、ネットで購入して、店舗で受け取ることができるベストバイに利便性があるというものですね。

店舗+ネットの合わせ技で対抗するというのが、一つの方法です。


アマゾン・エフェクトに対抗する その2.体験の提供


アマゾンが最も苦手とするのが「体験」の提供です。

これもネット通販の泣き所ですね。


上記のアメリカのホームセンター、ホーム・デポは、自社の店舗を「体験の場」だと位置づけて、日曜大工の講習や相談会を積極的に展開することで、顧客の支持を得ました。

ネットで日曜大工のことをいくら調べても、実際のリアルな講習ほどの臨場感はありません。わからないことがあれば、店員さんに聞けばすぐに答えてくれるはずです。

日曜大工に興味のない消費者でも、店に行けば講習をやっているので、興味を持つこともあるでしょう。

あの店に行けば何か体験できる。というイメージは、店に足を運ぶ大きな動機となります。


日本においては、ドン・キホーテが、エンタメ要素満載の体験型消費を提供しています。

大手小売りチェーンのユニーなど、ドン・キホーテと提携したと思ったら、店舗の多くをドンキ型に改装していく意向を示しました。えらい入れ込みようです。

道頓堀にあるドン・キホーテの屋上には観覧車が回っていますが、それが同社のコンセプトを象徴しています。

わざと探しにくく陳列した店舗は、宝探しのようなワクワク感に満ちています。

品揃えも、バラエティショップよろしく、定番化していないので、行くたびに新しい商品を見つけることができます。

驚安というほど安くない商品も多いのですが、それでも何があるか分からないという楽しさがあります。

これは、検索のしやすさを追求しているアマゾンとは真逆の楽しさです。アマゾンにはない購買体験を提供しているといえます。

アマゾン・エフェクトに対抗する その3.特殊で深いニーズに応える


上記のホーム・デポは、一般消費者ではなく、建築業者などをターゲット顧客とする戦略を推し進めています。


アマゾンは最も大きな市場を狙いますから、専門業者の特殊ニーズに応えるのは、あまり得意としていません。

ですから、専門業者のニーズに応えることができれば、その分野では、アマゾンに勝つことができます。


日本でいえば、ワークマンなどは、特殊性の高い商品展開をしているので、アマゾンの影響を受けにくいといえます。


特殊性が高いということは、リアルに確認してから購入したい顧客が多いということです。

アマゾンも業者向けサイトを開設するなどして、この分野の取り込みを図っていますが、いかんせんすべてを網羅することは難しいと思います。

やはり特殊なニーズに深く応える店は、生き残る可能性が高いといえるでしょう。


アマゾン・エフェクトに対抗する その他の方法


その他、アマゾンに対抗できそうなのは、100円ショップです。

こちらも、いくら衝動買いしても大した金額にならないという安心感から、エンタメ化した購買体験を提供しているといえます。

その上、アマゾンは、送料がかかるために、100円などという価格をつけることを苦手としています。

エンタメ+送料不要というアマゾンの苦手な部分を担うことで100円ショップは、これからも生き残っていくだろうと思います。


あとは、ドラッグストア。

こちらは処方箋医薬品を扱っていますので、アマゾンには手を出せない部分ですね。


さらに進撃するアマゾン

こうしてみると、小売店が生き残るための鍵は、アマゾンの死角や隙間を突くことだといえますね。

言い換えれば、圧倒的な強者であるアマゾンに対して、「弱者の戦略」をとることが生き残るための必要条件です。

アマゾンが弱点としている「店舗の活用」「リアルな体験」「特殊な専門性」。これらに集中し、深く掘り下げることで、勝ち目が見えてきます。

いや、そこを突かないと、勝てる要素がありません。


もっともアマゾンも手をこまねているわけではありません。

小売チェーンの買収や、無人店舗の展開などを通じて、弱点を克服しようとしています。

あるいはビジネス向けのニーズに応えるべく専門のサイトも開設しています。

それがうまく機能しているかどうかはまだ未知数ですが、アマゾンがこまめにミート戦略を実施してきていることは、さらに脅威となりそうです。

(ミート戦略:強者が、弱者の特徴を消すために弱者のマネをする戦略)


アマゾン・エフェクトに対抗する その4.アマゾンの傘下に入る


最近、ベストバイが、アマゾンとの提携を発表し、世間を驚かせました。

アマゾンのサイト内にベストバイの販売コーナーを設置したのです。

これまでベストバイは、店舗で見てネットで購入する顧客を自社サイトに取り込もうと躍起になってきましたが、ここにきてアマゾンに歩み寄ったかっこうです。

ベストバイの経営陣いわく「ネット通販でアマゾンに対抗するのは無理があった」ということですから、実に潔い白旗ではないですか。

もしかすると、この提携は、アマゾンによる資本参加、あるいは買収につながっていくのかも知れません。

アマゾンに飲み込まれることを覚悟した選択であり、究極の「長いものに巻かれよ」ですな。


そうなると、日本において、店舗とネット通販を充実させてアマゾンにまっこう対立する戦略をとるヨドバシカメラの去就が注目されます。

都市型家電量販店のヨドバシカメラは、業界でもひとり気を吐いている好調組ですが、アマゾンが日本攻略にさらに本腰を入れてきた時に、持ちこたえられるのでしょうか。


アマゾン・エフェクトは終わらない


アマゾン・エフェクトに対して、生き残る方策はある。とことさら取り上げること自体、アマゾンの強大な力を示しています。

日本を代表する小売チェーンといえども、アマゾンの死角や隙間を突かないと生き残ることができないほど追い詰められているのです。

しかもアマゾンは、日々、その戦略や技術を進化させています。アマゾン・エフェクトがさらに強大になることはあっても、消えていくことは考えにくいです。

世界中の小売店は、もはやアマゾンの脅威に晒されることを前提に戦略を決めていかなければなりません。

いわば、世界中が「弱者の戦略」を強いられている状態です。

皆さま、覚悟いたしましょう。


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代表者・駒井俊雄が発行するメルマガ「営業は売り子じゃない!」
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