引越し業の差別化競争時代

2007.03.15


(2007年3月15日メルマガより)

■もうすぐ春休み。

私の場合は年中休みみたいなもんですが^^;世間は区切りの時を迎えます。

3月末から4月初めにかけては、いわゆる引越しシーズンです。

■実は、少し前、親戚が引越しをすることになったので、その様子を伺って
きました。

これが大変なんですよね。私もほんの3年ほど前に引越しを経験しましたか
ら、その煩わしさは身に沁みております。

もっとも家人に言わせると、私は何もしていなかったそうです。煩わしい気
持ちだけでイッパイイッパイだったんですかね(ー ー;

こんな旦那を持った家人のことが思いやられます。

■というわけでうちはおまかせパックを使いました。

これは確かに楽でした。細かい品の梱包から荷解きまで全部やってくれるん
ですから。

もちろん触れられたくない物や、収納をこれから考える物も多いので、すべ
て任せるというわけにはいきませんが、単純作業に関しては相当軽減されま
す。

しかもプロの仕業はとにかく早い。年配の女性が来て、テキパキと機械のよ
うにやってくれました。

■それを聞いていたから、親戚もおまかせパックを使うようです。

しかも彼らは、自宅から町内の新居への引越しなので、日程に縛られません。
(つまり子供の校区が変わるとかがないわけです)

だから、引越し屋さんにこう切り出したそうです。「一番安くできて、一番
うまい人が来れて、一番ていねいにサービスできる日を選んでください」

■そうなんですよね。

引越しというのは、需要と供給のバランスで値段がめまぐるしく変わるサー
ビスなのです。

春の引越しシーズンと、お盆の頃の閑散期では、値段が倍以上違います。ま
るで経済学の需要供給曲線を見るような業界です。

こういうのって、消費者から見れば「値段があってないようなもん」という
ことです。

実際、引越し屋さんって、相見積もりをとれば、いくらでも値引きしてくれ
る印象がありました。

日本の引越し業界は大手6社の寡占状態なのですが、その中で割高でも通用
するぐらいブランド力が高い業者はありません。

結局は、土俵に上れば凄まじい叩き合いになるわけです。

■引越し市場を切り開いたのは、アート引越しセンターであると言われます。
それまで、面倒で儲からない仕事だからと気合の入らなかった大手運送会社
のスキマを突いて、女性社長が主婦の目線から様々な斬新なサービスを打ち
出すことで、市場そのものを作り上げました。

今日、引越し専業の業者は、アート、サカイ、引越社(アリさんマーク)が
大手です。

しかし、売上が大きいのは、日通、ヤマト、全国引越専門共同組合(中小業
者の互助組織)などの兼業運送業者です。

引越し業は本来、装置産業の側面があります。シーズンの需要が大きいのに、
運送手段がないのでは、その需要を取り込めません。かといって、引越し業
のためだけにトラックと運転手を用意していたのでは、閑散期の固定費負担
が大きすぎます。

兼業の運送業者がまだまだ強い理由がここにあります。

もっとも、兼業運送業者は、手間のかかる割りに儲からない引越しサービス
に及び腰だということです^^;そんな姿勢があるからか、兼業業者の業績
は年々落ち込んできており、専業業者のシェアが伸びてきているようです。

専業業者は、引越し業を「サービス業」だと捉えることで、市場を切り開き
ました。

なんせ、引越し時の斬新なサービスの殆どが専業業者のアイデアです。先ほ
どの「おまかせパック」もそうですし、「部屋のクリーニング」「家電機器
セッティング」サービスというのもあります。「家具の耐震対策」なんての
もありましたね。

こうして見ると、引越し業が究極のサービス業だと言われる所以が理解でき
ます。引越し業界は、サービスの差別化競争時代に入っており「固定費負担」
と「サービスの開発」という2つの課題を克服する必要に迫られています。

サービスに関して言えば、どの業者も決定的な独自性を出すまでには至って
いません。小さな差別化をお互い模倣しまくっている状況です。

結局は価格競争になる所以ですな。

■もっとも、成長市場にはまだまだスキマがありそうです。

私の場合、引越しの当日やって来たのは下請け業者でした。品質重視だとい
う派手な宣伝をして、実際の業務は下請けに丸投げというのはよくあること
なんでしょうか。

しかも慣れない様子のその業者は、作業も遅く、積み込みもいい加減で、家
具に傷をつけるというトラブルを起こしました。

小さな荷物の梱包を担当した女性(多分、本部から派遣されてきたんでしょ
う)がプロらしいテキパキした仕事だっただけに残念なことでした。

修理代は支払ってもらいましたが、家具がもとの姿に戻るわけではなく、後
味の悪い話です。

これなどは、引越し専業会社の固定費負担克服の難しさを表しています。し
かし、それは飽くまで供給側の事情であり、消費者に押し付けていてはサー
ビス競争に生き残ることはできません。

だから、すべて自社便ということを売りにしている業者もありますね。どう
やって、固定費を取り込んでいるのでしょうか?

■そもそも、不透明な価格設定に問題があります。相見積もりをとると値引
きするということは、そのまま言い値で受ける人がバカを見ています。

値引きする前に適正価格を堂々と設定してもらいたいものです。

需要と供給で値段が変わるならば、カカクコムとか、オークションで、取引
することはできないのでしょうか?

と思ったら、ありました。http://www.hikkoshi-ichiba.com/

こちらは引越し見積もりのサイトです。考えてるもんですね。このサイトに
大手業者が参加するようになれば、価格の透明性も増すんでしょうが、現在
の見積もりに怪しさは拭えません。

引越しは荷物量や状況によってオーダーメイドになるので透明な価格設定は
難しいというのが業界の常識でしょうが、ここに大きなチャンスがあると捉
えてほしいものです。荷物がどれだけ多くても一軒いくらとか、スキッとし
た価格はないもんでしょうか。

■今のままでは、私の親戚のように、賢く交渉しないと損をしそうです。

ちなみに親戚は、引越し屋の都合に合わせて、平日の何でもない日に引越し
をしたので、驚くほど安い値段で、プロの引越しマン(?)が大勢来て、完
璧な仕事ぶりを享受できたということです。

よかったですね。

■「週刊ダイヤモンド」(2007/03/17)によると、東京には「プロレスラー
の引越し屋」があるそうです。

本物の現役プロレスラーたちが副業で始めた引越し屋さんです。

力持ちだから引越し屋というのも短絡的な気がしますが、彼らは大真面目に
やっております。もの珍しさもあってか、結構繁盛しているという話です。

引越し業は、トラックと運転手がいれば比較的簡単に認可がとれる事業です。
装置産業の割には参入障壁が低い。

新参業者でも繁忙期にはそこそこ仕事があるのでしょう。営業上も低いハー
ドルです。ただし専業で閑散期を乗り切ることは難しい。

しかも、小さな事業者が、他の運送業との兼業を続けていては、独自サービ
スを開発することもままなりません。いつまでたっても零細事業から抜け出
せない状況があります。参入は容易いが、続けることは厳しい業界です。
(それであぶれた業者が、大手業者の下請けとなっていくのでしょうか)

もっとも、生き残りをかけたそれぞれの業者が違いを打ち出そうと差別化サ
ービスを提供することが、業界全体のサービス向上につながっていることは
否めません。

変に談合せずに、このまま健全な競争を続けていってほしいものです。

■私ならプロレスラーの引越し屋と、キャンディフルーツのメイドを組み合
わせて新しいサービスを作りますね。

梱包はメイドにお任せ、荷物はレスラーが運ぶという「騎士とメイドの引越
しサービス」です。

これはマネできないでしょう^^

ターゲットを間違っていますかね?


(2007年3月15日メルマガより)

■もうすぐ春休み。

私の場合は年中休みみたいなもんですが^^;世間は区切りの時を迎えます。

3月末から4月初めにかけては、いわゆる引越しシーズンです。

■実は、少し前、親戚が引越しをすることになったので、その様子を伺って
きました。

これが大変なんですよね。私もほんの3年ほど前に引越しを経験しましたか
ら、その煩わしさは身に沁みております。

もっとも家人に言わせると、私は何もしていなかったそうです。煩わしい気
持ちだけでイッパイイッパイだったんですかね(ー ー;

こんな旦那を持った家人のことが思いやられます。

■というわけでうちはおまかせパックを使いました。

これは確かに楽でした。細かい品の梱包から荷解きまで全部やってくれるん
ですから。

もちろん触れられたくない物や、収納をこれから考える物も多いので、すべ
て任せるというわけにはいきませんが、単純作業に関しては相当軽減されま
す。

しかもプロの仕業はとにかく早い。年配の女性が来て、テキパキと機械のよ
うにやってくれました。

■それを聞いていたから、親戚もおまかせパックを使うようです。

しかも彼らは、自宅から町内の新居への引越しなので、日程に縛られません。
(つまり子供の校区が変わるとかがないわけです)

だから、引越し屋さんにこう切り出したそうです。「一番安くできて、一番
うまい人が来れて、一番ていねいにサービスできる日を選んでください」

■そうなんですよね。

引越しというのは、需要と供給のバランスで値段がめまぐるしく変わるサー
ビスなのです。

春の引越しシーズンと、お盆の頃の閑散期では、値段が倍以上違います。ま
るで経済学の需要供給曲線を見るような業界です。

こういうのって、消費者から見れば「値段があってないようなもん」という
ことです。

実際、引越し屋さんって、相見積もりをとれば、いくらでも値引きしてくれ
る印象がありました。

日本の引越し業界は大手6社の寡占状態なのですが、その中で割高でも通用
するぐらいブランド力が高い業者はありません。

結局は、土俵に上れば凄まじい叩き合いになるわけです。

■引越し市場を切り開いたのは、アート引越しセンターであると言われます。
それまで、面倒で儲からない仕事だからと気合の入らなかった大手運送会社
のスキマを突いて、女性社長が主婦の目線から様々な斬新なサービスを打ち
出すことで、市場そのものを作り上げました。

今日、引越し専業の業者は、アート、サカイ、引越社(アリさんマーク)が
大手です。

しかし、売上が大きいのは、日通、ヤマト、全国引越専門共同組合(中小業
者の互助組織)などの兼業運送業者です。

引越し業は本来、装置産業の側面があります。シーズンの需要が大きいのに、
運送手段がないのでは、その需要を取り込めません。かといって、引越し業
のためだけにトラックと運転手を用意していたのでは、閑散期の固定費負担
が大きすぎます。

兼業の運送業者がまだまだ強い理由がここにあります。

もっとも、兼業運送業者は、手間のかかる割りに儲からない引越しサービス
に及び腰だということです^^;そんな姿勢があるからか、兼業業者の業績
は年々落ち込んできており、専業業者のシェアが伸びてきているようです。

専業業者は、引越し業を「サービス業」だと捉えることで、市場を切り開き
ました。

なんせ、引越し時の斬新なサービスの殆どが専業業者のアイデアです。先ほ
どの「おまかせパック」もそうですし、「部屋のクリーニング」「家電機器
セッティング」サービスというのもあります。「家具の耐震対策」なんての
もありましたね。

こうして見ると、引越し業が究極のサービス業だと言われる所以が理解でき
ます。引越し業界は、サービスの差別化競争時代に入っており「固定費負担」
と「サービスの開発」という2つの課題を克服する必要に迫られています。

サービスに関して言えば、どの業者も決定的な独自性を出すまでには至って
いません。小さな差別化をお互い模倣しまくっている状況です。

結局は価格競争になる所以ですな。

■もっとも、成長市場にはまだまだスキマがありそうです。

私の場合、引越しの当日やって来たのは下請け業者でした。品質重視だとい
う派手な宣伝をして、実際の業務は下請けに丸投げというのはよくあること
なんでしょうか。

しかも慣れない様子のその業者は、作業も遅く、積み込みもいい加減で、家
具に傷をつけるというトラブルを起こしました。

小さな荷物の梱包を担当した女性(多分、本部から派遣されてきたんでしょ
う)がプロらしいテキパキした仕事だっただけに残念なことでした。

修理代は支払ってもらいましたが、家具がもとの姿に戻るわけではなく、後
味の悪い話です。

これなどは、引越し専業会社の固定費負担克服の難しさを表しています。し
かし、それは飽くまで供給側の事情であり、消費者に押し付けていてはサー
ビス競争に生き残ることはできません。

だから、すべて自社便ということを売りにしている業者もありますね。どう
やって、固定費を取り込んでいるのでしょうか?

■そもそも、不透明な価格設定に問題があります。相見積もりをとると値引
きするということは、そのまま言い値で受ける人がバカを見ています。

値引きする前に適正価格を堂々と設定してもらいたいものです。

需要と供給で値段が変わるならば、カカクコムとか、オークションで、取引
することはできないのでしょうか?

と思ったら、ありました。http://www.hikkoshi-ichiba.com/

こちらは引越し見積もりのサイトです。考えてるもんですね。このサイトに
大手業者が参加するようになれば、価格の透明性も増すんでしょうが、現在
の見積もりに怪しさは拭えません。

引越しは荷物量や状況によってオーダーメイドになるので透明な価格設定は
難しいというのが業界の常識でしょうが、ここに大きなチャンスがあると捉
えてほしいものです。荷物がどれだけ多くても一軒いくらとか、スキッとし
た価格はないもんでしょうか。

■今のままでは、私の親戚のように、賢く交渉しないと損をしそうです。

ちなみに親戚は、引越し屋の都合に合わせて、平日の何でもない日に引越し
をしたので、驚くほど安い値段で、プロの引越しマン(?)が大勢来て、完
璧な仕事ぶりを享受できたということです。

よかったですね。

■「週刊ダイヤモンド」(2007/03/17)によると、東京には「プロレスラー
の引越し屋」があるそうです。

本物の現役プロレスラーたちが副業で始めた引越し屋さんです。

力持ちだから引越し屋というのも短絡的な気がしますが、彼らは大真面目に
やっております。もの珍しさもあってか、結構繁盛しているという話です。

引越し業は、トラックと運転手がいれば比較的簡単に認可がとれる事業です。
装置産業の割には参入障壁が低い。

新参業者でも繁忙期にはそこそこ仕事があるのでしょう。営業上も低いハー
ドルです。ただし専業で閑散期を乗り切ることは難しい。

しかも、小さな事業者が、他の運送業との兼業を続けていては、独自サービ
スを開発することもままなりません。いつまでたっても零細事業から抜け出
せない状況があります。参入は容易いが、続けることは厳しい業界です。
(それであぶれた業者が、大手業者の下請けとなっていくのでしょうか)

もっとも、生き残りをかけたそれぞれの業者が違いを打ち出そうと差別化サ
ービスを提供することが、業界全体のサービス向上につながっていることは
否めません。

変に談合せずに、このまま健全な競争を続けていってほしいものです。

■私ならプロレスラーの引越し屋と、キャンディフルーツのメイドを組み合
わせて新しいサービスを作りますね。

梱包はメイドにお任せ、荷物はレスラーが運ぶという「騎士とメイドの引越
しサービス」です。

これはマネできないでしょう^^

ターゲットを間違っていますかね?

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