キリンビバレッジは逆転できるのか?

2015.01.22

(2015年1月22日メルマガより)


■日本のビール系飲料トップは、アサヒです。


怪物商品アサヒスーパードライは未だに売れ続けており、衰えることを知りません。

実は、スーパードライに限らず、1度トップに立ったブランドが、下位に転落することはあまりありません。

かつてスーパードライが、キリンラガーを抜き去ったこと自体が、非常に珍しいケースなのです。

どのようにして逆転できたのかは「ランチェスター戦略入門講座」でよくとりあげる事例ですが、ここでは省略します。

■ただし、ビール系飲料全体の売れ行きは年々減少しています。

一時期、発泡酒や第三のビールが売れた時期もありましたが、それを含めても減少しています。

だから大手ビールメーカーは、ビール系以外のアルコール飲料の強化、海外展開(海外企業のM&A)に力を入れており、収益基盤の拡大を目指しています。

■企業グループ全体の売上高(2013年)を見ると、

キリンホールディングス:2兆1861億円

サントリーホールディングス:1兆8515億円

アサヒホールディングス:1兆5790億円

※「日経業界地図」より

となっており、今のところキリンがトップに立っています。

■この大手3社にとって、もう一つの収益源が、清涼飲料水です。

しかし、清涼飲料水市場には、また別の強力な企業がいますので、簡単なことではありません。

ちなみに、清涼飲料水市場においては、

1位:コカ・コーラグループ

2位:サントリー食品インターナショナル

3位:伊藤園

4位:アサヒ飲料

5位:キリンビバレッジ

となっており、キリンは苦戦しています。

そのキリンビバレッジに関する記事が週刊ダイヤモンドに載っていました。

参考:【企業特集】キリンビバレッジ http://diamond.jp/articles/-/64365

業界5位を低迷する同社の新社長に対する期待と不安が書かれています。

■そもそも、かつて勢いがあって3位になったこともあるキリンビバレッジがなぜ5位に低迷しているのか?

記事によると、2009年当時の社長方針として、市場シェアを追うことをやめて利益重視にシフトしたからだと書かれています。

なんとまあアホなことを。。。

リーマンショックで売上が低迷した時期に、特売が乱発して販促経費が嵩んだので、それを止めようとしたとのことですが、そんなことをすれば、販売店に嫌われるに決まっていますよ。

売上をあげようとする者は、ひと時たりとも市場シェアに対する意識を捨ててはなりません。

一律利益重視、特売禁止などというと、一般の営業は戦意喪失していまいます。

■ちなみに、清涼飲料水の販売チャネルの約3割は自動販売機です。

こちらは基本的に特売のない安定した市場です。

自動販売機チャネルで圧倒的に強いのが、コカ・コーラグループ。盤石の1位です。

各メーカーは、自動販売機チャネルが欲しくて欲しくて仕方ないわけですが、設置場所にも限りがあって、これ以上大幅には増えることはないと考えられます。

■残念ながらキリンビバレッジは、自動販売機チャネルに弱く、量販店やスーパーなどの小売店チャネルに頼らざるを得ません。

同社が、ヒットを連発して、勢いがあった頃は、量販店やスーパーとの関係が良好に保たれていたようです。

そもそも商品力だけで商品がヒットすることはありません。そこには必ず販売チャネルとの良好な関係があります。

私がかつて所属していた消費財メーカーも、その分野で世界トップになる過程では、第一段階として量販店との関係を構築し、第二段階でヒット商品を生み出しました。

ヒット商品が先にあって、後から販売チャネルを構築するというのは、ない、とはいいませんが、極めて少ない例だと思います。

量販店やスーパーとの関係を構築するためには様々な方法があります。

定期訪問、クイックレスポンス、的確な差別化提案といった基本事項に加えて、各種データの提供、クレーム対応、役務提供など。

さらには工場見学や懇親会などもたまには有効です。

前の会社の例では、時効でしょうから言いますが、小売店担当者のために会議資料を作ってあげたり、(私ではありませんが)昇進試験のための論文を代筆したということもあったようです^^

特売対応もその中に含まれます。

バイヤーも目標達成に必死ですから、売上が足りない時、利益が足りたい時に、親しいメーカーには協力を要請してきます。

それを無下に断るのは得策ではありません。(もちろん状況を理解した上で対応しなければアホですが)

■たぶん、キリンビバレッジもそうやって、シェア拡大してきたのでしょう。

その過程で、それなりの販促費を使うのは仕方ないことです。

売り場のスペースを確保して、さあこれから収益商品を強化して収穫するぞーという時に、自ら機会を逃すというのは、勿体ない限りですよ。

■私が営業時代、最もアホな指示は「売上はあげなくていいから、利益を上げてこい」でした。

笑い話ではありません。グループ全体に示されたガチの指示です。

完全無視したことは言うまでもありません^^

無能な人間は、利益を上げるためのプロセスに目がいかず、理解できないまま口に出してしまうものなんですね。

キリンビバレッジの社長がどういう意図で特売禁止などと枝葉施策に言及したのかは知りませんが、なんともお粗末な指示を出したものです。

■キリンビバレッジの新社長は、かつて同社を3位に押し上げた人のようです。

2018年までに市場シェア3位奪取を目標に掲げ、

1.コーヒー、お茶、炭酸に特化

2.特売の再開、販促管理の現場移管

3.自販機部門は買収などで強化

という方針を打ち出しています。

■しかし、コーヒー「ファイア」(5位)、お茶「生茶」(8位)、炭酸「メッツ」(8位)という位置づけでは、なかなか現実味がわきません。

この中で、可能性がありそうなのが、コーヒー分野です。3位のワンダとの差が、1.6倍。4位の「ダイドー」との差は、1.28倍。十分に射程距離内です。

「メッツ」は機能性飲料なので、カテゴリーが別です。

だから、基本的に、コーヒー分野に特化して、「メッツ」と「午後の紅茶」を守るという方針がいいのではないでしょうか。

プレミアムブランドの「別格」も、コーヒーに絞るべきです。

■もう一つ、気になるのが、2の「特売の再開、販促管理の現場移管」という部分です。

方針にしては些末すぎる。

要するに、これは「小売店との関係再構築」です。

特売をしようがしまいが、そんなことはどうでもいい。

大切なことは、売り場のスペースを確保して市場シェアを上げること。

そのために特売が有効であればすればいいですし、他の手段があるならそちらを試すべきです。

■私なら小売店の格付けをした上で、重点店を決めて、売上目標配分します。

店ごとに攻略方針を作って、行動目標を決めます。

戦術を積み重ねて、市場シェアを上げていくのは、私の得意分野ですので腕が鳴りますが、押しかけコンサルをするわけにはいきませんから仕方がない。

キリンビバレッジの健闘を祈っております。


【オンラインセミナー】ランチェスター戦略入門編
http://goo.gl/ka0BBL

(2015年1月22日メルマガより)


■日本のビール系飲料トップは、アサヒです。


怪物商品アサヒスーパードライは未だに売れ続けており、衰えることを知りません。

実は、スーパードライに限らず、1度トップに立ったブランドが、下位に転落することはあまりありません。

かつてスーパードライが、キリンラガーを抜き去ったこと自体が、非常に珍しいケースなのです。

どのようにして逆転できたのかは「ランチェスター戦略入門講座」でよくとりあげる事例ですが、ここでは省略します。

■ただし、ビール系飲料全体の売れ行きは年々減少しています。

一時期、発泡酒や第三のビールが売れた時期もありましたが、それを含めても減少しています。

だから大手ビールメーカーは、ビール系以外のアルコール飲料の強化、海外展開(海外企業のM&A)に力を入れており、収益基盤の拡大を目指しています。

■企業グループ全体の売上高(2013年)を見ると、

キリンホールディングス:2兆1861億円

サントリーホールディングス:1兆8515億円

アサヒホールディングス:1兆5790億円

※「日経業界地図」より

となっており、今のところキリンがトップに立っています。

■この大手3社にとって、もう一つの収益源が、清涼飲料水です。

しかし、清涼飲料水市場には、また別の強力な企業がいますので、簡単なことではありません。

ちなみに、清涼飲料水市場においては、

1位:コカ・コーラグループ

2位:サントリー食品インターナショナル

3位:伊藤園

4位:アサヒ飲料

5位:キリンビバレッジ

となっており、キリンは苦戦しています。

そのキリンビバレッジに関する記事が週刊ダイヤモンドに載っていました。

参考:【企業特集】キリンビバレッジ http://diamond.jp/articles/-/64365

業界5位を低迷する同社の新社長に対する期待と不安が書かれています。

■そもそも、かつて勢いがあって3位になったこともあるキリンビバレッジがなぜ5位に低迷しているのか?

記事によると、2009年当時の社長方針として、市場シェアを追うことをやめて利益重視にシフトしたからだと書かれています。

なんとまあアホなことを。。。

リーマンショックで売上が低迷した時期に、特売が乱発して販促経費が嵩んだので、それを止めようとしたとのことですが、そんなことをすれば、販売店に嫌われるに決まっていますよ。

売上をあげようとする者は、ひと時たりとも市場シェアに対する意識を捨ててはなりません。

一律利益重視、特売禁止などというと、一般の営業は戦意喪失していまいます。

■ちなみに、清涼飲料水の販売チャネルの約3割は自動販売機です。

こちらは基本的に特売のない安定した市場です。

自動販売機チャネルで圧倒的に強いのが、コカ・コーラグループ。盤石の1位です。

各メーカーは、自動販売機チャネルが欲しくて欲しくて仕方ないわけですが、設置場所にも限りがあって、これ以上大幅には増えることはないと考えられます。

■残念ながらキリンビバレッジは、自動販売機チャネルに弱く、量販店やスーパーなどの小売店チャネルに頼らざるを得ません。

同社が、ヒットを連発して、勢いがあった頃は、量販店やスーパーとの関係が良好に保たれていたようです。

そもそも商品力だけで商品がヒットすることはありません。そこには必ず販売チャネルとの良好な関係があります。

私がかつて所属していた消費財メーカーも、その分野で世界トップになる過程では、第一段階として量販店との関係を構築し、第二段階でヒット商品を生み出しました。

ヒット商品が先にあって、後から販売チャネルを構築するというのは、ない、とはいいませんが、極めて少ない例だと思います。

量販店やスーパーとの関係を構築するためには様々な方法があります。

定期訪問、クイックレスポンス、的確な差別化提案といった基本事項に加えて、各種データの提供、クレーム対応、役務提供など。

さらには工場見学や懇親会などもたまには有効です。

前の会社の例では、時効でしょうから言いますが、小売店担当者のために会議資料を作ってあげたり、(私ではありませんが)昇進試験のための論文を代筆したということもあったようです^^

特売対応もその中に含まれます。

バイヤーも目標達成に必死ですから、売上が足りない時、利益が足りたい時に、親しいメーカーには協力を要請してきます。

それを無下に断るのは得策ではありません。(もちろん状況を理解した上で対応しなければアホですが)

■たぶん、キリンビバレッジもそうやって、シェア拡大してきたのでしょう。

その過程で、それなりの販促費を使うのは仕方ないことです。

売り場のスペースを確保して、さあこれから収益商品を強化して収穫するぞーという時に、自ら機会を逃すというのは、勿体ない限りですよ。

■私が営業時代、最もアホな指示は「売上はあげなくていいから、利益を上げてこい」でした。

笑い話ではありません。グループ全体に示されたガチの指示です。

完全無視したことは言うまでもありません^^

無能な人間は、利益を上げるためのプロセスに目がいかず、理解できないまま口に出してしまうものなんですね。

キリンビバレッジの社長がどういう意図で特売禁止などと枝葉施策に言及したのかは知りませんが、なんともお粗末な指示を出したものです。

■キリンビバレッジの新社長は、かつて同社を3位に押し上げた人のようです。

2018年までに市場シェア3位奪取を目標に掲げ、

1.コーヒー、お茶、炭酸に特化

2.特売の再開、販促管理の現場移管

3.自販機部門は買収などで強化

という方針を打ち出しています。

■しかし、コーヒー「ファイア」(5位)、お茶「生茶」(8位)、炭酸「メッツ」(8位)という位置づけでは、なかなか現実味がわきません。

この中で、可能性がありそうなのが、コーヒー分野です。3位のワンダとの差が、1.6倍。4位の「ダイドー」との差は、1.28倍。十分に射程距離内です。

「メッツ」は機能性飲料なので、カテゴリーが別です。

だから、基本的に、コーヒー分野に特化して、「メッツ」と「午後の紅茶」を守るという方針がいいのではないでしょうか。

プレミアムブランドの「別格」も、コーヒーに絞るべきです。

■もう一つ、気になるのが、2の「特売の再開、販促管理の現場移管」という部分です。

方針にしては些末すぎる。

要するに、これは「小売店との関係再構築」です。

特売をしようがしまいが、そんなことはどうでもいい。

大切なことは、売り場のスペースを確保して市場シェアを上げること。

そのために特売が有効であればすればいいですし、他の手段があるならそちらを試すべきです。

■私なら小売店の格付けをした上で、重点店を決めて、売上目標配分します。

店ごとに攻略方針を作って、行動目標を決めます。

戦術を積み重ねて、市場シェアを上げていくのは、私の得意分野ですので腕が鳴りますが、押しかけコンサルをするわけにはいきませんから仕方がない。

キリンビバレッジの健闘を祈っております。


【オンラインセミナー】ランチェスター戦略入門編
http://goo.gl/ka0BBL

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