中小企業にとって仕組みとは

2007.08.02


(2007年8月2日メルマガより)

■「結局「仕組み」を作った人が勝っている」という本は、その題名の通り、
ビジネスにおける仕組みとは何か、様々な仕組みの形、その作り方を紹介
したものです。

この本では仕組みのことを「自分ではさほど動くことなく、自動的に収入が
入ってくるシステム」と書いています。

私は仕組みのことを「経営トップが何もしなくても普通に会社が回るための
システム」と考えていますから、似ていますね。

なお、この本に採りあげられているのは、個人事業者やSOHOレベルの会
社の事例です。

普通、中小零細企業は、社長がしゃかりきに働かなければ会社が回らないこ
とが殆どです。個人事業主になれば、自分が働かなければ回るわけがありま
せん。

しかし、そんな小さな事業でも、うまく仕組みを構築した事例があるのです。

この本では、インターネットやアウトソーシングをうまく組み合わせること
で、自分が働かなくても収入が継続する仕組み(自働化と称しています)を
作り上げた人々の話が掲載されています。

働かなくても収入が得られるとは夢のようですが^^;実際には、実作業を
他の人に任せるという意味です。作業してもらう人に相応の配分をしなけれ
ばなりませんので、収入はわずかになります。

それでも作業ゼロで継続的な収入が得られるなら良しとするべきでしょう。
なぜなら、同じ仕組みを積算することで大きな収入を作業ゼロのまま獲得で
きる可能性が出てくるからです。

もっとも、仕組みを考えるのは簡単なことではありませんし、その仕組みに
投資するリスクは自分が負わなければなりません(要するに、事業に失敗し
たら自分で責任をとらなければならない)ので、言うほど美味しい話ではな
いとは思います。

なにより、そういう仕組みは未来永劫動いてくれません。実際の寿命は2,
3年というところではないでしょうか。結局、経営トップは新たに戦略を練
り、新たな仕組みの構築を常に手がけていなければなりません。

■会社の規模がある程度大きくなってくると、仕組みも大掛かりになります。
インターネットで自動的に...というだけではうまく回りません。

従業員が100人、200人のレベルになると、仕組みがうまく回るかどうかは、
従業員が目論見どおりに動いてくれるかどうかにかかってきます。

つまり、中小企業にとって、仕組みとは従業員が期待通り動いてもらうため
のシステムです。

■(株)武蔵野は、ダスキンのフランチャイズ店などを展開する従業員360
名の会社ですが、日本経営品質賞を受賞するなど、優れた経営システムを持
つ会社としても知られています。

(株)武蔵野の小山昇社長の著作「決定で儲かる会社をつくりなさい」を読むと、
従業員を活かす経営とは、従業員が能力を発揮できるような様々な仕組みの構
築であることが分かります。

人材教育の仕組み。コミュニケーション円滑化の仕組み。ITリテラシーを
高める仕組み。自発的に考えて行動する従業員は、意図した仕組みから生み
出されるというのが、それらの著作で語られることです。

非常に有名な企業なので、人を活かす経営に興味のある方は、これらの著作
の一読をお奨めします。

■2007年7月9日号の日経ビジネスには、岐阜県の関ヶ原製作所という企業の
事例が掲載されていますので紹介しておきます。

こちらは、油圧シリンダーやトンネル掘削機を主要商品とするメーカーです。
従業員数は武蔵野とあまり変わらず。製品は特殊でもハイテクでもなし、オ
ンリーワンとは言いがたいものです。

大手企業の下請け製造として発展してきた会社ですが、1980年代の円高不況
で受注が落ち込み経営危機に陥ります。

こういう時、ジタバタと売上を上げようとしても必ず失敗するといっていい
でしょう。営業の尻を叩いたり、他業種からカリスマ営業をつれてきたり。
こういう話は何べんもしていますね。。。

関ヶ原製作所の矢橋社長(当時)がとった政策はなんと「家族経営」の強化
でした。

社長は「人生の大半を占める会社生活なら、楽しく過ごさなければ意味がな
い」と主張します。「社員が成長することで、会社も成長する」という考え
のもと、会社が社員の自己実現の場となるような「人間ひろば」を目指しま
す。

工場をものづくり広場、食堂をふれあい広場、研修施設を人間塾と名づけ、
共同体意識を演出します。

研修では、生産技術を磨くだけではなく、一般教養の習得や芸術などに触れ
る機会を設け、総合的な人間形成を目指しています。

■危機に至って、人材育成に取り組むというのはいかにも遠回りのような気
がしますが、それが抜本的な同社の強みになっていったことは間違いありま
せん。

恐らく田舎の企業に特有の職場と地域が一体となったコミュニティ意識がも
ともと強かったこともあったでしょう。

強い仲間意識が醸成され、賃金カットがあってもモチベーションは落ち込み
ませんでした。全社的な技術力は向上し、得意先にとってなくてはならない
製造業者となって危機を乗り切ります。

なにより、人材活性化の仕組みは長続きします。未来永劫とは言いませんが、
インターネットの自働化よりはよほど続きます。なぜなら、従業員が学ぶこ
とを覚え、自主的に動くようになると、戦略そのものを経営トップに代わっ
て考えてくれるようになるからです。

同社では、社員が自らニッチ市場を開拓し、技術を活かす事業を育成してい
ます。これがこの会社の将来性に貢献したことは言うまでもありません。

さらに、自主的に動く社員は、自ら教育係に回って、次代を育成するという
正の連鎖も生まれているようです。

まさに人が人を生む理想的な状態です。

■この会社、トヨタや松下が関心を寄せているとか。

効率化が一巡し、ついに家族経営が先進的な企業経営となったというのでし
ょうか。

人は石垣、人は城。
とは武田節の一節です。武田信玄は、この信念のもと、物理的な城の防備に
頼らずに、民政に力を注いで国全体の防衛力を上げたといいます。

企業力は、戦略×管理×実践。中小企業にとって管理とは「人が最も力を発
揮できるような仕組み」のことであるという事例です。

コンサルティングの基本思想に関わることですね。



(2007年8月2日メルマガより)

■「結局「仕組み」を作った人が勝っている」という本は、その題名の通り、
ビジネスにおける仕組みとは何か、様々な仕組みの形、その作り方を紹介
したものです。

この本では仕組みのことを「自分ではさほど動くことなく、自動的に収入が
入ってくるシステム」と書いています。

私は仕組みのことを「経営トップが何もしなくても普通に会社が回るための
システム」と考えていますから、似ていますね。

なお、この本に採りあげられているのは、個人事業者やSOHOレベルの会
社の事例です。

普通、中小零細企業は、社長がしゃかりきに働かなければ会社が回らないこ
とが殆どです。個人事業主になれば、自分が働かなければ回るわけがありま
せん。

しかし、そんな小さな事業でも、うまく仕組みを構築した事例があるのです。

この本では、インターネットやアウトソーシングをうまく組み合わせること
で、自分が働かなくても収入が継続する仕組み(自働化と称しています)を
作り上げた人々の話が掲載されています。

働かなくても収入が得られるとは夢のようですが^^;実際には、実作業を
他の人に任せるという意味です。作業してもらう人に相応の配分をしなけれ
ばなりませんので、収入はわずかになります。

それでも作業ゼロで継続的な収入が得られるなら良しとするべきでしょう。
なぜなら、同じ仕組みを積算することで大きな収入を作業ゼロのまま獲得で
きる可能性が出てくるからです。

もっとも、仕組みを考えるのは簡単なことではありませんし、その仕組みに
投資するリスクは自分が負わなければなりません(要するに、事業に失敗し
たら自分で責任をとらなければならない)ので、言うほど美味しい話ではな
いとは思います。

なにより、そういう仕組みは未来永劫動いてくれません。実際の寿命は2,
3年というところではないでしょうか。結局、経営トップは新たに戦略を練
り、新たな仕組みの構築を常に手がけていなければなりません。

■会社の規模がある程度大きくなってくると、仕組みも大掛かりになります。
インターネットで自動的に...というだけではうまく回りません。

従業員が100人、200人のレベルになると、仕組みがうまく回るかどうかは、
従業員が目論見どおりに動いてくれるかどうかにかかってきます。

つまり、中小企業にとって、仕組みとは従業員が期待通り動いてもらうため
のシステムです。

■(株)武蔵野は、ダスキンのフランチャイズ店などを展開する従業員360
名の会社ですが、日本経営品質賞を受賞するなど、優れた経営システムを持
つ会社としても知られています。

(株)武蔵野の小山昇社長の著作「決定で儲かる会社をつくりなさい」を読むと、
従業員を活かす経営とは、従業員が能力を発揮できるような様々な仕組みの構
築であることが分かります。

人材教育の仕組み。コミュニケーション円滑化の仕組み。ITリテラシーを
高める仕組み。自発的に考えて行動する従業員は、意図した仕組みから生み
出されるというのが、それらの著作で語られることです。

非常に有名な企業なので、人を活かす経営に興味のある方は、これらの著作
の一読をお奨めします。

■2007年7月9日号の日経ビジネスには、岐阜県の関ヶ原製作所という企業の
事例が掲載されていますので紹介しておきます。

こちらは、油圧シリンダーやトンネル掘削機を主要商品とするメーカーです。
従業員数は武蔵野とあまり変わらず。製品は特殊でもハイテクでもなし、オ
ンリーワンとは言いがたいものです。

大手企業の下請け製造として発展してきた会社ですが、1980年代の円高不況
で受注が落ち込み経営危機に陥ります。

こういう時、ジタバタと売上を上げようとしても必ず失敗するといっていい
でしょう。営業の尻を叩いたり、他業種からカリスマ営業をつれてきたり。
こういう話は何べんもしていますね。。。

関ヶ原製作所の矢橋社長(当時)がとった政策はなんと「家族経営」の強化
でした。

社長は「人生の大半を占める会社生活なら、楽しく過ごさなければ意味がな
い」と主張します。「社員が成長することで、会社も成長する」という考え
のもと、会社が社員の自己実現の場となるような「人間ひろば」を目指しま
す。

工場をものづくり広場、食堂をふれあい広場、研修施設を人間塾と名づけ、
共同体意識を演出します。

研修では、生産技術を磨くだけではなく、一般教養の習得や芸術などに触れ
る機会を設け、総合的な人間形成を目指しています。

■危機に至って、人材育成に取り組むというのはいかにも遠回りのような気
がしますが、それが抜本的な同社の強みになっていったことは間違いありま
せん。

恐らく田舎の企業に特有の職場と地域が一体となったコミュニティ意識がも
ともと強かったこともあったでしょう。

強い仲間意識が醸成され、賃金カットがあってもモチベーションは落ち込み
ませんでした。全社的な技術力は向上し、得意先にとってなくてはならない
製造業者となって危機を乗り切ります。

なにより、人材活性化の仕組みは長続きします。未来永劫とは言いませんが、
インターネットの自働化よりはよほど続きます。なぜなら、従業員が学ぶこ
とを覚え、自主的に動くようになると、戦略そのものを経営トップに代わっ
て考えてくれるようになるからです。

同社では、社員が自らニッチ市場を開拓し、技術を活かす事業を育成してい
ます。これがこの会社の将来性に貢献したことは言うまでもありません。

さらに、自主的に動く社員は、自ら教育係に回って、次代を育成するという
正の連鎖も生まれているようです。

まさに人が人を生む理想的な状態です。

■この会社、トヨタや松下が関心を寄せているとか。

効率化が一巡し、ついに家族経営が先進的な企業経営となったというのでし
ょうか。

人は石垣、人は城。
とは武田節の一節です。武田信玄は、この信念のもと、物理的な城の防備に
頼らずに、民政に力を注いで国全体の防衛力を上げたといいます。

企業力は、戦略×管理×実践。中小企業にとって管理とは「人が最も力を発
揮できるような仕組み」のことであるという事例です。

コンサルティングの基本思想に関わることですね。


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