ランチェスター戦略を営業に活かすたった3つのプロセス

2012.02.23

(2012年2月23日メルマガより)


■今日の題名は、いかにもお手軽な実践ノウハウぽくって、イヤですね^^;

「ランチェスター戦略ってどういうものか簡単に教えてください」

「ランチェスター戦略のノウハウを一言でいってください」

こういう要望はよくあります。

だけど、それに私が答えることはあまりありません。

1つは、露骨に解答だけを求める人に、いくら分かりやすく説明しても、理
解してもらえないだろうな。。ということ。

1つは、なにより、私の拙い要約では、正確に伝わらないだろうな。。とい
う懸念です。

■しかし、今日は敢えて、その要望に応えます。

このメルマガを継続して読んでいる人なら、お手軽な処方箋を求めているだ
けではないと信頼できると思います。

それに、私自身が「要約するのは難しい...」と逃げていては、いかんだろー
と反省するからです。

うまくできるかどうかわかりませんが、今日時点での、私なりの要約をした
いと思います。

どうか最後までお読みください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今でこそ、ランチェスター戦略の専門家の末端を自認する私(
駒井)です
が、当然ながら、最初からこの戦略に精通していたわけではありません。

私の場合、会社で配属された事業部のトップがランチェスター戦略を事業運
営に活用しようと考える人でした。

だから、本当に偶然です。もしそのトップがドラッカーの信奉者なら、今頃、
ドラッカー流マネジメントコンサルタントを名乗っているかも知れませんね。

■もっとも、私自身は、会社員時代に、ランチェスター戦略思想の洗礼を受
けたという意識はありません。

周りの営業の何人かも、同じだったと思います。

営業は「売上は現場で作られる!」とばかりに日々駆けずり回っていますから
、戦略を省みる余裕はありません。

むしろ、現場を知らない連中がこねくり回している戦略なんてものは、机上
の空論やろ...程度にしか考えていませんでした。

■最初の上司は「現場営業は、言われた通りやっていればいい。自分で考え
るな」と言う人でした。

ちなみにその人の好きな言葉は「管理」。あだ名は「リーマン」(管理マン
とサラリーマンの混合語です^^)

偉そうに言う割には、指示がトンチンカンなので、我々現場の人間は、指示
を聞き流して、勝手にやっていました。その方が、結果が出ますから。

こういう環境では「戦略なんていらん。現場を預かる者が臨機応変にやって
いればいいんだ」と考えるようになるのも仕方ありませんな。

■ところが、一方では、戦略を自分なりに咀嚼して、考えて営業する人たち
もいました。

会社員時代最後の上司は、現場の人間も、戦略を理解して動かなければなら
ないと考える人でした。

例えば、価格設定一つでも、自由に決めさせてはくれるのですが、その根拠
を求められます。

その場の感覚でサッと決めてしまうことが多いものですから、根拠を求めら
れると「安くしろと迫られたから」「安くしたら買ってくれそうな気がした
から」などと情けない言い訳を述べなければなりません。

当然ながら、価格設定も戦略の一部です。

利益計画、ブランド政策、競合対策に関わっています。

安くしろと言う顧客の口癖にそのまま乗っていたら、戦略の一貫性は無茶苦
茶になってしまいます。

さすがに、厚顔無恥な私でも、これは考えて動かなければいかん...と思うよ
うになりました。

■よくよく気づいてみると、現場営業が好きに動くことが、会社の業績に結
びついているのは、戦略と実践が一貫しているからです。

誰かが方向性を示して、利益を上げる仕組みを作っているからこそ、現場の
活躍が利益に結びつくのです。

それなのに、ちょっと売上成績がいいぐらいでこの事業部の業績を支えてい
るのは俺だ!と考えていたことの愚かさに恥じ入ります。

現場対応という狭い範囲で実力を発揮しているつもりでも、それは掃除機の
先っぽのブラシの性能が少しマシだという程度のものです。

動きが鈍ければいつでも取換可能です。

もし、あの上司に出会わなかったら、今では「昔、売上がよかったけど、今
は通用しない人」という老朽化したブラシ扱いになっていたかも知れないと
思うとゾッとしますね...

■そんな理解の遅い私ですから、戦略の重要性を知るのは、会社を辞めてラ
ンチェスター戦略を本格的に勉強してからになります。

会社員時代に勉強したマーケティング戦略を現場に当てはめるにはどうすれ
ばいいのか、と悩んでいた時に、本格的な競争戦略であるランチェスター戦
略の凄さを知りました。

営業マンは、マーケティングを理解していなければならない、といいますが、
それ以上に、営業マンはランチェスター戦略を知っておくべきです。

現場において、より使うのは、ランチェスター戦略だと思うからです。

■例によって前置きが長くなりました^^;

今日は、ものすごく簡単に言ってしまいます。

ランチェスター戦略は、20世紀初頭、イギリス人が発見した「ランチェス
ターの法則」をもとにしています。

これは簡単にいってしまえば「戦いにおいて、数が多い方は、圧倒的に優位
となる」ということを示した法則です。

数が多いと優位なのは当たり前ですが、この法則では、数量を二乗で計算す
るので、圧倒的となるのです。

例えば、3人対2人の戦いは、普通なら2人側が1.5倍の力を持っていれ
ば対等に持ち込めます。

ところが、二乗だと考えると、9対4の戦いとなり、その差、2.25倍で
す。ガッツ石松やオール巨人を連れてこないと勝てません。

10人対5人の戦いは、100対25になりますから、その差4倍です。こ
れでは、ラオウでも連れてこないと勝てないでしょう。

■では、数の少ない方はどうすればいいのか?

ここで田岡信夫先生は、「弱者=数の少ない側と、強者=数の多い側では、
戦い方を変える」という概念を持ち込みました。

有名は「弱者の戦略、強者の戦略」です。

聞いてみると、当たり前のことじゃないか、と言われそうですが、それまで
に、弱者と強者で戦い方を変えるということを明確に打ち出した人はいませ
んでしたから、画期的な発明だったと思います。

■ちなみに中国の兵法書孫子には、少ない兵の用い方などといった記述があ
りますが、田岡先生のように明確に分類しているわけではなく、混在した記
述の一部となっています。

ただし、田岡先生が、ランチェスター販売戦略を作る際に、孫子を大いに参
考にしたことは事実だと思われます。

■さて、田岡先生は、弱者の基本戦略を差別化。強者の基本戦略をミートと
規定しました。

弱者=数の少ない方は、武器を変える、あるいは戦い方を変えることでしか
勝てない。

それに対して強者=数の多い方は、弱者をミート(真似)することで、数の
優位性を発揮して勝つ。そうじゃないと、武器を変えられると、足をすくわ
れるかも知れません。

■その他、弱者の戦略としては、

1.相手の手薄な局面を狙う(局地戦)

2.1対1に持ち込む(一騎打ち)

3.顔の見える距離で戦う(接近戦)

4.戦力を一部に集中させる(一点集中)

5.意外な手を打って相手を混乱させる(陽道作戦)

の5つがあり、強者の戦略としては、

1.広い範囲で数的優位を保つ(広域戦)

2.弱者同士が潰しあうように仕向ける(確率戦)

3.顔の見えない距離で戦う(遠隔戦)

4.常に全力投入し、数的優位で圧倒する(総合戦)

5.先手を打って相手の打ち手を制限する(誘導作戦)

があります。

■ただし、弱者の戦略は、よりリスクが大きく、強者の戦略は安定しています。

例えば、織田信長は、数が少なくても工夫して工夫して、勝ちを拾うような
戦い方をしていますが、よくよく見てみると、危ない橋を渡っているし、死
にかけたことも一度や二度ではありません。

ところが「弱い奴(数の少ない軍)としか戦わない」という方針を貫いた豊
臣秀吉は、生涯において危なげない戦いを展開しました。

双方が戦えばどちらが強いか。答えは出ませんが、安定度では、豊臣秀吉の
強者の戦いが圧倒的です。

だから、我々は、なるべく早く強者になりたいものです。

■そうは言っても、弱者はあくまで弱者。逆転など妄想だーーと言ってしま
いたくなる気持ちはわかります。

でも、よく考えてみると、どんな弱者であっても、強者になれそうな局面は
あるはずです。

例えば、日本全国でみれば、中小企業は1位どころかランキングにも上って
きません。

ところが、大阪だけ、中央区だけ、心斎橋界隈だけ...と地域を絞っていけば、
もしかすると勝ち目が見えてくるかも知れません。

あるいは、この商品だけ、あの顧客だけというように、商品ジャンルや顧客
層を絞っていっても、勝ち目が見えてきそうです。

要するに、自分が強者になれるかも知れない局面を見つけるのです。

■なお、ランチェスター戦略では、強者と弱者を測る基準に「市場シェア」
を採用しています。

市場シェアにおいて、1位になれそうなところを見つけることが、勝つため
の第一歩となります。

■では、どこまでダントツ1位になれば、安心できるのか。

ランチェスター戦略理論では、市場シェア41.7%かつ敵に√3倍の差を
つけていることをゴールとします。

(よほど狭い局地の場合は、3倍の差をつけることが必要になりますが)

上記条件を満たす1位となれば、逆転はされにくいわ、顧客からは信頼され
るわ、利益率は高くなるわ、でいいことづくめとなります。

だから、ビジネスをする者は、市場シェア41.7%、ライバルに√3倍差
というゴールに向けて、まっしぐらに進んでいかなければなりません。

■要するに、ランチェスター戦略が我々に伝えることを、ものすごく簡単に
言ってしまうと

「企業競争においては、市場シェアが高い方が圧倒的に強い。ダントツの1
位になればもっと強い。だから企業は、1位になれそうな局面を見つけて、
弱者または強者の戦略を駆使してダントツ1位を目指そう」というものです。

ああ、なんと分かりやすいのでしょうか^^

■さて、以上を踏まえて、我々営業に携わる者が、どう行動に結びつけるのか。

これも簡単に言ってしまいます。

1.顧客を選別する。

2.選別した顧客に対して、弱者の戦略、あるいは強者の戦略で報いる。

3.それを徹底することで、ダントツ1位の地位を得る。

これを繰り返していくことです。

■顧客を遠別する、というと営業マンは、お客様は総て大切なんだ!と反発
するかも知れません。

しかし、ここが戦略の大切さです。

我々は、顧客にとって、1番の存在にならなければなりません。それなのに、
声を掛けてくる顧客総てにいい顔をして1番になろうとしても、不可能です。

ましてや、弱者は、マンパワーとして不足していることが多いのですから、
全方位に力を分散してはなりません。

1番になることが目的なのだから、1番になれる顧客を選別すべきなのです。

■しかし、ここに無頓着な営業は実に多い。

新規開拓をする際には、ある程度、絞り込みを行う人も、既存顧客に対して
は、公平な姿勢でいようとします。

すると、その営業は、声をかけてくる顧客への対応だけで手いっぱいになっ
てしまうはずです。

いわゆる御用聞き営業の弱点は、顧客からの接触の有無という「緊急性」ば
かりに重きを置き、本来その会社が狙う「重要性」の高い顧客に手が届かな
くなることです。

営業マン自身は、忙しくて毎日が充実するでしょうが、重要な顧客を逃して
いるということは、将来的な業績に不安を残します。

御用聞き営業だけでは、持続的に実績を残すことは難しいのです。

■戦略的営業を目指すならば、まずは、この顧客を選別するという姿勢を自
身の営業に取り入れなければなりません。

一般的な手法としては、自分の既存客を「緊急性」「重要性」に振り分けて
みるということです。

何を以て緊急とするか、重要とするかは各自で規定してみてください。

例えば、見積依頼のある顧客、問い合わせのある顧客、クレームがある顧客、
買い替え時期が来ている顧客などは、緊急性の高い顧客です。

それに対して、購買力の高い顧客、将来性のある顧客、価値観が合致する顧
客、戦略に適合する顧客などは重要性の高い顧客です。

まあ、でも、それぞれのビジネスによって事情が違うでしょうから、個別に
考えるべきですね。

優先順位.jpg

■この顧客を選別するという意識だけでも、業績は向上するはずです。

その上、選別したのは、1番になれそうな顧客なのですから、何としても1番
になるべく努力しなければなりません。

努力の方向性としては、まずその顧客にとって自分が1位であるか、そうで
ないかを見極めて、1位であるなら強者の戦略を、そうでないなら弱者の戦
略を行います。

強者であるなら、徹底して、ライバル会社をミートして差別化の芽をつぶし
ます。「他社のできることは、うちでもできます」ということを見せるのです。

弱者であるなら、逆に、差別化して、「うちは他社が出来ないことが出来ま
す」とアピールします。

■大抵の場合、自分が受け持っている顧客内において、他社のシェアについ
て無頓着である場合が多いようです。

しかし、それでは、どちらの戦略をとるべきかハッキリしませんから、意識
して測定する必要があります。

競争戦略を機能させるには、自社と他社の差を把握することが最初の条件で
あることを忘れないようにしてください。

■もっとも、多くの営業は、自分が接触している顧客が、自分を1番と考え
ているかどうかを感覚として捉えているはずです。

特に法人営業の場合、相手は、調達部やバイヤーになるでしょうから、その
感覚は顕著でしょう。

自分がそのバイヤーにとって、1番の営業であれば、他社の情報はくれるわ、
悩みを相談されるわ、展開時の主要顧客に選ばれるわ、いいことづくめにな
るはずです。

どうすれば、自分がダントツの1番になれるのかは、上記の通り。

既に1番である場合は、他社の情報を聞いたら、できるだけミートすること。

1番でない場合は、接触回数を増やして信頼関係を築くことに努め、その上
で、他社にできないことを積極的に提案すること。

シンプルに考えましょう。

(こういうと、一部の人から、他社の価格に合わせてばかりいたら利益がな
くなるじゃないか、と言われましたが、それはバイヤーとの交渉事なので、
別の話です(><)

■今、思い返すと、会社員時代、うまくいっているチームは、上の1,2,
3を繰り返していました。

私の営業コンサルティングも基本的に、このプロセスに沿っています。

なるべくシンプルに捉え、仕組みをルーティン化し、自動的に回るようにし
ていきます。

もちろん現場は生き物ですし、なにより営業マンも顧客も人間的心理を持っ
ているので、一筋縄でいかない場面もよくあります。

例外事例も多い。

だからと言って、例外に囚われて、戦略は全部ダメと言ってしまえば、元の
現場対応マシーンに戻ってしまいます。

袋小路に入らないためには、なるべく全体的、長期的な視点を持って、基本
的な方向性や骨組みを見失わないこと。

それが営業に戦略を活かすコツだと考えます。


(2012年2月23日メルマガより)


■今日の題名は、いかにもお手軽な実践ノウハウぽくって、イヤですね^^;

「ランチェスター戦略ってどういうものか簡単に教えてください」

「ランチェスター戦略のノウハウを一言でいってください」

こういう要望はよくあります。

だけど、それに私が答えることはあまりありません。

1つは、露骨に解答だけを求める人に、いくら分かりやすく説明しても、理
解してもらえないだろうな。。ということ。

1つは、なにより、私の拙い要約では、正確に伝わらないだろうな。。とい
う懸念です。

■しかし、今日は敢えて、その要望に応えます。

このメルマガを継続して読んでいる人なら、お手軽な処方箋を求めているだ
けではないと信頼できると思います。

それに、私自身が「要約するのは難しい...」と逃げていては、いかんだろー
と反省するからです。

うまくできるかどうかわかりませんが、今日時点での、私なりの要約をした
いと思います。

どうか最後までお読みください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■今でこそ、ランチェスター戦略の専門家の末端を自認する私(
駒井)です
が、当然ながら、最初からこの戦略に精通していたわけではありません。

私の場合、会社で配属された事業部のトップがランチェスター戦略を事業運
営に活用しようと考える人でした。

だから、本当に偶然です。もしそのトップがドラッカーの信奉者なら、今頃、
ドラッカー流マネジメントコンサルタントを名乗っているかも知れませんね。

■もっとも、私自身は、会社員時代に、ランチェスター戦略思想の洗礼を受
けたという意識はありません。

周りの営業の何人かも、同じだったと思います。

営業は「売上は現場で作られる!」とばかりに日々駆けずり回っていますから
、戦略を省みる余裕はありません。

むしろ、現場を知らない連中がこねくり回している戦略なんてものは、机上
の空論やろ...程度にしか考えていませんでした。

■最初の上司は「現場営業は、言われた通りやっていればいい。自分で考え
るな」と言う人でした。

ちなみにその人の好きな言葉は「管理」。あだ名は「リーマン」(管理マン
とサラリーマンの混合語です^^)

偉そうに言う割には、指示がトンチンカンなので、我々現場の人間は、指示
を聞き流して、勝手にやっていました。その方が、結果が出ますから。

こういう環境では「戦略なんていらん。現場を預かる者が臨機応変にやって
いればいいんだ」と考えるようになるのも仕方ありませんな。

■ところが、一方では、戦略を自分なりに咀嚼して、考えて営業する人たち
もいました。

会社員時代最後の上司は、現場の人間も、戦略を理解して動かなければなら
ないと考える人でした。

例えば、価格設定一つでも、自由に決めさせてはくれるのですが、その根拠
を求められます。

その場の感覚でサッと決めてしまうことが多いものですから、根拠を求めら
れると「安くしろと迫られたから」「安くしたら買ってくれそうな気がした
から」などと情けない言い訳を述べなければなりません。

当然ながら、価格設定も戦略の一部です。

利益計画、ブランド政策、競合対策に関わっています。

安くしろと言う顧客の口癖にそのまま乗っていたら、戦略の一貫性は無茶苦
茶になってしまいます。

さすがに、厚顔無恥な私でも、これは考えて動かなければいかん...と思うよ
うになりました。

■よくよく気づいてみると、現場営業が好きに動くことが、会社の業績に結
びついているのは、戦略と実践が一貫しているからです。

誰かが方向性を示して、利益を上げる仕組みを作っているからこそ、現場の
活躍が利益に結びつくのです。

それなのに、ちょっと売上成績がいいぐらいでこの事業部の業績を支えてい
るのは俺だ!と考えていたことの愚かさに恥じ入ります。

現場対応という狭い範囲で実力を発揮しているつもりでも、それは掃除機の
先っぽのブラシの性能が少しマシだという程度のものです。

動きが鈍ければいつでも取換可能です。

もし、あの上司に出会わなかったら、今では「昔、売上がよかったけど、今
は通用しない人」という老朽化したブラシ扱いになっていたかも知れないと
思うとゾッとしますね...

■そんな理解の遅い私ですから、戦略の重要性を知るのは、会社を辞めてラ
ンチェスター戦略を本格的に勉強してからになります。

会社員時代に勉強したマーケティング戦略を現場に当てはめるにはどうすれ
ばいいのか、と悩んでいた時に、本格的な競争戦略であるランチェスター戦
略の凄さを知りました。

営業マンは、マーケティングを理解していなければならない、といいますが、
それ以上に、営業マンはランチェスター戦略を知っておくべきです。

現場において、より使うのは、ランチェスター戦略だと思うからです。

■例によって前置きが長くなりました^^;

今日は、ものすごく簡単に言ってしまいます。

ランチェスター戦略は、20世紀初頭、イギリス人が発見した「ランチェス
ターの法則」をもとにしています。

これは簡単にいってしまえば「戦いにおいて、数が多い方は、圧倒的に優位
となる」ということを示した法則です。

数が多いと優位なのは当たり前ですが、この法則では、数量を二乗で計算す
るので、圧倒的となるのです。

例えば、3人対2人の戦いは、普通なら2人側が1.5倍の力を持っていれ
ば対等に持ち込めます。

ところが、二乗だと考えると、9対4の戦いとなり、その差、2.25倍で
す。ガッツ石松やオール巨人を連れてこないと勝てません。

10人対5人の戦いは、100対25になりますから、その差4倍です。こ
れでは、ラオウでも連れてこないと勝てないでしょう。

■では、数の少ない方はどうすればいいのか?

ここで田岡信夫先生は、「弱者=数の少ない側と、強者=数の多い側では、
戦い方を変える」という概念を持ち込みました。

有名は「弱者の戦略、強者の戦略」です。

聞いてみると、当たり前のことじゃないか、と言われそうですが、それまで
に、弱者と強者で戦い方を変えるということを明確に打ち出した人はいませ
んでしたから、画期的な発明だったと思います。

■ちなみに中国の兵法書孫子には、少ない兵の用い方などといった記述があ
りますが、田岡先生のように明確に分類しているわけではなく、混在した記
述の一部となっています。

ただし、田岡先生が、ランチェスター販売戦略を作る際に、孫子を大いに参
考にしたことは事実だと思われます。

■さて、田岡先生は、弱者の基本戦略を差別化。強者の基本戦略をミートと
規定しました。

弱者=数の少ない方は、武器を変える、あるいは戦い方を変えることでしか
勝てない。

それに対して強者=数の多い方は、弱者をミート(真似)することで、数の
優位性を発揮して勝つ。そうじゃないと、武器を変えられると、足をすくわ
れるかも知れません。

■その他、弱者の戦略としては、

1.相手の手薄な局面を狙う(局地戦)

2.1対1に持ち込む(一騎打ち)

3.顔の見える距離で戦う(接近戦)

4.戦力を一部に集中させる(一点集中)

5.意外な手を打って相手を混乱させる(陽道作戦)

の5つがあり、強者の戦略としては、

1.広い範囲で数的優位を保つ(広域戦)

2.弱者同士が潰しあうように仕向ける(確率戦)

3.顔の見えない距離で戦う(遠隔戦)

4.常に全力投入し、数的優位で圧倒する(総合戦)

5.先手を打って相手の打ち手を制限する(誘導作戦)

があります。

■ただし、弱者の戦略は、よりリスクが大きく、強者の戦略は安定しています。

例えば、織田信長は、数が少なくても工夫して工夫して、勝ちを拾うような
戦い方をしていますが、よくよく見てみると、危ない橋を渡っているし、死
にかけたことも一度や二度ではありません。

ところが「弱い奴(数の少ない軍)としか戦わない」という方針を貫いた豊
臣秀吉は、生涯において危なげない戦いを展開しました。

双方が戦えばどちらが強いか。答えは出ませんが、安定度では、豊臣秀吉の
強者の戦いが圧倒的です。

だから、我々は、なるべく早く強者になりたいものです。

■そうは言っても、弱者はあくまで弱者。逆転など妄想だーーと言ってしま
いたくなる気持ちはわかります。

でも、よく考えてみると、どんな弱者であっても、強者になれそうな局面は
あるはずです。

例えば、日本全国でみれば、中小企業は1位どころかランキングにも上って
きません。

ところが、大阪だけ、中央区だけ、心斎橋界隈だけ...と地域を絞っていけば、
もしかすると勝ち目が見えてくるかも知れません。

あるいは、この商品だけ、あの顧客だけというように、商品ジャンルや顧客
層を絞っていっても、勝ち目が見えてきそうです。

要するに、自分が強者になれるかも知れない局面を見つけるのです。

■なお、ランチェスター戦略では、強者と弱者を測る基準に「市場シェア」
を採用しています。

市場シェアにおいて、1位になれそうなところを見つけることが、勝つため
の第一歩となります。

■では、どこまでダントツ1位になれば、安心できるのか。

ランチェスター戦略理論では、市場シェア41.7%かつ敵に√3倍の差を
つけていることをゴールとします。

(よほど狭い局地の場合は、3倍の差をつけることが必要になりますが)

上記条件を満たす1位となれば、逆転はされにくいわ、顧客からは信頼され
るわ、利益率は高くなるわ、でいいことづくめとなります。

だから、ビジネスをする者は、市場シェア41.7%、ライバルに√3倍差
というゴールに向けて、まっしぐらに進んでいかなければなりません。

■要するに、ランチェスター戦略が我々に伝えることを、ものすごく簡単に
言ってしまうと

「企業競争においては、市場シェアが高い方が圧倒的に強い。ダントツの1
位になればもっと強い。だから企業は、1位になれそうな局面を見つけて、
弱者または強者の戦略を駆使してダントツ1位を目指そう」というものです。

ああ、なんと分かりやすいのでしょうか^^

■さて、以上を踏まえて、我々営業に携わる者が、どう行動に結びつけるのか。

これも簡単に言ってしまいます。

1.顧客を選別する。

2.選別した顧客に対して、弱者の戦略、あるいは強者の戦略で報いる。

3.それを徹底することで、ダントツ1位の地位を得る。

これを繰り返していくことです。

■顧客を遠別する、というと営業マンは、お客様は総て大切なんだ!と反発
するかも知れません。

しかし、ここが戦略の大切さです。

我々は、顧客にとって、1番の存在にならなければなりません。それなのに、
声を掛けてくる顧客総てにいい顔をして1番になろうとしても、不可能です。

ましてや、弱者は、マンパワーとして不足していることが多いのですから、
全方位に力を分散してはなりません。

1番になることが目的なのだから、1番になれる顧客を選別すべきなのです。

■しかし、ここに無頓着な営業は実に多い。

新規開拓をする際には、ある程度、絞り込みを行う人も、既存顧客に対して
は、公平な姿勢でいようとします。

すると、その営業は、声をかけてくる顧客への対応だけで手いっぱいになっ
てしまうはずです。

いわゆる御用聞き営業の弱点は、顧客からの接触の有無という「緊急性」ば
かりに重きを置き、本来その会社が狙う「重要性」の高い顧客に手が届かな
くなることです。

営業マン自身は、忙しくて毎日が充実するでしょうが、重要な顧客を逃して
いるということは、将来的な業績に不安を残します。

御用聞き営業だけでは、持続的に実績を残すことは難しいのです。

■戦略的営業を目指すならば、まずは、この顧客を選別するという姿勢を自
身の営業に取り入れなければなりません。

一般的な手法としては、自分の既存客を「緊急性」「重要性」に振り分けて
みるということです。

何を以て緊急とするか、重要とするかは各自で規定してみてください。

例えば、見積依頼のある顧客、問い合わせのある顧客、クレームがある顧客、
買い替え時期が来ている顧客などは、緊急性の高い顧客です。

それに対して、購買力の高い顧客、将来性のある顧客、価値観が合致する顧
客、戦略に適合する顧客などは重要性の高い顧客です。

まあ、でも、それぞれのビジネスによって事情が違うでしょうから、個別に
考えるべきですね。

優先順位.jpg

■この顧客を選別するという意識だけでも、業績は向上するはずです。

その上、選別したのは、1番になれそうな顧客なのですから、何としても1番
になるべく努力しなければなりません。

努力の方向性としては、まずその顧客にとって自分が1位であるか、そうで
ないかを見極めて、1位であるなら強者の戦略を、そうでないなら弱者の戦
略を行います。

強者であるなら、徹底して、ライバル会社をミートして差別化の芽をつぶし
ます。「他社のできることは、うちでもできます」ということを見せるのです。

弱者であるなら、逆に、差別化して、「うちは他社が出来ないことが出来ま
す」とアピールします。

■大抵の場合、自分が受け持っている顧客内において、他社のシェアについ
て無頓着である場合が多いようです。

しかし、それでは、どちらの戦略をとるべきかハッキリしませんから、意識
して測定する必要があります。

競争戦略を機能させるには、自社と他社の差を把握することが最初の条件で
あることを忘れないようにしてください。

■もっとも、多くの営業は、自分が接触している顧客が、自分を1番と考え
ているかどうかを感覚として捉えているはずです。

特に法人営業の場合、相手は、調達部やバイヤーになるでしょうから、その
感覚は顕著でしょう。

自分がそのバイヤーにとって、1番の営業であれば、他社の情報はくれるわ、
悩みを相談されるわ、展開時の主要顧客に選ばれるわ、いいことづくめにな
るはずです。

どうすれば、自分がダントツの1番になれるのかは、上記の通り。

既に1番である場合は、他社の情報を聞いたら、できるだけミートすること。

1番でない場合は、接触回数を増やして信頼関係を築くことに努め、その上
で、他社にできないことを積極的に提案すること。

シンプルに考えましょう。

(こういうと、一部の人から、他社の価格に合わせてばかりいたら利益がな
くなるじゃないか、と言われましたが、それはバイヤーとの交渉事なので、
別の話です(><)

■今、思い返すと、会社員時代、うまくいっているチームは、上の1,2,
3を繰り返していました。

私の営業コンサルティングも基本的に、このプロセスに沿っています。

なるべくシンプルに捉え、仕組みをルーティン化し、自動的に回るようにし
ていきます。

もちろん現場は生き物ですし、なにより営業マンも顧客も人間的心理を持っ
ているので、一筋縄でいかない場面もよくあります。

例外事例も多い。

だからと言って、例外に囚われて、戦略は全部ダメと言ってしまえば、元の
現場対応マシーンに戻ってしまいます。

袋小路に入らないためには、なるべく全体的、長期的な視点を持って、基本
的な方向性や骨組みを見失わないこと。

それが営業に戦略を活かすコツだと考えます。


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