HONDAが空を飛ぶ!

2008.09.25

(2008年9月25日メルマガより)

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■阪神のアニキ金本が初めての著作を出しましたね。

覚悟のすすめ

まあ、これが本屋にあれば、買わないわけにはいきませんな。

■自分で書いたかどうかはともかく、アニキの人柄が伝わるいい本ですよー

この本によると、金本はもともとプロとして才能が優れているわけではなか
ったとのこと。

ドラフト4位だからテスト生と同じ。しかも当時の広島カープには、江藤、
前田、緒方など才能豊かなメンバーが揃っていましたからね。

■超人的な努力を重ねて連続イニング出場の世界記録を打ち立てるまでにな
ったわけですが、金本自身は、その要因を「覚悟」だと言っています。

「プロ野球で生きていく覚悟」「むちゃくちゃな努力をする覚悟」「怪我を
しても試合に出続ける覚悟」

覚悟を決めたからこそ、鉄人と呼ばれるまで努力を続けられたのだと。

■金本に言われたら、ぐうの音も出ませんな。

逆に言えば、才能に恵まれながら、プロとして大成せずに終わった選手のこ
とを「覚悟が足りない」と言っているわけです。

金本だからこそ言える重い言葉ですね。

■我々も、自分が最も勝負できると思える分野で生きていくことを「覚悟」
しなければだめだ。

早くもともと持っている才能に気づいて、それを強化しないと、自分の人生
に申し訳が立たないぞ!

自然とそう思える本でした。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■「週刊東洋経済2008/9/20」によると、世界の航空機ビジネスが地殻変動
の予兆に見舞われているそうです。

航空機の需要は2001年9月11日の大惨事以降、順調に拡大してきたかに見え
ましたが、ここに来て、燃料の高騰などから航空会社の収益性が悪化してき
ています。

儲からなければ、飛行機を買うことはできません。ということは、航空機の
需要も減少することは必至の状況です。

世界の航空会社は、市場から退場するか、あるいは大型再編をするかしなけ
れば生き残れない。

ボーイングやエアバスなど航空機メーカー大手は、2年待ちの受注残を抱え
ているものの、それが実需であるかどうかは疑わしいと言わざるを得ません。

大量のキャンセルが出るようなことになれば、株価の急落に見舞われるかも
しれず、いくら大手メーカーと言えども安泰ではないかも知れません。

■そんな中、日本のメーカー(三菱重工)が半世紀ぶりの国産旅客機製造に
向けて動き出しています。

以前、メルマガに書いたことがありますね。
日本製航空機は羽ばたくか

あの時から状況はあまり変わっていないようです。営業からカスタマーサポ
ートまでボーイング社に任せる体制をとろうとしています。

このようなビジネスが成功するんだろうか?

技術的な面でも課題は多いようですが、その部分は何とかなるんでしょうね。
三菱重工のことですから。

まあ、でも三菱の話は、今回のテーマではありませんね。

■さて、独自の道を歩んでいるのが、自動車メーカーのホンダです。

もともとホンダは、創業者本田総一郎の時代から、航空機ビジネスの進出を
見据えていたと言われています。

二輪車から自動車へ。自動車から航空機へ。ホンダのDNAは劇的な進化を
遂げようとしているわけです。

大したもんですねーー

自動車メーカーとの競争で言えば、トヨタが三菱重工のプロジェクトに出資
しているぐらいです。

昔から独自路線を進むメーカーでしたが、今回も完全に業界離れした動きで
す。

これではさすがのトヨタも強者の戦略でミートするわけにはいきませんな。

■ホンダは「ビジネスジェット市場」に新規参入しようとしています。

ビジネスジェットとは、席数が19席以下の小型航空機を指します。だから
エアライン(定期便)として利用されるのではなく、個人や企業が独自に利
用するものです。

日本では個人や企業所有の飛行機などと言うと贅沢品の象徴のように見られ
ていますが、欧米では一般的な乗り物です。

1つは、欧米では日本ほど鉄道網が発達していないため、飛行機を利用しな
ければ目的地に到達できない事情があります。

アメリカはご存知のように都市機能が分散しています。欧州も国がバラバラ
です。だからもともと航空インフラが整備されています。

日本のように一部の都市に機能が集中している方が異常なんでしょうね。新
幹線でどこでも行けてしまいますから。

(熊野に行くのはえらい時間がかかりますが^^;)

もう1つは、欧米の経営者の報酬の高さです。数十億円を得ている経営者が、
電車を乗り継いだり、定期便の待ち時間を待たされているのは、えらい無駄
な時間を過ごしていることになります。

欧米の経営者が専用ジェットを持つのは「寸暇を惜しんで働け」という株主
の総意によるものなんですな。

■ビジネスジェットの形態も、完全所有だけではなく、複数者所有やレンタ
ル、時間貸しなどの制度がありますから、中小企業でも利用することは可能
です。

こうしたことから市場は着実に成長してきています。

近年、米国のベンチャー企業が1億円台のビジネスジェット発売を果たして、
市場規模はますます拡大傾向にあります。

■もっとも日本ではまだまだ普及は難しそうです。

上記のように、新幹線で行けるところでビジネスは完結してしまうので、ビ
ジネスジェットに乗る意味がない。

また経営者の報酬もそれほど高くないので、電車を乗り継いでくれても全然
結構です^^

なにより、航空インフラが決定的に不足しています。ビジネスジェットが使
える飛行場が少ない。駐機場もない。整備場もパイロットも不足している。

これでは飛行機を持ちたくても持てませんわ。

海外の要人や経営者からは「ビジネスジェットも乗り入れられないのは不便
極まりない」とクレームが来ているそうですから、国際的な地位を考えると
「日本は関係ないよーー」とのん気に言っている場合ではないんですがね。

■それはともかく。

ホンダの動きを見てみましょう。世界的な自動車メーカーのホンダも航空機
ビジネスでは新参者です。

つまり弱者です。

ホンダの「弱者の戦略」とはどのようなものなのか。

■まず市場。

ホンダが選んだビジネスジェット市場は、小さいが収益性が高く、成長が見
込める市場です。

まさに「小さな市場で戦え」というランチェスター戦略の教えを忠実に守っ
たごとくの市場選択です。

■次に商品。

発表された飛行機はまさにホンダらしい"非常識"極まりないものだったよ
うです。

エンジンが自家製なのは当たり前。

そのエンジンが翼の上に取り付けられています。だから居住性が高い。シビ
ックやフィットのようですね^^(6人乗り)

胴体の構造はプラモデルのように簡素で強く、量産を意識した作りになって
います。

その他、先端も翼も尾翼もすべて独特の考えから設計されたもの。まさに独
自路線のホンダの面目躍如といった製品です。

これぞ「差別化」のお手本のようです。

■ホンダは「ツールではなく、所有欲を満たすような飛行機を作りたかった」
と言っています。

確かに独特で美しい飛行機です。ついたあだ名が「見返り美人」

6人乗りで価格は4億円ですから低価格品ではありませんが、発売から3日
で100機を超える受注を得たというから凄まじい。(納品は2010年で
す)

このようにホンダは、「小さな市場」で極めて先鋭的な「差別化」を行って
「一点突破」を図っています。

弱者の戦略の典型です。これで売れないはずがないと思えます^^

しかし簡単に言いますが、全くの新規参入でこの差別化を果たすのは並大抵
ではありません。

しかも顧客は「ホンダだから品質は安心だろう」と評価しているということ
ですから、自動車で培ったブランド力は、航空機ビジネスにも通用したとい
うことですね。

■この市場、今は小さいがさらに成長する可能性を持っています。

欧米では採算性の観点から定期航空便の廃止が相次いでいますから、ビジネ
スジェットの需要は拡大すると思われます。

また中国やロシア、ブラジルなど広大な国土を持つ国にとっては、鉄道網を
整備するよりも、飛行場を整備する方がはるかに安上がりです。

そう考えれば、需要は無限大にありそうに思えてきます。

■心配なのは2つ。

本当に自動車の技術が航空機に活かせるのか。理論では活かせても、実際に
通用するかどうかは未知数です。

特にホンダは注目されている存在なので、事故が起こった時のブランド失墜
は取り返しのつかないダメージとなります。

もう1つは、現在の本業である自動車に対する影響です。

世界のホンダと言えども、ナンバーワン企業ではありません。

今、自動車業界は、新興国進出と環境対策車の開発で厳しい戦いが展開され
ています。

そんな時に力を分散させていいものでしょうか?

今の段階では小さな投資かも知れませんが、この先、ビジネスジェットが成
功したら、本当に資源の分散を招く可能性があります。

ホンダは他社との合弁を嫌うメーカーですから、特にリスクが大きくなりま
す。(そんな時に事故でも起これば、イメージの毀損は果てしなく甚大です)

今後、成長が見込めそうなビジネスゆえの心配です。

■それはともかく、出だし好調なのはおめでたいことです。

絶妙のポジショニングで新規参入を果たした後は、どう展開するのでしょう
か?

航続距離を伸ばして高級化を図るのか。それとも新興国対策に普及品を導入
するのか。

どちらにも対応できるのがホンダだと思います。

その意思決定をする時には、ホンダは完全に航空機メーカーとなっているの
でしょうね。


(2008年9月25日メルマガより)

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■阪神のアニキ金本が初めての著作を出しましたね。

覚悟のすすめ

まあ、これが本屋にあれば、買わないわけにはいきませんな。

■自分で書いたかどうかはともかく、アニキの人柄が伝わるいい本ですよー

この本によると、金本はもともとプロとして才能が優れているわけではなか
ったとのこと。

ドラフト4位だからテスト生と同じ。しかも当時の広島カープには、江藤、
前田、緒方など才能豊かなメンバーが揃っていましたからね。

■超人的な努力を重ねて連続イニング出場の世界記録を打ち立てるまでにな
ったわけですが、金本自身は、その要因を「覚悟」だと言っています。

「プロ野球で生きていく覚悟」「むちゃくちゃな努力をする覚悟」「怪我を
しても試合に出続ける覚悟」

覚悟を決めたからこそ、鉄人と呼ばれるまで努力を続けられたのだと。

■金本に言われたら、ぐうの音も出ませんな。

逆に言えば、才能に恵まれながら、プロとして大成せずに終わった選手のこ
とを「覚悟が足りない」と言っているわけです。

金本だからこそ言える重い言葉ですね。

■我々も、自分が最も勝負できると思える分野で生きていくことを「覚悟」
しなければだめだ。

早くもともと持っている才能に気づいて、それを強化しないと、自分の人生
に申し訳が立たないぞ!

自然とそう思える本でした。

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■「週刊東洋経済2008/9/20」によると、世界の航空機ビジネスが地殻変動
の予兆に見舞われているそうです。

航空機の需要は2001年9月11日の大惨事以降、順調に拡大してきたかに見え
ましたが、ここに来て、燃料の高騰などから航空会社の収益性が悪化してき
ています。

儲からなければ、飛行機を買うことはできません。ということは、航空機の
需要も減少することは必至の状況です。

世界の航空会社は、市場から退場するか、あるいは大型再編をするかしなけ
れば生き残れない。

ボーイングやエアバスなど航空機メーカー大手は、2年待ちの受注残を抱え
ているものの、それが実需であるかどうかは疑わしいと言わざるを得ません。

大量のキャンセルが出るようなことになれば、株価の急落に見舞われるかも
しれず、いくら大手メーカーと言えども安泰ではないかも知れません。

■そんな中、日本のメーカー(三菱重工)が半世紀ぶりの国産旅客機製造に
向けて動き出しています。

以前、メルマガに書いたことがありますね。
日本製航空機は羽ばたくか

あの時から状況はあまり変わっていないようです。営業からカスタマーサポ
ートまでボーイング社に任せる体制をとろうとしています。

このようなビジネスが成功するんだろうか?

技術的な面でも課題は多いようですが、その部分は何とかなるんでしょうね。
三菱重工のことですから。

まあ、でも三菱の話は、今回のテーマではありませんね。

■さて、独自の道を歩んでいるのが、自動車メーカーのホンダです。

もともとホンダは、創業者本田総一郎の時代から、航空機ビジネスの進出を
見据えていたと言われています。

二輪車から自動車へ。自動車から航空機へ。ホンダのDNAは劇的な進化を
遂げようとしているわけです。

大したもんですねーー

自動車メーカーとの競争で言えば、トヨタが三菱重工のプロジェクトに出資
しているぐらいです。

昔から独自路線を進むメーカーでしたが、今回も完全に業界離れした動きで
す。

これではさすがのトヨタも強者の戦略でミートするわけにはいきませんな。

■ホンダは「ビジネスジェット市場」に新規参入しようとしています。

ビジネスジェットとは、席数が19席以下の小型航空機を指します。だから
エアライン(定期便)として利用されるのではなく、個人や企業が独自に利
用するものです。

日本では個人や企業所有の飛行機などと言うと贅沢品の象徴のように見られ
ていますが、欧米では一般的な乗り物です。

1つは、欧米では日本ほど鉄道網が発達していないため、飛行機を利用しな
ければ目的地に到達できない事情があります。

アメリカはご存知のように都市機能が分散しています。欧州も国がバラバラ
です。だからもともと航空インフラが整備されています。

日本のように一部の都市に機能が集中している方が異常なんでしょうね。新
幹線でどこでも行けてしまいますから。

(熊野に行くのはえらい時間がかかりますが^^;)

もう1つは、欧米の経営者の報酬の高さです。数十億円を得ている経営者が、
電車を乗り継いだり、定期便の待ち時間を待たされているのは、えらい無駄
な時間を過ごしていることになります。

欧米の経営者が専用ジェットを持つのは「寸暇を惜しんで働け」という株主
の総意によるものなんですな。

■ビジネスジェットの形態も、完全所有だけではなく、複数者所有やレンタ
ル、時間貸しなどの制度がありますから、中小企業でも利用することは可能
です。

こうしたことから市場は着実に成長してきています。

近年、米国のベンチャー企業が1億円台のビジネスジェット発売を果たして、
市場規模はますます拡大傾向にあります。

■もっとも日本ではまだまだ普及は難しそうです。

上記のように、新幹線で行けるところでビジネスは完結してしまうので、ビ
ジネスジェットに乗る意味がない。

また経営者の報酬もそれほど高くないので、電車を乗り継いでくれても全然
結構です^^

なにより、航空インフラが決定的に不足しています。ビジネスジェットが使
える飛行場が少ない。駐機場もない。整備場もパイロットも不足している。

これでは飛行機を持ちたくても持てませんわ。

海外の要人や経営者からは「ビジネスジェットも乗り入れられないのは不便
極まりない」とクレームが来ているそうですから、国際的な地位を考えると
「日本は関係ないよーー」とのん気に言っている場合ではないんですがね。

■それはともかく。

ホンダの動きを見てみましょう。世界的な自動車メーカーのホンダも航空機
ビジネスでは新参者です。

つまり弱者です。

ホンダの「弱者の戦略」とはどのようなものなのか。

■まず市場。

ホンダが選んだビジネスジェット市場は、小さいが収益性が高く、成長が見
込める市場です。

まさに「小さな市場で戦え」というランチェスター戦略の教えを忠実に守っ
たごとくの市場選択です。

■次に商品。

発表された飛行機はまさにホンダらしい"非常識"極まりないものだったよ
うです。

エンジンが自家製なのは当たり前。

そのエンジンが翼の上に取り付けられています。だから居住性が高い。シビ
ックやフィットのようですね^^(6人乗り)

胴体の構造はプラモデルのように簡素で強く、量産を意識した作りになって
います。

その他、先端も翼も尾翼もすべて独特の考えから設計されたもの。まさに独
自路線のホンダの面目躍如といった製品です。

これぞ「差別化」のお手本のようです。

■ホンダは「ツールではなく、所有欲を満たすような飛行機を作りたかった」
と言っています。

確かに独特で美しい飛行機です。ついたあだ名が「見返り美人」

6人乗りで価格は4億円ですから低価格品ではありませんが、発売から3日
で100機を超える受注を得たというから凄まじい。(納品は2010年で
す)

このようにホンダは、「小さな市場」で極めて先鋭的な「差別化」を行って
「一点突破」を図っています。

弱者の戦略の典型です。これで売れないはずがないと思えます^^

しかし簡単に言いますが、全くの新規参入でこの差別化を果たすのは並大抵
ではありません。

しかも顧客は「ホンダだから品質は安心だろう」と評価しているということ
ですから、自動車で培ったブランド力は、航空機ビジネスにも通用したとい
うことですね。

■この市場、今は小さいがさらに成長する可能性を持っています。

欧米では採算性の観点から定期航空便の廃止が相次いでいますから、ビジネ
スジェットの需要は拡大すると思われます。

また中国やロシア、ブラジルなど広大な国土を持つ国にとっては、鉄道網を
整備するよりも、飛行場を整備する方がはるかに安上がりです。

そう考えれば、需要は無限大にありそうに思えてきます。

■心配なのは2つ。

本当に自動車の技術が航空機に活かせるのか。理論では活かせても、実際に
通用するかどうかは未知数です。

特にホンダは注目されている存在なので、事故が起こった時のブランド失墜
は取り返しのつかないダメージとなります。

もう1つは、現在の本業である自動車に対する影響です。

世界のホンダと言えども、ナンバーワン企業ではありません。

今、自動車業界は、新興国進出と環境対策車の開発で厳しい戦いが展開され
ています。

そんな時に力を分散させていいものでしょうか?

今の段階では小さな投資かも知れませんが、この先、ビジネスジェットが成
功したら、本当に資源の分散を招く可能性があります。

ホンダは他社との合弁を嫌うメーカーですから、特にリスクが大きくなりま
す。(そんな時に事故でも起これば、イメージの毀損は果てしなく甚大です)

今後、成長が見込めそうなビジネスゆえの心配です。

■それはともかく、出だし好調なのはおめでたいことです。

絶妙のポジショニングで新規参入を果たした後は、どう展開するのでしょう
か?

航続距離を伸ばして高級化を図るのか。それとも新興国対策に普及品を導入
するのか。

どちらにも対応できるのがホンダだと思います。

その意思決定をする時には、ホンダは完全に航空機メーカーとなっているの
でしょうね。


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