残りの80%に富を再配分する

2006.04.13


(2006年4月13日メルマガより)

■2002年に日本で発売されたコトラーの「新・マーケティング原論」は、ニ
ューエコノミーの時代には、どのようなマーケティングが有効か、という問
題について書かれた書籍です。

いかにもコトラーらしい"広く浅い"内容の本なのですが、そこには、来る
べき真の顧客主導のマーケティングが、豊富な事例とともに書かれています。

いわく「逆製品設計」「逆プライシング」「逆広告」「逆プロモーション」
「逆流通チャネル」「逆セグメンテーション」など。。"買手が行う"マー
ケティング実務の概念が述べられています。


■もっとも、現状のビジネスに関わりのない話なら、普通は読み飛ばしてし
まうところでしょう。

考え方はわかっても、実際のビジネスには活かせないから関係ないやと。

私もそんな感じでした。


■ところが、私が知る・知らないに関わらず、デジタル革命は、着実に進ん
でいるようです。

最近では「WEB2.0」という言葉が流行るほど、新しい次元の進化が起きてい
るらしい。。。


■「ウェブ進化論」の作者である梅田望夫氏は、バーチャルな経済の動きは、
「今後10年ほどのスパンではリアル社会に顕著な影響を与えることなく進む」
と述べています。

つまり、意識していないと、10年間は気づかないままに進むわけです。

まさに、リアル浦島太郎!

10年後、気づいた時には、どうなっているのか想像もつきませんね。


■「ウェブ進化論」の中で、ネットの"あちら側"企業の代表として名を上
げられているのがグーグルです。

従業員数5000人で、株式時価総額が15兆円。。

これが、グーグルという企業です。

孫正義は「クレイジーな2,3人と賛同者が100人いれば、それで天下を取りに
いける」と言いましたが、それはグーグルという企業を想定していたのでし
ょうか。。


■グーグルの収益源は「広告」です。それも、クリックごとに数十円という
チープな広告。

その企業がどうして15兆円などという評価を得るのか?

実は、グーグルも世界中の「取るに足らない80%」を顧客にしているから
です。


■小さなビジネスをする人にとって、広告料というのは大きなコストになり
ます。

ところが、グーグルのアドワーズ広告は、クリックごとに数十円~数百円。

「これ以上クリックされたら終わり!」という上限も設定することができる
ので、個人事業者でも安心して利用できます。


■「そんな安い広告なんて意味ないよ」と言うなかれ。

グーグルで検索をした時に表示される広告は、タイムリーに見込み客に届く
確率が高いと言えます。

さらに「堺市」「寿司」などとキーワードを設定すると、まさに堺市で寿司
屋を探している濃い見込み客に広告表示することができます。

今まで広告をすることなど想定していなかった「80%」の人を顧客にする
ことができるのですから、ものすごいビッグビジネスになるというわけです。


■グーグルのエリック・シュミットCEOは「膨大な数のスモールビジネス
と個人が金を稼げるインフラを自分たちが用意する」と言っています。

まさに「取るに足らない80%」を顧客とすることを宣言しています。

ということは、グーグルにとって広告は1つのツールにしか過ぎないでしょ
う。今後、企画、開発、製造、在庫、販促、営業、配送、決済、管理。。あ
らゆるシーンにグーグルが関わってくることになろうかと思われます。(特
に金融に進出することは目に見えていますね)


■グーグルで、さらにすごいのは、アドセンスという広告の仕組みです。

自分のホームページやブログにグーグルの広告を貼り付けると、自動的に最
適な広告を探して表示してくれる上に、クリックされた場合は、数円程度の
報酬まで支払ってくれます。

アマゾンも同じようなことをしていますが、グーグルの場合は、クリックさ
れるだけで報酬が支払われます。

この仕組みによって、労せずして広告出稿先が集まるわけです。


■このようにグーグルは、ネット上で自動的に稼ぐ仕組みを持ったビジネス
を展開しています。

同時に、膨大な個人にも、ホームページやブログを持っているだけで自動的
に稼ぐ仕組みを提供しているわけです。

実際には、ワンクリック数円程度のことなので、これで稼ごうとすれば相当
の努力が必要なのですが、理論上では稼ぐビジネスを作ることは可能です。

また英語圏では、この仕組みで生計を立てる人もいるという話です。


■この動きを梅田望夫氏は「富の再配分」と言っています。

資本主義においては、富の不均衡が生まれます。資本家は、それなりに労働
者に配分するのですが、隅々にまで行き渡らせることは不可能です。

これは社会主義においても同じでしょう。配分する行為にコストがかかって
しまいます。

ところが、グーグルの技術を使う時、数十円単位の報酬もカウントして配分
することが可能になりました。

さしずめ、アドセンスという仕組みは、"口コミ"という販売促進行為に対
する報酬の配分ということになるのでしょうか。


■以上はほんの一例です。

グーグルやアマゾンなどは、プログラムのソースを公開し、他の開発者がそ
の仕組みを使って新たなビジネスを組み立てることを奨励しています。

こうやって、グーグルやアマゾンは、他社を巻き込んだビジネス展開を行い、
大勢の個人はそれらのシステムを利用して自分のビジネスを組み立てるわけ
です。

それは、1人の賢人がビジネスをコントロールするというよりも、集団の叡
智を結集するという姿勢ですね。

今後、ネットの世界はどのように進化していくのでしょうか。


■ところで、ネットの世界では、一般に、地域経済というものはあてはまり
ません。

さしずめ、"グーグル経済圏""アマゾン経済圏"というものが存在するわ
けです。

我々も、"グーグル経済圏におけるランチェスター戦略""アマゾン経済圏
におけるランチェスター戦略"というものを作っていかないといけませんね。



(2006年4月13日メルマガより)

■2002年に日本で発売されたコトラーの「新・マーケティング原論」は、ニ
ューエコノミーの時代には、どのようなマーケティングが有効か、という問
題について書かれた書籍です。

いかにもコトラーらしい"広く浅い"内容の本なのですが、そこには、来る
べき真の顧客主導のマーケティングが、豊富な事例とともに書かれています。

いわく「逆製品設計」「逆プライシング」「逆広告」「逆プロモーション」
「逆流通チャネル」「逆セグメンテーション」など。。"買手が行う"マー
ケティング実務の概念が述べられています。


■もっとも、現状のビジネスに関わりのない話なら、普通は読み飛ばしてし
まうところでしょう。

考え方はわかっても、実際のビジネスには活かせないから関係ないやと。

私もそんな感じでした。


■ところが、私が知る・知らないに関わらず、デジタル革命は、着実に進ん
でいるようです。

最近では「WEB2.0」という言葉が流行るほど、新しい次元の進化が起きてい
るらしい。。。


■「ウェブ進化論」の作者である梅田望夫氏は、バーチャルな経済の動きは、
「今後10年ほどのスパンではリアル社会に顕著な影響を与えることなく進む」
と述べています。

つまり、意識していないと、10年間は気づかないままに進むわけです。

まさに、リアル浦島太郎!

10年後、気づいた時には、どうなっているのか想像もつきませんね。


■「ウェブ進化論」の中で、ネットの"あちら側"企業の代表として名を上
げられているのがグーグルです。

従業員数5000人で、株式時価総額が15兆円。。

これが、グーグルという企業です。

孫正義は「クレイジーな2,3人と賛同者が100人いれば、それで天下を取りに
いける」と言いましたが、それはグーグルという企業を想定していたのでし
ょうか。。


■グーグルの収益源は「広告」です。それも、クリックごとに数十円という
チープな広告。

その企業がどうして15兆円などという評価を得るのか?

実は、グーグルも世界中の「取るに足らない80%」を顧客にしているから
です。


■小さなビジネスをする人にとって、広告料というのは大きなコストになり
ます。

ところが、グーグルのアドワーズ広告は、クリックごとに数十円~数百円。

「これ以上クリックされたら終わり!」という上限も設定することができる
ので、個人事業者でも安心して利用できます。


■「そんな安い広告なんて意味ないよ」と言うなかれ。

グーグルで検索をした時に表示される広告は、タイムリーに見込み客に届く
確率が高いと言えます。

さらに「堺市」「寿司」などとキーワードを設定すると、まさに堺市で寿司
屋を探している濃い見込み客に広告表示することができます。

今まで広告をすることなど想定していなかった「80%」の人を顧客にする
ことができるのですから、ものすごいビッグビジネスになるというわけです。


■グーグルのエリック・シュミットCEOは「膨大な数のスモールビジネス
と個人が金を稼げるインフラを自分たちが用意する」と言っています。

まさに「取るに足らない80%」を顧客とすることを宣言しています。

ということは、グーグルにとって広告は1つのツールにしか過ぎないでしょ
う。今後、企画、開発、製造、在庫、販促、営業、配送、決済、管理。。あ
らゆるシーンにグーグルが関わってくることになろうかと思われます。(特
に金融に進出することは目に見えていますね)


■グーグルで、さらにすごいのは、アドセンスという広告の仕組みです。

自分のホームページやブログにグーグルの広告を貼り付けると、自動的に最
適な広告を探して表示してくれる上に、クリックされた場合は、数円程度の
報酬まで支払ってくれます。

アマゾンも同じようなことをしていますが、グーグルの場合は、クリックさ
れるだけで報酬が支払われます。

この仕組みによって、労せずして広告出稿先が集まるわけです。


■このようにグーグルは、ネット上で自動的に稼ぐ仕組みを持ったビジネス
を展開しています。

同時に、膨大な個人にも、ホームページやブログを持っているだけで自動的
に稼ぐ仕組みを提供しているわけです。

実際には、ワンクリック数円程度のことなので、これで稼ごうとすれば相当
の努力が必要なのですが、理論上では稼ぐビジネスを作ることは可能です。

また英語圏では、この仕組みで生計を立てる人もいるという話です。


■この動きを梅田望夫氏は「富の再配分」と言っています。

資本主義においては、富の不均衡が生まれます。資本家は、それなりに労働
者に配分するのですが、隅々にまで行き渡らせることは不可能です。

これは社会主義においても同じでしょう。配分する行為にコストがかかって
しまいます。

ところが、グーグルの技術を使う時、数十円単位の報酬もカウントして配分
することが可能になりました。

さしずめ、アドセンスという仕組みは、"口コミ"という販売促進行為に対
する報酬の配分ということになるのでしょうか。


■以上はほんの一例です。

グーグルやアマゾンなどは、プログラムのソースを公開し、他の開発者がそ
の仕組みを使って新たなビジネスを組み立てることを奨励しています。

こうやって、グーグルやアマゾンは、他社を巻き込んだビジネス展開を行い、
大勢の個人はそれらのシステムを利用して自分のビジネスを組み立てるわけ
です。

それは、1人の賢人がビジネスをコントロールするというよりも、集団の叡
智を結集するという姿勢ですね。

今後、ネットの世界はどのように進化していくのでしょうか。


■ところで、ネットの世界では、一般に、地域経済というものはあてはまり
ません。

さしずめ、"グーグル経済圏""アマゾン経済圏"というものが存在するわ
けです。

我々も、"グーグル経済圏におけるランチェスター戦略""アマゾン経済圏
におけるランチェスター戦略"というものを作っていかないといけませんね。


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