令和のランチェスター戦略

2019.04.04

(2019年4月4日メルマガより)



新元号「令和」が発表されました。

元号なんて何でもいいやろ、と冷めた目で見ていた私ですが、いざ発表されるとなると気になるものでした。

しかも新元号が万葉集の一節から引用したものであるという説明を聞けば、いい言葉だなあと思えてきます。

世間的にも概ね好意的に捉えられているのではないでしょうか。

せっかくなので、これを契機に、社会の在り方を推し進めるような本当に新しい時代が始まってほしいものです。


■先日の「戦略勉強会」では、前回のメルマガをとりあげました。

勉強会で自分のメルマガを題材にすることはあまりないのですが、今回は敢えてとりあげました。


ここには「フォロワー」という概念が書かれています。

フォロワーというのは「1位になる気のない2位以下の事業者」のことです。

1位になる気がないというのは、たいして儲けようとは思っていないということです。

その代わり楽です。フォロワーは、儲かっていそうな会社の二番煎じをしたり、おこぼれをもらったり、お手伝いをしたりしながら、せこく儲けることを是としています。

なんていうとネガティブな言い方になりますが、多くの中小零細企業がフォロワーの立場をとっています。

私だって同じです。生き残るためにはなりふり構っていられません。

誰もがナンバーワン企業になろうと志向するのは当然ですが、みながうまくとんとん拍子に進むわけではありません。

時には生き残るために、二番煎じをしたり、おこぼれをもらったり、親分会社の機嫌取りをしなければならないこともあります。

サバイバルは永遠に続きます。フォロワーとして小さな需要を拾い、生き延びながら、それだけで安穏とすることなく、トップ企業になれる大きなチャンスを虎視眈々と狙う。

これが小さな会社のサバイバル術です。


■私は「創業塾」も担当していますので、独立志望者を多く見てきています。

「戦略勉強会」に来られる方も、独立者や志望者が増えてきています。

そんな時、あまり綺麗な戦略理論ばかりお伝えするのは危険だと感じることがあります。

実際の経営は想定外の連続ですし、例外だと思いたくなるようなことばかり起こります。その中で生きていくには、相当のしたたかさや創意工夫や行動力が必要となります。

戦略理論にないこともトライすることで展望が拓けることがあるのです。

そんな思いをこめて書いたメルマガですし、勉強会でも強調しました。


やはり時代が変わると、社会の雰囲気も変わるのでしょうか。

最近、私の周りでも、独立しようと考えたり、実行したりする人が増えてきているように思います。

停滞状況が続いた平成時代が終わることで、多くの人に新しい挑戦をしようという機運が作られてきているのでしょうか。

今日のメルマガは、そんな新しい時代への期待をこめて書いております。

ぜひ最後まで読んでくださいね。


==========================================================


新元号「令和」が発表されたので、平成の終わりが一気に近づいた気がします。

元号が変わったからといって、何が変わるわけでもないんですが、やはりここ数日のお祭り騒ぎをみていると、終わりと始まりという節目があるのかなと感じてきました。

区切りをつけて一定期間を振り返るのは、悪いことではありません。

そういう意味では、30年単位の振り返りの契機となる今回の改元は、多くの人にとっていい機会となるのではないでしょうか。


平成くん、さようなら


私の場合、今年初めのメルマガで既に平成をふり返りました。


平成という時代は、端的にいうと日本が停滞した時代です。

バブル経済崩壊後、日本はこれといった構造改革をせずに過ごしてきました。

その間、アメリカは引き続き、中国は新たに、凄まじい勢いで経済規模を拡大していきました。

マラソンの競技中に、1位と2位が猛然とスパートをかけたのに、3位は変わらぬペースで悠々と走っている状況です。

なぜ日本はスパートをかけないのか?

既得権益者の力が強くて動けないという側面もありますし、一般の人自身が今まで通りのやり方、在り方を好むという側面もあります。両方でしょう。

ただ順位が下がるだけならそれほど問題ではありません。国際的地位が多少低下するぐらいです。

が、日本は類のないスピードで少子高齢化に進んでいる国です。

少数の若者が大勢の老人を支えなければならないいびつな国が、破綻せずに続けることができるのでしょうか。

国際的なランキングよりも、内部崩壊しかねない危険性を孕んでいることが問題です。

破綻を避けるためには、国の在り方を根本的に変える必要があるのです。


日本人の勝算」を書いたデービッド・アトキンソン氏は「日本人は初動は鈍いが、一度動き出すと驚くほど完璧にやってしまう」と言っています。

そうなればいいのですがね。

そういう意味では、元号が変わるのはいい機会になるかも知れません。

多くの人が気持ちを新たにして、挑戦しよう、変えようと思うことで、初動の鈍い日本人が動くきっかけになるのかも知れません。


起業する人が増えている気がする


そういえば。というと、出来過ぎな話に聞こえるかも知れませんが、最近、私のまわりで独立する方が増えてきています。

「戦略勉強会」に来られる方々も、いつの間にか、大半が独立を志向するようになってきました。

若い方もおられますし、定年で独立する方もおられます。

何かそういう時代的な気分というものがあるのでしょうか。

私は必ずしも、独立することが素晴らしいという価値観は持ち合わせていません。独立者であっても会社員であっても生き抜くことが大切だと思うからです。

でもせっかく独立したのならば、一定の成功は収めて、それを維持していただきたいと思います。

おまえのアドバイスなんていらん!と言われるかも知れませんが、そういうお節介が私の仕事です。

まあ平成時代をサバイバルした者の意見も聞いてください。


最も重要なポイントは「勝てる局面で戦う」こと


私の考え方のベースには、ランチェスター戦略があります。

サーモスが世界トップ企業になる過程でその威力を知り、その後のコンサルティング活動の中で、活用方法を学んだ戦略です。

よく知られた戦略なので、弱者の戦略とか差別化とか集中とか、一部分を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

ただその体系を学んだ人はあまりおられません。

だから、単に差別化すればいいとか、集中すればいいとかいうものではないことをご理解していただきたいと思います。


ランチェスター戦略の重要ポイントは、何よりもまず「勝てる局面で戦う」という考えです。

精神論や勢いだけで戦いに身を追いやってはいけません。ギャンブル的な挑戦も否です。戦うからには勝たなければならないのです。確実に勝てる時のみ戦う。これがランチェスター戦略の教えです。

そんな後ろ向きなことを言うな。挑戦こそが大切だろう!と反発される方がおられるかも知れませんね。

そう思う方は、どうぞ挑戦してください。運がよければ成功するかも知れませんよ。しかし、私や、私の支援企業には、運任せの挑戦などありえません。

戦いが始まった時点で勝負がついていることが殆どなのです。

これは「孫子の兵法」の考え方でもあります。


局面を見つけるためには、有効なデータが必要


あるいは「勝てる時に戦うって、当たり前の話やん」と言う人もいるでしょうが、これがなかなか簡単ではありません。

「勝てる局面で戦う」ためには、自分の能力、敵の能力や思惑、市場の状況をよく理解しておかなければなりません。

市場=顧客のことは、特に詳細に知っておく必要があります。

今の顧客は複雑です。年齢や性別だけの属性で分類してもニーズは一律ではありません。日によって、時間帯によって、気分が変わり、求めるものが違ってきます。それを把握することが「局面」を知ることです。


いま、私が支援している会社にも、顧客データを収集することを徹底してもらっています。

最初は「そんなことより、ランチェスター戦略としてのアドバイスをくれ」などと言われましたが、その発言は全くの誤解です。

ランチェスター戦略は、そもそも、戦う前のデータを徹底して収集することを教えています。

最初は意味のないデータを収集していると思えても、データをもとに作戦を立てて試行し、さらにデータを集める、この繰り返しで有用なデータは集まってきます。

いや、こうした繰り返しでしか、戦略に有効なデータは集まってきません。


トライアル・チャレンジ


「データばかり集めてたら行動できんやないか!」と怒る人がいるかも知れません。

それはそうです。行動しなければ何も始まりませんよ。

そのために、トライアル・チャレンジがあります。これは私の造語ですが、要するに、大怪我しないような規模でテスト的に挑戦してみることです。

最初は思いつきでも構いません。あそこに新たな需要がある。大手企業の手薄な場面がある。競合不在の市場がある。と気づいたならば、とりあえずビジネス展開してみないと始まりません。

机上の計算ではわからないことがビジネスには多いものです。

自動運転車の公道実験をするようなものです。自動運転車の開発で何より重要なのは、誰も想定できないような万が一の事故の可能性をいかに把握しておくかです。

それは他のビジネスでも同じです。やってみないと新規ビジネス開発の遡上にも乗らないのです。


この部分は中小零細企業に優位性があるはずです。大手企業ならある程度の規模や採算性がとれる算段がなければテスト的な挑戦もできません。稟議を通すのに時間もかかります。

が、小さな会社なら、思いついたら即日、やってみることができるはずです。いや、それぐらいのスピード感がなければ、生き残れませんから。


トライアルでは成功も失敗もない


トライアルで成果がでなくても仕方がありません。逆に成果を上げることができても慢心してはいけません。

その挑戦はあくまでトライアルです。有効なデータをとり、本格的な新事業開発をするための準備であることを忘れてはだめです。

戦略には資源配分を伴います。人を割り振って、予算を割り振って、お金をかけて、事業展開していきます。

資源を割り振るには、勝てるという算段がなければだめです。その算段をつけるためのトライアルであることを忘れてはなりません。

それなのにちょっとうまくいけば慢心してデータをとることもせずに、通常運転化してしまう人がいます。

あるいは、よく考えることもなく、一発勝負に出る人もいます。

そういう方は経営に向いていないと思います。気を付けてください。


実行はクレイジーに


さて勝てる局面であることを確信し、本格的に取り組む際はどうするのか。

その場合は、とことんやり抜かなければなりません。

戦略が決まって、実際の行動フェーズに入ったならば、あれこれ迷っていてはだめです。そんなことでは何も達成できません。

行動時には、手段を目的化するぐらいのクレイジーさが必要です。

つまり「これをする!」と決めたならば「そもそもこの行動にどういう意味があるのか?」など考えずに、やりきらなければなりません。

1日10件訪問する!と決めたならば、その10件に意味があろうとなかろうと、時間があろうとなかろうと、顧客が不在であろうとなかろうと、10件は訪問しなければならないのです。

決めたことは全部やる。絶対にやる。というのがランチェスター戦略の流儀です。

だから、絶対に勝てる局面でなければならないのですし、それを見つけるために詳細なデータを持っておかなければならないのです。


勝てる局面が見つからなければ、戦ってはいけない


もし、本格的な戦略方向性とするような「勝てる局面」が見つからなければどうするのか?

そういう場合もあるでしょう。

その場合は、前回のメルマガの通り、フォロワーとしてサバイバルしていってください。

市場をよく見て、理解して、小さなチャンスを拾いながら生きていくフォロワーの戦い方も、覚悟を決めれば、立派な生き方です。

流れるまま受け身にサバイバルしているのでは、危ういことこの上ありませんが、意識してフォロワーの立場にいるならば、それは戦略です。

その中で、勝てる局面を見つけることを常に忘れず、データをとって、市場の動きと自社の強みと競合の能力と思惑を把握するようにしてください。

くれぐれも無謀な勝負だけはしないように。


令和のランチェスター戦略 3つのポイント


ランチェスター戦略の体系はもっと広く深いものですが、今日はこれだけ言っておきます。

(1)なによりも「勝てる局面で戦う」こと。勝てる局面が見つからなければ戦うのは禁物です。フォロワーとしてサバイバルするのが身のためです。

(2)勝てる局面を見つけるためには、トライアル・チャレンジを行って、有益なデータを収集すること。

(3)戦略が決まれば、あれこれ考えずに、とことん実行すること。途中で投げ出すのは、禁止です。絶対にやりきってください。


前々回のメルマガで、日本企業の致命的な欠陥は生産性が低いことであるという話をしましたが、それは要するに、儲からないビジネスを我慢して続けているということです。

それぞれの企業が自社の強みをいかして「勝てる局面」で戦うことができれば、儲かるようになり、生産性は上がります。

政府の政策にも期待したいところですが、それ以上に各企業の取り組みや姿勢が重要です。

ランチェスター戦略によって、日本企業の国際的な問題が解決されるなら、専門家としてこれ以上の誉れはありません。


令和は、中小零細企業の時代


令和の時代、日本は人口減少と少子高齢化が本格化していきます。

かつての王道であった「いいものを安く大量に作って売る」というビジネスモデルは通用しなくなっていきます。

あるいは、一定の成果を出したからといって、それを一律に全国展開していく国内拡大路線は成功しにくくなっていきます。

ビジネスごとに適切な規模、適切な消費期限を把握しなければ、ちょっとした油断で破綻する危険性を孕んでいます。

そういう意味では、大きな需要規模を必要とせず、動きの早い中小零細企業の方が、むしろ動きの鈍い大企業よりも優位性を持つことができるではないかと考えます。

そのためにも、小さな会社は戦略を持たなければなりません。ナンバーワン企業を狙うにしろ、フォロワーとしてサバイバルするにしろ、です。

戦略がなければ生き残れません。

(2019年4月4日メルマガより)



新元号「令和」が発表されました。

元号なんて何でもいいやろ、と冷めた目で見ていた私ですが、いざ発表されるとなると気になるものでした。

しかも新元号が万葉集の一節から引用したものであるという説明を聞けば、いい言葉だなあと思えてきます。

世間的にも概ね好意的に捉えられているのではないでしょうか。

せっかくなので、これを契機に、社会の在り方を推し進めるような本当に新しい時代が始まってほしいものです。


■先日の「戦略勉強会」では、前回のメルマガをとりあげました。

勉強会で自分のメルマガを題材にすることはあまりないのですが、今回は敢えてとりあげました。


ここには「フォロワー」という概念が書かれています。

フォロワーというのは「1位になる気のない2位以下の事業者」のことです。

1位になる気がないというのは、たいして儲けようとは思っていないということです。

その代わり楽です。フォロワーは、儲かっていそうな会社の二番煎じをしたり、おこぼれをもらったり、お手伝いをしたりしながら、せこく儲けることを是としています。

なんていうとネガティブな言い方になりますが、多くの中小零細企業がフォロワーの立場をとっています。

私だって同じです。生き残るためにはなりふり構っていられません。

誰もがナンバーワン企業になろうと志向するのは当然ですが、みながうまくとんとん拍子に進むわけではありません。

時には生き残るために、二番煎じをしたり、おこぼれをもらったり、親分会社の機嫌取りをしなければならないこともあります。

サバイバルは永遠に続きます。フォロワーとして小さな需要を拾い、生き延びながら、それだけで安穏とすることなく、トップ企業になれる大きなチャンスを虎視眈々と狙う。

これが小さな会社のサバイバル術です。


■私は「創業塾」も担当していますので、独立志望者を多く見てきています。

「戦略勉強会」に来られる方も、独立者や志望者が増えてきています。

そんな時、あまり綺麗な戦略理論ばかりお伝えするのは危険だと感じることがあります。

実際の経営は想定外の連続ですし、例外だと思いたくなるようなことばかり起こります。その中で生きていくには、相当のしたたかさや創意工夫や行動力が必要となります。

戦略理論にないこともトライすることで展望が拓けることがあるのです。

そんな思いをこめて書いたメルマガですし、勉強会でも強調しました。


やはり時代が変わると、社会の雰囲気も変わるのでしょうか。

最近、私の周りでも、独立しようと考えたり、実行したりする人が増えてきているように思います。

停滞状況が続いた平成時代が終わることで、多くの人に新しい挑戦をしようという機運が作られてきているのでしょうか。

今日のメルマガは、そんな新しい時代への期待をこめて書いております。

ぜひ最後まで読んでくださいね。


==========================================================


新元号「令和」が発表されたので、平成の終わりが一気に近づいた気がします。

元号が変わったからといって、何が変わるわけでもないんですが、やはりここ数日のお祭り騒ぎをみていると、終わりと始まりという節目があるのかなと感じてきました。

区切りをつけて一定期間を振り返るのは、悪いことではありません。

そういう意味では、30年単位の振り返りの契機となる今回の改元は、多くの人にとっていい機会となるのではないでしょうか。


平成くん、さようなら


私の場合、今年初めのメルマガで既に平成をふり返りました。


平成という時代は、端的にいうと日本が停滞した時代です。

バブル経済崩壊後、日本はこれといった構造改革をせずに過ごしてきました。

その間、アメリカは引き続き、中国は新たに、凄まじい勢いで経済規模を拡大していきました。

マラソンの競技中に、1位と2位が猛然とスパートをかけたのに、3位は変わらぬペースで悠々と走っている状況です。

なぜ日本はスパートをかけないのか?

既得権益者の力が強くて動けないという側面もありますし、一般の人自身が今まで通りのやり方、在り方を好むという側面もあります。両方でしょう。

ただ順位が下がるだけならそれほど問題ではありません。国際的地位が多少低下するぐらいです。

が、日本は類のないスピードで少子高齢化に進んでいる国です。

少数の若者が大勢の老人を支えなければならないいびつな国が、破綻せずに続けることができるのでしょうか。

国際的なランキングよりも、内部崩壊しかねない危険性を孕んでいることが問題です。

破綻を避けるためには、国の在り方を根本的に変える必要があるのです。


日本人の勝算」を書いたデービッド・アトキンソン氏は「日本人は初動は鈍いが、一度動き出すと驚くほど完璧にやってしまう」と言っています。

そうなればいいのですがね。

そういう意味では、元号が変わるのはいい機会になるかも知れません。

多くの人が気持ちを新たにして、挑戦しよう、変えようと思うことで、初動の鈍い日本人が動くきっかけになるのかも知れません。


起業する人が増えている気がする


そういえば。というと、出来過ぎな話に聞こえるかも知れませんが、最近、私のまわりで独立する方が増えてきています。

「戦略勉強会」に来られる方々も、いつの間にか、大半が独立を志向するようになってきました。

若い方もおられますし、定年で独立する方もおられます。

何かそういう時代的な気分というものがあるのでしょうか。

私は必ずしも、独立することが素晴らしいという価値観は持ち合わせていません。独立者であっても会社員であっても生き抜くことが大切だと思うからです。

でもせっかく独立したのならば、一定の成功は収めて、それを維持していただきたいと思います。

おまえのアドバイスなんていらん!と言われるかも知れませんが、そういうお節介が私の仕事です。

まあ平成時代をサバイバルした者の意見も聞いてください。


最も重要なポイントは「勝てる局面で戦う」こと


私の考え方のベースには、ランチェスター戦略があります。

サーモスが世界トップ企業になる過程でその威力を知り、その後のコンサルティング活動の中で、活用方法を学んだ戦略です。

よく知られた戦略なので、弱者の戦略とか差別化とか集中とか、一部分を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

ただその体系を学んだ人はあまりおられません。

だから、単に差別化すればいいとか、集中すればいいとかいうものではないことをご理解していただきたいと思います。


ランチェスター戦略の重要ポイントは、何よりもまず「勝てる局面で戦う」という考えです。

精神論や勢いだけで戦いに身を追いやってはいけません。ギャンブル的な挑戦も否です。戦うからには勝たなければならないのです。確実に勝てる時のみ戦う。これがランチェスター戦略の教えです。

そんな後ろ向きなことを言うな。挑戦こそが大切だろう!と反発される方がおられるかも知れませんね。

そう思う方は、どうぞ挑戦してください。運がよければ成功するかも知れませんよ。しかし、私や、私の支援企業には、運任せの挑戦などありえません。

戦いが始まった時点で勝負がついていることが殆どなのです。

これは「孫子の兵法」の考え方でもあります。


局面を見つけるためには、有効なデータが必要


あるいは「勝てる時に戦うって、当たり前の話やん」と言う人もいるでしょうが、これがなかなか簡単ではありません。

「勝てる局面で戦う」ためには、自分の能力、敵の能力や思惑、市場の状況をよく理解しておかなければなりません。

市場=顧客のことは、特に詳細に知っておく必要があります。

今の顧客は複雑です。年齢や性別だけの属性で分類してもニーズは一律ではありません。日によって、時間帯によって、気分が変わり、求めるものが違ってきます。それを把握することが「局面」を知ることです。


いま、私が支援している会社にも、顧客データを収集することを徹底してもらっています。

最初は「そんなことより、ランチェスター戦略としてのアドバイスをくれ」などと言われましたが、その発言は全くの誤解です。

ランチェスター戦略は、そもそも、戦う前のデータを徹底して収集することを教えています。

最初は意味のないデータを収集していると思えても、データをもとに作戦を立てて試行し、さらにデータを集める、この繰り返しで有用なデータは集まってきます。

いや、こうした繰り返しでしか、戦略に有効なデータは集まってきません。


トライアル・チャレンジ


「データばかり集めてたら行動できんやないか!」と怒る人がいるかも知れません。

それはそうです。行動しなければ何も始まりませんよ。

そのために、トライアル・チャレンジがあります。これは私の造語ですが、要するに、大怪我しないような規模でテスト的に挑戦してみることです。

最初は思いつきでも構いません。あそこに新たな需要がある。大手企業の手薄な場面がある。競合不在の市場がある。と気づいたならば、とりあえずビジネス展開してみないと始まりません。

机上の計算ではわからないことがビジネスには多いものです。

自動運転車の公道実験をするようなものです。自動運転車の開発で何より重要なのは、誰も想定できないような万が一の事故の可能性をいかに把握しておくかです。

それは他のビジネスでも同じです。やってみないと新規ビジネス開発の遡上にも乗らないのです。


この部分は中小零細企業に優位性があるはずです。大手企業ならある程度の規模や採算性がとれる算段がなければテスト的な挑戦もできません。稟議を通すのに時間もかかります。

が、小さな会社なら、思いついたら即日、やってみることができるはずです。いや、それぐらいのスピード感がなければ、生き残れませんから。


トライアルでは成功も失敗もない


トライアルで成果がでなくても仕方がありません。逆に成果を上げることができても慢心してはいけません。

その挑戦はあくまでトライアルです。有効なデータをとり、本格的な新事業開発をするための準備であることを忘れてはだめです。

戦略には資源配分を伴います。人を割り振って、予算を割り振って、お金をかけて、事業展開していきます。

資源を割り振るには、勝てるという算段がなければだめです。その算段をつけるためのトライアルであることを忘れてはなりません。

それなのにちょっとうまくいけば慢心してデータをとることもせずに、通常運転化してしまう人がいます。

あるいは、よく考えることもなく、一発勝負に出る人もいます。

そういう方は経営に向いていないと思います。気を付けてください。


実行はクレイジーに


さて勝てる局面であることを確信し、本格的に取り組む際はどうするのか。

その場合は、とことんやり抜かなければなりません。

戦略が決まって、実際の行動フェーズに入ったならば、あれこれ迷っていてはだめです。そんなことでは何も達成できません。

行動時には、手段を目的化するぐらいのクレイジーさが必要です。

つまり「これをする!」と決めたならば「そもそもこの行動にどういう意味があるのか?」など考えずに、やりきらなければなりません。

1日10件訪問する!と決めたならば、その10件に意味があろうとなかろうと、時間があろうとなかろうと、顧客が不在であろうとなかろうと、10件は訪問しなければならないのです。

決めたことは全部やる。絶対にやる。というのがランチェスター戦略の流儀です。

だから、絶対に勝てる局面でなければならないのですし、それを見つけるために詳細なデータを持っておかなければならないのです。


勝てる局面が見つからなければ、戦ってはいけない


もし、本格的な戦略方向性とするような「勝てる局面」が見つからなければどうするのか?

そういう場合もあるでしょう。

その場合は、前回のメルマガの通り、フォロワーとしてサバイバルしていってください。

市場をよく見て、理解して、小さなチャンスを拾いながら生きていくフォロワーの戦い方も、覚悟を決めれば、立派な生き方です。

流れるまま受け身にサバイバルしているのでは、危ういことこの上ありませんが、意識してフォロワーの立場にいるならば、それは戦略です。

その中で、勝てる局面を見つけることを常に忘れず、データをとって、市場の動きと自社の強みと競合の能力と思惑を把握するようにしてください。

くれぐれも無謀な勝負だけはしないように。


令和のランチェスター戦略 3つのポイント


ランチェスター戦略の体系はもっと広く深いものですが、今日はこれだけ言っておきます。

(1)なによりも「勝てる局面で戦う」こと。勝てる局面が見つからなければ戦うのは禁物です。フォロワーとしてサバイバルするのが身のためです。

(2)勝てる局面を見つけるためには、トライアル・チャレンジを行って、有益なデータを収集すること。

(3)戦略が決まれば、あれこれ考えずに、とことん実行すること。途中で投げ出すのは、禁止です。絶対にやりきってください。


前々回のメルマガで、日本企業の致命的な欠陥は生産性が低いことであるという話をしましたが、それは要するに、儲からないビジネスを我慢して続けているということです。

それぞれの企業が自社の強みをいかして「勝てる局面」で戦うことができれば、儲かるようになり、生産性は上がります。

政府の政策にも期待したいところですが、それ以上に各企業の取り組みや姿勢が重要です。

ランチェスター戦略によって、日本企業の国際的な問題が解決されるなら、専門家としてこれ以上の誉れはありません。


令和は、中小零細企業の時代


令和の時代、日本は人口減少と少子高齢化が本格化していきます。

かつての王道であった「いいものを安く大量に作って売る」というビジネスモデルは通用しなくなっていきます。

あるいは、一定の成果を出したからといって、それを一律に全国展開していく国内拡大路線は成功しにくくなっていきます。

ビジネスごとに適切な規模、適切な消費期限を把握しなければ、ちょっとした油断で破綻する危険性を孕んでいます。

そういう意味では、大きな需要規模を必要とせず、動きの早い中小零細企業の方が、むしろ動きの鈍い大企業よりも優位性を持つことができるではないかと考えます。

そのためにも、小さな会社は戦略を持たなければなりません。ナンバーワン企業を狙うにしろ、フォロワーとしてサバイバルするにしろ、です。

戦略がなければ生き残れません。

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