フォロワー企業のゲーム

2009.10.08

(2009年10月8日メルマガより)

☆メルマガ登録はこちら

■「成功ルールが変わる!「カラオケ資本主義を越えて」」という本を読み
ました。

古い本(2004年発売)なんですが、大前研一氏が強く推薦していたので読み
たかった本です。

どういうわけか本屋で見つけられず、ブックオフで発見しました。

念願の読了です^^

■作者は欧州の人ですが「カラオケ資本主義」という言葉をそのまま使って
います。

原題は「カラオケ資本主義--人類のための経営」です。

これってどういう意味?と思いますね。

かいつまんで説明すると、現代はチャンスに溢れ、無限の選択肢が個人に与
えられた時代だと思われていますが、実際には、一握りの大企業や優れた人
物が作ったルールの中でカラオケを歌う権利を与えられているに過ぎない。

カラオケボックスの中で他人の歌を模倣している限り、一定の料金内でリス
クもなく収まるが、それでは破壊的なイノベーションを起こすことはできな
い。

そんな「カラオケ資本主義」の枠内で収まっていていいのか!?

という趣旨のことを書いている本です。(間違っていたらごめんなさい^^;

■面白い本ではあるのですが、事例が豊富すぎて、内容を掴みにくいという
欠点もあります。

もともと作者の意図は、自分の主張を理解させることではなく、多彩な概念
を提示する中で、ビジネスに関するインスピレーションを感じてもらおうと
いうものなので、論理よりも、具体的事例に重きを置いているわけですね。

海外のビジネス本には時折、事例中心で内容が散漫なものがありますね。こ
の本もその一つでしょうか。

それでも、ところどころ、インスピレーションを感じる部分がありました。

■そもそも何故我々は、カラオケボックスに行って、他人の歌を歌いたがる
のか?

手っ取り早く発散できて楽しいからに外なりませんね。。。

私の場合「六甲おろし」を神に捧げる儀式でもあるのですが...

ビジネスの例でいうと、他人の決めたルールで商売している限り、低リター
ンだが、低リスクに収まることができます。

完成されたフランチャイズシステムを起用すると、生みの苦労を経ることな
く、一定の利益を見込むことができます。

本部フランチャイザーがもっと大儲けしていることを妬まなければ、優れた
投資案件だと割り切ることができます。

(だから、フランチャイズに加入する側が最も重視するべきは低リスクだと
私は考えます。高リターンを求めて、よく分からないシステムに加入するの
は、本末転倒ではないでしょうか。余談ですが)

■競争戦略には「地位の戦略」という概念があります。

ある市場における企業(プレーヤー)をその順位によって、リーダー、チャ
ンレンジャー、フォロワー、ニッチャーに分ける考え方です。

リーダーとはトップ企業のこと。その市場で主導権を握る存在です。ランチ
ェスター戦略においては強者と呼ばれ、2位の企業をミート(真似)するこ
とが基本戦略となります。

しかしリーダーの最も大きな仕事は、市場全体を維持・拡大することです。
市場が衰退してしまえば、一番打撃を受けるのはリーダーですから、リーダ
ーは市場(顧客)を育てることに責任があります。

実はリーダーは、その市場に多くのフォロワー(追随企業)を呼び込んで、
市場全体を活性化することも仕事の一つです。何でもかんでも叩いて、排除
していればいいのではありません。

できれば多くの企業をフォロワーとして、確率戦の市場を作り上げるのが理
想です。(確率戦については後述)

■チャレンジャーとは、トップを狙う2位以下の企業のことです。ランチェ
スター戦略においては弱者と呼ばれ、差別化が基本戦略となります。

リーダーと同じことをしていれば、顧客に選んでもらえませんから、リーダ
ーがやらないこと、できないことを志向します。

リーダーが真似できないような差別化をすることができれば、逆転してトッ
プに立つことも可能ですが、激しい戦いを経なければならないので、傷を負
うことも覚悟しなければなりません。

厳しい戦いを強いられるのがチャレンジャーです。

■フォロワーは、その名の通り、自分より上の企業の追随者です。

トップに立つつもりはなく、コストをかけずにそこそこの利益を出そうとい
う考えを持っています。

ランチェスター戦略においては弱者に分類されるのですが、基本的には他の
企業の真似をしつつ、ポイントで差別化を行おうというのが特徴です。

なんとも冴えない印象を与えるかも知れませんが、実は殆どの企業はフォロ
ワーです。

■ニッチャーは、ミニリーダーとも呼ばれ、さらに細分化した市場の中で、
トップになるという考えの企業です。

ランチェスター戦略における「ナンバーワン主義」は、ニッチャーの戦略を
指しています。

市場というのは、いくらでも細分化できるものですから、自分で決めた枠の
中でトップになればいいわけです。

一番簡単なのは、地域を細分化して、○○地域で一番になる!という戦略で
す。

ランチェスター戦略を学ばれている方には馴染みの深い戦略ですね。

■あえてリーダー企業を模倣して、小さく儲けるというのがフォロワーの考
え方です。

しかし、フォロワーという選択も立派な戦略であることを今回は言っておき
ます。

確かにトップ企業になれば、圧倒的に有利で、高い利益を確保することがで
きます。

業界のトップ企業の殆どが、2位以下に2倍、3倍以上の利益率を誇ってい
ることからもそれはわかります。

ランチェスター戦略でいうと、1位が40%以上のシェアを得て、その他大
勢がひしめく「確率戦」の市場が、最もトップ企業に有利だといえます。

(確率戦の市場とは、プレーヤーが多く、各個の差別化がお互い無力化され
てしまう市場のことです。従って量に勝る強者に有利となります)

しかしトップ企業は市場全体に責任を負い、市場拡大または維持を命題とし
なければならないので、それなりにコストを使わなければなりません。

市場が大きく縮小したり、消滅してしまった時に、最もダメージを追うのは、
その市場に合わせたコスト構造を持つトップ企業だからです。

それに比べて、フォロワーと言われる企業は、トップ企業の儲け方を真似し
て、少しばかりキャッシュを得て、やばくなったら逃げる。。それで十分だ
と思えるなら、それでいいのです。

詳しくは言えませんが、大阪には、成功し儲かっている企業のいいところだ
けを真似して(ちょっとした差別化をして)儲けを上げている小さな企業が
いっぱいあります。

半歩先のトレンドを見分ける力と逃げる体制を整えておく管理能力があれば、
そういうしたたかな生き方もできるんですね。

■ゲーム理論の世界では、誰かの真似をすることで利得する状況を「コーデ
ィネーション・ゲーム」と呼んでいます。

コーディネーションとは「同調・調整」という意味です。

マイクロソフトのウィンドウズのように誰もが認める「デファクト・スタン
ダード」が決まれば、皆がその枠内で商品開発をしようとします。それが典
型ですね。

それ以外でも、トップ企業の真似をする合理性はあります。

例えば、100円ショップが世の中に無い時に初めてそれをする企業は、長
い時間をかけて試行錯誤を行わなければなりません。

立地、仕入れ、販売、人員配置、PR、すべてにおいて手探りで、ノウハウ
構築を行わなければなりません。

ただ一度、市場に認知され需要が喚起されると、消費者は「私も100円シ
ョップで買い物をしよう」と同調し始めます。

企業側は1号店のやり方を踏襲し、改善することが適切な行動となります。

100円ショップが流行れば似たような店が乱立するし、子供専用写真館が
流行れば同じような店ができる所以です。

一度、トレンドが決まれば、雪崩を打つように皆が同調する。これがコーデ
ィネーション・ゲームの特徴です。

プレーヤーが増えて、先に述べた確率戦の市場が形成されたなら、トップ企
業の地位は安泰となりますので、パイオニア企業にとっても、コーディネー
ション・ゲームの状況に持ち込むことはメリットが大きいといえます。

だから、したたかなフォロワー企業は「何が流行るか分からんが、流行った
らおこぼれ需要で儲けよう」と虎視眈々とトレンドの行方を狙っていますし、
トップ企業もルール内で商売してくれることを狙って、意図的に成功法則な
どを開示するわけです。

(それがもう少し進めば、業界団体などができて、地位の固定化を図るわけ
です)

■というわけで、今日はもう1冊を紹介します。

ゲーム理論の思考法 ビジネス・人生を変える「戦略発想の技術」

戦略論は全てゲーム理論の影響を受けているといっていいでしょう。もちろ
ん、ランチェスター戦略も、その出自はゲーム理論を採り入れています。

ゲーム理論を実際に活かす上で重要なのは、今、どのようなゲームのルール
で動いているのかを把握することです。

ルールが分かれば対処の仕様が分かります。

例えば、フォロワー企業は、今この場はコーディネーション・ゲームだとい
うことを理解していなければなりません。

衰退し、縮小する市場で、フォロワーを続けていても意味はありません。

フォロワーの基本的な姿勢は「低リスク・低リターン」ですから、需要を見
極めて素早く参入し、潔く見切りをつけて撤退することがルールとなります。

ただ単に儲かりそうだから真似をするという愚は犯さないようにしなければ
なりません。

■この本は、まずは「ゲームのルールを知ろう」というところにこだわって
います。

基本的な「囚人のゲーム」に始まり、「チキン・レース」「マッチング・ペ
ニース」「ホテリング・ゲーム」「時間経過のあるゲーム」など代表的なゲ
ームの概念を提示しています。

とても分かりやすく面白い本ですよ。

■もっとも最初にあげた「カラオケ資本主義」は、ルール内で勝負するので
はなく、ルール自体を変えようと主張しています。

市場が成熟期から衰退期にかかるとき、市場そのものを大きく動かすのは、
ルールを大きく変えるプレーヤーが現れる時です。

全員が全員、低リスクのフォロワーでいる限り、革新的なイノベーションは
生まれませんから、社会全体にとっては、好ましい状態とはいえません。

リスクを引き受ける大勢の誰かがいないと、社会は前進しないんですね。

いわゆるトップを狙う人々の存在です。

■では、どうすれば"破壊的な"差別化を作り上げ、新しいルールで動く市
場を切り開くことができるのか。

「カラオケ資本主義」の中では、「コンセプト」「顧客」「独自の能力」だ
と書かれています。(214ページ)

このあたりが、この本の中で最も面白い部分でしょうね。

しかし、新しい市場の開拓は、今回のテーマではありませんので、次回以降
に回したいと思います^^

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

■チャールズ・ダーウィンは「種の起源」という著書で、生物の進化の仕組
みを解き明かした人物です。

彼の提唱した「自然淘汰説」は、純然とした数式で進化の仕組みを説明して
いるので、納得しやすく、また他の分野にも応用が効く理論です。

例えば「イノベーションのジレンマ」などといった著作も、ダーウィンの考
え方を企業競争に持ち込んだものだと考えることができます。

要するに、企業はてんでバラバラに、自分の個性を出して競争する。結果と
して、その環境に適応した企業が生き残るという考えです。(ただし環境に
適応しすぎたために、環境の変化についていけず、滅びる優秀な企業も多い)

■実は、ダーウィンは自然淘汰説では説明できない事例にも注目しています。

例えば、孔雀のオスの羽根は進化に必要なものだったのか?という疑問です。

ダーウィンはそこに「性選択」という概念を持ち込み、個体として選択され
る必要性があることを説いています。(要するに、異性の気を惹く必要です)

ただし、こちらは研究半ばに置かれてしまったのですが。

■本文にある「カラオケ資本主義」では、このダーウィンの理論を取り上げ
て、「生き残るのは、最も環境に適応し、最もセクシーな企業である」と言
っています。

私にはこじつけにしか思えませんでしたが^^;

面白い本でしょう。



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■「成功ルールが変わる!「カラオケ資本主義を越えて」」という本を読み
ました。

古い本(2004年発売)なんですが、大前研一氏が強く推薦していたので読み
たかった本です。

どういうわけか本屋で見つけられず、ブックオフで発見しました。

念願の読了です^^

■作者は欧州の人ですが「カラオケ資本主義」という言葉をそのまま使って
います。

原題は「カラオケ資本主義--人類のための経営」です。

これってどういう意味?と思いますね。

かいつまんで説明すると、現代はチャンスに溢れ、無限の選択肢が個人に与
えられた時代だと思われていますが、実際には、一握りの大企業や優れた人
物が作ったルールの中でカラオケを歌う権利を与えられているに過ぎない。

カラオケボックスの中で他人の歌を模倣している限り、一定の料金内でリス
クもなく収まるが、それでは破壊的なイノベーションを起こすことはできな
い。

そんな「カラオケ資本主義」の枠内で収まっていていいのか!?

という趣旨のことを書いている本です。(間違っていたらごめんなさい^^;

■面白い本ではあるのですが、事例が豊富すぎて、内容を掴みにくいという
欠点もあります。

もともと作者の意図は、自分の主張を理解させることではなく、多彩な概念
を提示する中で、ビジネスに関するインスピレーションを感じてもらおうと
いうものなので、論理よりも、具体的事例に重きを置いているわけですね。

海外のビジネス本には時折、事例中心で内容が散漫なものがありますね。こ
の本もその一つでしょうか。

それでも、ところどころ、インスピレーションを感じる部分がありました。

■そもそも何故我々は、カラオケボックスに行って、他人の歌を歌いたがる
のか?

手っ取り早く発散できて楽しいからに外なりませんね。。。

私の場合「六甲おろし」を神に捧げる儀式でもあるのですが...

ビジネスの例でいうと、他人の決めたルールで商売している限り、低リター
ンだが、低リスクに収まることができます。

完成されたフランチャイズシステムを起用すると、生みの苦労を経ることな
く、一定の利益を見込むことができます。

本部フランチャイザーがもっと大儲けしていることを妬まなければ、優れた
投資案件だと割り切ることができます。

(だから、フランチャイズに加入する側が最も重視するべきは低リスクだと
私は考えます。高リターンを求めて、よく分からないシステムに加入するの
は、本末転倒ではないでしょうか。余談ですが)

■競争戦略には「地位の戦略」という概念があります。

ある市場における企業(プレーヤー)をその順位によって、リーダー、チャ
ンレンジャー、フォロワー、ニッチャーに分ける考え方です。

リーダーとはトップ企業のこと。その市場で主導権を握る存在です。ランチ
ェスター戦略においては強者と呼ばれ、2位の企業をミート(真似)するこ
とが基本戦略となります。

しかしリーダーの最も大きな仕事は、市場全体を維持・拡大することです。
市場が衰退してしまえば、一番打撃を受けるのはリーダーですから、リーダ
ーは市場(顧客)を育てることに責任があります。

実はリーダーは、その市場に多くのフォロワー(追随企業)を呼び込んで、
市場全体を活性化することも仕事の一つです。何でもかんでも叩いて、排除
していればいいのではありません。

できれば多くの企業をフォロワーとして、確率戦の市場を作り上げるのが理
想です。(確率戦については後述)

■チャレンジャーとは、トップを狙う2位以下の企業のことです。ランチェ
スター戦略においては弱者と呼ばれ、差別化が基本戦略となります。

リーダーと同じことをしていれば、顧客に選んでもらえませんから、リーダ
ーがやらないこと、できないことを志向します。

リーダーが真似できないような差別化をすることができれば、逆転してトッ
プに立つことも可能ですが、激しい戦いを経なければならないので、傷を負
うことも覚悟しなければなりません。

厳しい戦いを強いられるのがチャレンジャーです。

■フォロワーは、その名の通り、自分より上の企業の追随者です。

トップに立つつもりはなく、コストをかけずにそこそこの利益を出そうとい
う考えを持っています。

ランチェスター戦略においては弱者に分類されるのですが、基本的には他の
企業の真似をしつつ、ポイントで差別化を行おうというのが特徴です。

なんとも冴えない印象を与えるかも知れませんが、実は殆どの企業はフォロ
ワーです。

■ニッチャーは、ミニリーダーとも呼ばれ、さらに細分化した市場の中で、
トップになるという考えの企業です。

ランチェスター戦略における「ナンバーワン主義」は、ニッチャーの戦略を
指しています。

市場というのは、いくらでも細分化できるものですから、自分で決めた枠の
中でトップになればいいわけです。

一番簡単なのは、地域を細分化して、○○地域で一番になる!という戦略で
す。

ランチェスター戦略を学ばれている方には馴染みの深い戦略ですね。

■あえてリーダー企業を模倣して、小さく儲けるというのがフォロワーの考
え方です。

しかし、フォロワーという選択も立派な戦略であることを今回は言っておき
ます。

確かにトップ企業になれば、圧倒的に有利で、高い利益を確保することがで
きます。

業界のトップ企業の殆どが、2位以下に2倍、3倍以上の利益率を誇ってい
ることからもそれはわかります。

ランチェスター戦略でいうと、1位が40%以上のシェアを得て、その他大
勢がひしめく「確率戦」の市場が、最もトップ企業に有利だといえます。

(確率戦の市場とは、プレーヤーが多く、各個の差別化がお互い無力化され
てしまう市場のことです。従って量に勝る強者に有利となります)

しかしトップ企業は市場全体に責任を負い、市場拡大または維持を命題とし
なければならないので、それなりにコストを使わなければなりません。

市場が大きく縮小したり、消滅してしまった時に、最もダメージを追うのは、
その市場に合わせたコスト構造を持つトップ企業だからです。

それに比べて、フォロワーと言われる企業は、トップ企業の儲け方を真似し
て、少しばかりキャッシュを得て、やばくなったら逃げる。。それで十分だ
と思えるなら、それでいいのです。

詳しくは言えませんが、大阪には、成功し儲かっている企業のいいところだ
けを真似して(ちょっとした差別化をして)儲けを上げている小さな企業が
いっぱいあります。

半歩先のトレンドを見分ける力と逃げる体制を整えておく管理能力があれば、
そういうしたたかな生き方もできるんですね。

■ゲーム理論の世界では、誰かの真似をすることで利得する状況を「コーデ
ィネーション・ゲーム」と呼んでいます。

コーディネーションとは「同調・調整」という意味です。

マイクロソフトのウィンドウズのように誰もが認める「デファクト・スタン
ダード」が決まれば、皆がその枠内で商品開発をしようとします。それが典
型ですね。

それ以外でも、トップ企業の真似をする合理性はあります。

例えば、100円ショップが世の中に無い時に初めてそれをする企業は、長
い時間をかけて試行錯誤を行わなければなりません。

立地、仕入れ、販売、人員配置、PR、すべてにおいて手探りで、ノウハウ
構築を行わなければなりません。

ただ一度、市場に認知され需要が喚起されると、消費者は「私も100円シ
ョップで買い物をしよう」と同調し始めます。

企業側は1号店のやり方を踏襲し、改善することが適切な行動となります。

100円ショップが流行れば似たような店が乱立するし、子供専用写真館が
流行れば同じような店ができる所以です。

一度、トレンドが決まれば、雪崩を打つように皆が同調する。これがコーデ
ィネーション・ゲームの特徴です。

プレーヤーが増えて、先に述べた確率戦の市場が形成されたなら、トップ企
業の地位は安泰となりますので、パイオニア企業にとっても、コーディネー
ション・ゲームの状況に持ち込むことはメリットが大きいといえます。

だから、したたかなフォロワー企業は「何が流行るか分からんが、流行った
らおこぼれ需要で儲けよう」と虎視眈々とトレンドの行方を狙っていますし、
トップ企業もルール内で商売してくれることを狙って、意図的に成功法則な
どを開示するわけです。

(それがもう少し進めば、業界団体などができて、地位の固定化を図るわけ
です)

■というわけで、今日はもう1冊を紹介します。

ゲーム理論の思考法 ビジネス・人生を変える「戦略発想の技術」

戦略論は全てゲーム理論の影響を受けているといっていいでしょう。もちろ
ん、ランチェスター戦略も、その出自はゲーム理論を採り入れています。

ゲーム理論を実際に活かす上で重要なのは、今、どのようなゲームのルール
で動いているのかを把握することです。

ルールが分かれば対処の仕様が分かります。

例えば、フォロワー企業は、今この場はコーディネーション・ゲームだとい
うことを理解していなければなりません。

衰退し、縮小する市場で、フォロワーを続けていても意味はありません。

フォロワーの基本的な姿勢は「低リスク・低リターン」ですから、需要を見
極めて素早く参入し、潔く見切りをつけて撤退することがルールとなります。

ただ単に儲かりそうだから真似をするという愚は犯さないようにしなければ
なりません。

■この本は、まずは「ゲームのルールを知ろう」というところにこだわって
います。

基本的な「囚人のゲーム」に始まり、「チキン・レース」「マッチング・ペ
ニース」「ホテリング・ゲーム」「時間経過のあるゲーム」など代表的なゲ
ームの概念を提示しています。

とても分かりやすく面白い本ですよ。

■もっとも最初にあげた「カラオケ資本主義」は、ルール内で勝負するので
はなく、ルール自体を変えようと主張しています。

市場が成熟期から衰退期にかかるとき、市場そのものを大きく動かすのは、
ルールを大きく変えるプレーヤーが現れる時です。

全員が全員、低リスクのフォロワーでいる限り、革新的なイノベーションは
生まれませんから、社会全体にとっては、好ましい状態とはいえません。

リスクを引き受ける大勢の誰かがいないと、社会は前進しないんですね。

いわゆるトップを狙う人々の存在です。

■では、どうすれば"破壊的な"差別化を作り上げ、新しいルールで動く市
場を切り開くことができるのか。

「カラオケ資本主義」の中では、「コンセプト」「顧客」「独自の能力」だ
と書かれています。(214ページ)

このあたりが、この本の中で最も面白い部分でしょうね。

しかし、新しい市場の開拓は、今回のテーマではありませんので、次回以降
に回したいと思います^^

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■チャールズ・ダーウィンは「種の起源」という著書で、生物の進化の仕組
みを解き明かした人物です。

彼の提唱した「自然淘汰説」は、純然とした数式で進化の仕組みを説明して
いるので、納得しやすく、また他の分野にも応用が効く理論です。

例えば「イノベーションのジレンマ」などといった著作も、ダーウィンの考
え方を企業競争に持ち込んだものだと考えることができます。

要するに、企業はてんでバラバラに、自分の個性を出して競争する。結果と
して、その環境に適応した企業が生き残るという考えです。(ただし環境に
適応しすぎたために、環境の変化についていけず、滅びる優秀な企業も多い)

■実は、ダーウィンは自然淘汰説では説明できない事例にも注目しています。

例えば、孔雀のオスの羽根は進化に必要なものだったのか?という疑問です。

ダーウィンはそこに「性選択」という概念を持ち込み、個体として選択され
る必要性があることを説いています。(要するに、異性の気を惹く必要です)

ただし、こちらは研究半ばに置かれてしまったのですが。

■本文にある「カラオケ資本主義」では、このダーウィンの理論を取り上げ
て、「生き残るのは、最も環境に適応し、最もセクシーな企業である」と言
っています。

私にはこじつけにしか思えませんでしたが^^;

面白い本でしょう。



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