お医者さんや弁護士さんの営業戦略

2013.05.30

(2013年5月30日メルマガより)


■先日(5月21日)のランチェスター戦略勉強会のテーマは、「
難関資格者の販売戦略」についてでした。

私が持っている中小企業診断士という資格などは、取得するための試験が比較的簡単なため、その見返りも大して期待できません。

こと独立に活用するという視点で捉えると「資格を与えるので、後は自分で頑張ってください」と最初から突き放されるので、自分で稼ぐための方法を見つけていかなければなりません。

ところが、医者や弁護士など取得するための試験が超難関な資格の場合、その仕事の重要性も緊急性も専門性も明確で、業務上の苦労は数あれど、顧客集めに難儀するというイメージはありません。

ところが、実際には、医者も弁護士もある意味、供給過多であり、看板さえ上げれば、お客さんが行列をなしてきてくれるというわけではありません。

どうやら顧客集めに失敗している独立系の医者や弁護士は、年収100万円にも満たないという状況があるらしいですね。

今、それを目指して試験勉強に取り組む人は、まさか試験を突破した後に、顧客集めに知恵を絞らなければならないとは思っていないでしょうが、現実は、その通りなんです。

今から、どうすればお客さんが来てくれるかを考えておくのも悪くないですよ。

■お医者さんや弁護士さんに、営業するという意識がないのは、これまでの歴史からいって仕方ないことなのかも知れません。

なにしろ、どちらの仕事にしろ、極めて重要かつ緊急性の高いものです。

お医者さんの仕事は、命にかかわるものです。しかも殆どの客(患者)は、今まさに問題を抱えている人たちです。

弁護士さんの仕事も、やはり財産や生命にかかわる案件が多い。やはり今すぐに何とかしてほしいという依頼者が多い。

要するにお客さんの方が、お願いをしてサービスを享受しようとする「先生」ですから、営業活動などはなから必要がありません。

ところが現在はそうではない。

社会的ステイタスがあって儲かる仕事ですから、多くの人々がその資格を保有しようとした結果、供給が多くなり、逆に需要は人口減とともに減ってきています。

日本の全ての業界を襲っている少子高齢化の波が、どうやら医者や弁護士の世界にも届いているようなのです。

■だからお医者さんも弁護士さんも、まずは「営業をしなければ顧客が来ない」という当たり前の事実を認識する必要があります。

この場合、難しいことを考える必要はありません。

なにしろ、今まで営業という概念のなかった業界ですから、少し営業的な工夫を持ち込むだけで、効果が表れるはずです。

私の(というか勉強会の)提言は、2つです。

一つは、基本的な営業プロセスに従って、少しずつ高度化していくこと。

もう一つは、商品パッケージの見直しをすることです。

■一つ目の、基本的な営業プロセスについてです。

これは、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングに分解することができます。

それぞれについて、他の業界を参考に工夫できることがないかを探してください。

例えば、いちはやく供給過多となった歯医者さんの状況を見てください。

町には、流行っている歯医者さんと、流行らない歯医者さんに二極化して存在しているように見受けられます。

その内容をみていると、どうやら「サービス業化」した歯医者さんは流行っていて、先生のままでいる歯医者さんは、ジリ貧になっているらしい。

アプローチとは、最初の接触段階です。

最近の歯医者さんが、およそお医者さんらしくない待合室になっていることをご存じでしょうね。

清潔さは当然として、趣味のいいソファや壁紙などが目立ちます。

受付のお姉さんのユニフォームも、お医者さんらしくないものになりつつあります。

子供相手のところは、保育園かと思えるような待合室になっており、大人用のことろは何気にシックな雰囲気にしています。

その上、待ち時間がなくなるように携帯電話で予約できるようになっています。まあこれは、普通ですが。

■ヒアリングとは、顧客からニーズを聞く段階です。

歯医者の場合、普通の問診はもちろん、助手のお姉さんが、ここはカウンセリングルームかといいたくなるぐらい話を聞いてくれたりします。

あるいは、レントゲン写真まで撮影して、表に出ない真のニーズを探りだそうとしています。

プレゼンテーションは、商品の提案段階です。

先ほどのレントゲン写真や、その他の写真や3D動画まで駆使して、迫真性のある提案をしてくれます。

簡単にいうと、恐怖心をあおるわけですな。

この提案をされると、ちょっとした歯痛が、顎全体の疾患のような気がしてくるから恐ろしい。

悪くないものまで悪いということはないでしょが、その場合は、予防やメンテナンスのための追加提案が重ねられます。

クロージングも凝っています。歯医者さんだけではなく、助手の人や受付の人たちまできて、提案を受け入れるように促します。

その際に、プラスワンのメンテナンス提案を付け加えることを忘れていません

我々患者にとって、少々辟易するような状況があるわけですが、それぐらい歯医者の世界は営業的な意識が高くなっているということです。

(今後は、売り込み過多の状況が改善され、よりニーズに的確な提案をした歯医者さんが生き残っていくのだと考えます)

■ここまでのポイントをいうとすれば

アプローチにおいては、信頼感や安心感だけではなく、親しみや楽しさを提供すること。

ヒアリングにおいては、幅広く深いニーズを知るための工夫を(ツールを活用)すること。

プレゼンテーションでは、迫真性を持った提案をすること。複数提案をすること。

クロージングでは、メンテナンスやアフターフォローのプラスワン契約をすること。

などですかね。

お医者さんにとっては、歯医者のやっていることはそのまま参考になるはずです。

弁護士さんはどうでしょうか。

これは、ご自身で工夫して、応用してみてほしいですね。

■もう一つは、商品パッケージの見直しです。

先ほど、お医者さんや弁護士さんの仕事は、重要性も緊急性も高い仕事であるといいましたが、その部分は供給過多になっています。

ではどうすればいいのか。

つまり、相対的に、重要性や緊急性が低い仕事にシフトしていかなければなりません。

やはり参考になるのが、歯医者さんの事例です。

今、調子のいい歯医者さんは、審美歯科や予防歯科など。歯並びの矯正やインプラント、口臭予防といった従来なら重要性、緊急性の低い商品やサービスを提供しているところです。

言い換えれば、重要性、緊急性の低い内容の商品を、重要性、緊急性を高めるような訴求をして提示することに成功した歯医者さんが調子がいいと言えます。

同じくお医者さんでも、美容医療、予防医療の分野(アンチエイジング、ダイエット、禁煙、いびき防止など)を商品として売り出すところが出てきています。

弁護士さんの事例は思いつきませんが、同じく「重要だが緊急でない」分野(相続、事業継承など?)に商品化できる何かがあるかも知れません。

■その場合、大切なのは、そのまま提示するのではなく、緊急性を高めて訴求する工夫をすることです。

私が「商品パッケージの見直し」というのは、その意味です。

例えば、いびきの防止をそのまま謳ったのでは能がありません。

いびきをする人は、記憶力の低下がみられるという根拠を示した上で、受験生などに販売するという工夫をすることが、パッケージの見直しということです。

■弁護士さんの場合は、どうなるのでしょうね。

その仕事内容を詳しく知らないので、事例を思いつきません。

でも、恐らく、何らかの訴求方法があるはずです。

もし、これを読まれている弁護士さんがおられましたら、私に相談してください^^

■勉強会で、このテーマを話している時、話題になったのが「中小企業診断士のような資格保有者なら、普通に工夫しないと生き残れないんだけどなーー」ということでした。

そうなんですね。難関資格者は、今まで(営業という部分では)楽をしてきたんですよ。

もともと強い武器を持っている人たちなので、その武器の活かし方を少し工夫すれば、我々などよりよほど強い戦闘力を持っています。

うらやましいし、もったいないなーーと思いますね。

そのまま眠っていてもらいたい意地悪な気持ちもありますが^^;それではいけません。社会のためにも、強い武器の活かし方を覚えてもらいたいと思います。

■それじゃーお前はどうなんだ。どうやって自分の武器を活かしているんだ、って言われそうですね。

そうなんですね。私が独立する上で、もっとも悩んだのが、その部分です。決して高機能とは言えない自分の武器を最大限活かして生きていくにはどうすればいいのか?

その試行錯誤の結果が、今日の姿です。

だから私なりに、工夫の仕様があります。

でも、それは秘密です。

戦略は、他人に簡単に漏らしてはいけないものだからです。

ヒントをお知りになりたい方は、ぜひ一度、私のセミナーにおいでください。

(2013年5月30日メルマガより)


■先日(5月21日)のランチェスター戦略勉強会のテーマは、「
難関資格者の販売戦略」についてでした。

私が持っている中小企業診断士という資格などは、取得するための試験が比較的簡単なため、その見返りも大して期待できません。

こと独立に活用するという視点で捉えると「資格を与えるので、後は自分で頑張ってください」と最初から突き放されるので、自分で稼ぐための方法を見つけていかなければなりません。

ところが、医者や弁護士など取得するための試験が超難関な資格の場合、その仕事の重要性も緊急性も専門性も明確で、業務上の苦労は数あれど、顧客集めに難儀するというイメージはありません。

ところが、実際には、医者も弁護士もある意味、供給過多であり、看板さえ上げれば、お客さんが行列をなしてきてくれるというわけではありません。

どうやら顧客集めに失敗している独立系の医者や弁護士は、年収100万円にも満たないという状況があるらしいですね。

今、それを目指して試験勉強に取り組む人は、まさか試験を突破した後に、顧客集めに知恵を絞らなければならないとは思っていないでしょうが、現実は、その通りなんです。

今から、どうすればお客さんが来てくれるかを考えておくのも悪くないですよ。

■お医者さんや弁護士さんに、営業するという意識がないのは、これまでの歴史からいって仕方ないことなのかも知れません。

なにしろ、どちらの仕事にしろ、極めて重要かつ緊急性の高いものです。

お医者さんの仕事は、命にかかわるものです。しかも殆どの客(患者)は、今まさに問題を抱えている人たちです。

弁護士さんの仕事も、やはり財産や生命にかかわる案件が多い。やはり今すぐに何とかしてほしいという依頼者が多い。

要するにお客さんの方が、お願いをしてサービスを享受しようとする「先生」ですから、営業活動などはなから必要がありません。

ところが現在はそうではない。

社会的ステイタスがあって儲かる仕事ですから、多くの人々がその資格を保有しようとした結果、供給が多くなり、逆に需要は人口減とともに減ってきています。

日本の全ての業界を襲っている少子高齢化の波が、どうやら医者や弁護士の世界にも届いているようなのです。

■だからお医者さんも弁護士さんも、まずは「営業をしなければ顧客が来ない」という当たり前の事実を認識する必要があります。

この場合、難しいことを考える必要はありません。

なにしろ、今まで営業という概念のなかった業界ですから、少し営業的な工夫を持ち込むだけで、効果が表れるはずです。

私の(というか勉強会の)提言は、2つです。

一つは、基本的な営業プロセスに従って、少しずつ高度化していくこと。

もう一つは、商品パッケージの見直しをすることです。

■一つ目の、基本的な営業プロセスについてです。

これは、アプローチ、ヒアリング、プレゼンテーション、クロージングに分解することができます。

それぞれについて、他の業界を参考に工夫できることがないかを探してください。

例えば、いちはやく供給過多となった歯医者さんの状況を見てください。

町には、流行っている歯医者さんと、流行らない歯医者さんに二極化して存在しているように見受けられます。

その内容をみていると、どうやら「サービス業化」した歯医者さんは流行っていて、先生のままでいる歯医者さんは、ジリ貧になっているらしい。

アプローチとは、最初の接触段階です。

最近の歯医者さんが、およそお医者さんらしくない待合室になっていることをご存じでしょうね。

清潔さは当然として、趣味のいいソファや壁紙などが目立ちます。

受付のお姉さんのユニフォームも、お医者さんらしくないものになりつつあります。

子供相手のところは、保育園かと思えるような待合室になっており、大人用のことろは何気にシックな雰囲気にしています。

その上、待ち時間がなくなるように携帯電話で予約できるようになっています。まあこれは、普通ですが。

■ヒアリングとは、顧客からニーズを聞く段階です。

歯医者の場合、普通の問診はもちろん、助手のお姉さんが、ここはカウンセリングルームかといいたくなるぐらい話を聞いてくれたりします。

あるいは、レントゲン写真まで撮影して、表に出ない真のニーズを探りだそうとしています。

プレゼンテーションは、商品の提案段階です。

先ほどのレントゲン写真や、その他の写真や3D動画まで駆使して、迫真性のある提案をしてくれます。

簡単にいうと、恐怖心をあおるわけですな。

この提案をされると、ちょっとした歯痛が、顎全体の疾患のような気がしてくるから恐ろしい。

悪くないものまで悪いということはないでしょが、その場合は、予防やメンテナンスのための追加提案が重ねられます。

クロージングも凝っています。歯医者さんだけではなく、助手の人や受付の人たちまできて、提案を受け入れるように促します。

その際に、プラスワンのメンテナンス提案を付け加えることを忘れていません

我々患者にとって、少々辟易するような状況があるわけですが、それぐらい歯医者の世界は営業的な意識が高くなっているということです。

(今後は、売り込み過多の状況が改善され、よりニーズに的確な提案をした歯医者さんが生き残っていくのだと考えます)

■ここまでのポイントをいうとすれば

アプローチにおいては、信頼感や安心感だけではなく、親しみや楽しさを提供すること。

ヒアリングにおいては、幅広く深いニーズを知るための工夫を(ツールを活用)すること。

プレゼンテーションでは、迫真性を持った提案をすること。複数提案をすること。

クロージングでは、メンテナンスやアフターフォローのプラスワン契約をすること。

などですかね。

お医者さんにとっては、歯医者のやっていることはそのまま参考になるはずです。

弁護士さんはどうでしょうか。

これは、ご自身で工夫して、応用してみてほしいですね。

■もう一つは、商品パッケージの見直しです。

先ほど、お医者さんや弁護士さんの仕事は、重要性も緊急性も高い仕事であるといいましたが、その部分は供給過多になっています。

ではどうすればいいのか。

つまり、相対的に、重要性や緊急性が低い仕事にシフトしていかなければなりません。

やはり参考になるのが、歯医者さんの事例です。

今、調子のいい歯医者さんは、審美歯科や予防歯科など。歯並びの矯正やインプラント、口臭予防といった従来なら重要性、緊急性の低い商品やサービスを提供しているところです。

言い換えれば、重要性、緊急性の低い内容の商品を、重要性、緊急性を高めるような訴求をして提示することに成功した歯医者さんが調子がいいと言えます。

同じくお医者さんでも、美容医療、予防医療の分野(アンチエイジング、ダイエット、禁煙、いびき防止など)を商品として売り出すところが出てきています。

弁護士さんの事例は思いつきませんが、同じく「重要だが緊急でない」分野(相続、事業継承など?)に商品化できる何かがあるかも知れません。

■その場合、大切なのは、そのまま提示するのではなく、緊急性を高めて訴求する工夫をすることです。

私が「商品パッケージの見直し」というのは、その意味です。

例えば、いびきの防止をそのまま謳ったのでは能がありません。

いびきをする人は、記憶力の低下がみられるという根拠を示した上で、受験生などに販売するという工夫をすることが、パッケージの見直しということです。

■弁護士さんの場合は、どうなるのでしょうね。

その仕事内容を詳しく知らないので、事例を思いつきません。

でも、恐らく、何らかの訴求方法があるはずです。

もし、これを読まれている弁護士さんがおられましたら、私に相談してください^^

■勉強会で、このテーマを話している時、話題になったのが「中小企業診断士のような資格保有者なら、普通に工夫しないと生き残れないんだけどなーー」ということでした。

そうなんですね。難関資格者は、今まで(営業という部分では)楽をしてきたんですよ。

もともと強い武器を持っている人たちなので、その武器の活かし方を少し工夫すれば、我々などよりよほど強い戦闘力を持っています。

うらやましいし、もったいないなーーと思いますね。

そのまま眠っていてもらいたい意地悪な気持ちもありますが^^;それではいけません。社会のためにも、強い武器の活かし方を覚えてもらいたいと思います。

■それじゃーお前はどうなんだ。どうやって自分の武器を活かしているんだ、って言われそうですね。

そうなんですね。私が独立する上で、もっとも悩んだのが、その部分です。決して高機能とは言えない自分の武器を最大限活かして生きていくにはどうすればいいのか?

その試行錯誤の結果が、今日の姿です。

だから私なりに、工夫の仕様があります。

でも、それは秘密です。

戦略は、他人に簡単に漏らしてはいけないものだからです。

ヒントをお知りになりたい方は、ぜひ一度、私のセミナーにおいでください。

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